素敵な夜景に踊らされて☆萌えガク

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一樹と裕也の二人は、車に乗って事務所へ向かった。

着いた先は、5階建ての比較的小さな雑居ビルだった。敷地内の駐車場に車を停めて一樹がドアを開けて降りると、裕也も一樹の後についていく。

一樹の組の事務所に行くのは初めてのことだ。

ビルの中に入ると、一樹は出入り口のすぐ目の前にあるエレベーターの昇降ボタンを押した。ボタンは上の階を指している。

言葉数が少なくなっている二人に、古びたコンクリートの独特のにおいがまとわりついてきた。湿気のある、鼻にツンとくるようなにおいだ

エレベーターが開き、一樹が乗り込むと後に続けて裕也も乗り込む。一樹が階数を示す5のボタンを押すと、エレベーターは音を立てて上昇していった。

エレベーターのカゴの中で密室となり、ここなら誰にも聞かれることはないだろうと思って一樹に訊いてみた。

「ねぇ。もしかして、これって玲二がからんでいるってこと考えられないかな?」

「ああ、俺もそれを考えていた。あいつは、執念深い。俺たちに嫌がらせをしてきたってことも充分ありえる」

一樹は、裕也に同意してこくりとうなずく。

「だったら、上の人にそう言えば?」

「玲二がやりましたってか。俺は、ガキじゃないんだぜ。まずは、玲二の仕業だという証拠を見つけるんだ。そうじゃないと、上の人間には通用しない」

「もし……証拠が見つからないとどうなるの?」

「そのときは、俺は破門だ。そればかりか、消えた金の金額分を払わされ、運が悪ければ殺される」

破門?普通の会社でいうとクビになることなのか。さらに、運が悪ければ殺される……。

やくざ社会の怖さを改めて思い知らされる。裕也が、ぶるっと身をすくませたところで、5階に着いたエレベーターの扉が開いた。 


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「裕也、わるい。急用ができてしまった。これからすぐに、組の事務所に戻らなくてはいけないんだ。食事は今度にしてくれないか?」

「いったい、どうしたっていうのさ?」

一樹は、警戒するように辺りを見渡してから小さく口を開いた。

「組の……上層部の金が……なくなったそうだ。それも、その金は、俺の事務所の口座に振り込まれたという情報が流れているらしいんだ」

小さい声ながらも、重く暗い声だった。

「それで、なんで一樹に電話があったの?」

「…事務所の金を管理しているのは、この俺だ」

一樹に、動揺している気持ちがうかがえる。自分の顔を見つめている目は揺れ動き、俺の姿など目にはいっていないようだ。

「一樹が使っちゃったの?」

事態が飲み込めなくて、間の抜けたことを訊いてしまった。一樹がそんなことするわけがない。

「違うッ。俺にも、どうして事務所の口座に金が振り込まれたのか分からないだッ。とにかくだ、組に戻って事の真意を確かめなくてはならない」

一樹は、のんびりとした裕也の様子に苛立ったのか、声を少し荒げた。

「ご、ごめん」

一樹の、普段聞き慣れない険しい口調に驚いて、反射的に謝ってしまった。それと同時に、一樹の気持ちにゆとりがなくなっていることに気づく。

「いや、そのすまない、裕也。思わず声を荒げてしまって……」

言ってしまってから、はっとした一樹は慌てて謝った。


やくざ社会のルールは、厳しいと聞いている。

そうでもしないと、組織にいるごろつき共をまとめることができないからだと一樹が言っていた。

金額は分からないけれど、上層部から消えた金が本当に一樹の組の口座に振り込まれていたのなら、組になんらかのペナルティを科せられるのかもしれない。そして、お金を管理している一樹には厳しい処罰があるのだろうか?

一樹の顔には、滅多にみせない焦りの色が浮かんでいて、次第に事の重大さを認識する裕也だった。


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25/50話

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事故の怪我はなかったけれど、一応精密検査をすることになり退院したのは二日後だった。

病院の正面玄関を出ると、スーツを着た一樹が迎えに来てくれていた。

「迎えに来てやったぜ。どうだ、身体の調子は?」

「うん、元気さ。ただ、入院しているとき、寝てばかりだったから身体がなまっちゃっているよ」

裕也は、二日ぶりの外の空気を大きく吸って、硬くなった肩をほぐすように手をあてた。

一樹が笑った。

「そうか。じゃ、久々に新宿で遊ぶか?なまった身体をほぐすには、ちょうどいいぜ」

一樹の誘いに裕也はにこやかな顔でこくんとうなずき、近くに停めてあったBMWに乗り込んだ。

久々の新宿。

大勢の人がせわしなく行き交い、どこからか押し寄せてきた自動車が渋滞を引き起こしている。それに騒がしい音。

いつもの見慣れた景色なのに、今日はなんだか違和感を覚える。入院していた二日間に、あまりにもショッキングなことを体験してしまったせいか平和な日常の光景が嘘くさく思えた。

一樹の運転する車は地下駐車場に入り、適当な空いたスペースを見つけるとそこに車をいれた。

上の階には、フランス料理の高級レストランがある。

「まずは、腹ごしらえだ」

車から降りて、一樹はさりげなく裕也の肩を抱きながらエレベーターの方向へ向かう。

二日ぶりに、一樹の温かい手を肩に感じた裕也は、嬉しくなって顔をほころばせた。再び、二人の幸せな生活に戻れることを一途に願う。

あのときの……玲二のことみたいな経験は、もう二度としたくない。

頭のなかで玲二の歪んだ顔が一瞬映ったが、慌てて記憶から消し去ろうと頭をブルブルと振り、揺れた気持ちを落ち着かせるつもりで一樹の身体に身を寄せた。

しかし、すぐに邪魔がはいってしまった。タイミング悪く、一樹のスーツの内ポケットから携帯電話のバイブが響いたのだ。

ここの地下は、携帯電話の電波がはいるらしい。

裕也は少し残念な顔して、渋々密着させていた身体を離した。

「…一樹だ」

電話に出た一樹の表情が曇った。

退院して早々、なにかいやな予感がする。

なにを話ししているのか判らないけれど、良い話しではなさそうだ。

胸騒ぎがするなか、あの玲二の顔が再び思い浮かんだ。


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24/50話

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「そこまでだ、玲二」

部屋の入口から、突然聞き覚えのある声が響いた。

その瞬間、裕也の表情に明らみが射した。

力強くて、安らぎを与えてくれる声。頼もしい恋人の登場に、喉に詰まっていた声が勢いよく飛び出す。

「一樹ッ!」

「一樹だとッ?」

はっと驚いた玲二は、声がした方向へ拳銃を構える。どうやら玲二には、声の主がわからなかったらしい。

「銃を下ろすんだ、玲二」

暗い部屋の奥からゆっくりと二人に近づき、一樹の姿が月明かりに照らされて徐々にあらわになる。

「銃を下ろせと言っているんだ」

二人の目の前に現れたのは、厳しい顔をした一樹だった。鋭い眼光を放つ怒りの目は、玲二に向けられている。

「なにをしていたんだ、玲二?」

低く、くぐもった声。怒り心頭に発しているのが、ありありと分かる。

「冗談だ。そう怒るな、一樹」

少し気持ちの乱れを見せていた玲二だったけれど、一樹がふたりの前にはっきりと現したときには、いつもの冷徹さを取り戻していた。

一樹が、ギロリと睨む。

「おいおい、俺はまだなにも手をつけていないぜ。心配すんな」

玲二は一樹の気迫に動じることなく、フッと鼻で笑って軽くあしらう。

「邪魔がはいってしまったようだな。しょうがない。今日は、これで帰るとするぜ。じゃまたな」

やれやれといったふうに両手を広げた玲二は、拳銃を胸元にしまってきびすを返した。すれ違いざまに、一樹がボソリと言った。

「玲二。これ以上、俺たちにかまうな」

玲二は振り向きも耳を傾けようともせず、そのまま部屋を出て行った。

バタンとドアが閉まったところで、一樹の怒りの表情がすっと消えて、いつもの穏やかな表情に戻る。

「大丈夫か、裕也?」

気遣う優しい声に、張り詰めていた緊張の糸が切れてしまい、裕也の目にどっと涙が溢れでてきた。たまらず、ベッドから跳ね起きて力いっぱい一樹を抱きしめて、広い胸のなかに顔をうずめる。

「怖かった……すごく怖かったよ」

肩を震わして泣いている裕也に、一樹は優しく背中に手をまわし抱き寄せた。

「もう大丈夫だ……もう大丈夫」

ぬくもりのある一樹の手を背中で感じながら、裕也はいつまでも嗚咽を漏らしていた。


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23/50話

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「そんなに、一樹が好きなのか?でもまあ、あいつはいい男だしな。しかし、残念だがお前とは釣り合わない。一樹のことは忘れろ。そもそもお前……一樹とは最後までやったのか?」

玲二に訊かれて、裕也はビクンと反応した。

ここでいう「やったのか」という意味は、身体を交えたかどうかということを尋ねていると思う。

でも、身体を交えるなんて、どこまでのことを指しているのだろう……?

オーラルセックスなら経験はあるけれど、一樹とひとつになったことは一度もない。いや、たとえアレを口に含んだだけでも身体を交えたことになるのかもしれない……。

だいたい、最後まで受け入れられないのは気持ちに踏ん切りがつかないせい。

一樹が物騒な職についていることは、人一倍正義感が強い自分には、どうにもこうにも引っかかる部分で好きなのは違いないけれど、どこか心の奥底で敬遠してしまうところがある。

一樹には、まっとうな道を歩んでほしい。そう心のなかで願っている。

あれこれと考えているうちに問いかけから大きく脱線してしまい、結局、なんて答えればいいのかわからなくなってしまった。黙り込んでいる裕也の姿に、玲二はなにか感づいたように冷笑した。

「ふん、ガキの恋人ごっこか。一樹もよく我慢しているもんだな。まだ、経験ないんだろ?俺が教えてやるよ、大人の付き合いっていうものをな」

玲二が拳銃を右手に持ったまま、裕也の上に覆いかぶさってきた。

シーツを乱暴に剥ぎとり、早急に顔を近づける。たまらず顔をそむけるが、それで玲二から逃げられるわけもない。

むしろ、嫌がる素振りを見せたせいで玲二を怒らせてしまった。

「おとなしくしてろってんだッ」

いやいやと首を振っている裕也の髪を左手で乱暴にわしづかみにして引っ張り上げる。裕也は悲鳴をあげたが、玲二はお構いなしに唇を合せて塞いだ。

「…や……やめて」

涙を流して懇願する裕也の声も、玲二の耳には届かない。今度はシャツに手をかけて強引に左右に引っ張り、シャツのボタンがブチブチと勢いよく弾け飛ぶ。はらりとはだけたシャツからは、裕也の薄い胸が露わになった。

――犯される。

戦慄が全身を走り抜けた。


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22/50話

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