素敵な夜景に踊らされて☆萌えガク

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二人のあいだに甘ったるい空気が漂いだして、裕也は自分の気持ちを抑えきれずにいた。

見上げる二つの瞳は、さらに潤いを増していて何かを訴えているように思える。

我慢の限界だ……。

「シャツのボタン……はずすよ」

そう言い終わらないうちに、裕也は拓海の開襟シャツのボタンに手をかけてプチプチとはずしていく。

徐々にあらわになっていく薄い胸板に強い興奮を覚えながらも、あくまで優しく、拓海を怖がらせないようにボタンをはずしていった。

すべてのボタンがはずされると、左右に大きく開いたシャツは両肩から滑り落ちるようにして地面に落ちてしまった。

「あッ……」

声をあげた拓海がシャツを拾いパンパンとシャツについた土ぼこりを払う。キョロキョロと辺りを見渡し、シャツを引っ掛けるにはちょうどよい木の枝を見つけると、背伸びをしてシャツを掛ける。

そんなたわいのない拓海の動作に、裕也は目を細めた。

半裸になった拓海の一つ一つの行動がかわいらしい。それは、陽気な日差しのなかで、ますますきわだっている。

まじまじと見つめる裕也の視線に気づいたのか、拓海はにっこりと笑った。

日光の下で見せる屈託のない笑顔は、とても清々しくさわやかだ。

一樹と正反対の男。

朝のさわやかな陽ざしは、いつもダークな雰囲気を身にまとっている一樹にはまったく合わないと……。

ふと、恋人の一樹のことが頭に浮かんだが、今さら引き返す気にはなれなかった。

今までも、そうだった。

恋人がいるというのに、成り行きで他の誰かと身体を交わすことは、幾度なく経験してきたことだ。これまで、おいしい思いもしたこともあったけれど、どちらかというと嫌な思い出のほうが多い。

やめればよかった……と後悔することも数知れず。なのに、今回も過去の教訓が生かされることはなかった。

恋人がいるというのに……俺は軽い男だ。

裕也は、自嘲の笑みを浮かべながら自分のシャツのボタンをはずしていく。

「拓海、キスをしようか」

シャツを脱いで拓海に歩み寄った裕也は、返事を待たずにして唇を塞いだ。


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11/50話

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裕也は、尻もちをついたままでいる拓海に手を差し伸べて立ち上がらせた。

「大丈夫か?」

怯えている拓海に気を遣って、できる限り優しく声をかけたけれど、拓海の身体の震えは止まらない。

ただ、か細い声で「大丈夫……」と答えるのが精一杯のようで、そのままうつむいてしまった。

裕也の喉が、ゴクリと鳴る。

陽の光にあたってきらめいている、やわらかな髪がさらさらと流れて、小さな身体をさらに縮めている拓海。その華奢な身体がとても弱々しくて……。

ぎゅっと抱きしめて、守ってあげたい……。

そんな気持ちにさせてしまうほど、拓海には魅力があった。本人は気付いていないみたいだけど。

「大丈夫だ。俺が守ってやるからな」

そっと、小さな身体を抱き寄せて背中を撫でる。

「さっきは、ありがと……」

頼りがいのある裕也の言葉に安心したのか、拓海の、小さな口から出たお礼の言葉。裕也より頭一つ分身長が低い拓海は、抱かれた胸のなかから顔を上げて、それまで固くなっていた表情をやわらかくし口元にはうすく笑みをこぼす。

裕也は、嬉しくなって顔をほころばせた。

「いや、たいしたことないって。怪我もないことだし……」

言い終わると、潤いのある瞳でまじまじと見つめられていることに気がついて、裕也は胸を高まらせた。

胸のうちから、ぐつぐつと湧きだす欲望。

はやる気持ちを抑えこみ、拓海を怖がらせないようにして、ゆっくりと優しく、やわらかい栗色の前髪を掻きあげる。そして、露わになったおでこにキスをした。

フローラルな香りがほのかに鼻腔をくすぐり、たまらず拓海を強く抱きしめてしまった。

「…あ…ッ」

驚きに似た声が小さく漏れて、それを塞ぐようにして軽く口づけを交わす。

震えている?

拓海の身体が震えていることに気づき、心配になって唇を離すと、頬を桜色に染めている拓海の顔があった。口が半開きになったまま、目には涙を浮かべている。

「イヤだった?」

裕也の問いかけに、拓海は左右に首を振る。

「ううん。なんだか気持よくって、身体が自然と震えたの……」

「そうか……。俺が……拓海の嫌なこと、全部忘れさせてあげるよ」

潤んだ、頼りなげな瞳で見つめる拓海に、裕也はいたずらっぽく笑みを浮かべた。


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10/50話

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「やめろぉ!」

裕也は、とっさに壁から飛び出して西田の背後から叫んだ。

高々と上げたこぶしが空中で止まり、西田は「あー!?」と口を開けたまま裕也のほうへ振りむく。

怒りの含んだ目が向けられ、裕也はビクッと身体を強張らせた。

正義感をみなぎらせて体育館の陰から飛び出したものの、西田に直接睨まれると身体がすくむ。それでも、ゆっくりと近づいて西田の前に立ちはだかった。拓海は隠れるようにして、裕也の背中へまわる。

「お前は、あっち行っていろ。痛い目にあいたいのか?」

「いやだ」

「ああッ?お前には、関係ないだろうがッ。なに正義感ぶってんだよ?」

拓海は、裕也の背中越しで震えながら事の成行きを見守っている。

平然としているふうに見える裕也も、実は怖くて気持ちのなかではガタガタと震えていたが、相手に弱気なところを見せまいと、無理に強気な姿勢を装っていた。

「同じクラスの仲間だろ。どうして、こんなことするんだよ?」

裕也の言葉にカチンと頭にきたのか、西田は眉を吊り上げた。

「コイツをどうしようが、お前には関係ないだろッ。なにヒーローきどりで俺にはむかっているんだよ?!」

「……」

裕也は、無言で西田を睨みつける。そんな裕也の態度にますます機嫌を悪くした西田は、怒声を響かせた。

「裕也、邪魔だ。どけよ!」

裕也の身体を押しのけて、拓海の胸ぐらを取る。

「やめろって言ってんだろッ」

拓海の胸元を掴んだ手を引き離そうと腕を掴みぐいぐいと引っ張るが、簡単には放してくれそうにもない。それでも裕也はあきらめず、拓海のシャツを掴んだ手を懸命に引っ張る。

しばらくもつれ合う二人。

「ちッ!」

先に根を上げたのは西田のほうだった。

裕也のあきらめの悪さに舌打ちをした西田は、拓海を突き放すようにして手を放した。

勢いよく突き放された拓海は、後ろへよろよろとよろめいてストンと尻もちをつく。

「拓海、大丈夫かッ?」

裕也は慌ててしゃがみこみ、拓海の肩に優しく手を添える。

「大丈夫……」そんな意味を含めた表情で、黙ってこくんとうなずく拓海。

ほっと安心するとともに再び怒りが込みあげ、そのまま感情を露わにしてキッときつく西田を睨む。

「ふん。お前のせいでしらけちまったぜ。今日は、勘弁してやるよ」

西田は面倒くさそうな顔しながらそう言い残し、去っていった。


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9/50話

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校門の前に一台の黒塗りの車が止まった。

高級車らしく威厳のある雰囲気は、登校途中の生徒たちの注目を浴びている。とはいっても、これはいつもの朝の光景だ。

後ろの左ドアが開き、片足が一歩地面を踏みしめる。ドアのあいだからひょいと顔を出したのは……裕也だった。

一樹の組の人間が運転する車で、学校まで送ってもらったのだ。一樹と付き合ってから、毎日送り迎えしてもらうことが日課となっている。

裕也が降りてドアを閉めると、車は静かなエンジン音を鳴らして帰って行った。

「ふぅ……」

車が去ったあともぼぅと立ち尽くし、気の抜けた息を吐く。

昨日のパーティーの疲れが残っていて、身体がだるい。それに、豪華なパーティーが終わってからも興奮が収まらず、なかなか寝つくことができなかった。

大きなあくびをしながら校門をくぐり、重い足取りで教室へ向かう。

「ん?あれは……?」

前方に、同じクラスの西田と斉藤が体育館裏へ向かって歩いていくのが見えた。

先を歩く西田に、斉藤が顔をうつむかせてあとに続く。まるで、西田が斉藤を従わせているみたいだ。

西田は体格がよく性格は粗雑、どちらかというと不良の部類に入るほうだ。

対して背の低い男子生徒――斉藤拓海(さいとう たくみ)は、おとなしくて背も低い。女の子のようなかわいらしい顔の持ち主で、軽く茶色に染めた髪が、よりいっそう幼い印象を与えている。

性格も体も相反する二人が、どうして体育館裏へ……?

不穏な気持ちが襲う。

裕也は、少し離れて尾行することにした。

「おい、金持ってきたんだろうな?」

壁の向こう側で、すごみのある西田の低い声が聞こえてくる。

裕也は、体育館の角の壁にべったりと張り付き、わずかに顔を出して二人の様子を伺っていた。

これって……もしかして、いじめ!?

にわかに心臓の脈が速まる。

自分のクラスにいじめがあるという現実を突きつけられて、動揺がはしる。西田の普段の素行の悪さは知っていたが、こんな身近なところで……自分たちのクラスのなかでいじめがあるとは思いもしなかった。

「ご、ごめんなさい……。お、お金……持ってきてないんだ……」

拓海は、蚊の鳴くような小さい声で答える。怯えているせいなのか、小さい身体をさらに縮こめている。

壁際から覗いている裕也は、どうすればいいのか思いあぐねていた。

もちろん、このまま二人を見過ごすことはできない。しかし、まともに正面から向かっていっても、西田に太刀打ちできる腕力はない。

なすすべもなく、二人の様子を注視する。

「なんだぁ!金を持ってこいって言っただろうがッ!」

西田は声を荒げ大きくこぶしを振りかざし、今まさに拓海に殴りかかろうとした。


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8/50話

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「裕也、愛している……」

そう言って、一樹は自分の唇を奪った。

それはまさに、突然のことだった。

「ちょ……一樹……」

驚き、思わず手の力が抜けてオレンジジュースが入ったグラスを落としそうになってしまった。

幸いグラスを落とすことはなかったけれど、それでも小刻みに震える手は危なっかしい。

たくさんの人がいるというのに……。

当惑する裕也をよそに、一樹は舌をするりと潜りこませて口腔をペロリと舐める。

ワインの濃厚で甘い香りが鼻腔をつき、それは本当にアルコールのせいであるかのように心地よい酔いが脳内を刺激する。

「…ん……んぁ…」

快楽の波がどっと押し寄せて気持ちが盛り上がるけれど、やっぱり他人の目が気になる。

高ぶる感情をぐっと押し殺し、グラスを掴んでいない片方の手で一樹の胸を押し返そうと試みるが、自分を抱き寄せている一樹の力が予想以上に強い。

たいした抵抗もできないまま、口腔を蹂躙されてしまう。

クチュっと唾液の混ざりあう音が漏れ、身体がぴくんと跳ねる。

「…ふぁぁ……」

アルコールが混じった唾液が、全身に染みわたるようだ。文字どおり酔いしれるキスの味。

先ほどまで「きれいな夜景だね」などと言って、楽しくおしゃべりをして、窓から見える夜景を眺めていたのに……。

いきなり、こんなにも激しいキス。

どうしたの、一樹?

「悪かった。急に、こんな真似をしてしまって……」

裕也の心の問いかけが伝わったのか、一樹がそっと唇を離す。時間にして3秒ほどのキス。

周りの人たちも特に奇異な目を向けることもなく、何事もなかったようにパーティーを楽しんでいる。

「悪かった。いきなり、キスをしてしまって。さっきあいつの……玲二のことでイライラしてて……。いわゆる現実逃避ってやつだ」

「一体どうしたっていうの?」

裕也は、眉を寄せて尋ねる。

「玲二と付き合っていたことは、俺の汚点だ。あいつは、恐喝や麻薬の売買、それに人を殺めることも平然とやってのける本物の悪人だ。最初、そんなことを知らなかった俺は玲二と付き合っていたんだが……」

一樹は言葉を止めて、嫌なものでも振り払うようにぶるぶると頭を振った。

一樹が、すごく悔やんでいるように思えて……。

裕也は静かに口を開いた。

「もう、思い出さなくていいよ。今は、俺だけを見て……」

「…裕也」

さっきのキスのせいで、艶が増した瞳でまっすぐ見つめる裕也に、一樹は穏やかに表情を緩めた。


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7/50話

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