OhmyNews記者:野田敬生 2006-09-13 「『主権侵害』に加担した公安庁と警察=「主権侵害」をデタラメ支援= 入手した機密文書:撮影者=野田敬生 手元にある韓国軍と警察情報機関の機密内部文書。それによれば、2000年6月に来日した元大学講師・安徳瑛氏を韓国軍の情報機関である機務司令部(以下「機務司」)と韓国警察庁の保安局が追跡したのは、前回記事でも紹介した通り同6月21日から30日までだ。安氏の捜査のため密かに来日した両機関の「工作官」として文書冒頭に実名が記載されているのは、「保安四課一係警衛(警部補)」及び「機務司少領(少佐)」など4名。前者は韓国警察庁保安局の一部署で、後者は言うまでもなく機務司である。 安氏は民間人だが、ROTC(韓国軍将校候補生)24期生という経歴を持つ点で軍と関係があり、形式上は警察の捜査という形を取りつつ、実質は機務司が情報収集を行うという体制だったようだ。実際、文書は「警察庁・国軍機務司令部」と連名になっており、工作官の実名のすぐ後ろにはこう記されている。 「大阪:警(2名)・協助者(1名)支援」「東京:機務司少領等4名、関東公安調査局が一日5名ずつ支援」 これは紛れもなく日本の警察当局と公安調査庁が捜査に協力した事実を示すものだ。続く文書の2枚目には「大阪で警・近畿公安調査局、東京で関東公安調査局等を訪問、工作官と持続的な紐帯強化と業務協助を推進」とも明記されている。「日警」とは日本の警察当局を、「近畿公安調査局」「関東公安調査局」とはいずれも公安調査庁の大阪と東京における下部組織を指す。以下、外国の治安情報機関による怪しげな日本での捜査活動を日本の公安機関が公然と“支援”していた痕跡は、文書の中に満載されている。 文書には、一日ごとに調査内容・結果をまとめた詳細な一覧表が添付されている。22日は「関東公安調査局を訪問、調査2部長ナガトモ等と接触 東京での活動時の支援を協助」(「ナガトモ」はハングル表記)。27日には機務司の少佐以下4名が「関東公安調査局の要員(コバヤシ等5名)と共同で尾行活動」(「コバヤシ」はハングル表記)ー。 文書によれば、スパイ容疑をかけられた安氏は27日、尾行されているとも気づかぬまま東京近郊に位置する知人の建築家・A氏の事務所に宿泊した。機務司の工作官らはここでも尾行・監視を続行しており、文書は安氏がA氏の事務所に到着した時刻を「21:59」と記録し、その後の安氏の動静を「荷物の整理後に就寝」とまで記述。機務司の少佐らは翌28日も同様に関東公安調査局の調査官の支援を得て尾行を続行した。この際、関東公安調査局の車両まで借り受けてA氏事務所前で張り込んだことなども文書は詳細に明記している。 安氏及び安氏と接触した日本人を盗撮した写真。この日本人も韓国当局から事情聴取を受けており、この種の盗撮写真は他にも多い 撮影者:野田敬生=根拠不明な公安庁の情報= 機務司の工作官らは29日になると別の人物に関する調査を行い、30日には関東公安調査局を再訪問した。これについて文書は「採証活動の支援に対する謝辞を述べ、追加内査必要事項について協力を要請して帰国」とまとめられている。まさに至れり尽くせりの支援を受けたことへの答礼で、その中核をなしたのは公安調査庁だったことが伺えよう。 だが、ここで強調しておかねばならない。法務省の外局である公安調査庁はあくまで破壊活動防止法に基づく規制請求機関であり、捜査権限などはない。こうした捜査活動に加担するのは完全な逸脱行為なのである。まして外国機関の日本国内での捜査活動を“支援”するなど論外であり、文書は日韓双方の治安情報機関なるもののデタラメな活動ぶりを如実に示すものといえる。 そればかりではない。公安調査庁の“支援”の怪しさも文書には記されている。例えば、安氏が宿泊した建築家・A氏の事務所について文書はこう記す。 「外見上は建設設計事務所に見えるが、関東公安調査局の要員などは朝鮮総聯の秘密アジトの可能性が濃厚だと判断」 だが、私が調べてみるとA氏は在日コリアンでもなく、朝鮮総聯とも無関係な日本人であった。だとすれば公安調査庁の情報が韓国の治安情報当局に少なからぬ予断を与え、その結果として安氏がスパイにされてしまったのではないか。ましてや、日本の治安組織が外国の治安情報機関にデタラメな情報を“ご注進”し、日本人である無実のA氏を“売り渡した”とすらいえるのではないか。 ソウル中心部の青瓦台(大統領官邸)直近に位置する機務司令部本部の前に立つ安徳瑛氏 撮影者:野田敬生 このほか、安氏と接触した在日韓国人や日本人の中には、安氏の逮捕直後に日本国内で韓国の当局者(駐日武官など)から事情聴取を受けた者もいる。一方、日本警察からの連絡は一切なかったという。 =公安庁と警察の「回答」=
繰り返しになるが、一般的にはたとえ友好国の間といえども治安情報機関が相手国で好き勝手に活動できるわけではない。例えば1995年にはフランス国内におけるCIAのスパイ活動が同国の国土監視局(DST)に摘発され、CIAパリ支局長等が米本国に召還されている。日本と韓国において、類似の事例として想起されるのは、やはり1973年の金大中氏拉致事件だろう。 東京で起きた同事件は当時の韓国中央情報部(KCIA)による組織的犯行だったことがほぼ確実視され、日本の主権が侵害されたと当時も大きな問題となったが、この事件に関して当時の公安調査庁長官、川井英良は73年8月24日に衆議院法務委員会でこう述べている。 「(公安調査庁が)韓国中央情報部(KCIA現安全規格部)と連絡したり、あるいはその手助けを得て調査を遂行しておるというようなことは、過去におきましても現在におきましてもございません」 だが、今回入手した文書に記されているのは、公安調査庁や警察当局が韓国治安情報当局の捜査活動に協力していた事実であり、この答弁の信用性にも疑問を投げかける内容となっている。 文書の内容について、私は公安調査庁と警察庁に問い合わせを試みた。すると公安調査庁からはこんな「回答」が戻ってきた。 「お尋ねのような質問にはお答えしないことにしている。捜査権については、公安調査庁は破壊活動防止法等により、暴力主義的破壊活動を行うおそれのある団体等に対して、調査をする権限が付与されているが、犯罪捜査を行う権限は有していない」 一方、警察庁は次のように明言した。 「あくまで一般論でありますが、外国治安機関が我が国で自ら捜査活動を行うことは、我が国の主権を侵害するものであり、認められるものではありません」「捜査権を持たない機関は、国内においても海外においても、およそ捜査活動はできないものと承知しております」 事実関係の確認を避けてはいるものの、文書に記されたような行為が許されないものであるのは明白だ。また警察庁のコメントは、公安調査庁の「越権行為」を牽制するようにも受け取れるものだった。 【編集部注】
この続きは午後に掲載します。野田記者はジャーナリストで元公安調査庁の職員。なお、このリポートは光文社発行の週刊誌『FLASH』(9月26日号)にも一部が掲載されています。 |
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こんな事が、日本で行われていたんですね。なぜ、マスコミは報じないんでしょうか。自分の国の法律が犯されてるのが判ってるのに、昔あった、金大中事件と同じですね。
2006/12/7(木) 午後 9:50 [ chi*d*rule ]