今年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを獲得した「万引き家族」(是枝裕和監督)の全国公開が8日から始まりました。カンヌでは俳優たちの演技が高い評価を受けていたようです。安藤サクラさんやリリー・フランキーさんら、芸達者の出演者たちをとりまとめる“祖母”の役で出演しているのがベテラン俳優の樹木希林さんです。樹木さんがその半生を縦横に語った連載「語る 人生の贈りもの」(全14回)をまとめてお届けします。

「少々焦げてもいいですから」

 がんと付き合って、もう13年になります。これまでに30カ所を治療してきました。でも、口だけは達者だから、何だか元気そうに見えるらしくて、「死ぬ死ぬ詐欺」なんて言われてますけどね。

 《2005年、乳がんで右乳房全摘出手術。13年の日本アカデミー賞授賞式で、全身がんであることを公表した》
 乳がんの時はね、胸にしこりがあったので、病院で先生に「がんですよね」と聞いたら「いや、違うでしょ」と答えるの。「きっと、がんですよ」と粘るとね、「じゃあ調べてみましょう」と。検査後に先生が「やっぱりがんでした。よく分かったねえ」と感心するのよ。私の場合、がんの告知まで、間の抜けた感じになっちゃうのよね。

 その後、体のあちこちに転移したので、最近は年1回、鹿児島の病院へ放射線治療を受けに行ってました。1日たった10分の照射。でも1カ月かかるのよ。人生を見つめ直す良い機会になったけれど、飽きてくるでしょ。「先生、1週間で仕上げてもらえませんか。少々焦げてもいいですから」って言ったんだけど。

 でも、闘病しているという気持ちは全然なかったわね。抗がん剤治療で苦しむ患者さんを何人も見ました。でも、私の治療法だと、生活の質が全く落ちなかった。だから、とても満足しています。

 病気になったことでメリットも…
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