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前のブログに為替変動説の心理面を書いたが、投資に関して、「ケインズの美人コンテスト説」が良く引き合いに出される。ケインズ(John Maynard KEYNES)はなんとなく知っている積りであったが、実業家・投機家であったことは知らなかったし、美人コンテストも知らなかったので読み直した。
極意かな:
ケインズ『一般理論』(The General Theory of Employment, Interest, and Money)の12章“長期期待の状態”で投資の予想収益を決定する心理的期待の状態(要因)に関連して、余談風に投資に付いて述べられており、有名な美人コンテストは20行ほどの比喩的な記述である。4編(投資誘因)12章で、“株式投資は短期所有の連続”であると言い、玄人筋の投資は“一般大衆にわずかに先んじて変化を予測すること”であると、また“仲間を出し抜く”こととも言っている。トランプの2ババ抜きや、椅子取りゲーム“とも喩え、如何にババを人に掴ませ、人より先に椅子を占領するかと言っているが、まさに勝負事の勝ちパターンの極意であると思う。
美人コンテスト説:
別の比喩として、玄人筋の行う投資は「投票者が100枚の美人コンテスト募集写真の中からもっとも容貌の美しい6人選び、その選択が“投票者全体の平均的な好み”に最も近かった投票者に賞品が与えられると言う新聞投票」に見立てている。この場合、各投票者は、彼自身が最も美しいと思う美貌を選ぶのではなく、他の投票者の好みに最も良く合うと思う美貌を選択しなければならず、しかも投票者の全てが問題を同じ観点から眺めているのである。
ここで問題なのは、投票者自身の最善の判断に照らして真に最も美しい美貌を選ぶことでもなければ、いわんや平均的な意見が最も美しいと本当に考える美貌を選ぶことでもないのである。我々が、平均的な意見は、何が平均的な意見になると期待しているを予測すれうことに知恵を絞る場合、われわれは三次元の領域、あるいは四次元、五次元それ以上の高次元にになると」言っている。
その教えとは:
「美人コンテスト説」を自分流に解釈すれば次のようではないかと思っている?
即ち、投資は株であれ、為替であれ余り難しく考えず、“自分の考えや期待を完全に捨て”て、美人投票者と同じように、市場参加者全体の平均的な方向(トレンド)に投票(売買)するのがベストであるということではないか。自分の期待や不安は関係ないのであろう。投票者=マーケットがどちらを向いているかに賭けるのが一番、いわゆる「順張り」の正当性でもあろう。一方、「逆張り」は自分の期待や不安をよりどころにしているからである。
正に投資の極意であろうと思うが、素人には市場参加者がどちらに投票するか中々読む術がない。矢張り、“予想は嘘よと”と言わずに、専門家・プロのコメントやメルマガなどを読むのはケインズの言う
“投票者全体の平均的な好み ≒ マーケット”を知るためである。
訳文参考:J.M. Keynes 塩野谷祐一訳『雇用・利子・および貨幣の一般理論』東洋経済新報社 1995年
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