ギャラさん映画散歩

映画・話題などへのモノローグ。コメント・TB など大歓迎です。

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                  そうだわ。明日という別の日があるわ。
             ( 「風と共にさりぬ」より スカーレットの言葉 )
 
清兵衛(真田広之)の生活
主人公井口清兵衛は、山形・庄内・海坂藩の下級武士だが、海坂藩は架空の藩で、原作者藤沢周平の小説では、「隠し剣シリーズ」「蝉しぐれ」などで明示されている。
財政悪化で、下級武士は、畑仕事・虫かご作り・織物・針仕事などの内職が公然と行われている。家は萱葺きで、庭は畑、庭にはニワトリが飼われており、食事は質素で、おかゆ、味噌汁、漬物だが、魚釣りやニワトリなどが貴重な蛋白源になっている。
石高は、50石だが手取り30石とのこと30石は、米30俵としてみると必殺シリーズの同心中村主水が、30俵2人扶持だから年収は、約87万円程度。雇い人の費用など払うと生活は苦しく内職は必須。
ちなみに清兵衛の再婚者、飯沼家は400石取りなので、年収400万円はあり、格差は結構ある。
 
飯沼朋江(宮沢りえ)との関係
清兵衛と朋江は、幼馴染で仲良しだったとのこと。清兵衛は身分違いと感じていたので一緒になることは諦めていた。朋江は兄の倫之丞の世話で1200石取りの大家に嫁ぐ。
しかし、嫁ぎ先の夫は大酒飲みで家庭内暴力をふるうため、兄は見かねて無理やり離縁をさせてもらう。清兵衛の先妻が、ろうがいで亡くなった3年後で、そのころ朋江は実家に帰っていた。
清兵衛の実母は認知症となり介護をしている。また先妻の治療費の借金が残っており、遊ぶ余裕はなく、仕事が終わると毎日定時に帰宅するため「たそがれ清兵衛」と綽名がついていた。
朋江の嫁ぎ先の夫には未練があり、朋江の兄宅に押しかけ因縁をつけていた。因縁を付けていた時、居合わせた清兵衛は、成り行きで大家の元夫と果たし合いをすることになる。
 
果たし合い
朋江の元夫と清兵衛の果たし合いは、般若寺裏にて行われた。元夫は清兵衛に対し、「平侍の分際で生意気だ。今謝れば許す」と言ったが、「謝るのはそちらだ」と反論。清兵衛は棒切れで対戦。元夫は刀を落す。清兵衛は「手を付いて謝るか。続けるか」と問うと元夫は、刀を拾い向かって来たが、清兵衛は棒切れで叩き、相手を気絶させる。
果たし合いの結果、朋江は清兵衛宅に出入りして、清兵衛の娘達の世話や掃除、母の介護の手伝いなどして清兵衛宅を明るくする。
朋江の兄は、そんな様子を見て、清兵衛に朋江と再婚してくれないかと持ちかける。しかし、清兵衛は、身分の違いを言って、朋江に貧乏暮らしはさせられないと断る。
 
上意討ちの下命
海坂藩の藩主が亡くなり、海坂藩は家督相続争いが起こる。しかし、江戸屋敷において謀反人は捕縛された。謀反人は全員切腹を申し付けられたが、謀反人のひとり余吾善右衛門は切腹を拒否し、自分の屋敷に立て篭もってしまった。
城代家老は、清兵衛が戸田仁斎門下の師範代であったことを知り、余吾善右衛門を藩命により、上意討ちするよう下命を与える。
余吾は、相当な使い手なので、万一返り討ちにあう場合も考えられた。清兵衛は朋江に会いたいと伝言してもらい、自宅に来てもらう。そして「藩命で果たし合いを行う。支度を手伝ってくれ」と言って、髪を整え、身支度を手伝ってもらう。
そのとき、「もし、無事に戻れたら一緒になってほしい」と告げる。しかし、朋江は、会津藩士と再婚することが決ってしまったので無理だと断る。「そうか、私はバカだった。そのことは忘れてくれ」と言うと「御武運をお祈りします」と朋江は、清兵衛を送り出す。
そして、余吾と清兵衛は、屋内で対決する。余吾は当初、逃げたいと言っていたが、清兵衛が大刀は竹光で、小刀で勝負すると聞き、おぬしは自分を甘く見ていると激怒し、切りかかってくる。それでも清兵衛は、余吾を逃そうとしたが、「観念しろ、甘く見た報いだ」と切りかかった。余吾の大刀は屋内の鴨居に引っ掛り、その隙に清兵衛は、余吾を小刀でし止めた。
 
後日談
清兵衛の長女の回想の語りでは、清兵衛は上意討ちの功績で、石高は加増され、朋江は会津藩の縁談を破談にして、清兵衛と再婚し、幸せに暮らしたという。
しかし、3年後清兵衛は、官軍との戦いで鉄砲に撃たれて死んでしまう。
朋江は清兵衛の娘2人を育て上げ、清兵衛の墓に一緒に埋葬されたとのことである。
 
感想など
1 当時の下級武士の生活が、克明に描かれている。たとえば内職。鳥かごを作り、売った代金の550文を受け取る。1文は30〜38円だから約2万円である。つつましい収入である。
年収87万円とは、袖の下や内職がないと生活は苦しそうだ。
 
2 前作の時代劇「隠し剣・鬼の爪」での主人公は、敵を倒してから武士を捨てて平民になった。そんな経緯から今回は、上意討ちを済ませたら、さっさと武士を捨てると思って見ていた。しかし、功績で加増され、朋江と幸せに暮らしたとのナレーションを聞く。ちょっと以外だったが、それもいいなという感じ。
 
3 この映画には主題歌があり、ラストで歌われた。
歌手は、井上陽水。題は「決められたリズム」とのこと。
 起こされたこと 着せられたこと
 凍てつく冬の白いシャツ
 せかされたこと つまづいたこと
 決められた 朝の長い道
多分、宮仕えのつらさを歌ったいるのだろうが、陽水の歌とのアンバランスのところが面白い。
 
4 果たし合いと上意討ちの二つの切りあい場面が見せ場だった。
果たし合いは、屋外での棒切れと大刀の勝負で、清兵衛が棒切れで相手の大刀を叩き落し、そこで勝負と思いきや、相手は刀を拾って切りかかる。身を飛び上がり棒で肩を打ち気絶させる。
上意討ちは、屋内戦で相手の大刀と清兵衛の小刀の勝負だった。相手の大刀が部屋の欄間に引っ掛った段階で、清兵衛の小刀が相手を倒すという立ち回りだった。
ただ、上意討ちは、立て篭もりの人との対決なので、無理せず兵糧攻めにすればよかったのではないかという屁理屈も言える。
 
5 この映画はなにを言いたいの。と見終わって考えたが、「下級武士が一世一代の上意討ちという下命を無事果たし、ひと時の幸せを掴み、時代に飲み込まれていった。」と思って納得する。
 
イメージ 1    イメージ 2
       清兵衛の身支度を手伝う朋江                    清兵衛の畑仕事イメージ 3   イメージ 4
         屋内での立ち回り                        清兵衛と朋江の再会イメージ 5  イメージ 6
         虫かご作りの内職                      家老から上意討ちの下命
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

閉じる コメント(8)

藤沢周平の原作はよく映画化されますが、山田洋次監督の作品が好きですね。僕もたそがれ清兵衛のような質素な生活をしています(笑)。

2011/11/5(土) 午後 6:31 てれてる 返信する

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てれてるさんへ
こんばんは。

暮らしはどうあれ、生きる姿勢が大事ですね。
「明日という今日とは違う日」があります。(笑)

2011/11/5(土) 午後 7:42 ギャラさん 返信する

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今までに見た山田監督作品の中では一番好きなものです。

宮澤りえが素晴らしかった…
上意討ちという下命を果たし終えて戻った清兵衛を家で迎える朋江、
手を握り合って無事を喜びあう二人の姿…
その“love scene”の美しかったこと!
その時までに見た最高のシーンだと思いました。

ギャラさんがこの映画から感じられたものとは、かなりかけ離れた感想かもしれません…

2011/11/6(日) 午前 9:23 alf's mom 返信する

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alf.momさんへ
コメントありがとうございます。

朋江さんは愛情豊かな人ですが、清兵衛が生活維持に自信がなかったので、引けていたように思えました。
下命遂行で、生活にも自信がもてたので一緒に暮らす決意をしたように感じました。
本質的には、私の感想もalf.momさんと同じ[lave scene]を感じています。。

2011/11/6(日) 午後 7:24 ギャラさん 返信する

こんにちは♪
なるほど、実際には無理な上意討ちなどはしなかったかも知れませんね。
しかし、下級武士への無理難題は「壬生義士伝」でも描かれており、
やはりとてもやり切れないお勤めを強いられていたのかな?と想像します。
本作の清兵衛は短くとも幸せな結婚生活を最後に送ったという話が救いでした。
TBさせてください♪

2017/5/1(月) 午後 5:29 風森湛 返信する

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> 風森湛さん、コメント&TBありがとう。♪
仇討と上意討ちという稀有な経験を積んだからこその晩年の幸福感が輝きますね。現代は封建社会でありませんが、宮仕えには悲哀はつきもののような感じがします。

2017/5/2(火) 午前 6:59 ギャラさん 返信する

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役所勤めの下級武士の私生活が丁寧に描かれていましたね

果し合いの前に、宮沢りえちゃんに告るシーンと
果し合いが終わった後、りえちゃんが待っていたところには素直に感動しました

トラバお願いします♪

2017/6/16(金) 午後 2:03 ベベ 返信する

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> ベベさん、コメント&TBありがとう。♪
過酷な仕事をやり遂げ、好きな女性と結ばれたが、やはり3年後は官軍に殺される。人生の悲哀と喜びは、時代を越えて繰り返していますね。人の一生を考えさせられました。(笑)

2017/6/19(月) 午前 7:17 ギャラさん 返信する

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