土佐(ドサ)日記

理科系爺が何の因果か假名遣ひとか憲法とか……

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野嵜氏は彼の「似非科学批判としての歴史的假名遣ひ」といふ記事を巡っての「議論」を支え切れなくなったと思ったのか、それを「コメント不可」にして(コメントを消去して、新たなコメントを付けられなくし)、議論を自ら拒否してしまった。でも、さすがに「勝利宣言」まではしてないだらう(そこまで厚顔ではないだらう)と思つてゐた。

しかし、また今回ゲストブックで「蒸し返し」議論を始めたところ、ゲストブック全体を消してしまひ、今度は、ぬけぬけと「勝利宣言」をされたやうだ。(これから察するに、前回も「勝利宣言」をやつたに違ひない。これでは野嵜氏に「無邪気な」爺と言はれても仕方がないか。)

その勝利宣言において、野嵜氏の曰く


詰り私の勝ちですね。何時も佐藤さんには應援していただいて、感謝してゐます。

私の言つてゐる事は、「表現」を表面的に見る人々が揚げ足取りをするだけで、趣旨としては正しい。何時もさうです。

・大日本帝國憲法は正しく定められた憲法だが「日本国憲法」は正しく定められたのではない憲法。
・歴史的假名遣は科學的に定められたものだが「現代仮名遣」は非科學的で政治的に定められただけのもの。

Kirokuroも「公約=結局」も、私の言つてゐる理窟を論理的に否定した事はありません。ただ「珍語録」に保存して、「野嵜がをかしな事を言つた『と云ふ事』にしてしまふ」だけです。

Kirokuroも「結局」こと「義」も、左翼であり、政治主義者であるからこそ、私の言つてゐる事をイデオロギー的に認める事が出來ない。だから私を政治的に抹殺しようとする訣です。

(引用終り)

成程、勝ち負けを意識して、というか勝つ事を目指していたのか(それにしてはお粗末な……。)で、佐藤氏に支持してもらつただけで、いきなり勝利宣言では、何だか、開票はおろか投票する前の「勝利宣言」みたいだ。でも、さすがに内心は疚しいと見える。だからこその議論の打ち切りであり、それ以降の全ての記事のコメント禁止、なんだらう。

いつものやうにたつたこれだけの文章の中に突込みどころ満載の体であるが、ここでは次の箇所だけに集中する。

・歴史的假名遣は科學的に定められたものだが「現代仮名遣」は非科學的で政治的に定められただけのもの。


爺の以前からの基本的な態度は「科学なんて言葉をここで持ち出すな」であるが、あえてこの稚拙な議論にコメントするなら

比較のやり方といふか対象がちぐはぐ。教科書や役所の文書が従うべき規範となったといふ意味では、両者はいずれも「政治的」に定められたと云ふべきである。従って「政治的に定められたものに過ぎないから非科学的」という議論(その当否は措くとして)が現代假名遣いに適用されるなら、同様に歴史的假名遣ひにも適用されるべきである。(歴史的假名遣ひの方は、公開された「審議会」での議論が有ったとも思へない。云はば政治的かつ非民主主義的に定められたのである。)

しかし、そもそも歴史的假名遣ひは「定め」られたのか。当時も今も「明文化された規範」にはなってゐない思ふ。まさか、「決められてないから科学的」である訣ではなからう。むしろ、明確な議論の対象たり得ない、という観点からは「非科学的」と云ふべきである。

科学的・実証的かどうかを検証・比較するのなら、(規範の定まり方ではなく)それぞれの規範が基いている、原則・知識体系・仮説を比較するべきである。

「語に沿いて」が、歴史的假名遣ひの「原則」であり、それはつまるところ、假名が成立した頃の音韻に沿つた仮名遣いを正則としたとも云へる。

「表音主義」が現代假名遣いの原則であるが、これは云ふまでもなく「現代語」の発音に基く、と云ふ事である。

こう捉へるならば、いづれも「或る時代の音韻(発音)に基く」事を原則にしてゐるとも言へる。この観点からすると、歴史的假名遣ひが基くと云ふ実証的学問とは、過去の音韻を推定するという事に他ならない。これは優れて実証的な学問の課題であり得るだらう。そして、現代仮名遣いにはその必要が無いだけの事。

現代假名遣いは原則に忠実でない、との批判があり、野嵜氏はそれをも「非科学的」と称してゐるやうだが、それを云ふなら、歴史的假名遣ひも苦しいところはいくらでもあるし、そもそも未だに定まっていないものも多い。

「假名遣ひは科学的であるべき」がそもそも野嵜氏の思ひ込みに過ぎない。假名遣ひのやうな「規範」が「科学的」でなければならない理由はない。むしろ、「整合性を持つ(無矛盾である)」「学び易い」「適応性が有る」等の方が重要であらう。

で、「歴史的假名遣ひは科学的である」の方であるが、私はそれにも同意できない。

まず、規範そのものは科学的仮説では有り得ない。が、これは一歩譲って、歴史的假名遣ひが科学的仮説に基いていると解釈しなほす事にする。さうしても……

まずそれ(規範)が明確・明晰に表現されていない事が問題である。これでは科学はおろか「実証的な学問」の対象ですら有り得ない。野嵜氏は事もなげに、「字音假名遣ひは重要ではない(から議論の対象ではない)」などと云ふが、野嵜氏が自由にその構成要素の採否を決められるやうな「きまり」を、そもそも明晰に議論できる訳がない。

その上、野嵜氏がやっと挙げた仮説の例は、とても「科学的」であると言ヘない。まず「動詞の活用」の方はあまりに一般的かつ漠然としすぎていて、どういふ意味でも「反証可能性」が無い(つまりは反論さえできない)。「『さふらふ』か『さうらふ』か」の方は(検証方法に疑問は残るが)反証可能ではあるだらうが、それは「素朴反証可能性」と呼ばれるものである。つまり、「{緑|黄色|青|赤}の白鳥は居ない」等といふ仮説をいくら積み上げても、「科学的仮説」とは言へない、といふ事。

要は、野嵜氏の

・歴史的假名遣は科學的に定められたものだが「現代仮名遣」は非科學的で政治的に定められただけのもの。

といふ主張は、論理的でないし、事実の認識としても間違ってゐる。

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一つでも假説の形で示せれば良いのであり、「一般的かつ漠然としすぎ」と云ふのは爺氏個人の感想でしかありません。何であれ假説の形で示せればそれは科學的であり、反證可能であるか何うかを爺氏は言ふべきでした。一般的とか漠然とし過ぎとか言つてゐますが、「Xと言ふ語はY活用の動詞である」と云ふ假説は、文獻資料を基に主張される筈のものであり、當然反證可能です。また、「Y活用の動詞の變化は具體的にAである」と云ふ假説も、文獻資料を基に云々。もちろん、自然科學の假説と違つて、實驗可能とは言へませんが、だから人文科學の假説である訣です。

2009/9/22(火) 午前 0:00 [ nozakitakehide ]

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>つまり、「{緑|黄色|青|赤}の白鳥は居ない」等といふ仮説をいくら積み上げても、「科学的仮説」とは言へない、といふ事。

橋本博士は斯う疑問を呈してゐます。
「漢字で「候」と書くソーローといふ語は、現今の正しい假名遣では「さふらふ」と書く事になつてゐるが、それは果して根據のあるものかどうか。」

「さふらふと云ふ書き方は、根據がある」と云ふ假説を、橋本博士は檢討してゐる訣です。でもつてその假説の根據を幾つか見て、それらが根據として不十分である事を言つてゐる。

そして、「さむらふ」が音便で「さうらふ」に轉じたとする宣長の説を博士は示してゐます。
>かやうにして、ソーローを「さふらふ」と書くべきであるといふ有力な根據はまだ見出されてをらず、却つて、「さうらふ」と書くべしとする説がある事が明かになつたのである。

2009/9/22(火) 午前 0:14 [ nozakitakehide ]

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博士は、「さうらふと云ふ書き方にも、根據がある」と言つてゐるのであり、その根據の方が確からしいと主張してゐますが、斷定はしてゐません。

2009/9/22(火) 午前 0:33 [ nozakitakehide ]

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歴史學でもさうですが、人文科學の論證の仕方は一般に斯うしたものであり、或程度推論が入り込みますが、それらは一往檢證可能でなければなりません。
さうした推論が妥當なものと認められた上で、しかしそれでも決定的な結論でなくあり得べき假説として、結論が引出される――それが人文科學の一般的な方法です。

けれども、それだけで「人文科學は科學でない」等と斷定的に言はれる事はありません。もちろん、人文科學を科學と區別して人文學と言ふ人もゐますが、しかし、さうした人が主流である訣ではなく、逆に人文科學を科學と認める人が多數存在します。だからこそ人文科學と云ふ言ひ方は「ある」と訣です。

爺氏は、自分は「人文科學否定派」の立場をとる、と言ふのでせうが、さうした立場から異る立場を一方的に否定する議論の仕方をするのは如何なものかと思はれます。異る價値觀だから、と云ふだけの理由で爺氏は敵を非難し、敵の主張を全否定しますが、それは感情論を「哲學」の類でもつともらしく見せかけてゐるだけでしかありません。

2009/9/22(火) 午前 0:42 [ nozakitakehide ]

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