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残された家族は、悲しみもつかの間、ある決意をしました。
剣術士が亡くなった翌日から、妻は幼い息子に剣術を叩き込みました。 妻は、左足が不自由でしたが、夫に恥じない名だたる女剣術士。 年端も行かない幼い男の子には、一切の手抜きは無く来る日も、来る日も… くたくたになっても、朝から日が暮れるまで、息子に手加減なく剣術の稽古をつけました。 そして何年もの歳月が経ちました。 息子は、剣術を会得して、立派な青年へと成長しました。 ある日、女剣術士の家に長老がやって来ました。 長老は、再び魔獣が森に現れた事を告げに来たのです。 息子の決意は、すでに固まっていました。 亡き父の、仇を討つために… 長老「お前にこの剣を授ける」 息子は、2本の東洋刀を受け取りました。 1本は鈍い輝きを放つ、鋭い刃の付いた鉄刀。 もう1本は黄金に輝く、イモムシさえ斬れないなまくら刀。 長老「黄金の刀は、いつかお前を助けてくれるだろう」 半信半疑ながら、長老の言葉に耳を傾けました。 村の長老は、いつかの黄金の盃を手にしていました。 長老「これを飲みなさい、守護霊の加護を受けるために」 この盃こそが、この村に伝わるオルニエの秘術を授ける儀式でした。 盃の液体は、もの凄くマズかったが一気に飲み干しました。 息子「オエーッ!」 しかし何も…全く何も変わらなかった。 息子は女剣術士の母親から、茶色のマントを受けとると、背中に2本の東洋刀を背負い、森へと向かいました。 息子「待っていろ、魔獣!」 続く |
短編 「オルニエの翼」
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とある国に、名の知れぬ小さな村があった。
村の近くには、鬱蒼と繁った森があり… この森に出掛けた村人が、時折行方不明になっていました。 村人「きっと魔獣のせいだ!」 村人「森の外れで黒くて大きな怪物を見た」 いつしか、この森には魔獣と呼ばれる怪物が現れると、不穏な噂が立ち始めました。 村人達は、長老に相談に行きました。 村の長老は、悩んだすえに村一番の剣術士に魔獣退治を頼みました。 剣術士は、この村に流れ着いた戦闘種族の生き残りでした。 数日が経ちました。 なかなか帰って来ない剣術士を探すために狩人たちが森に入りました。 剣術士は、重症を負って森で倒れていました。 狩人たちは剣術士を彼の家に運び込みました。 剣術士には、妻と幼い男の子がいました。 妻「あんた、しっかり…」 男の子「と、父ちゃん…」 誰が見ても、剣術士は助かりそうにありません。 村の長老「これを飲みなさい、お前の魂は救われるだろう」 長老は黄金の盃を差し出しました。 剣術士「息子を…息子を頼んだぞ…」 剣術士は、盃の液体を飲み干すと静かに息を引き取りました。 村の長老「彼の魂は、これから守護霊となり家族を守ってくれるだろう」 息子「うわ〜ん、父ちゃん!起きてよ!」 息子の呼び掛けにも、剣術士は何も答えてくれませんでした。 続く |
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