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これをミステリーに分類しようか迷いましたが、とりあえずミステリーとしておきます。
この本には、「肌色の月」「予言」「母子像」の3作が収められています。
「肌色の月」に関しては、非常に残念な話ですが、十蘭がこれを完結する前に
癌で亡くなったため、最終章のみ十蘭の奥様である幸子夫人によって
書かれているため、それまでの実に平凡な書き方(語り方?)をしているようでいて
なんとも爽快な文章が一気に興ざめしてしまいますし、ストーリーと言うより
粗筋に近い運びとなってしまうため、作品の面白さを半減させてしまっています。
しかし、それを幸子夫人のせいにするのは、あまりにも酷でしょうね。
それだけ、十蘭の筆がすばらしかったと言うことの証明だと考えたいです。
この本も随分久しぶりに読み直した訳ですが、改めて読んでみると
やはり驚かされます。
まず、十蘭は昭和32年になくなっていますが、この小説の新しさはどうしたことでしょう。
すでに50年が経過しようとひているにもかかわらず、全くそのギャップを感じさせません。
勿論、そこかしこに出てくるミステリーとしての小道具や生活の様式は、
現代とは当然異なるのですが、それぞれの物語の持つ味わいには何の違和感もありません。
久作や乱歩などを読んでいても感じることですが、先駆者であった人達と言うのは、
何時まで経っても新しいものなのかもしれませんね。
それと文章に本当に無駄がない。確かに内容的には若干矛盾したりする部分も
無い訳ではないのですが、1字1字吟味された面白さとでも言うのでしょうか、
単なる日常会話さえも贅肉が無い感じがします。だからこそ、文章が非常に流れるし、
リズム感がいい。(怒られるかもしれませんが、虫太郎とは大違いですね)
文体も時代も内容も異なりますが、漱石のト書きの文を思わせます。
また、十蘭をきちんと読み直してみたくなりました。この他には、「魔都」ぐらいしか
読んだことはないのですが、折を見て他の作品も捜してみようという気になりました。
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ミステリにはまったく疎い私ですが、無駄のない流れるような文章は読んでみたいです。やはり先駆者が書いたものは、どんな分野でもいつまでも新鮮で驚きがあるのでしょうか。
2006/6/30(金) 午後 10:38
「魔都」しか読んだ事はないのですが、独特な文体ですね。迷路のようでもあり、伝法な語り口もあり、魅力的な作品でした。ちょっとカフェ「白猫」が出てくるのも嬉しいですね(笑)
2006/7/1(土) 午後 4:31
mepochzoさん、正直にこれはミステリーではないかもしれません。通常は、ミステリー作家に分類される方ですが、文学として読んでもいい作品だと思いますよ。特にこの本では、「母子像」をお勧めしたいですね。
2006/7/1(土) 午後 11:05 [ gak*1*66* ]
しろねこさん、この方を読んだことある方ほとんどあったことありませんから、それだけでもすごいですよ。まあ、本楽家協会にはまだまだいらっしゃると思いますけど・・・(と言うことは、やはり変人の集まりか?)
2006/7/1(土) 午後 11:10 [ gak*1*66* ]
あははは、確かに本楽家協会は会長始めグラサンの副会長など変った方ばかりですからねえ。私も見た目は普通のおばさんですよ〜^^;
2006/7/3(月) 午前 0:27
しろねこさん、だって私が大学生の時(20数年も前です)でさえ、クラスメイトで彼を知っているものはいませんでしたし、それ以降も知っている方に会ったこと、数回しかなかったんですよ。
2006/7/3(月) 午前 8:11 [ gak*1*66* ]