時事随想抄

国家と国民のための政治を考える

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 今日も、古代・中世史研究家の倉西裕子が記事を書かせていただきます。イエズス会がテンプル騎士団を乗っ取り、宗教活動のみならず金融事業(国際的財務管理システム)をも含む国際ネットワークを掌握することができた背景には、ポルトガルの存在があります。
 
テンプル騎士団は、1314年に解散されますが、イベリア半島では「キリスト騎士団」などとして存続し、特に、ポルトガルでは、エンリケ航海王子に始まるアジア進出の先兵として、テンプル騎士団は大いに利用されたと推測することができます。モザンビークから長崎に広がる「ポルトガル海上帝国」には、テンプル騎士団の国際ネットワークが構築されており、いわば、ポルトガルと一体となって、その活動を展開していたのです。こうした歴史に鑑みますと、イエズス会によってテンプル騎士団が乗っ取られた、もしくは、取って代わられた背景には、ポルトガル政府の意向があったのではないか、と推測することができます。では、なぜ、ポルトガルは、テンプル騎士団を撤退させ、替ってイエズス会を支援したのでしょうか。
 
テンプル騎士団とイエズス会は、「イエルサレムへの巡礼」を重視する軍隊組織的な性格を有するという特徴がありますが、両者には以下のような大きな違いがあります。
 
1)テンプル騎士団は、その発足にあたって、ベネディクト派の改革シトー会Cîteaux Abbeyの創立者で当時の欧州キリスト教界で強い影響力を持っていたクレルヴォーのベルナルドゥスBernard of Clairvaux, O.Cist (1090 – 20 August 1153)の支援を受けており、会憲はベルナルドゥス自身が執筆している。つまり、テンプル騎士団は、ベネディクト派の観想修道会である。一方、イエズス会は、善意の施しによって生活する托鉢修道会である。テンプル騎士団は自力主義、イエズス会は他力主義と言える。
2)Wikipedia(日本語版)によると、ベネディクト派は、中世ヨーロッパにおいて、伝道・神学・歴史記録・自然研究・芸術・建築・土木のそれぞれにおいて大きな役割を果たし、その本山であるモンテ・カッシーノ修道院には古代以来、脈々と書きつがれてきた数多くの貴重な写本(キケロやセネカなどの書物も含む)や資料、芸術品が残されている。知性や理性を重んじるのがベネディクト派である。一方、イエズス会は、フランシスコ派の影響が強い。フランシスコ派は、「フランチェスコは貧しさを礼賛することにかけては徹底しており、物質的な豊かさのみならず、精神的ないし知的な豊かささえも認めなかった」アッシジのフランチェスコを始祖とする会派であり、反知性・反理性主義である。テンプル騎士団は知性・理性派、イエズス会は反知性・反理性派ということになる。
 
3)テンプル騎士団は、12世紀初頭、十字軍運動の始まりにおいて創設され、その創始者はフランス人騎士である。一方、イエズス会は、15世紀末、十字軍運動の終わった後に創設されており、その創始者は、表面的にキリスト教に改宗していたセファルディ系ユダヤ人である。このことは、テンプル騎士団は親キリスト教、イエズス会は親ユダヤ教、親イスラム教である可能性を示唆している。
 
4)テンプル騎士団は聖母マリアを信仰し、イエズス会は密かに黒マリアを信仰している。
 
このような違いがあり、テンプル騎士団の知性・理性重視の姿勢と自力主義は、テンプル騎士団系の修道院においては、そのメンバーによって農園・ぶどう園が経営され、様々な技術開発やイノベーションを成し遂げた理由でもあります。また、キリスト教精神から、テンプル騎士団の金融事業(国際的財務管理システム)は、為替に留まったとも推測されます。この点こそが、ポルトガルが、モザンビークから長崎に広がる「ポルトガル海上帝国」における搾取型支配には、テンプル騎士団よりもイエズス会が適していると考えた理由であるかもしれません。すなわち、イエズス会の他力主義は変じて搾取主義と富の蓄積へと繋がり、莫大な財産を元手とした‘高利貸し’において、イエズス会とユダヤ人ネットワークとの親和性が認められるのです。


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(続く)

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