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君の故郷2

僕は君の両親に友達として紹介された
君の両親は教職員らしい規則正しさで
僕を困惑させた

四人で夕食を早々に済ませると
僕は風呂を借りて
君の父の浴衣を着た
少々大きすぎたが 気にもならなかった

君の浴衣姿は何とも艶やかで
素直に賞賛できた

夜 二人で蛍狩りに出かけた
田んぼのあぜ道を進むと
草むらや稲の苗木の先に
点々と灯された蛍の光に
僕は子供のように はしゃいでみせた

都会育ちの僕には
童話の世界に入り込んだような
幻想的な風景が
眼の前に広がっていた

蛍をうちわの上にそっとのせると
しばらく止まっていたが
やがて 飛び去って行った

遠くで花火の音がする
田園風景のはるか先に立ち上る花火
都会の花火とは全く違う
単発的な打ち上げ花火を
君と眺めていた

楽しい嬉しい この夜のひと時が
生涯忘れることのできない
僕の思い出となっていった

次の朝 井戸端で井戸水を汲み
顔を洗い 歯を磨いた
山々に囲まれた君の故郷が眼に映る
しばしたたずみ遠景の雲を眺めていた

「食事の支度が出来たわよ!」
君の声に促され
タオルを片手に家の中に入る

朝食を済ませると
列車の時刻を君にみてもらった

やがて 君の両親にあいさつをして
君の家を後にした

駅のホームでベンチに座ると
間もなく 列車がゆるやかに入ってきた
列車に乗り 座席に着き 窓を開けて
君の手を取った

「夏休みが終わったら また戻るからね!」と君
「分かった バイトがんばるよ!」と僕

穏やかな優しい君を育てた故郷

窓の外 手を振りながら
少しもホームから離れようとしない君を
僕は いつまでも いつまでも
見つめていた



思い出づくり

私は公立高校へ進学すべく
日々勉強に没頭していた
あなたは私立の一流高校をめざし
日々勉学に励んでいた

私は余裕で最大限の力を発揮
見事に合格の切符を手に入れた
あなたは自分のことのように喜んでくれた

友達の優真(ゆうま)と一緒に受験したあなたは
優真と共に桜の花を落とした
結果として私たち三人は同じ公立高校に進むこととなった

あなたと過ごせる三年間は
喜んでいいのか悲しんでいいのか
複雑な心を抱えたまま
春 公立高校の校門を共にくぐった

五月の風が吹き抜ける頃
私は新しくできた友達と
楽しんでいた

中間テストの前
私は優真に呼び出された

校庭の隅の鉄棒の前に行くと
桜の木にもたれながら優真は待っていた
「よう!!」
「何か用?」
優真の漏らした言葉は私を驚かせた

[翔平はおまえと離れたくなくて
  わざと私立を落ちたんだ!!
    そこを分かってやれ!!
 あいつの力を持ってすれば私立は楽に合格できたはずだ!!
 上がって頭が真っ白になったと言うのは嘘だ!!」

私の方が頭が真っ白になった
言葉がなかった
何と優真に言葉を返すべきか
言葉を失っていた

優真はさらに続けた
「翔平のことが好きならば
  高校三年間をもっと思い出深い
   楽しいものにしてやれ!
    でないとあいつがかわいそうだ!」

私は今の今までそんなに深く考えてもいなかった
ただの仲のいい友達ぐらいにしか
考えていなかった
翔平とは入学以来疎遠になっていた
決して嫌いではないが……

思わず涙が溢れてきた
拭くのをためらって下を向くと
砂地にぽたぽたと涙がおちて沁みた

優真は私の肩を軽く叩くと
「無理はしなくていい
  ただ 少しでもあいつのことを考えてくれるなら
   いつも笑顔で付き合ってやってほしい、頼む!!」

私はさらに涙がしたたり落ちていった
翔平ごめんね!!
何も気が付かずに……
私の心の中に後悔の念が深く広がっていった
まだ時間はある

それからと言うもの 私は
あなたが振り返ると
いつもあなたの前に立つことを決めた
あなたの手の届く位置に
わたしの身を寄り添えた

その後の三年間は 何よりも楽しい三年間であった
悔いの無い思い出いっぱいの三年間となった

卒業の記念に私を真ん中にして優真と翔平と三人で
卒業アルバムと卒業証書を手に
笑いながら写した卒業写真
最高の思い出となった

優真君ありがとう
翔平の気持ちを知らなかったら
きっときっと大きな後悔となった
そして 翔平を傷つけた

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桜の花びらが開き始める 
三月
あなたが父の会社後を継ぎ
結婚したと
風の便りに聞いた
春風が私の涙をやさしくさするように過ぎていった


いたずら

私は詩の仲間と一緒に公園の芝生の上で
ピクニックとしゃれこんでいる
詩論と言うより雑談の花盛りといったところ
いつものことでもある

私は詩よりは食い気の方が勝っている
飲んだり食べたりと一段落すると
みなそれぞれ寝たり 談笑したり
一部はバレーボールに興じている

私はあなたの近くで
のんびりとくつろいでいる
あなたはしっかりと寝ている

私はあなたに近づくと
少々重いあなたの頭を両手で抱え
そっと持ち上げると膝の上にのせた

友達の加奈と彼氏が
いぶかしげな顔をして
私たちを見ている

どのくらいの時間が経ったであろう
膝が痛くなってきた
私はあなたの頭をそっと下ろそうとして
両手で抱えたが ふとしたことで手を滑らせた

あなたの頭がゴツン下に落ちた

「いて!!」
あなたは驚いたように目を開けた
「いたいなあー、何かあったか??」
「あったよ!あなたが私の知らない女の人の名前を言ったのよ!」
「本当か?」
「嘘よ!」

次の瞬間 
あなたは私の頭を両手で挟むと
いきなり頭突きを一発ガツンと
「いた!!!いたいようー!何をするの?」

か弱き乙女に対して何たる不届き
手加減をすべきだと思ったものの
あなたは怒って立ち上がると
さっさとバレーボールの方へ行ってしまった
私ひとりを置き去りにして

それにしても痛い
頭をさすっていると
友達の加奈と彼氏が笑っていた
ひとしきり笑いこけると
「どう見てもあんたが悪い、謝っておきな!」
と諭される

「わかった!わかった!」
繰り返すと
私は飲み残しのジュースを飲み干すと
バレーボールの仲間に入る

謝ろうとすると
あなたはいきなり私にボールを回した
トスで返しながら
「ごめん!」と謝った
「何が?」とあなた

その後も何度となく
私に易しいボールを回してくれた
私はその度に高く高くトスを上げた
最高点に達したとき
バレーボールがケタケタと笑って見せた

あなたは怒っても
忘れるのも早い
そんなあなたを愛した私
青空の雲がよりいっそう高く感じる

永遠

花嫁は 桜並木の下を
ウエディングドレスをまとい
歩いてる

春風と共に
桜の花びらがひとひら
花嫁の上に舞い降りた

花婿が取り去ろうとする
「待って
  そのままにしておいて!!」

桜の花びらは いま
思い出のアルバムの中で
静かに眠っている

永遠という言葉を知っているかのように……
 

遠い思い出

君との交換ノートに書き添えておいた
僕の書いた詩「遠い思い出」
数日後 君から一枚の楽譜を渡された
僕の詩にかわいらしいおたまじゃくしがのせられている
「君が作曲したの?」
「まあね!!」

僕たちの今のこの交際が いつの日か
遠い思い出になるのかと思い
ふと書き留めて置いた詩
君には 無造作に書き留めた
こころの戯れなどと 言い出せなかった
「ありがとう!!」の言葉だけで精一杯であった

「放課後4時、もう一度この譜面を持ってここに来て?」
顔を上げると
君は階段をスタスタと降りて行ってしまった

約束通り 4時に行く
音楽室に向かい
ドアの前にくると 君は僕の腕を取り
ドアの影に僕をそっと隠した
ドアの窓越しに音楽室の中を覗く君
誰もいないことを確かめると
僕たちはこっそり中に入った

君はピアノの前に座り
僕から譜面を取り上げると
電子ピアノの音量を下げた
僕は君の後ろに黙って立っていた

やがて 君は小さな声で歌い始めた
君の声に浸りながら 僕は
君の後ろ髪に隠れた襟足と
鮮やかな白線に縁取られたセーラー服の襟と
黒鍵に導かれた白い鍵盤を
僕は君の後ろから
ずっとずっと見つめていた

窓ガラス伝い流れていく君の歌声
懐かしい遠い故郷に誘われるような
安堵と憧憬に満たされた
思い出の旅立ち
僕は 時の流れを完全に見失っていた

どのくらいの時間が失われていただろう

「どうだった?」
君の声に「うん!」とだけ答えると
君の左の肩に手をのせた
僕たちは 顔を見合わせて笑っていた

夕陽がガラス越しに忍び入る
腰を屈めるようにして
僕たちは 音楽室を出た
階段を駆け下りて 靴を履くと
校門に出る
別れ際に
「またいつか歌ってよ?」

あれから 長い長い歳月が
風のように流れていった

君と僕とが作った歌
たった一度しか歌われなかった歌
遠い思い出となったまま
僕の本棚の片隅に
日記と共に今も静かに眠っている

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ともしび
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