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Dire Straits Lady Writer
いったいどれくらいの時間が過ぎただろう。日はとっくに暮れはじめている
ふたりは外に出た
「今日、帰るの?」
裕子が聞いてきた。出たばかりの店の中からLady Writerが聴こえる
「うん、明日は仕事だし、今日は無理言って休んできたから帰らなきゃ」
「そか。。。もう会うこともないね」
「これが最後になるってことか。。。」
また重苦しい空気が流れる
裕子の病気は深刻だった。後遺症があるのか脚も不自由
直樹は彼女に合わせゆっくり歩いた。切なくなる気持ちを抑えようとするのがせいいっぱいだった
涙が溢れそうになる夕方
入院したら親族以外は会えない
彼女が結婚していたことはこの時初めて知った
もう会えない。。。
考えたくもないが死に立ち会えない。当たり前のこととは言え、覚悟を決めるきっかけになった
もう会わない
最後にしよう
「さようなら裕子」
直樹は心の中で呟いた
「私、帰りたくない」
「。。。」
「行きたい場所があるの」
「行きたい場所?」
「うん」
裕子はタクシーを止めた。。。
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