パンダイアリー

2019年も読書感想文メインです。たぶん。

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家の近くに商店街がある。繰り返し利用する店は、レストランと肉屋とクリーニング屋の3件だけ。それ以外の八百屋、魚屋、文房具屋、焼肉屋、焼き鳥屋、ふとん屋、靴屋、惣菜屋、居酒屋、蕎麦屋、宅配寿司屋もろもろはリピートしてないか、利用したことすらない。

通りが違うところに商店街らしきものがもう一つある。こちらはシャッター街になりつつある。蕎麦屋と不動産屋とパナソニックの電器店と八百屋の4件だけが営業している。1年位前に小僧寿しは撤退した。

私にとっての商店街の最大の利点は近いということ。ちょっと足を伸ばすとコンビニや大型スーパーや食事ができるところはそれなりにある。電車を使えば、池袋や新宿まですぐに行ける。インターネットを使えば、簡単に安くて良いものが手に入る。

近さだけでは利用しない。レストランは店長が面白くて料理が美味しい。肉屋は唐揚げやコロッケを注文してから作ってくれる。クリーニング屋はプリペイドカードを買うと安くなるので、リピートしてしまう。

もともと生まれ育った土地ではないので商店街を再生させようという意欲はない。いち消費者としては、メリットがあるから利用するのであって、商店街という入れ物に何かメリットがあるということについてあまり実感が無い。

『商店街が衰退した理由として、よく言われる「大型店に客を奪われた」論は幻想です。真実は、商店街が観光地化に走るなど地域密着の努力を怠った結果「地元客はニーズに応えてくれる大型店を選んだ」のです。』

よくぞ言ってくれた感がある。近くの商店街の靴屋は骨董品屋になっている。焼き鳥屋と蕎麦屋は正直不味い。八百屋は高い。そしてどの店も日曜日は当然のように閉まっている。

一方のコンビニは、温かいおでんを提供し、たくさんの惣菜があり、生鮮野菜や肉類を用意し、電子マネーで購入できて、365日24時間営業だ。

これはあくまで都内の商店街の事例だけれど、コンビニや大型スーパーに価格や品質ではほぼ太刀打ち出来ないにもかかわらず、それでも潰れることなくそれなりに営業している。あくまで住民が多いから成り立っているのだと思う。

しかし、地方は住民が少なく、大型店に客を奪われると死活問題になる。観光客を呼び寄せたいとかそういう発想も生まれ、税収確保のために地方行政が補助金をつけたりする。大型店の進出は、あくまで金銭的外部性であって、行政の介入は正当化されないというのが経済学の基本的な考え方なのに、全く無視されている。

挙句の果てに、補助金漬けになり、商店主は自立しなくなり、依存し、商店街がさらに寂れてしまう。税金を投入して、商店街を潰しているようなものだ、という事例が本書では多数登場する。

『本書は(中略)商店街の位置づけを、一見の観光客を狙う「テーマパーク商店街」と、地元客のリピート需要を狙う「地域一番商店街」に大別して、後者を目指す再生策を考えています。テーマパーク商店街の形態を「レトロ商店街」「キャラクター商店街」「B級グルメ商店街」の3つに分類して、それぞれの事例を考察することから始まります。』

本書では「テーマパーク商店街」をこうして分類し分析している。そして、いかにも行政や地方議員が安易に考えつきそうなアイデアで見事に失敗した事例がたくさん陳列されている。

『B-1グランプリで勝てる料理の筆頭は「やきそば」です。やきそばは全7大会中、実に4回も優勝しています。(中略)その結果、B-1グランプリ2011年大会は出場者63地域のうち12地域(全体の19%)が、やきそば店になっています。』

地域が競い合うのは良いことだと思う。しかし、こういったグランプリがあると、勝つための戦略や方法論が明確になっていってしまう。B-1グランプリであれば、すぐに提供できるという利点のあるやきそばが強い。5分の1がやきそばになってしまうと、Y-1(やきそば)グランプリを別開催した方が良いくらいだ。

『商店街は「消費(買物)」機能という大型店やインターネット販売が得意な土俵で戦うことは避けて「交流」機能という自分に有利な新しい土俵をつくることが求められています。』

じゃあ、商店街はどないしたらいいかというと「交流」機能だというのが、著者の主張だ。

『サードプレイスは、第一の居場所「家」や、第二の居場所「職場、学校」とは違う居心地の良い第三の居場所のことです。(中略)サードプレイスの理念は、商店街再生にも有効です。具体的な施策としては、顧客が「ここは私のサードプレイス」と感じる場づくりを進めることです。』

サードプレイスとしての商店街。現代のお年寄りのサードプレイスの一つは病院だろう。20代の時に酷い風邪を引いて、近くの病院にふらふらになって行ったら、たくさんの元気そうなお年寄りが談笑していた。お友だちがきっとたくさん集まるのだろう。

思い返すと、学生の頃にバー(といってもスナックに近い)で働いていたことがあった。メニューもなく、安いわけでもなく、特別に凝ったものは提供していない。それでもそこそこ賑わっていたし、リピーターがそこそこいた。学生の頃には不思議だったけれど、お客さんにとってのサードプレイスになっていたんだ。

自分にとってのサードプレイスは、きっとバスケだろう。人のつながりは増えるし、運動した後には、その日のプレイについて話しあったりする。たまに仕事の話もするけれど、仕事上関わりのない人と話すのは、例え仕事の話であっても新鮮だ。

地元住民、特にお年寄りはサードプレイス(仕事をしてなければファーストもないのだろうけれど)を求めている。そんなに遠出はできないけれど、交流したいというニーズはあるというのはよく分かる。結局は病院がその役目を担っていたりするけれど、医療費がかさむし、本当の重病人への対応が遅れてしまうことだってあるだろう。

『本書が示す再生策は「販売者が売りたいモノ」から「顧客がしたいコト」に視点と発想を転換するものです。これは斬新な発想ではなく、ビジネスの基本に回帰するものです。』

ふむふむ。地元住民、しかもお年寄りを顧客と想定し、何がしたいかを考えて、それを提供する。確かにビジネスの基本だ。何のことはない。商店街はビジネスの基本を疎かにしているだけだ。補助金なんてもってのほかだ。

『シャッター商店街の本質は節税』

ということで行政がすることは、節税にならないように制度を変えることだ。シャッターを開けるインセンティブを与え、行動を変容させることだ。

商店街を再生させようという発想がそもそも間違っているのかもしれない。顧客のニーズに答えること、これが商店街の目的で、再生はその結果でしかないのだから。

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