パンダイアリー

2019年も読書感想文メインです。たぶん。

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風の中のマリア以来の百田尚樹さんのご本。本書は小説ではなく、ノンフィクションという位置づけ。

本書の主人公である「黄金のバンタム」を破った男とは、ファイティング原田(1943-)のこと。名前だけは聞いたことがある気がする。同い年生まれは、樹木希林、吉村作治、森本レオ、アントニオ猪木、大前研一、北大路欣也、加藤茶、周富徳、輪島功一、池乃めだか、関口宏、田村正和ほか。

うちの親よりもちょっと年上の世代。ということは、きっと親はリアルタイムでファイティング原田の試合を見ていたことだろう。ものすごい視聴率だったのだから。

『当時のチャンピオンは世界にわずか8人しかいなかった。つまり八つの階級に、それぞれ一人ずつ王者が君臨していたのだ。ちなみに現在は17階級、しかもチャンピオン認定団体も増えて、WBA、WBC、IBF、WBOの主要四団体がそれぞれチャンピオンを認めていて、その総数は70人ほどにもなる。』

チャンピオンの数が当時と今では全く違うという事実は、本書で何度も繰り返している。確かに私も不思議だった。日本人のチャンピオンって結構いるんだなと思ったけれど、総数70人となると、価値はどうしても薄まってしまうだろう。

ボクシングが好視聴率をとり、国民的に人気のスポーツだった時代は確かにあった。しかし、今では人気は凋落傾向にあるだろう。他にも面白いスポーツがたくさんあるからだ。結果、チャンピオン数の超過供給状態になっている。一度、創設されたボクシング団体はなかなか潰れない。長期的には人気(需要)とともに、減少するので、過渡期といえる。

本書では、ファイティング原田だけでなく、その時代のボクシングで活躍した多くの選手のことを取り上げている。原田以外にも多くの印象的な選手(日本人にかぎらず)がたくさん登場する。

日本で初めてチャンピオンになったのは、白井義男(1923-2003)だ。戦時下にデビューするが、戦争により、故障し、引退瀬戸際となる。そこで運命の出会いを果たす。それがコーチとなる「ドクター・カーン(カーン博士)」だ。

『青春を戦争に奪われた29歳の男が不屈の努力の末に世界一強い男を破ったのだ。』

カーン博士の支援と指導により、まさに奇跡が起きる。チャンピオンとなったのは、1952年。戦後の復興の象徴であり希望で、同時代の多くの日本人に勇気を与えた。

『まるで映画のような伝説だが、海老原の才能に惚れこんだ金平は、彼一人のためだけにすべての私財を投げうってボクシングジムを開いた。会長一人と練習生一人という日本一小さいジムで、金平と海老原は白井が失った「世界」を二人三脚で目指した。このジムが後に日本一のボクシングジムになる協栄ジムだ。』

海老原博幸(1940-1991)のこと。ファイティング原田と同時代で、フライ級三羽烏の一人。この決断の早さと思い切りの良さはスゴイね。そして、見事にフライ級のチャンピオンになる。

いよいよ、原田のこと。

『原田は東日本新人王戦に出場している。(中略)準決勝でちょっとしたドラマが起こる。何と同じ笹崎ジムの同胞であり親友の斎藤清作とあたることになったのだ。』

斎藤清作(1940-1985)とは、コメディアン「たこ八郎」のことだ。たこ八郎のことは名前は聞いたことがあったが、元ボクサーということは知らなかった。しかし、この準決勝は、実現しなかった。会長の笹崎の説得により斎藤は棄権したのだ。

原田は、1962年10月10日に、タイのキングピッチを倒し、世界フライ級王座を獲得する。そして、色々あってバンタム級に転向する。

さて、本書のタイトルにもなっている「黄金のバンタム」とは、エデル・ジョフレ(1936-)のこと。ブラジル出身の紳士的なボクサーだ。

1965年5月17日に、ジョフレの9度目の防衛戦の相手として元フライ級世界王者ファイティング原田が挑戦することになる。無敵のジョフレ。原田は下馬評では圧倒的不利だった。

リングでドラマが起きる。そのドラマを演じるのは、ボクサーだけでない。そのレフェリーも非常に面白い人だ。

『ロマンチストをいわれようが、私にはバーニー・ロスはボクシングの神様が原田のために遣わせたレフェリーとしか思えない。』

バーニー・ロス(1909-1967)の人生も相当面白い。3階級を制覇した元チャンピオンだ。ジョフレとの死闘を制し、チャンピオンとなる。

『フライ級とバンタム級の二階級を制覇したボクサーはファイティング原田ただ一人だ。』

ということで、ファイティング原田はめちゃくちゃ偉大なボクサーなのだ。しかし、敗れたジョフレもまた、というかさらに偉大とも言える。原田にリターン・マッチでも敗れて引退するが、後に復帰。37歳でフェザー級王座を奪取し、40歳まで現役を続ける。

『ジョフレの生涯戦績は78戦72勝(50KO)2敗4分け。足掛け19年に及ぶ彼の輝かしいリング生活で喫した敗北は、ファイティング原田に敗れた二つだけだった。』

すげぇ。ジョフレと原田の後日談も面白いので、本書をお読みになると良いでしょう。

『原田の戦い方は決してスマートなものではない。むしろ不器用で愚直でさえあった。打たれても打たれても怯むことなく、常に前へ前へ勇敢に向かっていく原田の姿は、私には、日本をもう一度世界に伍する素晴らしい国にしようと懸命に頑張っていた当時の日本人の姿とダブって見える。』

これは同時代に視た人は同じように感じていた率直な気持ちだろう。すっかり復興が終わっていた日本しか知らない私には実感しようがないが、ボクシングに熱狂する気持ちは分かる気がする。

原田はその後、フェザー級に転向するが、地元判定に泣き、3階級制覇とはならず引退する。

本書では、この感想文で紹介しきれていない日本人ボクサーがたくさん登場する。どの人も魅力的で、才能があり、チャンピオンになる可能性があった。しかし、当時は人種差別が横行しており、圧倒的に優勢でも判定で敗れたりする。あるいは挑戦すらさせてもらえない。ほんの少しの運やタイミングなどでチャンピオンになれない

その不条理さ、物悲しさ、切なさが、その当時の単なるスポーツではないボクシングに陰影を与えている

リングの上で殴り合うという野蛮な行為に国民が熱狂する。私は体験していないし、そういう時代はもう戻ってこないだろう。それでも本書を通じて、そういった熱を、汗を、血を感じることができた。

さて、今の日本はボクシングの新・黄金時代と呼ばれている。当時とは状況があまりに違うだろうが、多くの若い人がボクシングというスポーツに人生を捧げている。ボクシングの需要が高まることに期待したい。

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