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著者はフィル・ナイト(Phil Knight:1938-)。ナイキの創業者だ。本書は、カルピスをつくった男 三島海雲に続く、経営者関連本に位置づけられる、とも言える。 ナイトと同じ1938年生まれは、伊吹文明、大林宣彦、細川護熙、ジャイアント馬場、石ノ森章太郎、松本零士、鈴木史朗、中島誠之助、梅宮辰夫、島倉千代子、細木数子、三宅一生、アルベルト・フジモリ、野依良治、山城新伍といったメンバー。鬼籍に入った方も、未だご健在な方もいる。 タイトルのSHOE DOGとは、 とのこと。あいにく私はそこまで靴にこだわりはない。バッシュはアシックス社のゲルバーストを毎回買っているくらいか。私にとってナイキのバッシュはバスケ用としてはなぜかあまり合わないのだ。 本書で知ることができる重要なポイントの一つは、経営者たるフィル・ナイトは、はっきり言ってでたらめで、無茶苦茶だった、ということになる。若い頃に世界一周旅行をし、日本に立ち寄り、適当な社名で日本のオニツカ社と提携するが、その後、関係は悪化し、勝ち目の薄い裁判を奇跡的に勝ち、日商岩井を味方につけ、綱渡りな資金繰りを乗り越え、そうして今の巨大なスポーツメーカーへと成長していった。 経営それ自体はデタラメだったが、経営者としての「信念」が常にあった。 私は商売が突然軌道に乗った理由について考えてみた。(中略)シューズの販売はなぜそれらと違ったのだろうか。セールスではなかったからだ。私は走ることを信じていた。みんなが毎日数マイル走れば、世の中はもっと良くなると思っていたし、このシューズを履けば走りはもっと良くなると思っていた。(中略)信念だ。信念こそは揺るがない。(p.80)もともとランナーだったナイトは、走ることそれ自体を大事なことと捉えていた。今でこそランニングは、趣味として認知されているが、当時はランニングに多くの人は関心を払ってなかった。ナイトは新しい市場を作り出し、そしてランニングはブームとなったのだ。 ナイキの前身であるブルーリボン社が誕生したのは、1964年。靴市場は、寡占状態だった。 それが、プーマとアディダスだ。今でも大きな世界の二大靴会社であり、本書で初めて、プーマとアディダスの創業者がドイツ人の兄弟であることを知った。こういう兄弟とか親子といった血縁関係者が、経営でもめたりして、袂を分かつってのは今でもよくある話。餃子の王将と大阪王将とか、一澤帆布とか、大塚家具とか。いわゆるお家騒動。 ナイキ社は経営幹部もナイツ社長に負けず劣らずキャラの濃いメンバーが揃っていた。ワーカホリックな正社員第1号ジェフ・ジョンソン、巨躯の弁護士ロブ・ストラッサー、事故で半身不随となった元ランナーのボブ・ウッデル。 黒い九月事件、プリフォンテーンの死去など、つらい時期もあったが、それを乗り越えて、今のナイキが存在している。 権力を打破しようとする人たち、世の中を変えようと思う人たちに言っておきたいのは、背後で常に目を光らせている連中がいるということだ。成功するほど、その目も大きくなる。これは私の意見ではなく、自然界の法則だ。(p.543)ビジネスという生態系を生き抜くには、どうすれば良いか。成功と失敗は紙一重だ。しかし、挑戦しなければ、信念がなければ、成功はない。 こういう自伝を読むと、もっと破天荒なことをしておけば良かったかなと、人生を振り返る40歳の冴えなおじさん、今日このごろ。
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