げん氣の扉

幅広い人財啓育を行っているグループダイナミックス研究所(GDI)のオフィシャルブログです。

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「Y君は最近、どうもやる氣がないようです。家庭でもうまくいっていないようですし、課長の方針にも
納得していないみたいですよ」。
課長であるあなたと一緒に酒を飲んでいた部下のA君が、こんな話を始めました。確かに、Y君は、あなた
の目からみても、近ごろ何かふてくされているように思えます。さて、あなたはA君に何と返事をします
か?

,れも気になっているんだけど、なにか名案はないかね」と、逆に相談を持ちかけてみる。
¬曚辰栃垢流す。
「そんなことはないさ。Y君はそれなりによくやっているよ」と、言下に否定してみせる。

これは、あるメーカーの新任課長研修に使われたケーススタディーの一つです。その会社の人事部長に
よると、受講者のうち,旅堝阿鬚箸襪里約60%、△約30%、が約10%だそうです。

部課長ともなれば、部下たちからしばしば同僚や部下のうわさが持ち込まれます。そうしたうわさ話は
当を得たものが多く、的外れや中傷は少ないものです。そんなことを言うのは、たいてい有能な社員で
説得力があるため、つい相づちを打ってしまいがちですが、それでは部課長としては失格です。

相づちを打てば、「課長はY君をきらっている」といううわさが驚くべき速さで職場の中を駆けめぐる
はずだからです。当然Y君の耳にも入り、ますますやる氣をなくすことは間違いないでしょう。

それでは、黙って聞き流したらどうなるでしょうか。結果は前の場合とそれほど違わないはずです。
A君が同僚に話をするとき、「Y君は最近やる氣がないみたいだな。課長も困っていたみたいだよ」と
いった調子になるでしょう。黙っていれば、それに同意したと受け取るのがビジネスの世界での常だからです。

となると、ここはやはり積極的に否定するしか方法はありません。ただ難しいのは、誰の目にもやる氣が
ないと映っているのに、「いや、彼はよくやっているよ」といった場合でしょう。A君は「うちの課長は
人をみる目がない」と判断しかねません。

では、どうすればよいのでしょうか。答えは一つ、全然関係のないことでも、Y君を何かほめてあげる
ことです。「いやいや、Y君はなかなかの勉強家だよ」といった具合です。ただし、そのためには、
日頃から人にあまり気づかれていない部下の長所を、必ず見つけておかなければなりません。これは
容易なことではありません。人の欠点はよく目についても、長所はなかなか見つけにくいものだから
です。

どんな組織の中にも、不満分子はいるものと言われています。上司に対して反抗的で、組織の方針にも
何かと異を唱えるものだから、上司もこれらの「好ましくない言動」をする“問題”社員を敬遠し、
“良い”社員ばかりを頼りにしがちです。

その結果“問題”社員はますますクサって、やる氣のある他の社員までも自分のペースに引っ張り込もうとします。

二宮尊徳といえば、40歳以上の人には懐かしい勤勉と倹約のお手本でした。その彼が小田原藩主から桜町領(栃木県)復興の命を受け、各地の廃村の立て直しを手がけたとき、まず心を砕いたのがやる氣を失った不良農民のことでした。彼らは不作続きで意欲を失い、バクチや酒にふけってナラズ者の集団と化していたのです。

そこで尊徳は、これら農民のマイナスの精神的エネルギーをプラスのエネルギーに変えることができれ
ば、すべての問題が解決できると考えました。「不良農民は、たまたま持っていた潜在的エネルギーを、
ただ破壊的に使っているにすぎない」と考えたのです。突然、成田山に参拝して農民の前から姿を消した
りしたのも、そうしたマイナスをプラスに転化するカギをさぐりに行ったのではないかといわれていま
す。
 
この尊徳のグループダイナミックスの使い方が近年見直されていますが、「好ましくない言動」をする
“問題”社員を職場の戦力に変えるには、管理者はどんな点に気をつけたらよいでしょうか。

人間のすべての言動には何らかの目的・ねらいがある―これはアドラー心理学の基本的な考え方です。
つまり、親が「好ましくない」と思う子どもの言動には、次の四つの目的が隠されているので、親は
素早くそれを読み取って、適切な処置をとらなければなりません。

第一は「関心をひく」。子供は初め、自分は役に立つということを周囲の者に訴え、気をひこうとしま
す。が、これがうまくいかないと、今度は問題を起こして関心をひこうとするのです。

この段階が進むと、子供の言動はもっとエスカレートし、「主導権を握る」から「復讐する」ことが目的
になります。これでも心が満たされないと、子供は一転して無口、不活発になり、第四段階の「無能力さ
を見せつける」ことが目的になるのです。やる氣という観点からは、これが最も重症なのです。

職場で、何かと遠ざけていた“問題”社員でも、その言動の目的・ねらいがわかれば、やる氣を起こす
ヒントが得られるのではないでしょうか。
日本の電機業界のトップグループを走る日立製作所。独自の技術力とバイタリティーから、よく“野武士の集団”と評されます。その頂点に立ったことがある三田勝茂氏は、日立としては戦後に大学を出た初の社長でした。

当時、コンピューター大手3社の社長は富士通(山本卓真社長)、日本電気(関本忠弘社長)、日立と、いずれも50代のテクノクラートがそろいました。三田さんは7時に自宅を出て8時には会社に到着。5時半には退社、10時には就寝という規則正しさ。宴会は原則として出ないとのこと。

「やる氣を失ったことなんてないよ」と言い切るあたり、いかにも技術者らしい自信にあふれています。やる氣については、中学か高校の時に読んだ本の一節が忘れられないと言います。
「人間はだれでも平等に幸運の女神が近づいて握手を求めているのに、それに応じようとする人が何と少ないことか」。

幸運の女神は後ろ髪がないので、通り過ぎたら、つかむことができないというのです。
「リップ・ヴァン・ウィンクル」(ワシントン・アーヴィング作)の中の一節だったと三田さんは記憶していますが、それに関連した次のような体験を話してくれました。

日立工場で設計部長をしていた時のこと。自己申告制度で「新しい仕事に挑戦したいが、できたら1、2年海外に留学したい」と書いた部下が4人いました。そこへ本社から、海外留学の選考試験があるので受験者を推薦してくれという連絡が入ったのです。ただし試験は一度受けて落ちると、次はもう受けられないという制度でした。GE(ゼネラル・エレクトリック)の発祥地、アメリカのスケネクタディでパワーシステム・エンジニアリングの勉強をした経験のある三田さんは、早速、4人に受験を勧めました。

ところが4人とも、「今年は遠慮させていただきます」という返事でした。それから20年くらい経った後も、その4人は外国で仕事をしたり留学するチャンスがあったとは聞いていなかったそうです。幸運の女神の握手に応じなかったせいでしょうか。

三田さんのモットーは「有言実行」。何でも言い合い、言い出しっぺが実行に移す。ところが大方のサラリーマンの不満は、往々にして日頃の精進や努力の裏づけなしの“自信”から出ています。そのため、肝心のチャンスが巡って来た時には、間に合わなくなるのです。

たとえば、職場で何かのポジションが空いたときでも、「あいつでは無理だよ」ということになってしまいます。そこで三田さんは、言い出したら自分でやって結果を出す「有言実行」を説くというのです。
転職する人が成功するための条件は、二つあるといわれています。第一は、前の会社の退職理由を次の会社で正直に説明できること。そして第二は、やめた会社の批判や悪口を言わないことです。

長い間、生涯研修の仕事に携わっていると、転職したり脱サラした人と出会う機会も多くあります。そういう人たちをみていると、この法則がよく当たっていることがわかります。

以前、関東百貨店協会の会長に西武百貨店の坂倉芳明社長(当時)が就任したときの話です。坂倉氏といえば、かつて三越の常務で、岡田茂氏のライバルといわれながらも、社長のイスをめぐる競争では岡田氏に後れをとり、西武百貨店に転じた人です。その後、関東百貨店協会長のイスをめぐり“宿命のライバル”が争った、というわけです。

私は、坂倉社長について、流通業界に詳しい人たちから、何度か評判を聞いたことがありました。
「三越時代も、それから西武百貨店に移ったあとも、坂倉さんが、三越や岡田社長について批判や悪口を言っているのを聞いたことがない」というものでした。かつて流通業界の中で坂倉社長の評価が高かったのは、そんなところにあるように思えました。

では、なぜ前にいた会社の批判や悪口を言っている人は大成しないのでしょうか。
人の悪口を言うような人間は信頼されないから? たぶん、それもあるでしょう。しかし、もっと基本的には、ある職場で不平・不満を持ち、ぐちを言う人は、次の職場でも同じことを繰り返すためです。

どんな会社、どんな職場にも、探そうと思えばいくらでも欠点はあります。完全な人間がいないのと同じで、完全な会社や職場はないともいえます。足を引っ張る同僚がいることもあれば、無知な上司に出会うこともあります。職場の雰囲気がよどんでいることもあるでしょう。

そうした欠点を見つけたとき、「だから、こんな会社や職場にはいたくない」と思うのか、あるいは「だからこそ、自分の活躍の場がある」と思うのか、その判断が分かれ道になるのです。

ある求人雑誌の調査によると、日本でも半分以上のサラリーマンが、一度は転職を真剣に考えたことがあるといいます。しかし、今の会社の方針と合わないとか、職場の人間関係に不平・不満があるといった程度のことで転職した場合は、どうなるでしょうか。次のところで、また同じような問題に出合うことになります。

いずれにせよ、辞めた会社の人間と顔を合わせられないようなら、その転職は失敗になりかねません。
ある会社の重役氏が、こんな打ち明け話をしてくれました。
「われわれがノンビリと受け身でやれたのは過去のことで、いまや他社とのシェア争い、業界再編成と問題が山積みしています。それだけに、私なんかは雑草のようなたくましい人財を心底欲しいと思うのです」。
 
そしてこのような「雑草型」は、大卒より高卒の人たちに多いともいいます。
「ところが、いざ採用するかどうかとなると、私が高卒を推しても、他の重役連は反対しがちなんですね。日頃彼らも、公には『学歴関係なし、まずは積極性』といっているのに」。
 
昇進についても、高卒を推薦すると、自分の身が危うくなるからかどうか、大卒の部課長クラスが異議を唱える、とこの重役氏はこぼしています。

「雑草型」といえば、新入社員には大別して三つのタイプがあるといわれています。
一つは積極グループ。これはおおむね社会・企業における役割認識があるか、またはそれを求めており、人生に生きがいを持とうとしています。いってみればミツバチ派です。

次には可もなく不可もなしのクロアリ派。もうひとつは消極・拒否グループで、役割認識を持ちたがらず、情緒や感情の未成熟型。このグループはそのうち知らない間に、自分はもちろん、ひょっとしたら会社をも食いつぶしかねないシロアリ派です。比率はミツバチ派20%、クロアリ派60%、シロアリ派20%ともいわれています。
 
ただ、ミツバチ派には大卒だけでなく高卒の人たちも多いのです。一方、不平ばかり言って上司・会社評論をしているうちに、仕事のやる氣を失ってしまうシロアリ派は、大卒でしかも有名大学出身者がかなりいます。
 
昨今の大学生は、昔に比べアルバイトに恵まれ、豊かな生活を送れるようになっています。中には家庭教師をして、初任給並みの収入をあげている者も珍しくはありません。それらで得た金を、学費や自己改造にあてるのならまだわかりますが、レジャー方面に流れがちです。その分「学生としての本業」に使う時間は少なくなってしまっています。
 
ある人事採用担当者がこんなことを言っていました。「大卒といっても中身は薄くなってきており、その程度の知識、教養なら、高卒の人たちにも働きながら独学で容易に身につけることができます。おまけに遊びにかまけているうちに、大学は出たはいいが、人生に対する積極的な姿勢をも失ってしまうのです」。

かつて、米国南カリフォルニア大学に企業家精神学部を創ったリチャード・ブスカーク博士は、「企業家として成功した人たちの半分は高校すら卒業していない」と言っていました。

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