げん氣の扉

幅広い人財啓育を行っているグループダイナミックス研究所(GDI)のオフィシャルブログです。

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彼とは高校の同じクラスで、席が隣でした。彼はレスリング部の、私は剣道部のマネジャーで、練習場の時間調整をめぐって、よくやり合った間柄でした。

フライ級で身が軽く、持久力は抜群。体育会のマラソンでは、いつもトップでした。その彼が大学一年のとき、アマチュアレスリング日本代表団の一員として渡米、そのまま居残ってしまうのです。5年後に全米選手権を取るのですが、ハーレム街でアイスクリームを売りながら貯めた約1万ドルを元手に、日本風のステーキレストランを始めます。これが彼のビジネスへの第一歩でした。

店の名は「ベニハナ・オブ・トーキョー」。彼とは、昭和56年(1981)に気球で太平洋の横断に成功したロッキー青木(本名 青木広彰)君です。

その後、レストランの支店はアメリカやカナダで50店を超え、大実業家に成長しました。 冒険が好きで、気球による太平洋横断の前に昭和54年(1979)には、外洋を突っ走るパワーボートのスピード記録を樹立したものの、レース中に胸骨を何本か折る重傷を負い、8回にわたる手術で奇跡的に回復しました。
 
太平洋横断も、米大陸の西岸に着く直前は、悪天候との壮絶な闘いになりました。文字どおり命をかけた冒険だったのですが、彼は常に商売のことを忘れていません。

「ベニハナはPRによって生まれた」と自ら認めますが、一号店の開店後、エレベーターボーイがストをしている高層マンションの出前を引き受けました。新聞社のカメラマンが取材する目の前で、料理はロープでするすると運び上げられましたが、所定の窓に着く寸前、彼はロープをわざと揺すって料理をひっくり返し、周りの注意をさらに引きつけたのも有名な話です。
 
セールスの理論でいう「ショーマンシップ・アプローチ」の見事な実践です。気球による太平洋横断も約3億円(当時)かかったといわれますが、冒険好きのアメリカ人には、それ以上のPR効果があったかも知れません。
 
しかし、私が感心するのはテクニックではなく、その底に光るクールでバッグンの自己管理能力です。学生時代は、一見グレた感じもありましたが、たばこも酒もやらず、体のコンディション維持に最大限の注意を払っていた彼の姿を思い出します。
 
二宮尊徳(1787〜1856)は、治水のアイデアでも秀(ひい)でた能力を発揮したともいわれています。
洪水を防ぐ川の水を堰(せ)き止(と)め、ダムを作るのに、まず藁(わら)を使った吊り橋を作ったというのです。その上に乗って、縄(なわ)を切って、橋を落とし、そこに村人たちに石を投げさせたといいます。藁(わら)と石がからまって丈夫なダムができたのです。
 
しかし、藁(わら)の橋の上に乗って縄(なわ)を切らせるのは、一種のショーマンシップといえます。堅物(かたぶつ)と思われた尊徳も、実はユーモアのあるショーマンシップ・アプローチを使っていたことは、あまり知られていません。
 
私は、研修事業を始めた若い頃、心構え変革の講演会が始まって10分くらい経ったところを見計らって、40cm四方の鏡と大きな金槌(かなづち)を取り出して勢いよく鏡割りをし、参加者の目を覚ましていたことがありました。既成概念をたたき割るという意味に使ったのです。

数年後に何人かの参加者に講演内容についての感想を聞いたところ、鏡を割ったことしか覚えていないと言われたこともありました。志(こころざし)を持った営業活動をしていないと、ショーマンシップ・アプローチも一般的な“ショー”で終わってしまいます。

「春雄と花子! すぐここにいらっしゃい!」。
母親が大声で子どもたちを呼びつけます。
「どうして、こんなにおもちゃを散らかしっぱなしにするの!」。
──どこの家でも見られる光景です。

子どもたちは、よく自分の持ちものを散らかします。母親はそれにいらいらして、結局はひとりで後片づけをします。いったいどうやって子供たちをしつけたらいいのかと、絶望的な気持ちになりながら。

ドン・ディンクメイヤー博士は、子どものしつけについて、きわめて明快に「ロジカル・コンセキュエンス」という方法が最もいいと説いています。日本語でいえば「論理的な結末を体験させる」とでもいうのでしょうか。

こういうと、ひどく難しいようですが、実際は簡単なことなのです。たとえば、寒さの厳しい冬の朝、親が着せようとしたコートを、子供がいやがったとしましょう。こういうとき、普通の親は無理にでもコートを着せようとします。しかし、いやいや着たコーは、子供にとって邪魔なものです。親の目が届かないところへ行けば、脱ぎ捨てることもできるのです。

では、どうしたらいいのでしょうか。答えは、いささかありふれていますが、コートなしでしばらく外へ出すことです。寒ければ、自分からコートを着たいと思うでしょうし、そうすれば途中で脱ぎ捨てたりはしません。同じようにコートを着ていても、親から強制的に着せられたのと自分で着たのとでは、まるで違うのです。

「ロジカル・コンセキュエンス」とは、説教したり、命令したりせず、本人にそうした方がトクだという結果を味わわせ、納得ずくで行うしつけといってもいいでしょう。

さて、おもちゃを散らかす子どもたちに、納得ずくで片づけさせるにはどうするか。これは、そう簡単ではありません。おもちゃが散らかっていて不快なのは親の方であって、子どもたちは気にならないからです。片づけなければならない動機がないのです。

私の知人の家では、こんな方法を考え出しました。散らかっているおもちゃを全部、玄関に置いた段ボールの箱に投げ入れておく。これで家の中は片づくし、子どもたちがおもちゃを欲しいと思ったときは、段ボールの箱の中を探さなければなりません。
最初は箱の中をかき回していた子どもたちも、それが面倒だとわかって、まず大事なものだけは自分で片づけるようになったと、その知人は言います。

なかなか忍耐を必要とする方法ですが、これほど確実なしつけはないのではないでしょうか。もっとも、そのことに気がつくのはたいていの場合、子育てが終わった後のことが多いようです。

かつて、旅先の宿でテレビのスイッチを入れたら、いきなり森繁久弥さんが画面に映り、こう語りかけてきました。
「人は転ぶと坂のせいにする。坂がなければ石のせいにする。石がなければ靴のせいにする。人はなかなか自分のせいにはしない」。

ユダヤの古い格言だそうですが、これはある清涼飲料水のCMの一シーン。それにしても、ズバリ人間の本質をついた格言です。私は思わず、なるほどと思いました。

R・H・ブスカーク氏も「プロはできないことの“いいわけ”を決してしない」と言っていました。ところが、実に多くの人が失敗や不成績を「自分のせい」と認めず、言い訳に終始しているのです。

たとえば「ご栄転おめでとうございます」と言われても、「いやあ、本当は来たくなかったのですよ」と、不本意さを強調する転勤者が、あなたの周囲にいないでしょうか。
「でも、ほんとは来たいと思ったのでしょう」と問い詰めると、「とんでもない」といいます。

「じゃあ、どうして転勤してきたのですか。ほんとうに来たくなかったなら、来ていないはずでしょ! ところが今、現にここに来ているではないですか。断ることだってできたでしょう」、「まあ、業務命令ですからね」と煮え切りません。

結局は、自分の意思で決断したことを認めないで、転勤も他人のせいにします。こういう“及び腰”では、転勤先でも大した仕事(志事)はできないのではないでしょうか。

プロ野球でも同じです。「監督が変なサインを出すからさ」とか「あの審判の判定はなっていないよ」などと自分の凡退について言い訳の多いバッターは、大成しないといわれていまする。チーム全体としても、こんな言い訳がまかり通るようでは、絶対に強くなりません。

「しくじった選手が、チームメートの目が怖くて『ベンチに引き揚げてくるのがつらい』ともらすようになったとき、よし、これなら優勝も夢じゃないぞと思った」。
かつてプロ野球でヤクルト・スワローズを初めて日本一に導いた広岡監督も、言い訳をしにくくなったチーム内の変化を、ひとつの転機として述懐していました。

自分の失敗を失敗として認めることは確かにつらいでしょう。しかし、その心の葛藤を乗り越えてやる氣を起こすことが、プロへの道の入り口に求められているのでしょう。
セールスパーソンのバイブルと言われる「テキストブック・オブ・セールスマンシップ」の著者R・H・ブスカーク博士はこう説明しています。
「毎朝、あなたの口座の貸し方に86,400ドルを記帳してくれるのに、次の日に繰り越しをしてくれない、という銀行があったらどうでしょうか?今日、あなたが使い切れなかったお金は、永久に失ってしまうことになります。もちろんこんなことになれば、あなたは毎日手に入るお金を全部使ってしまうでしょう」

そして、こう言及しています。
「同じように時間の銀行も、毎日ちょうど86,400秒をあなたに与えています。時間はすべての人が持っている最も大切な資産です。毎日与えられた一秒一秒を、ムダなく使うように計画すべきです」

ともあれ、時間の大切さについては、洋の東西を問わず、これまで繰り返し説かれていますが、それほどまで言われているということは、時間を上手に使うことが簡単ではないからです。また、“時は金なり”といって、スピードを上げて仕事をすれば質のよい仕事ができるかといえば、そうでもなさそうです。時間の活かし方については、信念や志(こころざし)のようなものが求められます。

理屈ではわかっていても、実践している人はきわめて少ないわけですが、日本の漢字教育の第一人者である石井勲氏はそのまれな例でした。石井氏が62歳の時、こんなふうに語っていました。
「いまや仕事を娯楽と考え、これのみに打ち込んでいるんです。私は62歳でまだまだ若いつもりですが、残されている時間にはもう限りがあります。その間に正しい漢字啓発のあり方を、世間の人たちにわかってもらいたいのです」

漢字の方が仮名よりやさしく覚えやすいというのが氏の考えです。従って日本語は、漢字から先に教えるべきで、赤ん坊が漢字を覚えると、頭脳と情緒の発育はいまよりずっと良くなるとも説いていました。そして、世界でも独特な漢字かな混じり文字の日本語は、読むことと書くことが同時にできなければならないという今までの考え方、読み書き同時論に反対したのです。

「この考えは、生きている間には無理でしょうが、次の世代にはわかってもらえると確信しています」。若い頃には夢中になったという囲碁も卓球もやめてしまい、石井氏は独自の漢字啓発の普及に全力で努めていったのです。限られた時間を生かすためには、場合によっては趣味や遊びを断ってさえしまわなければならないこともあるのですが、その仕事(志事(しごと))が趣味になっているのかも知れません。
平成23年に倒産した企業は12,734件(内中小企業が12,687件)で、販売不振が引き金になったものが9,363件で73.5%にのぼります(中小企業白書より)。この傾向は毎年変わらず、販売の先兵であるセールスパーソンの役割がますます重みを持つようになってきています。

気になるのは、自信のない人ほど「消極的暗示」をセールストークの中で使っていることです。たとえば、暖房機器の売り込みに来て、「3年間は絶対に故障しません」と丈夫さを強調したつもりでも、実はこれは「消極的暗示」なのです。

「かなりもつのかと思っていたのに、3年後には故障するのか」などとお客様に考えさせてしまうからです。ここは、「少なくとも3年はビクともしません」と「積極的暗示」で表現した方がよいのです。
 
店員が「ご入用なものは、これで全部ですか」というのも「消極的暗示」です。「ほかに何かご入用のものは」と「積極的暗示」を続けた方が、お客様はさらに買いたくなるのです。

「お客様から好意的な反応が得たければ、話し方、質問の仕方、行動などに、積極的暗示を使うべきである」―― セールスのバイブルといわれる『テキストブック・オブ・セールスマンシップ』はこう説いています。
これは、営業担当者とお客様の間に限ったことではありません。すべての人間関係の中で通用する原則なのです。
 
自分の言動に自信がないと、つい「消極的暗示」を無意識のうちに使ってしまいます。すなわち、ものごとのマイナス面をそれとなく言葉の中に入れて表現しているのです。それが多いか少ないかは個人の性格や、同一人物でも時と場で左右されますが、あなたが用心しなくてはならないのは、一見積極的に見えるタイプでありながら「消極的暗示」を多用している人たちです。

彼らは概して人と自分を比較し、嫉妬心が強いのです。職場で注目を浴びている間はやる氣も十分なタイプなのですが、何かの事情で挫折したり、冷やメシを食わされる立場になると、一転して不満居士やトラブルメーカーになってしまうのです。
 
会社の方針や上司のやり方、具体的なプログラムに対して、ことごとく異を唱え、同僚、部下の足を引っ張ったりします。そして自分では何もしなくなるのです。しかし、それなりに影響力のあった人たちですから、周囲もついつい、その「消極的暗示」にのせられてしまうところが危険なのです。

こうした「積極的破壊者」のことを、「ぬれた毛布」(ウエット・ブランケット)と呼んでいます。職場の上に重くのしかかって中にいる人々を窒息させて、やる氣をくじく名人です。あなたの周囲の「ぬれた毛布」にはくれぐれも注意しましょう。

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