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大江戸生活体験事情

大江戸生活体験事情

著者 石川英輔、田中優子
発行 講談社 

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 やってみました、江戸の暮らし。今の百分の一しかエネルギーを消費しない生活とは?火打ち石、暦、行灯、着物…。江戸時代の生活道具を試めした2年間のレポート。図版多数を駆使して誘う「体験江戸学」。江戸の日常は、なぜ現代人の百分の一のエネルギー消費で足りたのか。火打ち石で火をおこすコツから旧暦で暮らすメリット、行灯生活の豊かさに、毛筆、着物、下駄の便利さまで。江戸人が持っていた知恵と伝承、生活を楽しむ工夫を、碩学二人が二年にわたる実体験で明かした興味津々、侃々諤々の面白エッセイ。---データベース---

 江戸時代のことを、いろいろ書いて来た石川英輔氏、ここでは、自然エネルギーだけで生活することを、また、当時の道具を使っての生活を2年間続けた体験談が綴られています。今回は、一人での実験でなく、女性にも参加してもらおうとおなしせく江戸の研究家でもある田中優子との連携で相互に検証しているところが特徴です。これで、別の角度から同じことが証明でき、体験がリアリズムに満ちたものであることが伝わって来ます。

 最近マッチを使ったことがありますか?今でこそ電子ライターならぬ「チャッカマン」が主流ですが、昭和30年代まではマッチが主流でした。今の子供はマッチの使い方さえ知らないようですが、そのマッチも登場したのは明治時代、江戸時代の人は火打石とほくちといわれる火種を落とす「もぐさ」などの草を乾燥させたものを使って火を起こしていました。火打石の原料は石英が主体だったそうですが、それを鉄の板の様なものに打ち付け火花を落とし、ほくちに落ちた火種をつけ着に点火したようです。まあ、技術がいったでしょうが、多分現代人は使いこなすのが難しいでしょう。ある意味現代人は退化しているんですね。電気、ガスのライフラインが止まったら、生活できない人が溢れるのは目に見えています。昔の人の方がサバイバルには強そうです。

 今みたいににテレビがあるわけでも、列車が走っているわけでもない江戸時代は、極めてアナログ的な時間の感覚でした。何しろお天道様が出ている間が昼で、沈めば夜ですから夏と冬部は一日の長さが違いました。俗にいう「不定時法」です。同じ明け六つでも現在の時間でいうと冬は午前6時、夏は午前4時頃になります。要するに冬はあまり働けなかったんですな。当時?椈燭は高級品ですから、行灯の生活が主流です。この明るさ、現在の蛍光灯とか電球の明るさの100分の一とかいう程度のものです。でも、部屋全体を照らすのではなく、生活をする周囲だけを照らすのであればこれで充分だったようです。余分なものが目に入らないので、反って集中して物事に取り組めたのではないでしょうか。テレビもラジオもありませんから気が散るということもありませんから、読書にしても、縫い物にしても効率は良かったと思います。現代でも、行灯の明かりは簡単に再現できます。材料は揚げ物に使った廃油少々、小皿、そしてティッシュペーパー一枚、それに芯を押さえるクリップみたいなものがあれば出来上がりです。部屋を真っ暗にして、ほのかに光る油の光は幻想的です。

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 田中優子さんが、こうした光のもとで、浮世絵を鑑賞するとその本当の良さが分かると本の中で書いています。歌麿の美人画なんか雲母刷り野茂のがありますが、この行灯の光で見るとその雲母の輝きが幻想的に浮かび上がるそうです。決して、現代の照明のもとではそういう良さは分からないそうです。江戸時代の浮世絵には、そういう時代にあった繊細な技術が駆使されて作られていたんですなぁ。そういえば、先日鑑賞した「広重・英泉木曽街道六十九次の旅」もそういうほの暗い照明の中で展示されていました。あれが?椈燭や行灯の光のもとだったらもっと作品を生き生きと鑑賞できたのかもしれません。

 さて、ここでびっくりする様な記述が出て来ました。なんと日本の製紙技術は18世紀には世界最高峰のレベルであって、本場の中国にも輸出をしていたとのことです。日本の和紙は薄く丈夫で手作業で量より質を求める方向に合ったことが技術力を高めたそうです。そんなことで、1765年、浮世絵画家鈴木春信、版木師と協力し多色版画を完成し「錦絵」が始まります。何と印刷の多色刷りは日本で最初に実用化されているのです。先日、NHKの番組で「幻の色よみがえる浮世絵」という番組が放送されました。浮世絵というものは経年変化で色が変色するのが当然です。今我々が目にしている図版の浮世絵も概してそういうものなのです。この番組では、当時の絵の具が付着していた版木をもとにその色合いを復元しようとしたプロジェクトを追ったものでした。作品には30色もの色が再現されているのですが、残された版木には11色しか使用されていなかったのです。つまりは重ね色の技術が完成されていたのです。江戸の職人は素晴らしい技術を持っていたものです。

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 着物については、当時のその実用性を田中優子さんが解説しています。着物は一枚の大きな一枚の反物を無駄無く使っています。それこそ、捨てるところはありません。素晴らしき経済的な衣類です。着物は本来は着方も自由で、帯の締め方も年代によりいろいろ方法があり、ファッション性がありました。体型に合わせて裁断する洋服とは着こなしが違います。くたびれたらもう一度糸をほどいて布に戻し洗い張りです。そして、もう一度縫うという過程を経て新しい着物に生まれ変わります。再利用ですね。無駄がありません。経済的な衣類の代表格です。浴衣でもそうです。ゆったりと着こなすこともできますし、きりっと胸元を締めて街着としても利用できます。ただ、業界が着物は高級品としてのイメージを作ってしまい、自らの存在価値を狭めてしまっているのを嘆いています。振り袖なんか最初に着る着物ではないんですね。それと、現代の椅子に座る生活様式が着物での生活をそぐわないものにしてしまっているようです。

 夏は下駄の生活が似合う季節です。多分水虫なんてのは江戸時代にはなかった病気でしょう。日本の草蛙、雪駄、下駄の生活では足が蒸れるという様な状況にはなりませんからね。ただ、現代のアスファルトの道路は下駄や草蛙での歩行は適さない状況でしょう。土とアスファルトでは足への衝撃度が違いますもんね。社会状況は江戸時代の道具での生活を拒否するようになってしまっています。ただ、本当のエコの生活を取り戻そうとすると、もう一度江戸時代の自然エネルギーと、リサイクルの仕組みを勉強する必要はあるようです。

 今日は太陰暦では6月9日です。今月は丁度1ヶ月太陽暦とずれているんですね。七夕なんざ、太陽暦でやるから雨にたたられるんであって、太陰暦でやれば8月上旬ですから、ちゃんと晴れると思いますよ。ちなみに今年は太陰暦では8月6日にあたります。

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