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ロダリーゴーとイアーゴーは、女の父親であり、元老院議員のフラバンショーに、事実を知らせたばかりではなく、フラバンショーを怒らせるような事態を下品な言葉で誇張して吹き込むのだった。 Iago: 'Even now, now, very now, an old black ram
Is tupping your white ewe !'
(イアーゴー:まったく今も今、まさに今この時に、年取った黒い雄羊が、
お宅の白い雌羊と交尾の最中なんですぜ!)
さらにイアーゴーは、捲くし立てる。 Iago: 'You'll have
your daugher covered with a Barbary horse; you'll
have your nephews neigh to you; you'll have coures
for cousins and jennets for germans.'
brabantio: 'What profanewretch art thou ?'
Iago: 'I am one,sir, that comes to tell you your daughter
and the Moor are now making the beast with two backs.'
( イアーゴー: お宅の娘さんが
アフリカ産のバーバーリ馬に乗っかられちまいやすよ。
そしたら、お孫さんがヒヒーンヒヒーンといなないて寄ってきまさぁ。
駿馬は親戚、子馬も身内、つうことになっちまいやすぜ。
フラバンショー:下品な奴め。何者だ?
イアーゴー:あたしゃね、閣下、ただ、お宅のお嬢さんとムーア人が、たった今、
背中がふたつで身体はひとつの怪物になってるって知らせに来たんですぜ)
う〜ん、ヴィクターは、コメントのしようがありません。
開幕早々に語られるイアーゴーのこうした台詞は、彼の性格を露わにして、観客にそれを強く印象付けるためだ。 そして、イアーゴーは、あることないこと吹き込む。 フラバンショーの娘デズデモーナの恋人オセローは、堅気の市民だったら娘の婿には決してしない男で、あちらこちらに渡り歩く兵隊家業。 前歴もまっとうな地位に就く望みなし、国籍も不明で、なんとムーア人(アフリカ北部の黒人、回教徒)である、と。 断っておきますが、ヴィクターは、決して人種差別者ではありません。
ここまで言われては、フラバンショーも怒り出す。 しかし、イアーゴーは、抜け目なく、自分の上司であり、司令官であるオセローに不利な証言をすることに呼び出されることは、自分の立場上困るという口実で、その場から退いていくのだった。 そして、立ち去り際に、ロダリーゴーに向かって、自分を信頼すような言葉を掛けるのだった。 'Though I do hate him as I do hell-pains, Yet, for necessity of preset life, I must show out a fiag and a sign of love, Which is indeed but sign.' (俺は奴を地獄の苦のように憎むけれど、 ただ現在の生活の必要から 忠義の旗を掲げなくてはならない。 もっとも見せ掛けだけどね)フラバンショーは、イアーゴーの言葉を真に受けて、デズデモーナがムーア人のオセローに夢中になるのは、彼の魔法に掛けられていると思い込む。 そして、イアーゴーの示唆に従い、サジタリという宿屋へ出掛けていくのだった。
イアーゴーは、まんまと、彼らを利用したのだ。
あの『ハムレット』のクローディアス以上の狡猾さである。 |
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