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河童の屁―1

通・・・趣味、道楽などその道に詳しいこと。

「通」と言えば、粋な江戸っ子を思い出す。
蕎麦食いの通は、蕎麦をほとんど垂れづゆにつけずに啜るし、
酒飲みの肴は、親指と人差し指の付け根に盛った
塩と決まっていた。
着る物、履くものは、
とにかく目立たないところに贅沢をする。
それが通。
ってなことで、何でもかんでも
「通」「通」「通」だらけだった。
中には、火事場見物の「通」なぁんてのもあったらしい。
銭湯の入り方も、まっさらな一番風呂で、火傷しそうに熱い奴。
「うぐっ、うぐっ」蛸八のようにもがきながら
ようやく肩まで浸かって、「ああ、冷てぇ」
こうなると、もう命がけ。
本人は、シャカリキ真面目なのに、
傍でみていると、どこかこっけいなのが、「通」。

そんな輩は、今の時代にもいる。
(って、おまえもそうだろ?ハイ、そのとおり―笑)
まっ、自分だけで楽しんでいる分には
差し支えないんだけど、
ああだ、こうだと、周りに注文をつけ始めると、
どうもこれはいただけない。
その代表格は、やっぱり「ワイン通」か?
(ワイン通のみなさん、ごめんなさい。)
先だっても、ワイン狂いの友人と飲んだとき、
しみじみそう思った。
彼と飲むときは、とにかく前講釈が長い。
銘柄の由来から産地まで一通り聞かされて、
さて、飲めるかと思ったら、
味のレクチャーまでし始めた。
このごろのソムリエブームで、
この前説が、通たる者の
面目躍如たらしめるところらしいんだ。
そのときいただいていたのは、フランス・ワインのロゼ。
で、彼のコメントが、

「アルプス、モンブランの朝焼けに目覚めた
処女のような爽やかな酸味と、角張らない喉越し、
それでいてさ、後味に芯があるんだよね・・・」
なぁんて、分かったような分からないような話。
申し訳ないけどさ、
そのときの僕は、清々しいお目覚めというより、
寝乱れたネグリジェから覗く処女のむっちりした太腿なんかが、
頭の中でチラチラして、
爽やかな酸味も、角張らない喉越しも、
どこかへぶっ飛んでしまった。
ただ、後味の芯だけは感じたけれどね。
それもかなり濃厚に。
あぁ、僕ってしみじみワイン通にはなれないみたい。

で、「通」のもう一つの解釈。

通・・・人の気持ちを察し、さばけていて、
思いやりのあること。

「他山の石以て玉を攻(おさ)むべし」だな。

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