ハル物語

一緒に旅にでましょう。

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残照

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                    「残照」



                「なんで好きなんて言ったのよ」



                君の言葉が耳に残っている



                「なんで優しくしたのよ」


             
                君の涙いっぱいの瞳が



                僕の時間を止めてしまった



                「なんで別れるのよ」



                軒下につるした風鈴を



                はずした何も言えない僕は



                空を染める残照を


                 
                いつまでも見ていた               
                               

 
                縁側の脇に置いていた



                バケツの中の花火が



                夏の終わりを告げていた

お姉さんの美容室

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           「お姉さんの美容室」


           その町は山へ行くには遠く

           海へ行くには汽車を半日

           待たねばならない
           
           辺ぴなところにある

           名物になるような食もなく
 
           話題になるような場所もない



           車の行き交う大通りを

           一本脇へとそれ

           煙草屋の並びにある細い入り口

           そこをくぐると薄暗い階段を

           一歩一歩あがってゆく

           美容室の臭いがたちこめてくる

           ガラスのドアの向こうから

           聞こえてくるお姉さんの

           大きな大きな笑い声

           黒いラジオから聞こえてくる

           懐かしいメロディー

           お姉さんの美容室に

           年を忘れた女たちが

           入れ替わり訪れた

           恋の話にピーチクパーチク

           旦那の愚痴にピーチクパーチク

           日が沈むのも気づかない

           お姉さんの美容室は雀の学校
          


           盆休みにふと訪ねると

           お姉さんはいなかった

           「里の親が病気で帰ったとかきいたけどね」

           新しい美容師さんが教えてくれた

           入り口に置かれていた出来そこないの

           木の看板もなくなっていた

           少し歩いた私は

           緑生い茂る公園のベンチに腰掛け

           絞る声で鳴く蝉の音を

           いつまでも聞いていた



           山へ行くには遠く

           海へ行くには汽車を半日

           待たねばならないその町で

           誰の邪魔もしないように

           ひっそりと立っていた

           美容室のお姉さんは
 
           秋を待たずにいなくなった

           

           

帰省

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                        「帰省」


                  逃げるように都会を離れ来て

                  故郷の駅の手前で列車をおりた

                  そこはふきっさらしの無人駅

                  鈴鹿山脈から顔をだしてる入道雲



                  壊れかけのベンチ

                  その端っこにとまる赤とんぼ

                  うなだれる焦げた向日葵

                  何も変わらない故郷の香り



                  手土産もない、お金もない

                  この身一つで帰る僕を

                  故郷は迎えてくれるのだろうか

                  田んぼで蛙が鳴いている



                  夜空の星たちが

                  ベンチで寝転ぶ僕にふりそそぐ

                  遠くで響く汽笛を聞きながら

                  母がくれたお守りを握りしめる

                  故郷へつづくレールのわきに

                  蝉の抜け殻がおちていた

                                    

幼なじみ

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                      「幼なじみ」



                       庭にさく青い朝顔

                       つるが延びて

                       低い垣根をまたいでる



                       真っ白い綿菓子みたいな

                       入道雲が広峰山のいただきで

                       やすんでいる



                       昼寝から目覚めた犬が

                       僕のいる縁側に前足のせて

                       散歩をせがむ



                       犬の頭をなでる僕に

                       「散歩にいきたいのよ」と言う

                       隣りの家で暮らす

                       幼馴染の君は

                       二階の部屋の窓から

                       僕をみていた

あの日

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                   「あの日」



                  洛陽に染まる入道雲が


                  初夏の風でのんびりと動く


                  打ち上げられた


                  花火の煙は山へと逃げ


                  幾重にも重なる


                  火の糸は夜空で


                  大輪の花を咲かす


                  食べ残された西瓜の皮に


                  蝿がとまっていた夏の夜

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