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あなたの心が 私から 視線をそらせていることに 気が付いたのは 満月がとても 綺麗な晩 満月を囲むように 腰を落ち着かせている 夜空の雲は 私の薬指の プラチナの指輪に にた色で 夜の黒は遠慮して 薄ぼんやりと 空に漂っている ベッドの中で 眠るあなたは 愛情も憎しみも 野心も敗北も 何も知らない子どものよう 寝顔のあなたの頬に 私の指先が そっと触れて あなたは 黄色い薔薇の吐息を もらす 私の知らない女の名を 口ずさむ 私はあなたのマンションをでると 秋深まる都会のビルの路地に 身体をあずける 都会の隙間で 風がざわめく ゆがんだ魂の風のかたまりは 通りを歩く 私の長い髪をひっぱり 憎悪や嫉妬がうごめく 闇の中へと 引き摺りこもうとする 私はその中へ あなたからもらった プラチナの指輪をなげた エサにありつけた 風のかたまりは 分散して プラチナの雲のある 夜空へ かけのぼる 寒さに身を縮ませ 歩き出す私 闇の中で響く ハイヒールの音は 彷徨う私の道しるべとなり 先へ先へと聞こえてくる いつしか満月は雲に隠れ
夜が一面に広がると 夜の黒は帝王の座に あぐらをかいて 座った |
秋
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強い風の日のこと 通勤バスの窓から外の景色を見ると いつも通る黄色に色づいた 銀杏並木通りにさしかかっていた その銀杏が風にそよぐ様を 言葉におきかえたくて 一心に銀杏をみていると シャンシャンと巫女さんのふる 鈴の音が聞こえてきた シャンシャン シャンシャン 暗く淀んでいた私の心は みるみるうちにきれにになって 白い花が咲くようだった その白い花には朝の陽射しが射し 七つの色を発して輝いている シャンシャン シャンシャン あの鈴の名前は何だろう? 扼払いに神社へ行った時 頭上で鳴り響いていた きらびやかな鈴の音が 銀杏並木から聞こえていた あの鈴の名前は何だろう? 銀杏並木が見えなくなり 駅に着いた私はバスからおりると 強い風に崩れそうになる 体勢を何とか支えて ビルの隙間で楽しくなさそうに 見える灰色の空を見上げた シャンシャン シャンシャン 重い足取りで会社へと向かう私は コートの襟に顎を埋め 両手をポッケに突っ込んで 心に生まれた一輪の 木洩れ日にゆれる白い花の名前を さがしていた あの白い花の名前は何だろう?
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夜の紅葉が 儚くゆれて |
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『オモカゲ』 |
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