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安井先生の石垣・石材シリーズに続き、壁石の話です。 富士山西麓の田貫湖のほとりに日本大学の富士自然教育センターがあります。先日、この施設を利用したのですが、別荘風のおしゃれできれいな建物でした。その中でも特に目を引いたのは、建物のいたるところに使われている穴だらけの細長い石板を芸術的に組み合わせた壁石です(写真上)。さてこの石はどこからきたのでしょう? 富士山の西側には大沢崩れという大きな谷があり、時々、土石流が発生します。土石流は土砂だけでなく直径が数mもある巨大な岩石も運びます。これらの土砂や岩石は砂防施設に溜まり、より下流の町までは到達しません(写真下)。ただし、次の土石流が来る前に持ち出さねばならず、その処理が大変です。 施設のスタッフの方に伺ったところ、この壁石は砂防施設にあった巨大な岩石から切り出したものなのだそうです。この岩石は大沢石と呼ばれ、もとは大沢崩れの谷壁を作っていた玄武岩の溶岩でした。このため石板には溶岩の中に含まれていたガスの跡である様々な形の泡や、鉱物を観察することができ、アートとしてだけではなく地質学的にも大変興味深い石です。土石流の巨大な岩石は厄介者ですが、このように少し手を加えることにより役にたつのですね。いろいろ工夫したら大沢石は地元の名産品になるかもしれません。 (宮地直道)
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