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地球の見所(国内編)

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太陽柱

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長年観測を行っていると珍しい現象に出会うことがある。写真に示したのは「太陽柱(サン・ピラー)」である。光の柱が山の上に伸びている(注:以前,村瀬さんのブログに現象の紹介があったので,詳しい説明は省く「太陽柱」)。場所は北海道の網走湖,季節は極寒の2月(確か流氷祭りのさ中)である。

まだ大学院生だったころ,講座の助手が網走湖で観測を行うとのことで,手伝いに出かけたときのことである。湖の水温の鉛直分布を計るのが目的だった。この季節,湖は流出部のごく近傍を除いて全面的に結氷していた。30〜40cmくらいの厚さの氷の上に10〜20cmの雪が積もった状態で,その上を湖岸から機材を乗せたそりを引いて湖上を歩き回り,指示された位置で氷に穴を掘り,センサーを入れて湖底まで水温を測定した。

測定が終了に近づいた時,湖の中心付近で日没になった。昔,ある場所で夕日が瞬く間に沈んで行く様子を見て驚いたことを思い出し,感動よ,もう一度と思っていたところ,夕日が山の端にかかった時,光の柱が立った(写真)。その時はこのような「太陽柱」という現象があるのを知らなかった(知ったのはかなり後のこと)ので,呆然と見つめたのを記憶している。


まさに神秘的な現象に触れて皆でその余韻にひたって・・・いる間はなかった。すぐにまっ暗闇になったのである。立っていた位置からは,湖岸の出発点は見えず,方向を失った感がある(今のようにGPSなどない!)。

小さな懐中電灯に頼って,自分が来たそりのあとを照らし,そこから推定して方角を定めて歩き出した。昼間にやや氷の薄いところがあった記憶が,前進に対する恐怖を呼び起こし,足元を確認しながら何度か方向を転換した。かなりの寒さに震えて,やっと岸に着いた時はまさに安堵のため息をついたものである。ほんとに湖に落ちないで良かったと。



後日談であるが,それから15年ほどたった同じ2月に,何の因果か別の観測で同じ網走湖を訪れた。その時,別の方角から湖の上を見て驚いた。自動車用のサーキットコースさながらの光景がそこにあった。何でも,氷に対するタイヤスリップのテストコースだとのことである。つまり,氷はそれだけ厚く,車が乗っても割れないほど丈夫だったということ・・・。用心にこしたことはなかったが。



加藤央之


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