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上高地シリーズ第3弾はケショウヤナギの話です.ケショウヤナギは,最終氷期にはわが国の広範囲に分布していたと考えられていますが,現在では北海道の日高・十勝地方とこの上高地を中心とするわずかな地点にしか残されていない絶滅危惧種です.幼木の時は木肌がシラカバのように白色なのが特徴で,大きくなると葉を付けた枝ぶりは丸いもこもこした形になります.ケショウヤナギの林は上高地でも特に河童橋より上流の川べりや中洲に広く分布しています(写真上). ではどうして,上高地にケショウヤナギが残されたのでしょうか?この木の種は寒冷地の砂礫質の土地で発芽することが知られています.ただ,安定した土地ではその後の生存競争に負けて林を作ることはありません.上高地の北部には風化が進みボロボロになった花コウ岩が多数分布しています(写真中).この花コウ岩は崩れてマサと呼ばれる長石や石英といった白色の鉱物が風化してできた堆積物に変わり,これが大雨のたびに上高地を流れる梓川に流れ込みます(写真下).このようにして梓川に流れ込んだ土砂が絶えず移動して河床に新たな中州や川岸を作るため,古い中州や岸辺は侵食され,新しく生まれた中州などにパイオニア植物であるケショウヤナギが生き残ってきた,というわけです. このような話を上高地ビジターセンターのベテランのツアーガイド(インタープリター)の方から伺いました.私は2時間くらいのツアーに参加して,上高地の鳥や植物や先にご紹介した世界で一番新しい深成岩の話などを伺い,豊かな自然を数倍楽しむことができます.ツアーは冬期間を除き毎日行っているそうですが,利用者が毎回数人とのことで大変もったいない気がしました.500円の保険料でこのツアーは絶対にお得です.是非,皆さんもインタープリターの方のユーモアあふれる楽しい話を伺いながら上高地の自然を満喫してはいかがでしょうか? 宮地直道 |
地球の見所(国内編)
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