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暖かくなってきたとはいえ今年は寒い日がまだまだ続き,このような日にはカニ鍋が欲しくなります.カニの中でもゆでると真っ赤になる花咲ガニは最高ですね. というわけで,花咲ガニで有名な花咲漁港に近い北海道東部の根室半島花咲岬にある根室車石(ねむろくるまいし)の話です. 根室車石は約6500万年前の中生代白亜紀の末期に恐らく海底火山から噴出した玄武岩質の溶岩がその重みで柔らかい海底の泥の中にもぐりこみ,ややゆっくりと冷え固まってできた半径約3mの小球状の岩の塊のことです(写真上). なぜ車石かというと,溶岩が冷える過程で表面から球の中心方向に向かい垂直方向の割れ目ができ,この割れ目の形が車の中心軸から四方に伸びるスポークに似ているからだそうです.このような割れ目のことを放射状節理といいます.また,球状になったのは,溶岩の先端は停止したものの,後から溶岩の供給は続き,行き場がなくなった溶岩が膨れ上がったため,と考えられています.昭和14年には国の天然記念物に指定され,観光地になっています.この時代にはアンモナイトやイノセラムスなどの生物が海の中を泳ぎ回っていたはずです.噴火に遭遇した生き物はゆで上がってしまったことでしょう. 一方,この岩体のそばでは丸い岩が積み重なっているように見えます.海底に流れ込む溶岩の量が少ないと溶岩は泥にもぐりこむことなく海底に積もり,海水によって急速に冷やされ,細長い指の集合体のような形で固まります.その断面をみるとあたかも楕円形の枕を積んでいるように見えるので枕状溶岩といいます(写真下).枕状溶岩は下位の溶岩の上に積み重なるため,楕円形というよりも底がやや平らな正月の餅のような形をしています.そして,その中心部に向かい車石よりは細かいですが放射状割れ目が発達しています.海の中でどのようにして溶岩が固まるかはこれまで良く分かっていませんでしたが,ハワイで実際に溶岩が海に流れ込む様子などが観察され,その出来方が大変詳しくわかるようになりました. 今度,花咲ガニを食べる機会があったらこの車石を思い出し太古の海が沸騰する様子を想像してみませんか? 宮地直道 |
地球の見所(国内編)
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