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今から30年ほど前のことである。私がまだ大学院の院生のとき,研究室の先生の手伝いで北海道十勝地方に気象観測に行った。十勝地方は農業が盛んであるが,風が強い場所であり,碁盤の目のような農地は防風林に囲まれている。そこで,この防風林の効果(どの位置で風がどの程度減衰するのか)を明らかにするために,数台の風向・風速計など,気象測器を設置し,観測ベースにテントを張って数日間の観測を行った。 機器の設置も進み,データも順調にとれ出したので,3名ほどで周辺の防風林の様子を調査すべく十勝平野を車で走りまわった。風の強い日であり,良いデータが得られるだろうと期待しつつ移動している矢先,遠方に砂煙を見つけた。これは竜巻ではないかとその方向に向かい,何枚かの写真を撮った(写真1,2)。 規模としてはそれほど大きなものではない(つむじ風程度?)が,竜巻というものに遭遇したのが初めてだったため,新鮮な驚きを覚えたのを記憶している。その後,年がたってから米国において,一度は海上から陸に近付く竜巻を,また一度は西部の乾燥地帯を移動する竜巻を見るという経験があったが,その時は距離が離れているにもかかわらず,これが近付いてきたらという恐怖を覚えたのも事実である。やはり自然はあなどれないということである。 さて,十勝平野の観測の話にもどるが,竜巻の写真をとった後,我々はその話を土産に意気揚々と観測ベースに向かったところ・・・そこで見たものは,竜巻によって吹き飛ばされた観測ベースであった。ベースを守っていた仲間の話によれば,いきなり竜巻に襲われ,テントが数メートル上空に巻き上げられ,その中の測定機器はひっくり返って大変だったとのこと。彼らは身をもって竜巻を体験したのであった。幸い,測定機器に大きなダメージはなかったため,観測は復興して続けられたが,自然は怖いということを身をもって体験した観測であった。 加藤央之 |
地球の見所(国内編)
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