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教員インタビュー

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教員インタビュー第2弾は、地球システムが誇るナイス・ミドル、森和紀教授です。
森先生は2008年度新入生の学年担当であります。新入生のみなさん、こんにちはー!見てますかー!?みなさんの担任の先生からのメッセージを受け取ってくださいね。



―――先生が水の研究を始められたきっかけを教えていただけますか。

 それはねぇ、私は非常に人間が単純だから「教えを受けた先生の人柄に惚れたから」なんですよ(笑)。純粋に水の研究に興味を持ったというよりかは、水の世界に引き込んでくれた先生の人柄ですね。大学2年の時に出会った山本荘毅先生という方なんですけど、非常に学生の面倒見の良い方で、この先生の門を叩きたいなと思いました。


―――研究対象地域はどちらだったのですか?

 初期のフィールドはずっと湖で、卒論は相模湖、修士論文は栃木の湯ノ湖ね。で、博士論文は水月湖。水の研究の中で湖をやりたいと思ったのも、やっぱり恩師の影響ですね。


―――そのようにずっと水の研究をなさって、どんなことを感じましたか。

 うーん…、やっぱり「経験の科学」だなぁということですね。地球科学全般に通じることですけどね。いつも地べたと向かい合って調査するじゃないですか。だから1回目よりは2回目、2回目よりは3回目と、失敗があればそれを反省し、新しい発見があれば嬉しいし、次に活かせるし。そういう発展の連続じゃないかと思うんですよね。
 大学院を出てからは、三重の大学の助手になったんですが、そこでは地域が抱える水環境の課題について研究してきました。水質汚染、洪水や渇水といった水環境・水資源にかかわる問題です。


―――先生は海外での生活も長かったと伺ったんですが。

 うん、行きましたよ。1983年から1年間はオランダにいたんだけど、その後は主に東ヨーロッパ。1990年前後に政治変革があったでしょ。例の、ベルリンの壁が壊されたりとかね。水環境の実態はあまり調査されていない地域だったんだけど、そういった政治変革で調査しやすくなったし。それまで表に出なかったことが分かるようになるんじゃないかと思って、取り組み始めましたね。それからオーストリアに1年住んで、あとはポーランドとかルーマニアとか、アジアではインドネシアで3ヶ月くらい調査を行いました。


―――トータルするとだいぶ長いこと海外におられたんですね。

 そぉだねぇ・・・。(遠い目)


―――・・・。

 ・・・。


―――この期間で、研究以外に得られたことって何でしょう?

 そりゃもう、人だな。友人。もちろん今も付き合いが続いていますよ。日本大学の海外招へい研究員としてポーランドから来てもらったり、逆に私が呼ばれてあっちで講義したり。そういった形でずっと続けてきました。


―――学生の頃から今に至るまで水の研究一筋にやって来られた中で、特に学んだこととは何でしょうか。

 前の研究の経験と成果を活かして常に模索を続けることかな。ある意味では試行錯誤の連続でね。もちろん、失敗談もいろいろあるよ。調査器具を湖に落としちゃったとか。
 学生にもよく言うことなんだけど、「『不測の事態』か『配慮の不足』か、その見極めをよくしなさい」ってね。多くの場合は配慮が足りないんだよね。例えば、ウン十万円の調査器具がいま200mの湖底に沈んでるという現実ね(笑)。ワイヤーがねじれて切れちゃったんだけど、それもあらかじめよく点検しておけば防げたことだよね。そういう自分の経験から、この言葉を学生によく言うんですよ。「不測の事態」っていうのはほとんどないよね。遅刻するのも、提出物の締切りに間に合わないのも「配慮の不足」ですよ。


―――なるほど…。それにしてもウン十万の調査器具ですか。

 教員になってからなんだけどね。それはもうショックだったよ(笑)。あっという間に沈んでいって。取ろうとしてもできないし…ねぇ。


―――研究の話に戻りますが、先生のこれからのビジョンを教えていただけますか。

 もっぱら「開発途上国の水問題をどう解決するか」、「安全な水をいかに安定して確保するか」、このことですね。そうした課題を形のあるものにもっていきたいですね。そのために自分に何ができるかというと、現地の人々や行政に調査の結果を還元し、水環境の保全と水資源の管理の大切さを伝えることじゃないかと思います。


―――なるほど。学生に対してはどのようなことを伝えていきたいですか。

 それはもう「大きな目標を持とう。小さな一歩から始めよう」に尽きますね。竹内均さんという地球物理学者の言葉なんですがね。やっぱり自分でまず動かなければいけないと常に感じています。


―――環境のことを学びたいという高校生や学生は多いと思うのですが、彼らはどういった「小さな一歩」を踏んだらいいでしょうか。

 うーん。自分のしていることがまわりにどう結びつくかを考えることだと思いますね。例えば水に関して言えば、今使っている水はどこから巡ってきたのか、この水を捨てたら環境にどう影響するとかね。そういったことを考えれば、自然に水環境を守ったり節水に自ずから結びつくと思うしね。日本人は世界の他の国に比べて、一人当たりの水の使用量が2倍近いと言われてるでしょ。逆にいえば、今使っている水を半分にしたって十分生活していけるということ。水の適正な使い方を考えなきゃいけないよね。


―――先生ご自身が気をつけていらっしゃることは?

 んーとね、毎日、何か水のニュースはないかなって探してることかな(笑)。20世紀は「石油の時代」だったけど、21世紀は「水の時代」と言われるでしょ。日本にいると余りピンとこないけど、現に国境を跨ぐ国際河川の上流と下流で、水をめぐって深刻な争いが起きてる。解決しなきゃいけない問題です。


―――国際河川は昔から国際河川ですから、そういった上流と下流の水の奪い合いはいま始まることではないと思うのですが??

 いやいや、人口が増えてるから。途上国を中心に人口が増えて、食糧が多く必要になるから灌漑用水をたくさん使って、それが水の争奪戦になる。学科のブログに以前、ルーマニアの人がバケツで水を運んでる写真を載せたけど(「ルーマニアでの水環境の調査から」 )、ドナウ川でもそういった問題が現に起こってる。



―――ははぁ。納得です。無知な質問ですみません・・。
教育の話になりますが、研究室の学生への指導のビジョンをお聞かせください。

 3年から4年にかけて、プレゼンと質疑の能力を伸ばすこと。分かりやすい発表とコミュニケーションが進むようにしています。研究の分野にとどまらず、若い人こそコミュニケーションを大事にしてもらいたいですね。


―――わかりました。どうもありがとうございます。
最後に、これだけは言いたい!という一言をどうぞ。

 えぇ〜。そうだなぁ…。水の問題は必ず人間が絡んでるんですよ。水を汚すのも人間だし、水が汚れて困るのも人間だしね。だから自然現象を扱うという共通点はあるんだけど、水の研究は人間臭いんじゃないかなぁと思いますね。うん。見方を変えればそれは、自分自身が関わっているということだからね。そういうところに、水の世界のやりがいを感じます。



(インタビュー後記)
あらかじめこちらの質問のお答えを用意しておられたかのように、よどみなく、またわかりやすい言葉で話してくださいました。(実際は「突撃インタビュー」ですから、質問を前もってお教えしてはおりません)やはり研究に対する信念や意志の強さというものの表れなのかなぁと感じました。
森先生、お忙しいところありがとうございました。

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