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先日、山形県南部の山あいの集落を訪れた時、森の山肌を削ってできた高さ100mくらいの巨大な崖に遭遇しました。地元の人の話では10年くらい前に採掘が終わった土取り場の跡だそうです。近寄ってみると、この崖は花こう閃緑岩という深成岩の一種から出来ていて、崖の下の方は新鮮で固い岩石でしたが、上のほうはマサと呼ばれるボロボロに風化した砂でした。崖の手前側は岩石を採った後に平らにしたようで広いグランドのようになっています。 ところが、このグランドの崖ぎわのところには水辺に生えるヨシが、少し離れた所にはスゲやカヤツリグサといった湿原の植物が生えています(写真上)。不思議に思ってスゲが生えているグランドを掘ってみると花こう閃緑岩の岩盤の上に厚さ5cmくらいの見事なピート(泥炭)があるではないですか(写真下)!この泥炭はスゲなどの植物が枯れても分解せずに積もったもので、10年で5cmということは、年間5mmもの早い速度で堆積していることになります。掘るとみるみる岩盤の上には水が貯まりました。 しかも、このような湿原は崖の下のどこにでもある訳ではなく、花こう閃緑岩が所々断層で断ち切られた割れ目の先にあります。そしてこの割れ目からは、地元の人が岩清水と呼ぶ地下水が滴り落ちて、崖のすぐ下には小さな池が出来ていました。この割れ目から染み出した地下水が湿原を作っていたのです。 人間が緑の山肌を削り無残な崖や荒れ地が出来ても、森林が豊富な地下水蓄え、その水が荒れ地を湿原に修復してくれたのです。もしこのまま何十年も経てば、このグランドはきれいな花が咲く湿原の名所になるかもしれません。 (宮地直道) |
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2008年10月16日
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