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摩周湖の霧

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昔,歌謡曲の題材として取り上げられ有名になった霧の摩周湖であるが,学生時代にその霧に関連した観測に取り組んだことがある。たまたま,別の湖で湖水の気象影響を調べている時であったので,その流れから興味をもって取り組んだといういきさつである。ある年の8月の終わりに3日間,次の年には同じ時期に1週間かけて気象測器を引っさげ,設置の時には仲間の応援を頼んだものの,観測は単独行動であった。


摩周湖は周囲が急峻な崖に覆われた鍋型形状をしているカルデラ湖である。調査としては霧が出た時に,その崖に沿って湖面まで温度分布を測るのが主な項目であった。摩周湖の霧は湖面に雲海状に出るもの(めったには見られないとのこと)と,釧路方面からの層積雲がカルデラ上部を覆った場合の2種類が想定されたが,特に後者の場合,カルデラの内部で霧(雲)はどのようになっているかが興味深かった。

営林署に観測のための立ち入りの許可をいただき,カルデラの周囲の林道から,一般者立ち入り禁止の「けもの道」のような崩れかけた細い道をたどり,湖面まで最高・最低温度計を数セットとデータ記録(当時はペンレコーダー)のついた温度計を1台置き,また,風向風速計を1台カルデラ上部に設置して測定を行った。
観測時に最も心配したのがヒグマで,これは音を出しながらの行動を行うことでとりあえず凌ぐことにした。もうひとつの不安は,カルデラ壁に沿って霧の中を湖面に向かって進んだ時に霧が晴れたら(つまり鍋の中で,上空を霧で覆われた閉ざされた世界には)何が見えるか(メルヘンチックに妖精でも舞っているか)というおよそ似つかわしくないドキドキである。神秘という言葉ゆえに必要以上に意識したものではあるが・・・。
結果として,崖を降りて行く途中で突如として霧は晴れた。霧の底,つまり雲底高度ははっきりしていたということがわかり,しばしその眺めに見入ったことは言うまでもないが,当然のことながら七色の虹が渦巻いていたわけでもなかった。


その時の写真は,掲載してもただの霧の世界としか見てとれないのでここでは省略するが,観測期間中,別の晴れた日に摩周湖から立ち上る虹を見ることができた(写真)。やはり私には神秘が感じられたひと時であった。ちなみに後日談ではあるが,観測データでは期待したほどの温度差が見られず,霧に結びつけるにはより精密な観測が必要かと考えていた時に,ある先輩から「気持ちはわかるが,神秘なものを神秘なまま残しておくのもいいのでは」という冗談交じりのことばをかけられて妙に納得したものである。幸か不幸か遠い観測地ゆえ,その後の観測はなされずじまいであったが,あれから誰かロマンを持った(?)研究者が摩周湖を訪れているのであろうか?



(加藤央之)


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