日大 地球システムのスタッフブログ

日本大学文理学部 地球システム科学科 のブログアーカイブ

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加藤先生インタビューの後編。生活に身近なお話がてんこもりです。



―――地球温暖化問題はかなり世間の関心も高い問題だと思うのですが、そういった研究をなさってきて感じること、訴えたいことはありますか。

 この研究が始まった当時、1988〜89年くらいだったかな、科学者の間で地球温暖化が問題として騒がれ始めたのですが、アメリカが乗り気じゃなかったんですね。でもある年、アメリカに大干ばつが起こって、それによってやっとアメリカも本気になって考え出し、世界的なトピックスとなったと思っています。でも世の中の人は、その後10年くらいは半信半疑でね。「地球温暖化はウソだ!」なんて書いてある本が出たりしまして(今も出ていますが)、事の重大性に気づいてなかったんですね。最近はまぁ意識が高まってきていますけど。

 人間というのは、例えば自分の住んでいる地域に工場の煙突があって煙たく感じたり、有害物質が出ていることがわかって直接的に自分が被害をこうむったら大騒ぎしますね。でも地球温暖化というのはそういう短い時間スケールの話ではないでしょ。自分の子供とか孫の代に影響が起こるという遠い先の話であって、その子供がどうなるのかということを考えていかなければならないんですよね。考えて、対策を練っていくのが人間の役割。科学者は世の中に警告していかなければならないんですね。温暖化問題はこれまでずっと訴えてきて、だんだん認識が高まってきたのは嬉しいことですが、まだ意識していない人もいるから、科学者としてまだまだ警告し続けていかなければと感じていますね。


―――これから地球温暖化問題について研究していきたいと考えている学生たちに、どのような一歩を踏み出してほしいと思いますか。

 ひとつは、東アジアとか日本といったローカルな地域での温暖化予測をやってもらいたいですね。そしてもうひとつは、地球温暖化が及ぼす生物とか社会生活への影響を正確に理解してもらいたいと思います。正確に理解しないと対策も考えられない。一人だけで研究を進めるのはたいへんな仕事なので、それぞれが部分部分を担って研究してもらいたいですね。

 温暖化問題は注目度も高いですから、やりがいのある研究ができるというのもいいところですね。温暖化予測は多くがグローバルな視点で行われているけど、以前、日本という地域を対象とした研究をしたら、新聞に載ったりニュースステーションで解説を頼まれたり・・・ささやかな自慢話ですが(笑)。地域を限定すると、世間も身近に感じてくれるようになりますね。


―――確かに…。局地的に実感できると反応するというのはよくわかりますね。
私の友人が仕事の関係で茨城に住んでいて、去年のお盆の頃に自分の実家がある愛知に帰ったそうなんですね。そしたらもうものすっごく暑くて暑くて、蝉がじゃんじゃんじゃんじゃん鳴くって言ってまして。

 あぁー、あの辺はもとから暑いですよね。


―――それで彼女は、このままでは地球が壊れてしまうと感じて、今まで以上にゴミの分別をきっちりやるようになったんですよ。人が捨てたゴミを分け直したり。

 ハハハハ!えらいっ!!最後に言いたいのはそこですよ。最終的にはね、科学者がどう対策していくか考えるより、ひとりひとりの個人がどうするかなんですよね。京都議定書を受けてCO2削減を目指して産業界は結構努力しているのに、できていないのはむしろ個人個人の社会生活なんですよ。民生部門のCO2排出量がどんどん増えている。

 よく小さいときから、部屋にいないときはもったいないから明かりを消しましょうと言われてきたでしょ。そういった心がけがすごく大事で、省エネがCO2削減につながるってことをよく知っておいてほしい。それと、ものを作るのにはエネルギーが使われていますね。例えばコップ一杯の水を浄化するのにも石油等のエネルギーが使われて、CO2が排出されている。だから水をジャージャー出しっぱなしにすることは、CO2をどんどん排出しているのと同じことなんですよね。そのようなことを意識してほしいですね。そしたら民生部門のCO2排出量は減っていくはずだし、省エネ意識が環境問題への貢献になっているんだと感じることができる。


―――先生ご自身は、普段どのようなことに気をつけていらっしゃいますか。

 やはり電力に関わる研究所にいたから、電気の使い方に関しては特に気をつけますよね。こまめに消したりとか。ひとりひとりがそういった小さいことをやるべきなんですね。こんなの微々たるものだという意識じゃなく、日本の1億人がやれば効果が生まれると意識しないといけませんね。
 このような話は授業や外部でも時々するんですが、一番反応があるのが小学生対象の講演会ですね。地球温暖化についてかみ砕いて話して、最後に「じゃあ私たちに何ができるんでしょう」と問いかけて、電気をこまめに消すとか物を大切にするといったことを話す。そうすると後から小学校からお手紙が来て、子供たちが家庭でちゃんと実践してくれているって書いてあるんですね。ああいうのはやはり、嬉しいですよね。大学生くらいになるとあんまり反応してくれなくて(笑)。


―――(笑)。 これから大学に入ろうとしている高校生へ、メッセージをお願いします。

 いま「理科離れ」が叫ばれていますが、昔に比べて小さいときに実験をやったり理科的な素材に触れる機会が減っているから、必然的な流れだと思うんですよね。ぜひ外に出て、見えるものに興味を持って欲しいと思います。変わった地形だな、でも、珍しい雲があるな、でもいいから。興味を持ったらそれに対して「なぜだろう?」と考えてみる。それを突き詰めていくといろんなことがわかってくるんですが、要はそれが研究なんですよね。科学をテーマにしたある本のサブタイトルに「驚く・疑う・考える」というのがあったんですが、是非それを実行してほしいと思います。
 あと、良い科学者というのは良い芸術に触れているものなんです。ただ知識を膨らませようとしている研究者は成功しません。良い研究者は良い芸術に触れて、感性が磨かれて、アイデアが豊かになる。研究者はみな同じくらいの知識のレベルがあるのだから、アイデアを生み出せるかどうかで差がつくんですよ。アイデア無しでは研究になりませんからね。


―――先生が触れている芸術は何ですか。

 私のご趣味は写真を撮ることです。若いときから、年寄りじみたことに仏像巡りが好きで、その延長で鎌倉のお寺の花の写真を撮り続けています。写真の腕を上げておくと、研究発表で掲載する写真もいいものが載せられるし、趣味と実用を兼ねていると思っています。


―――なるほど。貴重なお話をどうもありがとうございました!


(インタビュー後記)
世間の関心の高い地球温暖化について研究していらっしゃるので、生活と研究が深くかかわっているのですね。「警告を発するのが科学者の仕事」というお言葉はとても印象的でした。
加藤先生、お忙しい中ありがとうございました。

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