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火砕流は流れている途中で重い石のかけらは流れの下の方に集まり,ガスに富む軽い部分は上の方や周辺に集まります.このガスに富む部分はしばしば火砕流の本体から分かれて独立した流れとして広がります.このような流れは火砕サージとよばれます.火砕サージは高温の砂嵐のようなもので,6月3日の噴火でもこの火砕サージに巻き込まれて亡くなった方が多かったのです.しかし,噴火の最中には立ち上る噴煙に隠されて火砕サージが発生したかはわかりません.このため,噴火活動が収まってから,被害を受けた地域を調査して火砕サージが通過したかを判断します. 上の写真の家にはほとんど火山灰は積もっておらず,破壊されたり焦げたりした部分などなく,無傷のように見えます.しかし,良く見ると何か変です.そう,雨どいが曲がっているのです!つまり,この地点では家が燃えるほどではなかったものの,塩化ビニール製の雨どいは変形してしまうほどの高温の火砕サージの熱風が通りすぎたのです. 下の写真は葉たばこの畑の畝の部分を掘った時の断面の写真です.畝であることは高まりの部分が農業用ビニールで覆われていることからわかります.ご覧のように,確かに畝の上の部分にはあまり厚く火山灰は積もっていませんが,畝と畝の間の低い部分には火山灰が厚く積もっています.よく見るとこの地点には何層もの火山灰の層があり,この畑は火砕サージに何度も襲われたことがわかります. このように,火山噴火の被害地の調査の仕方にマニュアルはありません.まずは発生している現象を詳しく観察し,なぜそのようなことが起きたかを考えるしかないのです. 宮地直道
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2008年05月31日
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