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「金石学 一名 鉱物学」という明治17年発行の古い本を入手しました(写真上,下).金石学(きんせきがく)とはもともと古代の金属器に刻まれた文章や絵を研究する学問ですが,ここでは鉱物学を意味しています.この本を書いた小藤文次郎(1856-1935)は日本の岩石学の父と呼ばれ日本の地質学の礎を築いた人物で36年間,東京大学理学部地質学教室の教授を務めました.この本は小藤がドイツ留学から帰国した直後の28歳の時に書いたもので,前半はその当時の世界の最新の鉱物学の知識がまとめられています.本の最後には国産で販売している岩石薄片や偏光顕微鏡は無いので必要とする人はドイツ製のものを購入することなどが書かれており時代を感じさせます. 注目すべきは後半部分で,日本はどうして地震や火山噴火が多いかを論じています.この中で,地震は地球の中心の溶けた部分が収縮する時に地殻に断層ができ,その時に発生するのではないか,というアイディアを出しています.この考えは1891年に発生した濃尾地震で根尾谷断層が地表に現れている様子を観察し,より確信したようです.そして,この問題を解決するために,そもそも日本列島がどのようにして成立したかを研究しましたが,残念ながら小藤自身が地震の発生メカニズムを解明することはできませんでした. この本を読むと小藤は日本の地質学を早く外国並みにまで引き上げたいという意気込みを感じます.これは明治時代初期の若者に共通するものかもしれませんが,海外との交流を深め自分の視野を広げる姿勢は現在の私たちと共通のもののように感じます.本は古ぼけていましたが,明治時代の若者の熱い思いを伝える一冊でした. 宮地直道 |
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2011年06月28日
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