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日本大学文理学部 地球システム科学科 のブログアーカイブ

地球の見所(国内編)

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群馬県は富岡に行ってきました.
明治5年に造られたというその製糸場は,
清流鏑川のほとりに、今もその当時の姿のままです.
吹き抜けを流れる風,建物の陰の湿った空気までもが,
静かに,明治のままです。
世界遺産暫定リストに記載されて一躍有名になった
この木骨レンガ造りの建物は,
明治,大正,昭和,平成と,
日本の文明開化,戦争への道,戦後の復興,
そして,バブル経済の崩壊を見続けてきたのでしょう.
赤レンガの古さがその歴史を語っています.
ふと気がつくと,北側の壁にある赤レンガは
精精50年ほどの古さしか感じられません.
北側の壁の赤レンガたちは130年以上にもわたって,
一度も太陽の光を浴びたことがないのです.
朝日を浴びる東の壁,昼の陽光を受ける南の壁,夕日に輝く西の壁,
そして,これからも決して日の光を浴びることがないゆえに
まだまだ古びもしないであろう北の壁.

このあたりまえのことが,なぜか気になって,
なぜか気になったまま,富岡を後にしました.
                       小坂和夫
          (文化財の保護に興味を持っています)


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以前に水準測量に行ったと報告した御嶽山ですが、御嶽山自体が写っている写真を紹介し忘れていましたので火山活動の近況とあわせて補足したいと思います。

現在は活火山と広く認識されている御嶽山ですが、少し前まで噴火しない死んだ火山だと思っている人が大方だったそうです。1979年に有史以来初めての噴火をして、「まだ生きている火山なんだ!」とみな驚いたそうです。長い休眠を経て噴火する火山もありうると、火山噴火周期の多様さを考えさせられる噴火だったわけです。
そんな御嶽山で2006年12月−2007年3月に微小地震や山体の膨張などが観測され、火山活動が活発化しているとの情報が伝えられました。さらに気象庁の現地調査の結果、火山灰も発見され小規模な噴火が発生していたことが確かめられました。
その小噴火から丸1年。御嶽山を眺めると、まだ噴気が上がっています。しかし我々の測量では2007年から2008年の1年間で有意な膨張は検出されず、活動が再び活発化するような兆しは無さそうです。

写真は上から順に噴気を拡大

村瀬雅之

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八十八夜

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「♪夏も近づく八十八夜・・・」という歌をご存知ですか?八十八夜は立春から数えて88日目のことで,お茶の葉の収穫が盛んに行われる時期にあたり,この歌は茶摘みの様子を歌ったものです.今年は5月1日が八十八夜にあたります.

静岡県中部の牧の原台地はお茶どころである静岡県内でも最大の茶の生産地と知られ,写真のようにこの時期はいたるところで茶の収穫作業が行われています.お茶は健康飲料として私たちの生活に欠かせません.しかし,「おいしい」お茶を作るために,長年1m2あたり100g程度の窒素肥料が施されてきました.この量はお米を作るのに必要な窒素の約100倍にあたります.しかもお茶の場合,窒素肥料は樹の間の狭い通路にしか撒かれないので,とても高濃度になります.

しかし,お茶の樹に吸収される窒素はこのうちの2割程度なので,吸収されなかった窒素の多くは土の中で硝酸という有害な物質に変化して,降雨とともに地下にしみ込み地下水を汚染することになってしまいました.消費者のおいしいお茶の要望に答えるか,環境保全を進めるか,農家の人たちは悩みましたが,安心安全なお茶を生産するために,10年ほど前から窒素肥料を減らす運動がはじまりました.おいしい新茶を味わいながら私たちの生活と環境の調和について考えてみませんか?

宮地直道


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美唄湿原(その3)

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1970年代まで,美唄湿原の周辺は水田地帯でした.しかし,米の消費が落ち込み,米の生産が制限されるにつれ,水田はどんどん畑に代わりました.水田では栽培期間中は水を張るので地下水位は高く維持されていますが,畑は土地を乾燥させて使うので地下水位は低下します.しかもトラクターで泥炭を削りひっくり返して分解を進めるため,急速に地盤沈下が進みます(写真上).このような地盤沈下は特にミズゴケが作る泥炭では顕著です.

泥炭は分解すると多量のメタンガスを発生させます.メタンガスは地球温暖化の原因物質であり,世界的にその排出の削減が求められています.一方,水田は地下水位が高く維持されるので,地盤沈下やそれに伴うメタンガスの多量の発生の心配はあまりありません.

一方,美唄湿原では畑地側は地下水位が低下して乾燥化が進んでいますが,水田に面している方は地下水位が高く維持されているため乾燥化が抑制されています(写真下).

地球環境保全のためにも残された湿原を保全するためにも,地盤沈下を発生しやすい泥炭地は極力水田として利用することが必要です.そのためにも米の消費拡大は大切です.皆さん,お米をもっと食べましょう!

宮地直道

美唄湿原(その2)

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水の固まりである泥炭地を人間が利用するためには,まず排水して地盤を固めなければなりません.排水すると泥炭は収縮するので,地面は急速に低くなります.これが地盤沈下です.泥炭地での地盤沈下には排水によるものと,排水後に泥炭が空気に触れて分解してしまうものの2種類があります.最近の沈下はもっぱら後者によるものが多いようです.

美唄湿原の周辺の泥炭地は開発が進んだ1960年代から1990年代までに約30年間に3m沈下しました.泥炭地に多量の土を乗せたり杭を打ちこんだりして家や道路を作ったり水道管を埋めると,その部分はあまり沈下しませんが,その周囲が乾燥化するとじわじわと沈み,見かけ上,これらの施設は抜け上がった状態になります.

泥炭地の中の道路を走るとしばしば見慣れない道路標識に出会います(写真上).この凹凸注意の標識は地盤沈下が不均一に起きて道路が波打ったり段差が生じたりした場所にあります.さすがに最近はあまり見かけませんが,少し前までは家や電柱が傾いたりした場所が石狩平野の泥炭地では見受けられました(写真下).泥炭地に立つ古い家では家具を動かしただけ家のバランスが崩れ家は傾くので動かせないという話を聞いたことがあります.泥炭地で暮らすには細心の注意が必要です.



宮地直道



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