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上の写真:チリー側からみたタータサバヤ火山の遠景.タータサバヤ火山はボリビア領の火山である.タータサバヤ火山は大規模な山体崩壊を行っており,山麓の広範囲に流山地形が残っている. 中の写真:カリキマ火山.カリキマ火山は氷河侵食を受けたやや古い火山である. 下の写真:山麓の集落(ビラブランカ村)からみたカリキマ火山.中央に集落の教会がみえる.カリキマ火山ののっぺりとした表面は,おそらく氷食によるものである. つづく(高橋正樹) |
地球の見所(海外編)
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コルチャネの集落を後にしたわたしたちはアルティプラノを一路南下し,ビラブランカをめざした.ビラブランカは,カリキマ火山の山麓にある小集落である.わたしたちはこの小集落の集会所をねぐらにして,周辺の火山の調査を行うのだ. イキーケの町を離れ,アルティプラノに到着してからすでに4日以上が過ぎている.わたしたちの運び上げた食料も日数が経ち,肉類ははや腐り始めやや異臭を漂わせるようになっていた.また,パンやチーズも乾燥気候のため,石のように硬くなってしまっていた.野菜といえば,もはやアボガドしか残されていない.肉類は炒めたが,あまり食欲の湧くような代物ではなかった.早くイキーケの町に戻り,まっとうな食事がしたい.ここはがまんのしどころである.あと数日間,こうした食事に耐えなくてはならない. 今は中部アンデスも冬である.だいぶ南下してきたので,標高4000mの高地の夜は相当に冷える.夜になれば,夜空は満天の星空である.日本ではみることができない南十字星もみえる.ただし,外は突き刺さるような寒さで,ほとんど冷凍庫状態である. レンガ作りの集会所の中は電気も暖房もないので,土間の上に組み立てた簡易ベッドに冬用の寝袋を二重に重ね,持っている衣類をほとんどすべて着込んで寝るのだ.寝袋の中には持参した手もみ懐炉をいくつか投げ込んである.それでも,夜は寒くなかなか寝付かれない.寒さで震えが止まらず,歯ががちがちと鳴るのだ.気温は氷点下20度近くまで冷え込む.人生で初めての経験である.凍え死なないことを願って眠りに着く.早く朝になってほしい. つづく(高橋正樹) |
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ニュージーランド北島には魅力的な火山と地熱地帯がたくさんあります. 以前,6週間ほどかけて北島の火山を巡ったのですが,とても素晴らしかったので,少しずつご紹介したいと思います. ニュージーランドの火山 タウポで宿泊したB&B (Bed and Breakfast)は,タウポ湖が見下ろせる高台にあって,外装もインテリアも素敵なところでした.老夫婦が経営するB&Bで,あたたかく出迎えてくれました.ティータイムの後,ご主人はレースの練習の時間だといって,湖に泳ぎに出かけていきました.さすが,鉄人レースで有名なタウポです. タウポ湖(上の写真)は過去に巨大噴火を繰返してきた眠れるスーパーボルケーノです. 1800年ほど前にタウポの火山が大規模な噴火をした際に,大量の軽石や火山灰が噴出して火砕流となって四方に流出しました.その時の火砕流の堆積物は今でもタウポ湖周辺の白っぽい崖で見ることができます.タウポ湖岸を散策すると,水に洗われて円くなった軽石がたくさんみつかります.B&Bの小奇麗なバスルームにも軽石が置いてありました(下の写真).湖岸で拾った軽石は地球システム科学科3階にも展示してありますので,機会がありましたら見てみてください. 安井真也 |
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イスルガ火山から噴出した安山岩溶岩の薄片顕微鏡写真. 視野直径は2.2mm.
上の写真:オープンニコル.画面上部の透明の四角形の鉱物は斜長石,画面下部の左側の褐色でひし形の鉱物は角閃石,画面下部中央の褐色をした四角形の鉱物は黒雲母の斑晶である.
中上の写真:上記の薄片のクロスニコル.斜長石には反復累帯構造が発達している. 中下の写真:安山岩に含まれるかんらん石の斑晶.画面左下および右上に褐色の角閃石の結晶がみえる. 下の写真:上記の薄片のクロスニコル. 中部アンデスの安山岩の多くは角閃石安山岩であり,黒雲母を含むことも希ではない.また,これらの含水鉱物と石英およびかんらん石が共存しており,含水鉱物と石英を含むマグマに,かんらん石を含むマグマがマグマ混合したと考えられる. つづく(高橋正樹) |
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イスルガ火山は標高5500m,底面の長径10km,比高1200mの裁頭円錐台型の成層火山であり,チリーとボリビアの国境付近に位置している.イスルガ火山の東側のボリビア国内には,大規模な山体崩壊による岩屑なだれ堆積物で有名なタータサバヤ火山がある. 火山体は中腹以下に発達する多数の大規模な安山岩質ブロック溶岩流と,火山体上位を占める火砕丘からなる.溶岩流の大部分と火山体上部の火砕丘には氷食地形がみられないので,氷河の発達が終了した1万年前以降に形成されたものと考えられる. 山頂には東西に複数のクレーターが並んでおり,そのうち最新のものは西側に位置する.全体としては浅間前掛火山と似た印象である.直径500mの最新火口からは絶えず白色の噴気が上がっており,この火山が活火山であることを示している. わたしたちは南麓で,厚さ1m程度の中間型火砕流堆積物を発見した.溶結して固く,柱状節理が発達していて溶岩のようであるが,最上部が赤色酸化しており,内部は固くしまった暗灰色マトリックスとやや発泡して潰れた黒色楕円体の本質岩片からなる.全体として浅間前掛火山の吾妻火砕流堆積物と良く似ている.イスルガ火山が,火砕流を噴出する爆発的噴火を行う火山であることがわかる. 中部アンデスのほとんどの火山は安山岩から構成される.安山岩は英語でandesite(アンデサイト)と表記されるが,これはandes + ite,すなわちアンデス+岩石を意味し,andesiteとはアンデス岩のことである.アルティプラノは安山岩発祥の地であり,ここの安山岩は元祖安山岩ということになる. 標高4000mを越えるアルティプラノは,チベット高原と並ぶ現在の地球上の2大高地である.アルティプラノの地殻の厚さは70kmにも及んでおり,チベット高原と並んで地球上で最も厚い.チベット高原との違いは,アルティプラノの場合,多数の火山が高原上に噴出していることである. イスルガ火山の調査を終えたわたしたちは,アルティプラノをさらに南下する. つづく(高橋正樹) |


