日大 地球システムのスタッフブログ

日本大学文理学部 地球システム科学科 のブログアーカイブ

地球の見所(海外編)

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オーストラリアを車で移動していると,一枚目の写真のような風車をよく目にします.
風車がクリーンエネルギーの一つである風力を利用するものだということは,
皆さんもご存知だと思います.
では,何のためにこのような場所に存在するのか知っていますか?
この風車,もしかするとあなたの生活と大きく関わっているかも知れませんよ.

風車により得られるエネルギーは,地下水の汲み上げに使われています.
これまでにもお話ししてきましたが,オーストラリアはとても乾燥した大陸です.
このため,牛や羊といった家畜を飼育する上で,
飲料水としての地下水は欠かせないのです.
写真をよく見ると風車の脇にタンクがありますよね.
このタンクは家畜の水飲み場に繋がっており,
家畜がいつでも地下水を飲めるようになっています.

我々の生活とどう関係するのかって?
今年の冬お世話になったセーターや先日食べた牛丼は,
オーストラリアから輸入された羊毛や牛肉かも知れませんよ.

日本から遠く離れた場所のクリーンエネルギーと地下水は,
陰ながら我々の生活を支えているといえるかも知れませんね.


山中 勝



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大陸移動の証拠

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皆さんはご存じですか?はるか昔,オーストラリア大陸は南極大陸と陸続きであったことを.
どれくらい昔かというと,今から2億年以上前のペルム紀と呼ばれる時代です.
このようなことをはじめて唱えたのはアルフレッド・ウェゲナーという人です.
この名前を知らない人も“大陸移動説”という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか?

そのことを示す証拠の一つがオーストラリア大陸南部
Adelaide郊外にあるHarrett Coveに残されています.
写真はその証拠を示したものです.
一見すると何が証拠なのか判らないでしょう?
証拠とはこの写真にある岩盤についた傷です.
これは“擦痕”と呼ばれるもので,氷河が移動する際に
氷河の底に引っかかった岩石との間で擦れあうことで岩盤にできた傷なのです.
この擦痕は,この地がはるか昔に氷河の存在する寒い地域,
すなわち南極大陸と陸続きであったと証拠といえるのです.

また,“擦痕”のついている向きは氷河の移動方向を表します.
写真の場合,奥の海側から手前に向けて南極大陸からの氷河が移動したと考えられます.
オーストラリアのみならずアフリカ南部,南米,インドに残されている“擦痕”の方向から,
当時の南極点からの氷河の移動を合理的に説明することができるそうです.

一見すると何の変哲もない単なる岩盤の傷ですが,
これが大陸移動を示す証拠になるとは
なかなか興味深いと思いませんか?


山中 勝


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自然は偉大な彫刻家?

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オーストラリア中央部にはDevils Marbleという奇岩群が存在する場所があります.
一枚目の写真はこのDevils Marbleの巨石です.
これは花崗岩でできていて,大きさは3m程です.
卵状の巨石はうまくバランスを保ちながら立っており,今にも倒れんばかりに見えます.

この巨石,誰かがここに置いたのでしょうか?当然,そうではありません.
では,写真の右側から転がってきて,
偶然にもバランスを保ちながらピタリとここで止まったのでしょうか?
残念ながらこれも違います.
実はこの巨石,下の土台となっている巨石と繋がっているのです.
すなわち,下の巨石を含めた大きな巨石から
風化を受けて最終的にこのような形となったのです.
玉ねぎの皮が剥けるように風化していく様から“玉ねぎ状風化”と呼ばれています.
よく見ると,土台の巨石やこの卵状の巨石に風化によって捲れつつある部分がありますね.
これが“玉ねぎ状風化”です.
風化によってこのような形ができたとは,なかなか俄には信じ難いかも知れませんが,
周りの岩石を観察するとこれが納得できます.
二枚目,三枚目の写真を見ると,何となく風化によってこの奇岩ができたことが納得できませんか?
巨石に割れ目が入り,徐々に風化により丸くなっていく様子がわかるかと思います.

この卵状巨石ができた過程が理解できたとしても,
やはりこのようなものが自然によって造られるというのは驚きです.
絶妙のバランスで立っている姿を見るに,
ひょっとすると彫刻家でもこのような形を作るのは難しいのでは・・・?と思ってしまいます.
そういう意味では自然は偉大な芸術家といえるかも知れませんね.


山中 勝


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オーストラリアで最も有名な場所といえば
一枚目の写真にあるエアーズロック(別名ウルル)でしょう.
広大な荒野に悠然と姿を現すこの一枚岩は
オーストラリアRed Centreの象徴であり,
その姿から「地球のへそ」と形容されることもあります.

写真ではその大きさがなかなか実感できないと思いますが,
高さは348m,これを一周するトレイルは9.4kmもあります.
ゆっくり観察しながら歩いた私は一周するのに3時間半もかかってしまいました.
この大きな一枚岩は砂岩という堆積岩でできています.
写真を良く見ると縦に沢山の筋が見えますね.
長い期間にわたり雨・風の風化を受けることで
この岩の堆積構造がこのような筋となって表れています.
地層は水中で水平に堆積しますので,
この情報から砂の地層が堆積した後,
地殻変動を受けて90度ほど傾いたということになります.

このエアーズロックから45kmほど離れたところには
二枚目の写真のオルガ岩群(別名カタジュタ)という巨岩群があります.
こちらの周囲も歩いてみたところ,
エアーズロックの砂岩よりも粒子が大きい礫岩が目につきました(三枚目の写真).
さて,こちらの堆積構造はどうでしょう・・・?

皆さんも景勝地では地球科学的な目で観察することを
心がけてみてはいかがでしょうか.
これを繰り返すうちに他の人が気付かない
何かが見えてくるかも知れませんよ.

山中勝


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台湾の軟玉

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台湾のお土産として翡翠製品が多く見られます.翡翠は硬玉と軟玉の2種類があり,台湾は軟玉の産地だからです.一般的に翡翠というと硬玉を意味することが多いかと思いますが,台湾や中国では軟玉も人気です.週末には,台北市で大きな玉市(軟玉の市場)が開かれ、大変にぎわいます(写真1・2).もし、台北に週末行く機会があれば行ってみると面白いと思います.

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台湾の軟玉は石綿と共存して産出します.写真3は台湾大学地質標本館所蔵の軟玉と石綿の共存する標本です.

標本には以下の様な説明文がついていました.


1932年に日本人の中島さんが台湾東部の豊田村(現在:花蓮県寿豊郷)で石綿(アスベスト)の露頭を発見し,1937年に石綿鉱業所が創設され1944年まで石綿鉱山としてにぎわいました.日本人は石綿ばかりに目を取られていましたが,実は採掘後のくず石の中には軟玉が豊富に含まれていました.日本敗戦後にくず石から軟玉が発見されて以降,軟玉の産地として再び有名になりました.この軟玉を、産地である豊田村の名を冠して別名豊田玉といいます.

(ご注意:中国語能力に乏しい私が中国語説明文を翻訳(意訳)したので,正確ではないかもしれません.)



軟玉の発見に日本人も一役?かっているのですね.面白いエピソードだと思いませんか?

村瀬雅之


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