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石垣の地質学,第2弾は軽井沢周辺でよくお目にかかる石垣です. 浅間山が平安時代(天仁1108年)に大噴火をした際に,火砕流が流出しました. その時の堆積物は山麓に広く分布しています.その追分火砕流堆積物に含まれるブロックが掘り出されて石材として利用されているのです.地元では“浅間石”,“焼け石”などと呼ばれ,石垣の他,園芸用の鉢や小型の石灯篭などに加工されています. 上の写真は追分火砕流堆積物の露頭の例です. 画面左手のスケール(約40cm)の位置に大きいブロックが見えます. 天仁噴火についてはコチラをどうぞ. 安井真也
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自然観察レポート
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宇宙から見た地球,飛行機から見た地形,富士山頂からの眺め,顕微鏡下の化石や鉱物などなど,いろんなスケールで自然を観察!“地球”を研究する面白さを感じてください
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川岸や海辺の砂に磁石を近づけると,砂鉄と呼ばれる黒いものがくっついてきます. 砂鉄の正体は,磁鉄鉱やチタン鉄鉱という鉱物です. これらの鉱物は,火成岩,特に深成岩に多く含まれています. 西日本では,深成岩の一種である花崗岩が広く分布していて,これらが風化して出来る砂鉄を多く含んだ真砂(マサ)を用いた“たたら製鉄”が古くから行われていました. 宮崎駿のアニメ「もののけ姫」でサンとモロにおそわれる施設が,「たたら場」といわれる製鉄所です. おかみさん達が大きなフイゴを踏んでいるシーンがあったと思いますが, あれがたたら製鉄の風景です(少し大袈裟にかかれている様です). 島根大学で学会が行われた際,このたたら場のモチーフとなったと言われている島根県の吉田村(現・出雲市吉田町)を訪れました. たたら場の雰囲気が残されていて,歴史資料として非常に貴重な場所でしょう が,なんと言っても,宮崎ファンの私としては宮崎ワールドの一端を肌で感じ感動的でした. 話が逸れましたが, この砂鉄を磁石の周りに振りまくと,その磁石が発生する磁場の様子,磁力線の形が浮かび上がります. 1枚目の写真は,紙の下に棒磁石を置いて,紙の上に公園の砂場から採ってきた砂鉄を蒔いて描いたものです. ご存じのように,地球にも磁場があり,地球を取り巻いています. ごくごく簡単に言えば,その地球磁場は小さな棒磁石を地球の中心に置いた様なものです. 宇宙空間に砂鉄をばらまけば,現在の地球磁場の様子がわかるかもしれません が,そうもいきません. 地球磁場の様子は様々な計算により求められていて,最近ではGoogle Earthを用いて,いろいろな人により可視化されています. 2枚目の写真は,京都大学の能勢正仁さんのサイト のデータを利用して描きました. やり方は簡単です. 地磁気のデータをダウンロードして,Google Earthで開いてあげるだけです. 地球磁場は強くなったり弱くなったり,また逆転してしまったりします. 岩石が形成される時に,磁鉄鉱などの鉱物はそのときの地球磁場を反映した磁石になります. 地球磁場の強さと地表に届く太陽放射には関連があったりもしますので,昔の地球磁場を知ることは,昔の地球環境を知る手かがりにもなります. このような性質を用いた研究分野を古地磁気学といい,プレートテクトニクスなど地球の諸現象の研究に多くの成果を残しています. 金丸龍夫 |
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百聞は一見にしかず!ということで 「実は身近な貝形虫」をアピールしようと思い 構内にある池に貝形虫のサンプリングにいってみました. そう!貝形虫というのは 水のあるところにはどこでもいる生物なのです. サンプリングといってもピペットで水と水草を吸い込んでくるだけです. シャーレにとられた水の中に なにやら蠢(うごめ)く物体を肉眼で確認. 「これならいける!!」っと思って いそいそと研究室に持ち帰り顕微鏡で確認してみました. ところが・・・ 残念な事に貝形虫はお留守のようで. 最初からいないのか サンプルの中にいなかったのか 何故かはわかりませんが. 無謀な試みかな〜っと思いつつも 私は構内で必ず貝形虫を発見するつもりでいますよ. 中尾有利子 |
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野外調査は辛いもの.耐えるもの. だからこそ,そこで得てきたデータは貴重なもの. この身一つで草をかき分け雪を掘り,目前の巨大な滝をよじ登り, 激流にもてあそばれながら,前へ.只々前へ. その先にはパラダイスがあろう. 私は大学の先輩方や同輩にそう教えられて育ちました. おそらくちょっと昔まで,地質学を志した人はそう育ったのではないでしょうか. スポ根などという言葉が古語になってしまった現在, すっかり自ら望んで野外調査に行くような人は減ってしまった様です. かくいう私も,毎年この時期には「梅雨が明けたら・・・」とメラメラ燃えているのですが, 時間がないとかなんとか言い訳をして,車でちょこっと行ける様なところまでで調査を済ましてしまったり・・・. 今年こそは,長年やり残した場所へ行き着きたいと思っています. 調査に付き合っていただける方,大歓迎です. ただし,汚れても構わない長袖長ズボン,ヘルメット,ゴーグル,軍手,トレッキングシューズ,良いカッパに大きめのザックくらいは用意してください. そうでなければ,勝負する前に勝負は決まってしまいますから. 金丸龍夫 写真は,先輩のお手伝いにかり出された真冬の猪苗代と,
調査じゃなく趣味で言っているんじゃないかと言われていた晩秋の丹沢. 私が元気だった頃の調査の様子です. |
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卒業式も無事終わって,大学は今春期休業真っ只中です.このような長期の休業期間,大学の教員は一体何をしているのでしょうか・・・?もしかすると多くの皆さんが疑問にもたれる所かも知れません. この期間の使い方は教員それぞれですが,主に各教員が行っている“研究”や新年度の授業準備といった“学内業務”などに充てるというのが実状だと思います.現在,私は自分の“研究”において重要な位置を占める“分析”を行っています.一枚目の写真のようなガラス真空ラインというガラスの管を使って,炭酸塩の試料から二酸化炭素ガスを精製しているのです. 分析を行っている炭酸塩試料は沖縄県の宮古島で採取したものです.宮古島というと二枚目の写真にあるような美ら海と白い砂浜を想像される方も多いでしょう.このビーチは宮古島の観光スポットとして知られ,観光パンフレットなどにも写真がよく掲載されています.このビーチの左側にはアーチ型の白っぽい岩が見えますね.この岩は石灰岩という主に炭酸塩からなる岩石で,宮古島はこの石灰岩でできている島なのです. さらにもう一枚宮古島の写真をお見せします.この写真の手前の休耕地には先ほど説明した白色の石灰岩の礫が,その奥には宮古島で広域的に栽培されているサトウキビが,そのまた奥には森林がそれぞれ写っているのですけれど,分かりますか? 少し話がそれましたが,現在分析を行っている炭酸塩試料は,宮古島で採取した石灰岩とともに,サトウキビ畑と森林域の土壌有機物,地下水といった様々な形態のものから抽出したものなのです.これら炭酸塩試料から二酸化炭素ガスを精製した後には,質量分析装置という分析機械にかけて炭素の「重さ」*を測定します.この「重さ」のことを同位体組成といいます.野外において地下水中に含まれる炭素(溶存無機炭素)は,主に石灰岩の溶解と土壌有機物の分解にともなって供給されます.サトウキビ由来および森林由来の有機物,石灰岩はそれぞれ異なる炭素の同位体組成を持ちますので,これを指標とすることで地下水の溶存無機炭素がこれら三つの起源物質からそれぞれどれ位もたらされているのかを定量的に見積もることができるのです.ちょっと難しかったですかね・・・. えっ?その分析っておもしろいのかって?う〜ん.単調な作業ですから決しておもしろいものではないというのが正直なところですね.でも,この分析を通して得られた数値データをもとに,野外ではどの様なことが起きているのだろう?と色々考えを思い巡らせるときはとても楽しく,またデータ値を上手く説明できるような結論に辿り着いたときは本当に嬉しいものです.この研究で一番“美味しい”ところを味わうべく,また未だ知られていない野外で起きている現象(真実)を知るべく,現在コツコツと分析を行っているわけです. 大学教員が行っている“研究”というものについて,少しはおわかり頂けたでしょうか? *厳密には正しい表現ではないのですが,分かりやすく表現するために「重さ」という言葉を用いました.正確に説明すると少々難しいので,ここでは割愛します. 山中勝
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