内部被曝を論じるブログ

Bandazhevskyのデータを論じています。ご意見、間違い指摘などを頂けると嬉しいです。

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この補足記事では、Bandazhevskyの報告している、微量セシウム内部被曝による「高血圧」と、動物実験データ(「低血圧」)の不整合に関して、解釈を書いてみます。

最近知人から指摘されたのですが、Bandazhevskyのデータを信じられない、という方が意外に多いとのことです。彼のSwiss Med Weeklyの心筋症の論文を読んで、おそらく、次のような受け止め方をされる方がおられるのではないでしょうか?

(論文を読んだときに起こり得る否定的意見)「バンダジェフスキーのデータは、何一つ再現されていない。動物実験で、心電図変化も再現されていなければ、バンダジェフスキーの高血圧との報告も、ラットでは低血圧だ!これほど何もかも再現されないのだから、デタラメに決まっている!」

これは、まあ、(込み入ったメカニズム論に立ち入る必要もないので)データの読み方の問題なので、まず一番に見解を述べることの出来るポイントですね。少し解説を書かせていただきたいと思います。


ちょっとだけ、まず、個人的な体験談を書きますが、Bandazhevskyの論文を最初に私が目にした時、私も、同じように、いくつかのポイントに気がつきました。

かれのデータが、非常にユニークだったために、原発事故直後、動物実験との整合性をたしかめようと、文献検索を行い、Gueguenの論文に行きあたったお話は、以前の記事で述べました


2つの研究の整合性がきちんとしていれば、それがなによりなのですが、幾つかの、一見、不整合と思えるデータに、すぐに気がつきました。おそらくは、このあたりがネックになり、上記の意見のように、Bandazhevskyのデータを信じられない、と判断される方も、当時は多かったのではないでしょうか?



この補足記事で議論するのは、もう一点、大事なポイントで、血圧データの、見かけ上の不整合という問題があります。

Bandazhevskyは、高血圧になる(しかも血圧は少々不安定)と記しているのに、ラットの実験のGueguenの論文では、低血圧になる、と書かれています。これを持って、「ほら、Bandazhevskyは信用ならない」と、思ってしまわれた方もおられるかもしれません。

でも実は、私はこのデータをみた瞬間に、両方のデータが、どちらも正しかった、という、解釈が成り立ちうる、と考えました。

低血圧と、高血圧が両立する?まさか!
と、否定的な反応をされる方も多いと思います。

私は、医学生物学系でも、「実験」を手がける人間ですので、論文のデータを見た瞬間、まず第一に、そのデータが、どのような研究手段で得られたのか、という実験方法を吟味します。

Gueguenの方法は、観血的血圧測定法と言って、ラットの動脈にカテーテルを挿入し、圧トランスデューサー(圧センサ)といわれるものを接続し、持続的に血圧を測定する方法で、手の込んだ方法ですが、大変正確に、動脈血圧に関するありとあらゆるパラメータを、連続波形として測定することができます。
(図1)
イメージ 3


(「医療関係挿絵に使える無料素材」様から借用壊変)


この図のように、最高血圧(収縮期血圧)というのは、一番高い所の血圧になります。一目瞭然、簡単ですね。


一方のBandazhevskyのデータはどうでしょうか?

(じつは、このBandazhevskyという学者、ものすごく大事なデータを論文にまとめているのに、論文を書きなれていないせいなのか、論文執筆に関する、マナーというか、基本的な、「てにをは」が、ちょっと問題のある書き方の論文ではあります。方法論等の記述、データの処理や統計など。もちろん、これらの問題が重要ではないとは言いませんが、しかしながら、一方で、そういう、基本的な部分が、かれのこの分野に関する貢献を薄めるものであってはいけない、と、極力、私は個人的には思っています。問題はあれども、それほど、重要なテーマに関わるデータだと思っています。が、論文を読む学者によっては、このような細部の問題点を重要視する学者も多いと想像しますし、そういう批判的な意見は私も十分に理解できます。特に、放射性セシウム心筋症、という、従来理論からは逸脱した分野では、批判の声が強くなるとしても、宜なるかなという思いです。)

私は、学者として、この、新しい報告をきちんと説明するメカニズムに今は興味をもっているので、最大限、行間を追って、解釈を試みたいと思います。

論文中に詳細の記載がないのですが、おそらく、Bandazhevskyの論文の血圧測定は、「通常の血圧測定」がされたはずです。つまり、カフ(マンシェットと言います)を上腕に巻いて、動脈のコロトコフ音という、動脈の脈波音を、聴診器で聞き当てます。

ご存知ないかたのために簡単に原理を説明しますと、カフ圧が高い時には、動脈が完全にブロックされ、コロトコフ音は聴診されません。徐々に、カフ圧を下げていくと、ある圧を境に、明瞭な脈音が聞こえ始めます。これが、被験者の動脈圧の、最高血圧が、カフ圧に打ち勝った時点なので、最高血圧、と呼ばれます。
(図2)
イメージ 1
(「医療関係挿絵に使える無料素材」様から借用壊変)


健常人で、脈波が一定に、安定しているときは、話は簡単です。

観血的手法(図1)で計ろうが、カフ圧(図2)で測ろうが、同一の個体では、最高血圧は、変わるはずがありません。当たり前ですよね。同一人物なんですから。


ところが、血圧が少々不安定な時を考えてみてください。


どういうときに、血圧が不安定になるかというと、不整脈がでていたり、自律神経系に問題をかかえているときなど、脈圧が安定しないことが良くあります。

イメージ 2


この時、観血的血圧測定では、常時連続して、血圧を記録しているので、当然、「最高血圧(収縮期血圧)」は、脈波のピークからピークの、平均を、コンピューター上で計算して、収縮期血圧のパラメータとして記述する論文が多いのですが、一方、カフ圧で測定すると、どういうことがおこるでしょうか?

まあ、これは、測定者(医師であれ、看護師であれ)の、心理問題になってくるのですが、「コロトコフ音が聞こえ始めるポイントを持って最高血圧とする」という診断学の教えがある通り、おそらく、最高血圧の中の最高血圧をもって、収縮期血圧と記録する医療従事者が多いのではないでしょうか。

つまり、同じ「最高血圧」と言っても、脈波が不安定になったとたん、2つの測定方法で、乖離が起こってしまいます

これが、Bandazhevksyの論文と、Gueguenの論文にかんする、血圧データのパラドックスなのではないか、と、私は震災直後に理解しました。実際、Bandazhevskyの論文を読むと、「血圧は不安定」と記述されています。


ただし、この解釈にも、問題がないわけではありません。

なにが解釈上、問題かというと、Gueguenの論文では、明らかなる「不整脈は認められなかった」と記されているのです。ここが、解釈上の一番難しいところなのですが、一つの解釈は、Gueguenの論文の心電図記録は、24時間連続して計り続けているわけではなく、毎時毎時、断続的に数分間記録しては、記録を止め、また記録して止め、ということをくりかえす測定方法です。不整脈の患者も、常時不整脈が出続けているわけではなく、出たり、止まったりを繰り返す方も多いものです。すなわち、Gueguenの方法での心電図記録では、記録時にたまたま不整脈を見落としてしまっていた、という可能性。一方、観血的血圧測定では、(1) 常時最高血圧の値だけを記録し続けたか、(2)同じように断続的に観血測定するのだが、心電図記録のタイミングとはずれていて、不整脈の出がちなタイミングで血圧を記録していた。そして、あるいは、実験者は、血圧測定の脈波系の乱れに目を通すことなく、機械の記録した数値だけのデータを論文に使用した(これは、ここのポイントが重要、と、「用意された目」でデータに注視していないと、よくあることなので、実験者を非難する趣旨の解釈を述べているわけではありません)、などの解釈が成り立ち得るます。


Bandazhevskyの高血圧、血管障害のメカニズムに関しては、別途議論したいと思います。



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