内部被曝を論じるブログ

Bandazhevskyのデータを論じています。ご意見、間違い指摘などを頂けると嬉しいです。

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前頁の話が、随分と長くなってしまいました。

外向きK電流(IKs))に拮抗する、内向きKチャネルKirを、もしも放射性セシウムが、ある一つの細胞で、Kir1個だけ、オープンの状態で壊すことができたら、IKsは相対的に低下するので、QTは延長する、という話をしました。

その続きです。以下、少々、議論に厳密性を持たすために、細かい議論に走りますが、ざっくりと理解したいかたは、次をスキップして、少し下の、<<生物学的データとのすり合わせ>>に飛んでください。


-------------細かい議論に興味のない方はスキップしてください--------------------

話を簡単にするために、とりあえず1細胞に1個チャネルを壊して、影響がでるかどうかを論じるために、
N2=1とおきました。実際には、セシウムの内部被曝量から計算されるモル数、分子個数、崩壊のスピード、そして、心筋1kgに含まれる細胞数を計算すると、N2<<1の場合を想定しないといけないのは分かっているが、それは、次項にて述べることにします。

また、当然のことながら、gain-of-functionになったKirとて、数日でturnoverする。
新たな崩壊との間で、低めの、個数/細胞の割合で平衡になるだろうから、同じくN2<<1の場合の議論に含めて考える。

さらに、gain-of-functionになったKirとて、negative feedbackを受け、機能が弱まるかもしれない。かりに、downregulationに掛かる時間を数日とすれば、上記のturnoverの日数の計算範囲に掛かってきて、そのころには、また別のK-channelがセシウム崩壊の影響を受けているから、やはり、同様の桁のN2<<1の議論に含めて考えればよい。

どなたかが、突っ込んでくるだろうと思いますがら、あらかじめ言っておきますと、KvLQT1の方がオープンで壊されたら、 QT短縮するじゃないか、という可能性について。これは、多分、そんなに考えなくていい。
なぜなら、Csのaffinityは、格段にKirへの方が良いから。

-----------------スキップ終わり----------------------------------------

<<生物学的データとのすり合わせ>>


さて、随分と上の方に、粗い計算ですが、KvLQT1の開確率が、p<0.002以下であれば、QTが延長する、という数式をだしました。

まあ、かなり荒い計算で、開確率は、時間、膜電位とともに変化し、一定値を取り続けるわけではないのですが(一応、IKsの場合には、phase2の最初のころはチョロチョロ、中盤以降、後半の方に、マックスになるような時間変化をすると考えられています)

はたして、実際の、KvLQT1の開確率の様子は、どうなっているのでしょうね? p<0.002でしょうか、どうでしょうか。
下記に、ある論文からの、KvLQT1の開確率の様子を引っ張ってきました。



イメージ 1


(他サイトからの転用・改変です)




データでは40mVからのデータとなっていますが、IKsが議論となるphase2の膜電位は、(データにもよるのですが)、この近辺からphase2のIKsの働きが始まり、0mVのちょっとしたあたりまでがphase2とすると、(他の電圧での開確率も確認中ですが)

どうでしょう。p<0.002の議論、桁として、大きく外れてはいない感じに思います。


以上、もちろん、まだデータを集め切れていない部分はありますが、QT延長の可能性は、ある程度は、定量的にめどがたってきている可能性はあると思います。



もう一度、わかりやすく書きますと、KvLQT1の開確率がp<0.002ということは、KvLQT1チャネルと言うのは、自分たちが働かなければならない時(心室心筋細胞の再分極フェーズ2)においても、チンタラチンタラ、のんびりと働いてしまうチャネルである。
p<0.002という「チンタラ度合い」は、たとえKvLQT1が5万個あったとて、たった1個の、逆向きのカリウムチャネルKirが全力で邪魔しに掛かったら、影響を受けてしまうほどの、そんなチンタラ度合いである、ということ。
つまり、たった1個の放射性セシウム崩壊とて、再分極遅延と言う形で、心筋細胞機能に影響を及ぼしうる。(ただし、ノロマな細胞にしてしまっているだけで、もちろん、細胞死を引き起こすほどではない=ここ重要)。




ただし、もちろん、上記のデータは、細胞実験でのデータであり、実際の生体内でのKvLQT1の開確率が、どういう値を取るのかは、測定してみたら、この値とはずれていました、という可能性もゼロではありません。ただ、現状での入手可能なデータからは、ごく微量のセシウム内部被曝で、QT延長という可能性がありうる範囲に、カリウムチャネルの挙動としては、収まっていると考えられます。



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