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書庫ショート小説「あいつ」

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。


「砂嵐」

先生!腕が無くなった兵士が3人です。
すっ・直ぐに・・・手当てしてあげて下さい。
痛いって・・・叫んでいます。
お願いします。
まさに鼻を突く血と汗と、そして埃と死の匂いで満ち溢れている前戦の簡易テントの医療場所。
決して病院なんて言えない。
上から、迫撃砲が2〜3発落ちてくれば、みんな死ぬ。

無差別砲撃を繰り返している、イスラム原理主義者は、家族であろうが、恋人であろうが、
お構い無しに殺戮していく。
子供の時の遊び道具と言えば、拳銃と手榴弾。
間違えて引き金を引いて、親を殺した子供や、
手榴弾の安全ピンを引き抜いて、自爆した子供も数え切れない。
それでも、それが、自分達の生きる術であり、理由など関係なく、
ただ、敵と言うだけで、同じ国の人間を殺しあう。
一つだけ理由が有るとすれば、相手が居るから・・・と言う事かも知れない。
「先生・・・!頼みます」
その女はお構い無しに、内臓が破裂した兵士の腹の中に両手を突っ込み、
そして内臓と大腿部の血管の縫合、心臓へのバイパス回路をつなげようとしていた。
一日何人の兵士の腹の中の弾を取り去り、そして天国に導いたか・・・とうに忘れてしまった。
いまも、腹を対戦車砲で撃ちぬかれた、15歳ぐらいの若き兵士の命が消えようとしていた。
・・・マム・・・か細い声で、その若き英雄は天国に旅立った。
白衣・・・いや、血糊でどす黒くなった上着をその女は脱いで、若き兵士の顔に掛けた。
片膝を地面に付いて、その女は神に祈った。
「神様、この渇き英雄を天国にお連れ下さい」

先生!将軍の・・・腕が・・・。
「うるさい!」
まだ、その将軍様は生きているんだろう。痛い、痛いって声を上げているよな!
もう、消毒用の水も薬も足りないんだ。
その男を消毒するものは無い。
腕を硬く縛っておけ。少しは出血が収まるだろう。
そいつは死なないよ。大丈夫さ。片腕がないぐらいでは生きていけるさ。
将軍と言われている男は、僅かながら口を開いた。
・・・うめきながら、オイ!女・・・お前、アジア人みたいだが、何でこんな所に居るんだ。
お前みたいな奴には、関係の無い戦争だろう。
有名になりたいのか?名も無き戦場の一輪の花・・・何てな。。。将軍はへらへらと笑い出した。
女は振り向いた。
こんな華奢な体で、何人の兵士を手術してきたのか?
此処では医者はこの女以外居ないはずだ。
恐らく、全く寝ては居ないのだろう。
でもその女には、凛とした美しささえ感じられた。
それだけ、全精神をこの戦場に掛けているのだろう。
将軍は、その女の瞳を真正面から見ることが出来なかった。自分が小さな人間に感じたからだ。
それだけ、強い、そして確かな信念の眼差しが、その女にはあった。

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私の名前は「りとる」と言う。
アジアとイスラムの混血だ。
なにか、それで文句があるのか?
私は医者だ。医者の使命は人を助ける事だ。
そこには、人種も敵も見方も無い。
私を頼りにしている人の見方でいるのが、医者なのだ。
だから、お前も助ける。
ただ、少し荒っぽくする。
お前に構っている時間が惜しいからね。
他に死にそうな人間が此処には沢山いるんだ。

一瞬・・・爽やかな風が吹いた。
また一人の英雄が天国に行った瞬間だと、とりとるは感じた。
きびすを返して、りとるはテントの端に寝ていた兵士の体の上の乗りかかっていた。
心臓マッサージ・・・1,2,3分。その間に、りとるは心臓近くに突き刺さった
20mmの弾丸をくり抜こうとした。
周りの筋肉かせ全て吹き飛んでいて、弾は良く見えるが、しかし、それを抜いたら
心臓から大量の血が外に噴出してしまう。縫合する道具も既に尽きた。
りとるは、このまま処置をせずに、この兵士にモルヒネを打った。
兵士は自分の死を理解していた。
先生・・・すまん。有難う。もう直ぐ、痛くなくなるね。
ありがとう。・・・・・・。

joyが大量の薬品を盗みに自分の仲間を連れて、夜半に出かけていった。
りとるはその事がずっと引っかかっていた。
地雷地帯をどうやってバイクで駆け抜けて、しかも、大量の薬品を敵の倉庫から盗んでくるのか?
すでに、太陽は西に傾き始めている。
出かけてから、既に9時間が経ったいた。
もしも・・・それだけは考えたくは無い。
りとるにとってjoyは死んだ戦友のジャッカルの子供であり、
ここまでリ〜アにも、生きる事はどう言う意味があるのかを教えてくれた人たち。
joyの笑顔が見たい。りとるは、ずっとその事を考えていた。

何処からとも無く、唸るような、地響きが聞こえてくる。
段々と大きく、しかも、高音の叫び声のような音。
誰かがテントの外に出た。
大声を発した。
「ミサイルだ!」
F−22がミサイルを撃った。
みんな逃げろ!
と言った瞬間に、F−22の機関砲で一斉射撃された。
医療テントは蜂の巣状態。
その時、りとるは地面にたたきつけられた。
自分の上に誰かが覆いかぶさっている。
この人は自分を犠牲にして、私の命を助けようとしている。
それも一人ではないようだ。
ピラミッドのように、沢山の兵士が自分上に覆いかぶさっているように感じた。
鈍い、肉に弾が刺さる音。。。
生暖かい血の温度。
誰も悲鳴を一言も発しない。
発すれば、りとるが此処から起き上がってしまう。
そしたら、この行為自体が無駄になる。
腕のない者、足が無い兵士、目が見えない、顔が半分吹き飛ばされた兵士。
みんなりとる上に覆いかぶさった。
ミサイルがテントに炸裂した。
大音響と共に、沢山のけが人が吹き飛んだ。

ほんの20秒の砂嵐。

静寂の時間が戻った。
でもそこは、もう生きる希望の無い、死の世界が広がっていた。
りとるを抑えている兵士達ののからだには、きちんと空間を作ってくれていたために、
すぐに守ってくれた兵士の中から外に出る事が出来た。
全滅。
そして、誰も居なくなった。

joy  joy  ・・・。
りとるは大声で叫んだ。
肉の焼け焦げる匂いだけが、あたりには漂っていた。
何処からとも無く、バイクの音が響き渡った。
joyだ。。。
joyとその仲間は、テントのあったところに一直線にバイクを飛ばしてきた。
joyはバイクを手放しで運転して、自動小銃で前方の地雷源に撃ち放ち、
全ての地雷を爆発させている。
joyは真っ黒になったりとるを発見した。
抱き合った。
生きていて、良かった。りとる。
死んだかと思ったよ。
とりあえず、此処は危険だ。
仲間のところに引き返そう。
もう良いだろ・・・りとる。
気が済んだか?
お前は、私の母親・・マリの恩人だ。
だから、死んでもらうわけには行かないんだ。
私には、とうさんのジャッカルとねえさんと同じリ〜アも死んだ。
残っているのは、りとる、あんただけなんだ。
さぁ、パリに帰ろう。
あとは、アッサムに任せれば良い。
ここは、イスラムだ。
私達の住む世界ではないし、この土地の平和を願うには
あと何百年掛かるか分からない。
りとるには、まだやらねばならない、
「自分探し」があるんだろう?

美しい朝焼けになっていた。
ゴラン高原の日の出は、特に気温が下がる。
白い息を吐きながら、この場所に別れを告げた。
りとるは思い出した。
楊楊はどうしているんだろう・・・?
逢いたいな。
joyのバイクの後で、自然に流れ出る涙をりとるは拭きもせずに、眠りに付いた。
温かな、安らぎがそこにはあった。

・・・つづく・・・


photo 2007 okinawa 

・・大変永らくお待たせしました。
書きたい一心では居たのですが、
何かと長い時間が取れなくて、
構想だけを心にずっと書き連ねていました。
あと少し、お付き合い下さい。

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「再会」


指令。特命。
達成できれば、名誉な事かも知れない。
しかし、そのためには、モラルを破っても、人としての白線を踏み外しても
果たして、良いのだろうか?
それによって、目的が達したとしよう。
だが・・・それは、一体
誰のために・・・そして、何のために・・・。
そこまで、自分の中の正義を犠牲とし、他人を踏み台として、すべきものなのだろうか?
最後の笑うのは、悪い奴らでは無く、ボロボロになった、胸を張った、自分でありたい。
そのためには、いま、なにを、すべきなのか・・・・
おのずと、その回答は出てくるのでは無いのだろうか?
いや、それが出来ない立場の場合でも良いが、しかし、人としての心と愛と言う心は絶対に
胸の奥に仕舞ったままにして、鍵を掛けてはならない。
なぜならば、我々は一人では生きていけない、「ひと」と言う生き物では・・・ないのだろうか?
また、我々は一人でこの世に生まれ、そして一人でこの世にサヨナラを告げなければならない。
最後に、良い人生だった、素敵な人だった
・・・と果たして、今の自分の立場で言えるのか?
家族は?
恋人は?そして・・・貴女から、そう思われているのだろうか?
ゆっくりと考えたいものである。


遠くからジェットヘリの爆音ば聞こえて来た。
誰なのか?
どちらも見方が敵か?分からない。
次第に焦り出したのは、警察特殊部隊であった。
彼らの存在は、まだ世間では知られていない。
そんな部隊の存在自体が、また国会で問題と成ってしまう。
いずれにしても、此処は警察特殊部隊は撤退しなくてはならない。
しかし、残りの一人の自衛隊員をこのままにして置く訳にはいかなかった。
いずれこの自衛隊員の口から、我々の存在が判明していまう。
だったら、いま殺さなければならない。
2名の警察官特殊部隊は、一名を囮として立ち上がった。
その仕掛けに掛かるように、自衛官は警察官の背後回りこみ、
そして、ナイフで首を欠き切った。
が、その瞬間にもう一人の警察官によって、
2名同時に射殺された。
秘密裏にしなくてはならない指令。
自衛隊員は全員死亡した。秘密裏に。
そして警察特殊部隊員のこの男は「あいつ」の前にゆっくりと歩いてきた。
既に、両方の腕から血が滴り落ちている。
彼の命も長くは持たないだろう。
その前に、この闇の事実を永遠に葬り去らなければならない。
警察の威信のために。
国家としての形を保持していくために。
一人の警察官の使命(ミッション)として。


最後の警察特殊部隊員は「あいつ」に狙いをつけた。
ジェットヘリの音は、その男には聞こえなかった。
いっしゅん、ヘリのプロペラが止まったような静寂。。。
次の瞬間に一発の狙撃音。。。。
ヘリの爆音を突き抜けた、その闇夜を付突き裂く音。
男はあいつの横に大木がなぎ倒されるように倒れた。
眉間を真っ二つに割った、その腕。
細い、白く、優しい情熱の持ち主
「楊楊」
・・・ちょっと遅かったね。
でも、間に合ったから、許してね。
楊楊は、狙撃銃を下ろした。
ジェットヘリは地上にホバリングをして、ゆっくりと着陸した。

真っ赤なドレスが、漆黒の闇から朝焼けに変わる一瞬の空隙に踊った。

楊楊はあいつの傍に座り、抱き起こした。
ごめんね・・・遅くなって。
さぁ、今日は貴方の居場所の私の所に帰って来なさい。


・・・続く・・・

あとがき
vol.12で文字数の関係上、書き切れませんでした。
中途半端でごめんなさい。
なかなか、構想を考えられなくなってしまいました・・・(嘘)^^;
まだ、2週間前の今日言う日が悲しくて、忘れられずにいます。
駄目ですね。本当に。。。
でも、もう少しお付き合い下さい。
あと、2回ぐらいで完結にしたいと思います。
ではでは。

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「誓い」

不思議と恐怖感は無かった。自動小銃が自分を狙っていても、
何時もよりも冷静な自分が居る事を感じていた。
周りで仲間が銃弾に倒れている。
その人数は、数秒間で片手の指を越えた。
中央操作室に登る最後の階段。
上から、数人の武装特殊警官が自動小銃で自分を狙っている。
こままでは、そこにいけない・・・・。
背後にも人の気配を感じる。
さきは右手のひらが汗ばむのを感じ始めた。
背中合わせに三上三尉が背後を監視・援護している。
じりじりと、10センチにも満たないだろうか?・・・その距離が遥か彼方の永遠のように・・・
なかなか辿り着けない。
このまま、この場所で朽ち果てて終わるのか?
さきは階上のドアに視線を向けている。
が、しかし、自分の拳銃の弾が最後の弾装に成った事を気にしていた。
あと、6発で弾が無くなる。
あと・・・6発。
三上三尉!弾は有るのか?
三上は答えなかった。
さきは全てを理解した。
前に3人。
背後に2人。
彼らの自動小銃からは横殴りのビンタのように、
弾が飛んでくる。
突然さきは背中に暖かい感覚を覚えた。
三上! さきは明らかに動揺した。もしかして。
・・・・三上三尉は小さな声で答えた。
俺の腹のところに2発の手榴弾がある。
これを取れ。。。。
さきは一瞬、目を泳がせた。
三上が・・・。まさか。
さき!俺の腹から手榴弾を取れ!
三上はもんどりを打って、倒れかけ、自動小銃の先を階段に突き刺し、やっとの事で持ちこたえた。
さきは三上三尉から真っ赤に成った手榴弾を自分の胸ポケットに差し込んだ。
さき・・・・。一発をドアに目掛けて投げろ。
絶対にドアを外すな。
あいつらは、一瞬怯む。
その時しかチャンスは無い。一回きりだ。さき・・・・。
俺は立ち上がって、背後の奴を引き付ける。
後を向かないで、ドアの内部に入り、そしてもう一発を、
中央操作室のコントロールナビゲーションシステムに投げろ。
メインコンピューターは黄色いテーブルだ。
そこを破壊するんだ。
そうすれば、使用済み核燃料の搬送システムは自動では動かない。
あとは、手動で搬送するしかない。
そのときは「あいつ」が阻止してくれる。
そのいしずえとなるのが、今現在の、我々・・・さきと俺の任務だ。
当初の任務とは違ってしまったが・・・そんな事は、日時茶飯事だよな。お互いに。。。
だから、俺達の目的の達成を仲間に託そう。
そのために、今の力でできる事を確実に遂行しよう。
さき・・・分かってくれるか?
しかし、このミッションも大変だがな。。。
すまんが、腹のベルトを目一杯きつく締め付けてくれないか?
このままじゃ、俺は立てない。
わっわかった。やってみる。
さきは、背中合わせの三上三尉のベルトを両手を背後に回し、
きつく締め上げた。
両方の手にはぬるぬると暖かい血が張り付いた。
三上!死ぬなよ。
頼むから・・・お願いだから・・・。
さき・・・いままで楽しかったよ。
お前みたいな奴とは、もっと前に出会いたかったな。
また、何時か逢おう。その時まで楽しみにしている。
「三上三尉」・・・!
ただいまより、さき警視庁特別捜査官の背後を援護するために、
階下の2名の警察特殊部隊と戦闘状態に入ります。
では、成功をお祈りします。
敬礼!
三上三尉はそのまま立ち上がり、背後に対して自動小銃を撃ちまくった。
階上のドア付近に居る3名も三上に標準を合わせた。
さきは、その一瞬を逃さず、階上のドア目掛けて手榴弾を投げつけた。


突然の豪雨の中で、一瞬の静寂を感じたときは無いだろうか?
その時は、多分全く異次元の事を考えている時が多いと思う。
または焼けるような暑さの中で、一瞬の清々しさと涼しさを感じるときや、
自分が現在、何故?この場所に居るのかさえも忘れてしまうような・・・
そんな感じを持ったときは無いだろうか?
それはもの凄く一瞬で・・・1〜2秒程度の時間かも知れないが、
しかし、その時思っていた事って、何故か引きずってしまう事が多い。
そして、夢なのか・・・と現実の次元に引き戻される。
心の幻。時間を超越した瞬間、人は正直になれるのかも知れない。


ドアは完全に爆破した。一瞬の静寂を逃さず、さきは階段を駆け上がった。
3名の屍を乗り越え、中央操作室に飛び込んだ。
と、同時に銃弾の雨がさきを襲ってきた。
さきは、体中に痛みを感じた。
しかし、恐怖は感じなかった。
いま、さきが見ているものは、黄色いテーブルのメインコンピューターだけ。
手榴弾を投げつけた。
投げた・・・はずだった。
でも、その前に腹が異常に焼けるように熱く成っているのを感じた。痛い!
意識が薄れていく中で、踊るように銃弾を浴びせかけられている自分を感じていた。
まだ、意識がある。
このまま、あと4歩・・・・。遠い、永遠な距離に見えるほど・・・遠い。
記憶が薄れていく。
手榴弾は右手の中にある。
安全ピンを抜くんだ。左手を右手の上に持って行け!
さき・・・。
体が動かない。
あと2歩。転がっている椅子に足を取られた。
勢いが付いて、コンピーターのキーボードに自分が張り付いていた。
安全ピンを抜け・・・・・。
ぬけ・・・・ぬけ・・・・抜くんだ。さき。。
突然の閃光。中央操作室のメインコンピーターは意識を失った。
全ての制御が自動運転から手動運転モードに切り替わった。

三上三尉航空自衛隊沖縄基地特殊部隊勤務・・・殉職。
コードネーム:さき・・・警視庁特別捜査官・・殉職。



「あいつ」と国重警視庁総監はこのオレンジの閃光を見た。
そして、さきと三上三尉の死を認識した。
あいつは使用済み核燃を搬送するクレーンの爆破を指令した。
すでに、プラスチック爆薬の取り付け完了している。
問題は、使用済み核燃料を船に搬送する時に爆破して、
燃料が公になるように仕向ける事。
それと、この場所で国重長官を殺さないで、確保すること。
国重を生かして確保する事は、無理かもしれないとあいつは思っていた。
死んで居て欲しいとも願った。
かつての自分の上司である、国重には若い頃にいろんな事を教わった。
彼が人生のかけがえのないひとでもあった。
国重長官はあいつを認識した。
国重の周りには武装特殊警官が10名。
こちらは、特殊自衛官が残り3名。
到底、勝ち目は無い。
既に銃弾も残り少ない。
夜明けまで、あと2時間。
楊楊・・・・。まだか。。。
あいつは、クレーンの爆弾のリモートスイッチを右手首の袖の中に仕舞った。
そして、立ち上がり、両手を挙げて国重の前に立った。
長官・・・・私の負けですね。
もう、無駄死には止めましょう。
これで終わりにします。
賭け・・・だった。
国重はこんな芝居には引っかからない男だ。
それはあいつが十分知っている。
国重が出てくれば、あいつの背後から狙撃される。
逆に、国重があいつを狙撃したら、クレーンが爆発される事を知っている。
だから、あいつを撃てないのだ。
国重は立ち上がった。
・・・暫くの沈黙。
「どうして負けたと言う?まだ勝負は付いていないがな・・」
お前らしくないことをしているな。
俺は、お前にそんな事を教えていないぞ。
・・・確かに、こんなやり方は国重長官からは、教わっては居ない。
国重のやり方は、絶えず自分の逃げ道を最初に作り、
其処に相手を誘導しながら勝ちを収める方法である。
こんなふうに、自分の退路を絶ち、いちかばちかの勝負には、絶対に出てこない。
でも・・・今の国重長官は、そのやり方にミスを犯している。
彼の背後は海であり、頭上には使用済み核燃料がぶる下がっているクレーンがある。
いまクレーンを爆破したら・・・彼は死ぬ。
退路は無い。
ただし、あいつが絶対にクレーンを爆破出来ないと言う計算に間違いが無ければの話である。
国重長官は、あいつに軽いジャブを打って来た。
あいつの左二の腕の肉片が飛び散った。
あいつは何食わぬ顔で、その場に立ったままで居る。
長官・・・・まだ信用していないのですね。
昔と変わりませんね。その用心深さは。
今度は右膝の肉が飛んだ。
倒れかけて、あいつはうずくまった。
まだで・す・か・ね・・・・。
国重長官は、モニテクリストのNo.18の葉巻をくわえ、そして、
あいつの前にゆっくりと、静かに歩いてきた。
お前は、もうお仕舞いだ。
俺の勝ちだ。
長官・・・・火をお付けしましょう。
あいつは、右袖に仕舞った、ライターのようなものに、
指を掛けた。
国重の顔色が一瞬大きく変わった。
次の瞬間、クレーンの4本の足から大きなオレンジの火花が漆黒の空に舞い上がった。
あいつは大きく横の波止場のもやいに飛び込んだ。
国重は、空を見上げて、大声を張り上げた。
俺の未来が。。。。
クレーンのワイヤーが外れて、国重長官の頭上に使用済み核燃料の保護カバーが落ちてきた。
国重はその下で永遠の眠りに付いた。


武装警官と自衛隊特殊部隊の戦争が始まった。
お互いにどちらかが生きて帰るか?
死すか?
の戦いが始まっていた。
10名の武装警官は扇型に散開して、3名の自衛隊特殊部隊に対して鶴の様に襲い掛かかっている。
3名は互いに背中を付けて、360度の視界確保をした。
闇の中では、人数の多いほうが強い。
自衛隊員の一人に・・・サイレンサーを装着した自動小銃の弾が、頭に当たった。
すいかを砕くように、頭蓋骨が割れた。
二人になった。
あいつは、まだ意識が無い。
ただ海に漂っているような、夢を見ている。
「楊楊」・・・あいつは無視域の中で叫んでいた。
2名になった自衛隊特殊部隊は、弾を撃ちつくした。
白刃戦を覚悟した。
お互いに散開して、警察特殊部隊に闇の中から、
ひとり、そしてまた一人と襲い掛かった。
がしかし、暗視カメラ付きの自動小銃には叶わない。
警察部隊は、あと3名になった。
そのとき、一人の警察官があいつに狙いを定めた。
一人がそいつにナイフを投げつけた。
狙いをつけた警察官は無言で倒れた。
しかし、自衛隊員は、それに狙いをつけていた警察官に撃たれた。
最後の自衛隊員と2名の警察官。
どちらも実戦の経験者である。
直ぐには決着は付かない。
膠着状態が続いた。
夜明けまで、あと一時間。



・・・つづく・・・

製作のお詫び

なかなかVOL.11から進みませんでした。
構想すらも考える時間が最近無く成ってきました。・・・嘘です(^^)。
あと2回お付き合い下さいね。
では。

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「黄色い太陽」

一日中の砂嵐。全ては細かく、そして暖かな砂の中に消えてしまう街。
一年のうち、何回も有る物では無いが、しかしこの季節は、あらゆるもの全てを阻害し、
そして孤立化させてしまう。
ガザ地区嘆きの壁には、毎日礼拝に訪れるイスラム教信者でごったがえしている。
アッサムトとその娘のマリドナはひっそりと、昨夜のうちから、嘆きの壁の真ん前にある
モハメットの店のはす前にタバコを売る店を出していた。
そして6軒離れた所には、ジャッカルとリ−ア。そして頭から包帯だらけになり
髪の毛を全て隠した、joy、そしてりとる達が、アッサムの仲間の野菜売りの店の中に隠れていた。
アッサムはマリドナを連れだって、モハメットの店に入って行った。
以前はこの二人は同じ解放戦線の同志であった。
モハメットもマリドナの事を良く知っている。
マリドナもモハメットを兄のように慕っていた。
そして、現在は宗教思想の違いから袖を分けてしまった、言わば、テロの対立組織同士。
モハメットは丸腰だった。ただマリドナには、小型のコルトポケットを2丁、
両足の太股の内側に忍ばせていた。

音の響かない店の中。。。
ランプの灯りがぼんやりと、現在の時空を過去に逆戻りさせてしまうかのような趣さえある。
「モハメット・・・」
アッサムは声を発した。
一瞬・・・誰かが動くような気配がした。
一人目・・・・右端。
二人目・・・・二階の階段のコーナー。
三人目・・・・左の壁際。
・・・三人か?
マリドナもこの異様さは感じていた。
彼女には、身の危険の何かが見える時、途轍もない強さを発揮する。
すでに、足音を立てないように靴を脱ぎ、子猫のように周りの状況を確認している。
両手にはサイレンサー付きのコルトポケットを握っている。
銃のセーフティ・ロックは外されていた。
アッサムは全身から汗が吹き出るのを感じていた。
柱時計が12時を知らせる鐘を打ち鳴らした。
突然銃声の響き。
アッサムは、大きな机の下に飛び込んだ。
銃は持っていない。が、彼の得意はナイフ投げである。
何処から売ってくるのか、確認した。
暫くの静寂。
誰も、彼らは動いていない。
マリドナはすでに、左の壁際の男の真下にいた。
・・・「お兄さん・・・」マリドナの声が、壁際の男を震え上がらせた。
サイレンサーの鈍い音。
壁際の男は、眉間に一発の痕を受けて倒れた。
大きなこぶのようで、弾丸が貫通したような感じではなかったが、
男は気絶しているようだった。
マリドナはすばやく移動して、階段の真下に居た。
モハメットは右側隅の男に標準をあわせていた。
暫く時間が停止した。
息遣いの音すらも、自分の位置を知らせてしまうため・・・
呼吸すら出来る限りしないように。
モハメットは、右のポケットから一枚のコインを出して、
右側隅の男の方に投げつけた。
男の右腕が見えた。
ナイフ・・・・。
ランプの鈍い光を放ちながら、アッサムの投げたナイフは右端の男の腕に突き刺さった。
と、同時にマリドナは、階段に駆け上がり、二階に居る男の背中から飛びついた。
階段を転げ回り、一階まで落ちてきた。
男は口から泡を吹いていた。気絶していた。
マリドナは、再度正面の確認をしている。
アッサムはマリドナを制した。
大丈夫だよ・・・マリ。
もう出てこないよ。
「モハメット・・・・モハメット」
もう良いだろう。
出て来なさい。
2m近くはあるだろうか。
腹回りがビア樽のような体躯をした男が出てきた。
男は野太い声を発した。
アッサム・・・・何しに来た。
マリ!どうゆうまねだ。
それが、兄にする態度か!
マリドナは可愛い顔を、より愛くるしくして
アッサムを見詰めた。
両手には、コルトポケットを握っている。
兄さん・・・お久しぶりだね。
元気そうね。
アッサムは一歩引いた。
アッサムは続けた。
モハメット・・・・お前が有る人から預かっているものを見せてもらおう。
なに、寄越せとは言わないよ。
お前も命が欲しいだろうからな。
ただ、見せてくれれば良い。
どうだ。見せないか?どうする?
と言って、マリドナを見た。
モハメットは震え上がっていた。
しかし、それを言う訳には行かない。
でも、マリが怖い。可愛くなるほど、恐ろしくなる。

外では、まずい事が起こりそうだった。
アッサムの店の前をイスラエル軍が固め始めていた。
店の前に、装甲車を始めとして、対戦車機関銃を搭載したジープが2台。
歩兵が20名。トラックから降り始めて、土嚢を積み上げ始めた。
アッサムの部下達は、焦らず市場に潜在する同志の連絡を取り合っている。
アッサムの脇役でもある、副隊長のゲラがジャッカル達に武器を渡し始めた。
ジャッカルは舌なめずりをした。
・・・何やら面白い事に成って来たな。
オイ・・・リーア。どうしようか?
リーアは兵士の配置を確認している。
ジャッカル。・・・ダイナマイト持ってきていたね。
あぁ・・・3本あるぜ。
2本をあたしにおくれ。
あんたは、正面を突破したくれ。
援護はあたしがするよ。
joy・・・良く見ておくんだ。
お前の母さんも此処で、こうして戦った。
何故だと思う。縁もゆかりも無い人たちのために。。。
「幸せに暮らしたいと言う、想いのためにだよ」
それを守りたかったんだよ。ミッシェルは。
だからジャッカルは此処に来た。
ミッシェルに償うためにね。
・・・もうよせ!リーア。もういい。
さぁ、行くぜ。。
りとる、後は頼む。
お前は此処に居て、アッサムのミッションが完了した事を確認しなくてはならない。
それが、お前のミッションだ。
joy・・・ここでお別れだ。
楽しかったぜ。
おれは、母さんのところに行くだろう。
お前は、これからも、ミッシェルの組織の活動をするんだ。
いいな。! joy。
ジャッカルは、joyの右頬に大きな手のひらを乗せて、joyの涙を拭いた。
joy援護を頼む。
と、同時にリーアはダイナマイトを両端の兵士の中に投げ込んだ。
ジャッカルは走りながら、M16アーマライトの自動小銃を撃ちつくした。
対戦車機関銃が大きな音を立てて、ジャッカルを狙い始めた。
リーアの放ったダイナマイトが対戦車機関銃に命中した。
弾丸引火して、大きな炸裂音が響き渡り、兵士の中に動揺と、
そして浮き足立った感じがした。
すかさず、リーアは自動小銃を撃ち始めた。
ゲラの集団が背後からモハメットの店を占拠しだした。
背後からの銃撃を受けて、兵士は退却を始めた。
唯一、装甲車のみが、機銃掃射を仕掛けて、ゲラの同志と、そしてリーア、joy、リトルに対して
打ち込んできた。
ジャッカルは、装甲車のキャタピラの真下に居た。
そして、装甲車の入り口ハッチの乗りかかり、ハッチを開けて、
火の付いたダイナマイトを放り込んだ。
機銃掃射が止まった。
ジャッカルはjoyを見て笑いかけた・・・その時、一発の銃声が響いた。
時が止まってしまったようだった。
ジャッカルが静かに倒れて行った。
ジャッカル!・・・リーアはジャッカルの元に駆け寄った。
遠くから、一台の対戦車機関銃を載せたジープがこっちを狙っている。
joyはそのジープを見つけた、そしてジープに向かって、
リーアのロケットランチャーを発射させた。
一瞬遅かった。
リーアが途中で倒れた。2回、そして3回と打たれた瞬間に踊っているような、
その後地面に引き寄せられるように。
ジープは木っ端微塵になった。
静寂の時。
ゲラの一味が集まってきた。
りとるはジャッカルとリーアに駆け寄っていた。
ジャッカルの胸に耳を当てて、既に遅いと分かっていても、
心臓マッサージを始めていた。
果てしなく。
ゲラがりとるの両肩を抱き締めた。
りとるは崩れ落ちるように、そして泣き叫んだ。
joyはジャッカルに何が起きたか・・・理解する思考回路が停止したような、
そんな感じがした。
いま、自分はなぜ、何処に居るのだろうか?
そして父さんは何故、自分の前で倒れているのだろうか?
こみ上げる悲しみ。やり場の無い叫び。
joyはその場で崩れ落ちた。
熱い涙が流れてきた。

モハメット・・・・援軍は来ないな。
外の騒ぎを聞いたろ?
こんなバカ騒ぎはしたくなかったな。
しかし、軍が動き出したのだから、我々はこれ以上は、
お前を待てないのだよ。
相手は、モハメット・・・お前だけでは無くなった。
イスラエル軍そのものと、我々PLO解放戦線は戦わなくてはならない。
早くその物を出せ!。
そのビア樽の腹に鉛のをぶち込むぞ。!
マリ!
・・・わかった・わかったよ。アッサム。出すよ。
それは本物だろうな?こっちはその「もの」の招待を掴んでいるんだ。
マリが全てを知っている。
わかっているよ。マリには嘘は通じない。
少しここで待て。モハメットは中に入って行った。
暫くの静寂。。。外はどうなっているのだろうか?
アッサムはゲラ達と、りとる達が心配だった。
あれだけの銃声だ。
何も無いわけが無い。
アッサムは焦っていた。
一発の銃声。
まずい!アッサムはモハメットの入った部屋に飛び込んだ。
おもった通りだった。
モハメットは自殺したのだ。
机の上にはCD−Rと何かの車の鍵が一つ。
渡しても、渡さなくても、モハメットには死しか洗濯の余地が無かったのか?
そこまで、アッサムは自分の息子を追い込んでしまったのか?
何のために・・・。
正義は何処に有るのだろうか?

アッサムは机の上のCD−Rのケースを開けて、中のCD−Rを二つに割った。
これが、我が息子の命の代償だったのか!
それにしては、軽すぎるな。。。。
マリ・・・外に行こう。何か大変な事が起こっているかも知れない。
そしてアッサムが其処に見たものは、このミッションの難しさと複雑さ、
そして解決のための犠牲尊さを感じ取った。
アッサムはりとるの両肩を抱いた。
りとる・・・・さぁ、帰ろう。
ミッションは終了した。
これが例のCD−Rだ。
そこには2つに割ったCD−Rが光っていた。
暫く、joyと此処に居るが良い。
ゲラ・・・・引き上げるぞ。
ジャッカルとリーアも連れて帰るぞ。

・・・つづく・・・

あとがき

みんな、それぞれの考えるところの正義を守るために生きている。
そして、かけがえの無い人達を守るために身を削りながらも生きている。
そのためには、楽しい事ばかりではなく、嫌な事の方が多い物である。
いや、我々は神に生かされているのかも知れない。
そしてそれは、死に向かっての序曲なのかも知れない。
だからこそ、ちょっとしたささやかな幸せが、とても愛おしくて、
そして輝きがある、眩しい物なのではないだろうか?
その輝きを一つづつかみ締めて、歩いて行こうと思います。


暫く書き込みが出来ませんでした。
なかなか仕事が忙しくなり、
また構想自体が間延びになりました。
だんだんと結末に向けて、
まとめの段階なのですが、
まだいろいろと書き足りない部分も多くて。
暫くはご容赦下さい。

イメージ 1

この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「真夏の夜の夢」

ハバナの夜は蒸し暑く、髪の毛もべったりと肌にくっ付くような感じで、
街内は夜中の12時を回っていると言うのに、賑やかこの上ない。
繁華街には、コールガールやら如何わしい薬やタバコを売る子供。
そして、闇の中に潜めく犯罪の匂い。
唯一、高級ホテルの中はエアコンが勢い良く回り続け、別世界を繰り広げていた。
ダビドフのNo.9の葉巻に火を点けて、ゆっくりと1960年物のコニャクのグラスを回し続けている。
この部屋から見える、キューバの国会議事堂の正面には、カストロの肖像画が掲げられていた。
楊楊は軍服を着た髭で顔の半分も見えない、しかし目だけは獲物の喉首を噛み殺す勢いの視線を
ギラギラと放ち続けているその男の前で、ゲルベゾルテの細い葉巻に火を点けた。
沈黙の中のピアノ線上の交渉。
このピアノ線が切れてしまったら、多分私はこの世に居ないだろう。
楊楊は微笑んだその瞳の中で、一瞬の隙さえも見せないように、注意深くそして沈黙を噛み殺していた。

カーロス・ゲバラ・・・。
どうでしょう?
あなた方に取っても、悪い話ではないと思いますが。。。。
パトリオットの迎撃誘導ソフトと電磁誘導装置、それとオプションの開発技術者を
こちらに渡してもらいたいのです。
イスラエルに送って、インド経由で北に運ぼうとしているものは、偽物と判明しています。
貴方がそんな方法を使うはずはない。
もっと、直接的な方法が貴方・・・カーロスのやり方。
太平洋を漁船で北上して、アラスカ経由でベーリング海を渡り、シベリア経由で輸送する気ですね。
カーロスはダビドフの葉巻を灰皿に押し付けた。
楊楊さん・・・。
私達は、アメリカの横暴を許すわけにはいかないのです。
世界の勢力地図は、いまやアメリカ主導型では無くなって来ています。
それはご存知でしょう。
ただ、まだ新勢力の創世記です。
アジアの力が弱すぎます。
一口にアジアと言っても、イスラム−イスラエル圏での争い。
パキスタンでの内乱。
チェチェンの内乱。
アチェのクーデーター。
中国の農民問題でのデモ闘争。
北朝鮮の秘密警察とスパイ工作員の動き。
そして、総書記と軍部との確執とクーデーターへの恐れ。
アフリカでは至る所で、クーデーターが未だに絶えません。
我々、キューバはご存知のように、カストロが全てを掌握しています。
しかし、もうそうは長くは無いでしょう。
先に、PLOのアラファトが逝きました。
現在でも、跡目相続が決まらない状況です。
キューバはそうはなりたくは無いのです。
しかし、世界のインターネットからの情報は目まぐるしく、この国の土台すら傾かせています。
しかし、幾ら規制を掛けても、知りたいと言う欲望には勝てません。
従って、キューバの全国民に対して、軍部の統制令とそしてキューバ国民が全員一致できる
大儀が必要なのです。
その大儀のために、我々はケネディー大統領時代のキューバ危機の再来をします。
カストロの死を無駄にせず、ロビイストの検挙、政治犯罪法の適用をして、アメリカ系のスパイの
国外退去。
そして、核の保持。
これが我々キューバ国民が、カストロの死後に行う揺ぎ無い国防なのです。
カーロスは楊楊の目を外さなかった。
この美しい東洋系の女は、一体なんのために、俺に会いに来たのか?
死ぬ事も恐れずに。。
それ以上の大儀が、この女の中に有るのだろうか?
カーロスは分からなかった。

楊楊は静かに囁いた。
カーロス。。。
では、オプションとして、日本の核燃料再処理工場から搬出されつつある、
使用済みプルトニュムをこちらに搬入しましょう。
最低、3機の核搭載ミサイルが配備できますよ。
ただし、こちらの要求を直ちに実施していただかなくては、このお話は無かった事に。。。。
楊楊はニコライのライターで、再度火を点けようとしていた。
暫くの沈黙が流れた。
そろそろ、3時を回る。
あと2時間で、イスラエルのモハメッドは動き出す。
楊楊が此処来たと言う事は、モハメッドは多分殺されるのだろう。
あの作戦は失敗か。。。
カーロスは想像した。
北は焦り出すだろうな。
その時、フランスの動きはどうなるのか?
ミッテランは口を閉ざすだろう。・・・単なる失敗として。
だが、キューバはカストロの死のカウントダウンが始まりつつある。
時間が無い。
このままでは、キューバが自由社会国家に侵食されて、破壊してしまう。
カーロスはブレゲのクロノグラフを覗き込んだ。
そして微笑んだ。
楊楊さん・・・・。
貴女は此処から帰れると思っているのですか?
此処はキューバですよ。
もう国外には出られない戒厳令の時間帯だ。
貴女の見方は一人も居ない。
そう・・・貴女と一緒に来たアメリカ海兵隊員とSEALSのメンバーは皆、死んで頂きました。
報告が遅れてすみません。
カーロスは、窓際まで歩き、国会議事堂に飾られている、カストロの肖像画を見ていた。
一瞬の殺気が走った。
カーロスは振り向きざまに、窓際の机の下に転がり込んだ。
そして、ワルサーP38のセイフティーロックを外し、楊楊に狙いを定めた。
楊楊は座ったままだった。
しかし、楊楊の眉間には彼女のブローニング・オートマチックの銃口が向けられていた。
楊楊は話し始めた。
カーロス!
命にはどんな意義があり、その意義は何をするために有るのでしょうか?
私は、ベトナム戦争の落とし子であり、ポルポトを叔父に持つ女。
でもこの命は痛みを知り尽くしている。
だから、これ以上私のような孤児を増やしたくは無いの。
貴方の父のチェ・ゲバラもカストロに殺された。
そんなやり方を、貴方は引き継いで、このキューバを戦場にしようとしている。
本当の意味はなに?
カストロとかアメリカの勢力とかじゃないでしょ?
貴方の本当の心の奥底に流れているものは、カストロに父を殺された。
その仕返しをアメリカに向けているだけ。
カストロに向ければ、それは国民を敵に回すから。
そして、国民と言う財産を使って、自分一人のエゴを貫こうとしている。
大儀だと言ってね。
私は悲しい。
もっと、人と言うものを大切に、労わって愛しさを与えて欲しい。
それが出来るはずなのに・・・・それが悔しくて。。。怖い。

カーロスは目の前の女が自殺してまで、自分の心の中に光りを当てて、
そして諭してくれる事に胸が熱くなった。
図星だな。
楊楊。
参ったよ。
銃を仕舞ってくれ。
話を続けよう。貴女の提示するオプションだが、
そのプルトニュウムは使えるのか?
楊楊は銃を仕舞いながら応えた。
それには、フランスの技術者が必要です。
簡単なことでしょ?
そんな人間をキューバにご招待する事は。
カーロスは突然・・・笑い出した。
楊楊。
お前・・・最高だ!最高だよ。!!
ミッテランを人質にしろって・・・。
こりゃ最高だ。
面白い。それもアメリカに対しては大いなる脅威になる。
その話、乗ったぜ。
プルトニュウムは核弾頭には使えないものだろう。
それは小麦粉でも構わない。
要は、ミッテランだ。!
面白いぜ。。。
では、私の提案を呑んでいただけますね。
良かろう、今から手配する。
パトリオットの迎撃ソフトと電磁誘導装置、それにソフト開発者は、
3日後に沖縄の空港に着くだろう。
そして、そちらは何時から、その「ぶつ」を手配してくれるのかな?
世界サミットが今年の夏にヨーロッパで開催されます。
その時に、バカンス旅行をして頂こうと・・・・。

では、楽しいバカンスに乾杯!
乾杯。!
楊楊とカーロスは、モヒートで明日の世界地図を塗り替えようとしている。
カーロスは相変わらず、大きな声で笑いながら部屋を出て行った。
楊楊はゲルベゾルテの細い葉巻にニコライのライターで火を点けた。
薄い煙が、部屋中に漂った。
ニコライ・・・キューバは貴方の好きな場所だったわね。
このキューバは汚さないわ。
貴方の大切な想いが詰まっているものね。
死は形の有る物で、心が死んだわけではない。
心が死ぬ事が一番辛い。
貴方の言葉だったわね。
ニコライは私の中で何時までも生きているし、
私に生きる力と、その進むべき道をいざなってくれる。
ありがとう・・・ニコライ。

ハバナの夜明けはとても美しいと聞く。
薄紅色に染まりつつある窓辺に佇み、楊楊は窓を一気に開け放った。
少し冷たい風が部屋の中に流れ込んできた。
新しい夜明けの空に、バラ色のドレスが揺れた。

・・・続く・・・

あとがき。

最近忙しくて、なかなか書く時間が取れ無くなっています。
ごめんなさい。
書く時間は何とか成るのですが、構想を練りこむのが結構大変で。
出演頂いている方の、ブログからのキャラをあまりにも壊してしまうのも
・・・なんですし。
出来れば、ありのままで行きたいのがやまやまなのですが、しかし、こちら作り手の
想い入れもありまして、結構皆様には不愉快な思いをさせているのかな?
と思うのですが、もう少しお付き合い下さい。

さて、色々な問題が私も含めて「ひと」の上に下に、そして中には存在しますね。
一つしか無い体ですから、一つずつ整理をしていかないと、これは、
どうにも成りませんね。
問題は一斉に発生しますが、その回答や解決は一つずつしか出来ないのです。
だから時間が掛かります。
悩んでばかり居ないで、たまには悩む事も忘れて、
大きな声で笑いましょう。
私もそのように心がけています。
ではでは。
また次回をお楽しみに。

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