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書庫ショート小説「あいつ」

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「突然の訪問者」

桜田門の警視庁別館の23階。
ここは、警視庁特別捜査官別室。
国重警視総監は、モニテクリストNo.19の上質な葉巻の火を燻らせ、
大理石の机に自分の足を投げ出して、天上を見上げていた。
明日、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場から北の国向けのプルトニュウムを搬出する。
・・・とうとう、その時が来たのである。
約5kgのプルトニュウム。
これだけ有れば、テポドンの核弾頭として、3発は製造が可能だ。。。
一発はアメリカ・ワシントン。
二発目はハワイ・ホノルルへ。
そして三発目は我が日本へ。
この三発の核弾頭が発射された後、世界の勢力地図は大きく変化する。
アジア・・・中国と北が主導権を持ち、ここにイランが加わり、アラブのハマス、そしてアルカイダが
アラブ圏を支配出来る。
あと残るのは、アフリカと南アメリカ。
アフリカについては、まだ内戦が絶えないから、その内に、片付ければ良い。
南アメリカは、キューバが北アメリカの一部と共に占有するだろう。
キューバにも核弾頭が2発。
一発目はアメリカ・ニューヨーク。
二発目はイギリス・ロンドン。
自分は、このプルトニュウムが北に着き、キューバに流れたときには、ロシアに居る。
その後、スイス・ジュネーブに渡り、暫定日本国を作り、その総理大臣になる。
壮大な構想は何回も、何回も、夢に描いた。
自分の家族とかしがらみとか、全く考えなかった訳ではない。
まっとうな真実に忠実に生きて行くことが、本当に自分の正しい道なのか?
いや、正しいとしても・・・それが何になる。
悪魔と正義を引き換えても、自分の本当のやりたい事に素直になるべきではないのか?
国重にも迷いは有った。
本当にやりたい事で、他人を傷付けてしまう。
それは本当に正しい事なのか?
誰のために?・・・・。
最後の答えは自分の中にこじつけた。
人のためにやるのでは無い。全て自分のエゴのために。
他人全てを傷つけも・・・やるのだ。
一人や、二人の人を傷つければ、それは切ない。
だが、一億人以上の人間を死に追いやった場合、それは英雄に変わる。
かつての、エジプトクフ王、秦の始皇帝、アレキサンダー・
ヒットラー、ムッソリーニ、そしてホメイニ。
古代の昔から現代でも、独裁者は英雄と紙一重の存在ではある。
そして、それを評価するのは、後に生まれ来る人達である。
だから、いまやる事に対しての最終的な評価は出来ない。
国重はゆっくりとモンテクリストを灰皿にもみ消した。
新しい日本国を創る。・・・自分が・・と。

一機の無灯火のシコルスキー型のジェットヘリが横須賀海軍基地から東北方面に向けて飛び立った。
さきは装備の点検をしていた。
そして彼女に下された命令書を何回も確認していた。
「国重長官を裁け」
方法は任せる。
彼は、これから六ヶ所村に行く
我々も其処に行く・・・あいつ
さきはワルサーPPKコマンダーにサイレンサーを取り付け、
左胸のホルスターに仕舞いこんだ。
M16アーマライト・夜間狙撃銃の暗視ターゲット・スコープを覗き込み、
ターゲットの、ずれ補正用ねじの調整を始めた。
明日、国重を殺す。これで、本当に私の使命が終わる。
その先は・・・・何も考えていない。
何所かで、ゆっくりと休みたい気もするし、元の自分探しもしたい。
出来るかどうかは別として。
何時も寝苦しい夢を見る。
そして最後は何時も、誰かに打たれて死んでいる自分を見下げている自分が居る。
本当の自分は何処に居るんだろう?
逢いたい気もするけれど・・・・もう、逢わなくても良いとも思う。
今の・・・こんな銃を握っている女では、少なくとも無かった筈だから。
平和な結婚生活をしていたかも知れないし、まだ独身でバリバリ仕事して、
夜は六本木とか銀座を歩き回って、良い男を捜していたかも知れない。
でも、今は全く違う。
今の自分がどうの・・・こうの・・・悩む気にはならない。
ただ、自分をこんな目に合わせた奴が憎い。
だから、そいつを自らの手で裁く。
この銃で。人には任せない。自分の人生だから。
さきは六ヶ所村に行くために、三沢基地まで行く予定であった。
ジェット・ヘリはあいつが用意してくれた。
三沢基地からは、一人で夜中に車を走らせて、六ヶ所村核燃料再処理工場まで走るつもりであった。
あと10分で三沢基地に到着する。
突然、さきはヘリのパイロットから指令を受けた。・・・あいつのメモ書きだった。
六ヶ所の村の上空からパラシュートで再処理工場内に降下し、中央操作室を占拠せよ。
一緒に同乗している三上三尉がアシストして工場内に降下する。
工場内は日本としての法律が成立しない、要は特別地区に指定されている。
よって、日本の警察圏の範囲外であり、国家の法律が有効ではない非国家地区に指定されている。
よって、この中で何か起ころうと、一般的には全く関係の無い事件として片付けられてしまう。
当然事件にはならないし、報道も完全に遮断されている。
今回のプルトニュウムの搬出については、日本政府の既得権が及ばない範囲であり、
警察の力の効力も無い。IAEAにより、運営されている特別地域である。
誰がIAEAを監視しているのか?誰も居ない。不正は誰にでも出来る。

そろそろ降下して下さい。パイロットが事務的な声を上げた。
三上三尉はさきを伴って、ヘリの降下するドアを一気に開けて、地上2000mより降下した。
当然、三上はさきを蹴飛ばして突き落とし、そして、それに追いつき、
パラシュートが開く紐を引き上げるようにさきに指示した。
さきは落ち着くように自分に言い聞かせ、そしてパラシュートが開く紐を一気に引いた。
漆黒の闇の中に2つの白い花が大きく開いた。
さきは下を見下げた。
なにやら、人らしきものが動き回っていた。
でもこちらのを見上げようともしない。
全くの死角に入り込んだ。
さきはM16アーマライト自動小銃の標準を暗視スコープで覗き込み、動く物に狙いをつけていた。
先に見付れられれば、こちらが殺されてしまう。
その前に殺す。自分の最後の真実を見つけるために。
国重の最後の顔と、彼からの自分の所在の回答を聞くために。
三上三尉は細かく自動小銃の引き金を引いて、
空に向かって輝いているサーチライトをことごとく壊し始めていた。
ほとんど真っ暗な状態になった。
内部からも異変に気が付いたのだろう。
数人が外に出て来た。
三上三尉は動く物に標準を合わせ始めた。
だめ!あの人達を殺しては。。。
先ほどのさきは其処には居なかった。
罪の無い人達を、殺してはならない。
さきは三上を見て、首を大きく横に振った。
三上はさきに手話で話した。
「さき・・・貴女と私の銃に入っている弾は、硬質ゴム弾です。
だから死にませんよ。」あの方からの命令です。
貴女も自分の身を守るために、銃は撃つべきですよ。
三上三尉は、すぐに暗視スコープを覗き込んだ。
少しばかりの安堵感を感じ、さきは再処理工場内を見ていた。
最後に私は・・・国重警視総監を裁けるのか?
最後の最後には・・・。
そう心の中で質問を繰り返し、答えを探し初めていた。

基地内にゆっくりと二人は降下した。
パラシュートをまとめて見えないところに仕舞いこみ、そして三上と中央操作室に向かった。
その時だった。
内部に居た警察官が漆黒の空を目掛けて撃ち始めた。
さきは空を見上げた。
あいつがパラシュートで降下している。
6人の迷彩服を着た男達。
パラシュートから工場内に向かって撃ち始めていた。
さきは危ないと感じた。
このまま、自分があいつ達を助けなければ、殺されてしまう。
援護射撃をしようとした時、三上三尉から銃口を下ろさせられた。
我々のミッションは中央操作室を占拠すること。
彼らを助けるのが任務ではありません。
我々の任務を遂行します。
三上は立ち上がろうとした。
さきは三上にしがみ付いた。
・・・でも今は仲間を助けるのか先でしょ?
三上は静かに言った。
さき・・・そうではない。
我々は与えられた任務の遂行を先行しなくてはなりません。
皆がみんな、自分勝手な解釈や都合の良い考えをしたらどうなるでしょうか?
組織の動きはばらばらです。
完全なる組織としての行動こそ、強い組織行動となり、一つの目的を成し遂げられるのです。
誰かがそのために死を賜ったからと言っても、それは仕方の無いこと。
大切な事は、その死を無駄にしてはいけない事です。
誰でも死は怖いです。
でもその死が無駄だったのか?それともみんなの心に残る大切な死だったのか?
それこそが大切な事なのです。
さぁ、我々の任務を遂行しますよ。
さきは立ち上がった。
その右手には、ワルサーPPKコマンダーがしっかりと握られていた。
・・・私の任務は・・・国重総監を裁くこと。
方法は私自身で決める。

・・・つづく・・・

あとがき・・・・
我々はどんな人間でも組織の中で生きています。
大きな組織と言えば、地球と言う事でしょう。
小さな組織と言えば、家族、恋人になるかも知れません。
人は自分のエゴを生きる糧にしているのではないでしょうか?
自分がしたいこと、なりたいこと、そしてそれを確かめたいがために、
たまに、焦ってミスをして、人を傷つけてしまう。
その時は、全く前が見えない状況なのではないか?と思うのです。
当然、私はそんな事が多いので、日常反省ばかりです。
しかしそれが人間なのでしょうね。
きっと。
我々人間は、それ程大きくは人として、変わらないのでしょう。
ただ少しの凸凹がその人の個性ではないのでしょうか?
せめて、他人を傷つける前に、もう一度自分の現在の居場所を確認してから行動したいと思います。

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「アラブの決意」

何時から眠ってしまったのだろう。joyは暖かくしかし、風の冷たい闇の中で目を覚ました。
体があっち・こっちに飛び跳ねて痛かった。
現在の時間は午前3時。もう直ぐ夜が明ける。
真夏でも、ゴラン高原の夜明けは途轍もなく気温が下がる。
joyは着ている迷彩服の防弾ダウンの首元に巻きつけた白いマフラーにうずくまった。
とうさんの匂いだ。
ジャッカルは100km/hで突っ走る装甲車の機銃塔から外の状況をさっきから双眼鏡で監視していた。
とりるは助手席からリ〜アの運転に、周囲の地雷の埋設状況をスキャナーに映る画像から推定して、
右だ、左だと大きな声をあげまくっていた。
漆黒の中に一台の迷彩装甲車が進んでいく。
もしも、PLOやイスラエルに、またハマスに見付ったら、
彼らは、見方であろうと動物であろうとも、
この時間帯ならばロケットランチャーを必ず打ち込んでくる。
だから、車のヘッドライトは点けられない。
リ〜アやジャッカルにとっては、暗闇で高速で突っ走ることは全く問題ない日常的なことだ。
むしろ、隣で乗っているりとるやjoyがあっちこっちに飛ばされて、武器の間に転がって仕舞う事が、
危険に感じられた。
ジャッカルはリ〜アに停止を指示した。
装甲車は文句を言いたげな、しかし無言で停止した。
周囲は小高い丘に囲まれた道の真ん中。
「何処からでも狙われてしまう所で、何故止まるんだ!」
リ〜アは叫んだ。「ジャッカル!死にたいのか!お前・・何をしているんだ」。。。
ジャッカルはM16アーマライトを一発撃ち放った。
周囲に何回も一発の銃声が響き渡った。
狼の遠吠えが付き合って銃声に応えた。
リ〜アはジャッカルの腹に銃口を付けた。
もう一度撃ったらお前を殺す。
joyは身震いをした。
ジャッカル・・・とうさん・・・どうしたの?
りとるは前方の闇の中に来るかもしれない、
恐怖に向かってワルサーPPKの引き金を無言で引、標準を闇の中に合わせていた。
・・・・
おぉ・・・やっと来たぜ。
リ〜ア。知っているか?
アッサムだ。
遠くから壊れかけたトラックのエンジン音が響き渡った。
PLOのネゴシエーターだ。
銃を下ろせ。・・・ジャッカルは静かに言った。
joyは胸の高鳴りを抑え切れなかった。
5年前・・・同じような状況があった。
その時は母さんのミッシェルと一緒だった。
ミッシェルはアルカイダに武器の供与と交換条件でフセインのあじとを聞き出す筈だった。
でも交渉は決裂し、いきなり相手は撃ってきた。
蜂の巣状態だった。
joyとその仲間は、ミッシェルをその場に置き去りにしなくては、全員殺されてしまう。
joyの仲間は撤退した。
ミッシェルの屍はその場に放置された。・・・・あれからミッシェルを何回も探した。
でも見付られなかった。
そして同じ場所に今立っている。
joyは利き腕の左手にトカレフを握り締めていた。
とうさん・・・この場所は・・・。
知っている。母さんの眠っている場所だ。
そして、俺が復讐を誓った場所だ。
「アッサム」!こっちへ・・・。
ジャッカルは大きな声で叫んだ。
周囲から突然サーチライトで装甲車が照らされた。
まるで、ステージのように、真っ白になり、
そして周囲の人間がみんな自動小銃の標準を自分達に合わせているその殺気を感じた。
りとるは一気にからだじゅうの毛穴から汗を噴出していた。
でも恐怖は無かった。
彼らは誰?昔・・・・良くは思い出せないけれど、こんな場所に私も来た事がある。
その時は、何かとても悲惨な、思い出したくないような、
銃撃と爆発と血の匂いと、そしてうめき声が24時間響き続けていた。
そんな思い出したくも無い悲しい過去。
体が覚えているらしい。
りとるは、アッサムの声に優しさを感じた。
何故・・・アッサムって。。。???

遠くの丘から一台のトラックが走ってきた。
其処には、痩せこけた老人が一人運転していた。
・・・かれが「アッサム」?joyはトカレフにセーフティロックを掛けた。
そうだ。アッサムだ。ジャッカルは静かに言った。
一人の左足の無い、義足の老人が降りてきた。
そして、一点だけを見詰めてこっちに歩いてきた。
一点だけを見詰めて。
その相手はりとるの瞳を釘付けにした。
りとる・・・だね。
あなたは私の名前は知らなかっただろうし、この場所も忘れて、
いや記憶を奪われているから分からないだろう。
あなたは、5年前にミッシェルと一緒にこの土地に来て、我々アラブ人を助けてくれた。
肌の色とか、思想とか全く関係なく、我々をただ助けてくれた。
あなたに治療してもらった戦士たちは、あなたを何時でも歓迎している。
また此処に来てくれて有難う。
戦士に代わって礼を言う。
アッサムがりとるの両手を取り、ひざまずいた。
一斉に歓喜の銃声が上がった。
わ・た・し・・・やっぱり此処に居たんだ。・・・りとるは自分の記憶が少しずつ
自分が行った過去達から聞く事が出来ることを感じていた。
まずは、暖かい部屋に行こう。
ジャッカルとリーア・・・久しぶりだなあ。元気そうじゃないか・・・。
湾岸戦争の時の、リ〜アの撃ったロケットランチャーの一発覚えているか?
あいつは凄かったなぁ・・・・。
一発で、イスラエルの戦車を3台潰したなぁ・・・・。

アッサム・・・実は、フランスが核燃料の再処理を日本に頼み、この一部のプルトニュウムが
北経由でキューバに流れようとしている事は知っているな。
ジャッカルは話し始めた。
知っている・・・。
北はキューバが提示しているテポドン、ノドンの核弾頭を迎撃するパトリオットの軌道妨害ソフトと
電磁波妨害装置、それに開発技術者をセットにして交換するということだ。
いま第3世界の勢力地図は変わりつつある。・・・ジャッカルは続けた。
PLOもアラファト亡き後、指導的な力が無くなって来ている。
だからハマスが勢力を伸ばしつつある。
これには、当然アルカイダの協力と、スンニ派の地下組織が組んでいるが、しかし、
このままでは、アラブの力に歪みが生じてしまう。
これ以上の自爆テロをしても何ら意味が無い。自分の家族同士が武器を持って殺し合う。
下らない宗教の教義と言うまやかしのために。
この状況は、どう終結していくのか?
いまの状況では、今後アメリカのターゲットはハマスになる。
アメリカはイラクへの兵士の増強を始めた。
どうしても石油が欲しいらしい。
彼らが自国で石油をまかなえる期間は、どう見積もっても、あと30年だ。
軍隊が全てのアメリカは、石油が無いとアメリカの象徴である軍が動けなくなる。
そのとき、世界の勢力地図は大きな転換期に入ってしまう。
世界は誰の手に握られるのか?
誰の手にも握らせては成らない。
例え、アラブ諸国が石油をあと何世紀保持し続けようと。
世界の力の地図を変えては成らない。
現在でも、東ティモール、アチェ、インドネシア、パキスタン、コンゴ、ボスニア、そしてガザ地区。
戦争は絶えない。
多分今の紛争は、今世紀の終わりでも絶えない民族紛争になるのだろ。
しかし、世界が大きく変わるような世界テロで力の勢力地図を変えては成らない。
中国が世界の軍事の頂点に立つ事は、非常に危険なことだ。
だが、その可能性と、また経済的には人民元とドルレートの均衡がより崩れる危険性から、
世界経済のバランスも狂いかねない。
そのために、我々フランスの地下組織も立ち上がった。
平和は皆の物だ。一人の独裁者のものでは無い。
アッサムも同じ考えだろう。
・・・水たばこを吸いながら、アッサムは静かにジャッカルの話を聴いていた。
そして、口を開いた。
ジャッカル・・・我々とはあなた方の考えには少し違いが有ると思う。
アラブの事はアラブで片付ける。今後も同じだ。君達には頼まない。
しかし、世界の地図が変わる事は、アラーの神に誓っても許されるべき物では無い。
だから、フセインも売った。ビンラディンは何処にいるかは分からないが、
多分パキスタン以外に無いと思う。
まぁそれは此処では良いとして、全面的に君達に協力する。
我々の同士、のりとるも此処に居る。
嘘は付かない。何が知りたい。そして何が必要なんだ。

此処からはりとるが話を続ける。
ジャッカルはマッカランの30年物をなめ出した。
りとるは静かに話を続けた。
アッサム・・・私達は、キューバのカーロス・ゲバラから北にパトリオットの妨害ソフトと、
開発技術者を北に送り込む事を阻止しなくてはならないの。
一部によると、それらのソフトはイスラエルに入り、そこからインドを回りタイのポルポト軍、
グゥワン将軍に入り、中国経由で北に入るらしいの。
ガサ地区の嘆きの壁の近くに武器商人のモハメッドが居ると思うけれど、
彼の動くときが危ないわ。
その時を阻止して欲しいのよ。
相手はイスラエル軍の御用商人。
へたをすると、今の軍事紛争に油を注ぐ事になりかねない。
ますばモハメットを泳がして、ソフトを此処にあるものとすり替えて欲しいのよ。
私達も手伝いたいけれど、アラブにアジア人は目に付くし、joy一人では危ないわ。
アッサムは暫く考え込んでいた。
そして、言った。
同士・・りとるの頼みは、我々家族の頼みと同じだ。
分かった。
やってみよう。
りとるはアッサムの両手を握り締めてひざまづいた。
アッサムはりとるの両肩を抱き締めた。
良く来たね・・・同士よ。我が娘よ。。

空母ジョージ・ワシントンは、夜明けの大西洋を北北西に進路を取り、
マイアミ基地を目指していた。
楊楊は甲板で離発着訓練を繰り返しているF−15を見続けていた。
ゲルベゾルテの葉巻に弾丸のめり込んだキズのあるライターで火を点けた。
ニコライ・・・・。
また、あの場所に行くのよ。
貴方に連れて行って貰った、キューバに。
あの頃は良かった。
ハバナの市内でモヒートを飲んで酔っ払って、ピアノを弾いていた・・・
ニコライが今でも、目に浮かぶわ。

楊楊のため息と共に赤いドレスが大西洋の潮風に踊った。

・・・つづく・・・


あとがき

人も、物も・・・・急激に変わろうとしている時、何かを見失ってしまうものである。
決して見失ってはいけないものを・・・・しかし、どうして我々人間は、見失ってしまうのだろうか?
それは、欲が理性に先行して、そして理性を覆って隠してしまうのだろうか?
人の本性と言う物は、実は至って単純なのかも知れない。
しかし、その単純さ故に、そこにはいろいろな欲望が首をもたげてしまうのだろう。
名誉・富・権力・金・女・暴力・そしてそれに群がるハイエナのものども。
単純・・・それこそ、人の心の中に存在する本当の無の境地なのではないのだろうか。
人は無から全て始まり、そして人は無で全て終わる。
煩悩の塊の私も、そうありたいものである。

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

「内閣国家安全対策室」

近年、都内の地下鉄は、どんどん深く線路が引かれている。
当然新しい線路は深く潜らざるを得ないのではあるが、しかし、予期される危機のために、
当時から深い線路を引き、プラットフォーム自体が有事発生時の緊急非難用道路として使用可能なように
計画された地下鉄千代田線。
ここは国会議事堂前駅。
その地下通路には関係者以外立ち入り禁止のドアが数箇所あるのをご存知だろうか?
その内部には、各入り口に国家安全対策室の警備兵が常時10名、武装して待機していることを。
このドアは国会議事堂、衆議院、参議院議長官舎、内閣総理大臣公邸ともつながってる非常通路である。
国家安全対策室・・・。
国家の有事発生時は、警視庁と防衛省の全ての指示を総理大臣のもとに
発令するセクションである。
既に遠い昔の話となってしまったが、
赤軍派の日航機乗っ取り事件での、赤軍派リーダー達の釈放・・・・超法規的処置。
浅間山荘乗っ取り事件。
このような事件発生後に日本国家としての安全をどう守るべきか?のために設立された機関である。
しかし、表向きの対策室と裏の顔の対策室は、その内容自体大きく異なっている。
表だって活動できない、外交問題を含めての、国家安全保守のために、何をすべきか?
闇から闇に流して行かなければならない事が多いこの世の中。
正義は表の舞台で日の目を見る。
しかし、それを達成するためには、数多き勇敢なる国家安全対策室所属の、
名もなき部員の活躍を忘れてはならない。

星川二尉は百里基地からの無線を聞いていた。
「大佐」・・・そろそろ着陸体制に入ります。
ご準備をお願いします。
星川二尉は、迷彩服の上からシートベルトを締めた。
無灯火のP3−Cオライオン対潜哨戒機。。。
主翼のフラップの角度を着陸態勢にパイロットは入れた。
その途端、星川二尉に緊急連絡が入った。
星川は何か声を荒らげて話、そして、「あいつ」のそのイヤフォンを渡した。
「大佐」・・・総理からの緊急連絡です。
というと共に、星川はパイロットに右手のこぶ高く上げ、その親指で上昇の支持をした。
オライオンは急上昇を開始した。
激しいGが搭乗員全員に掛かった。
「あいつ」は話を静かに聴いていた。
ミッションNo.5への移行ですね。
了解しました。
楊楊とりとる達にはこちらから連絡します。
楊楊にはキューバに行ってもらいます。
りとるには、フランスのレジスタンスjoyとPLOとの交渉に当たらせます。
さきを戻して、国重総監の監視役に当たらせます。
そして、イヤフォンを星川に渡した。
「あいつ」はパイロットに指示をした。
これから、我々は三沢基地に行き、そこから六ヶ所村の原子炉燃料棒再処理工場に向かう。
星川は戸惑った。
どんな理由でこうなってしまったのか・・・。
我々は、標的は国重警視総監ではないのか?
それが何故?六ヶ所村なのか?
どんな繋がりがあるのか?
楊楊?りとるにjoy、そしてさき・・・?誰だ・・・そいつらは。
少なくとも、警視庁が経済通商産業省の原子炉関係には無縁のはず。
国重総監は再処理工場から発生する使用済みウラニュムの副産物として発生するプルトニュウムを
横流しをしている事実はうわさされているが、それと今回の件はどうつながるのか?
我々の任務は大佐を永田町に護衛するだけだったのでは無いのか?

「あいつ」は静かに話し始めた。
君達に話せる事たげを話そう。
そこから想像してもらいたい。
だが、本件に対しての質問は禁止事項とする。
これは君達自衛官の川角統合幕僚会議議長よりの命令として受け取って欲しい。
フランスの大統領は、日本に対して使用済み核燃料の再処理を依頼した。
自国で処理が行える、少しばかりの使用済み核燃料再処理だ。
フランス国民が原子力政策に反対している訳ではない。
日本で再処理を行い、そしてウラニュウムを再生し、副産物として生成したプルトニュウムを
一旦、インドを経由して北に流すように、フランス政府は、国重警視総監に依頼した。
そこに泉名建設大臣がかんでいた。そして深く入り過ぎたために、「さき」に殺させようとした。
実際は、国重が殺したがね。
さて、この核爆弾にもなりうるプルトニュウムだが、当然北は欲しがっている。
しかし、もっと喉から手が出るほど欲しがっている国があるのだよ。
それは・・・・「キューパ」だ。
現在、キューバはカストロ大統領が闘病生活の毎日だ。
カストロは、もう長くは無い。
だから、世界に自分の姿を見せて、まだ元気だと言い張っている。
でもテレビを見れば、カストロがもう長くないのは良く分かる。
もしキューバ国民にカストロへの求心力が無くなったらどうなるか?
キューバはれっきとした社会主義国家だ。
野球や観光の国ではないのだ。
このままではキューバが崩壊し、国民は自由主義国家の虜になってしまう。
それを救うために、いや、封じるために、
再度国家への忠誠心と求心力を一つにまとめる必要があるのだ。
カーロス・ゲバラ。
知っているか?「あいつ」は続けた。
チェ・ゲバラの息子だ。
チェ・ゲバラは今でもキューバの最高の英雄だ。
カストロの影となって、キューバをアメリカから救った。
今でもキューバ国民は思っているし、
カストロもチェ・ゲバラに対しては最高の敬意を払っている。
カストロがこの世に居なくなって、一番心配になる国はアメリカだ。
そして喜ぶのは第三帝国の国々。
そう、その筆頭は中国、そしてインド。
その下にパキスタン、イラク、イラン、そして、北の国だ。
ケネディ大統領時代のキューバ危機。ソビエトからキューバに核爆弾を運び、
アメリカの喉元にナイフを突きつける。
それが、また起ころうとしている。
アメリカは自由に動けなくなり、世界の勢力地図はその色を塗り替えざるを得ない。

北は、核ミサイル・・テポドン、ノドンを日本、アメリカに標準を合わせている。
しかし、迎撃ミサイル、バトリオットがハエのように、ターゲットを狂わせるために、
北の各ミサイルの狙いは定まらないだろう。
北がキューバに核弾頭を与える変わりにキューバは北に、
米国のバトリオット誘導波迎撃ソフトと電磁波誘導妨害装置とそのソフト一式、
並びに開発主任をワンセットでオプション提案している。
イラク戦争で2人の息子を戦死させられたアメリカ国防省セクション4の
局地戦核ミサイル開発主任。ボビー・ジャクソン。
彼の妻も二人の息子の戦死を悲しんで、ホワイトハウスの前で焼身自殺をした。
ボビーの怒りはアメリカ大統領に向けられた。
それを巧みに仕掛けたのは、北の工作員だ。彼らが二人の息子と母親を殺したのだ。
CIAからの情報を信じるとな。
我々は、現在六箇所村で引渡しが開始されている、使用済み核燃料の積載船の国外搬送阻止
と略奪を行う。
君達は今から国家安全対策室付き部員に任命された。
我々全員の身分、そして氏名、素性等は全て現時点から無くなる。
我々は国家反逆者としての汚名を一次着ることになるかも知れない・・・みんな、許してくれ。
「あいつ」はゆっくりと、モンテクリストNo.9の葉巻に火を燻らせた。
蒼い煙がP3−Cオライオンの中を漂い始めた。
星川二尉は、これから始まろうとしている、何か大きな津波のようなものに飲み込まれまいとして、
必死に自分の信じるものに掴まっていた。
そして星川二尉以下、搭乗員全員が階級章と日の丸の国家章、その他身分が判明するような、
腕時計や指輪に至るまで、全ての物を体から取り外した。
闇夜の中を音も無く飛ぶP3−Cオライオン対潜哨戒機。
もう直ぐ夜明けである。
星川二尉は大きく息を吸い込んだ。

楊楊はジャッカルとリーアと共に、バステューユ広場の裏通りに近いところまで来ていた。
その時一台のジェットヘリが楊楊の上空に迫っていた。
ジャッカルはその気配に気付き、リーアに合図を送った。
リーアは背中のロケットランチャーのターゲットスコープをオープンにして、
安全装置をロックアウトした。
ヘリはサーチライトを点滅させて合図を送った。
ジャッカルは叫んだ。。。。
楊楊・・・あんたに用が有るんだったさ。
でも止まらないぜ。
後を見てみな。。。
ベンツが3台近寄って来て居るよな。
邪魔なんだよ、あいつらがよ。
どうも天上の大きなハエはあんたを何処かへ連れて行きたいらしいぜ。
120km/hで走るから、ヘリのはしごに掴まって飛んで行きな。
俺とリーアはjoの仲間の所へ行くさ。
こいつらを片付けてからな。
リーア!ジャッカルはリーアに何か合図を送っていた。
リーアはスターダスターの背後からガソリンを撒き始めた。
あと、20m。。。背後から自動小銃の弾が飛んでくる。
楊楊はヘリからぶるさがった縄梯子に掴まった。

漆黒の闇に真っ赤なドレスが踊った。

楊楊は空の上から、ブローニングオートマチックの引き金を引いていた。
だが、防弾処理を施したベンツには役立たずであった。
はっきりと相手の顔も分かる距離に近づいた。
楊楊は相手の顔を見た。
先頭車にはロシアKGBの狙撃者、ユーリー・バリシニコフが乗って
楊楊を狙撃銃で狙っていた。
ユーリーと楊楊は目が合った。そしてそれが今生の別れとなった。
ジャッカルのナイトライダーまで、ベンツはあと15mまで迫って来た。
リーアは吸っていたタバコを背後に投げ捨てた。
撒いたガソリンに火がついた。
楊楊は拳銃の引き金を何度も引き絞った。
大爆音の爆風と共に大破した車の部品が飛び散って来た。
楊楊はヘリと共に暗闇の世界へ消えて行った。

大変な歓迎ですわね。
あなた達どちら様?
楊楊はもう一つの拳銃の引き金に右人差し指を掛けていた。
楊楊さんですね。
私達はフランス海兵隊MP−3です。
貴女に、ドゴール空港から輸送機でアメリカ経由、ブラジル回りでキューバに行ってもらいます。
後はアメリカ行きの輸送機でお聞き下さい。
ただ一つお教えしますが、これはあの方からの指令です。
楊楊は拳銃にセィフティ・ロックを掛けた。
また長い一日が始まろうとしている。
りとるにはまた逢えなかったわ。
まぁ、何時か逢えるでしょう。
その時まで、楽しみにしているわ。・・・・。
楊楊は、ヘリからシャンゼリゼ通りのライトアップを眺めていた。
あの時の灯りに似ていた。

・・・続く・・・

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません

真夜中を走り続ける一台のハーレー・ナイトライダー2000CC・・・。
既に200kmは走ってきた。
夜明けまでにあと2時間程度。
朝焼けの寒さが、ロシアKGBの狙撃手ユーリーに撃たれた左腕を熱く燃えさせている。
ジャッカルは無灯火のまま、150km/h近いスピードでブルターニュの郊外を走っていた。
パリまではもう直ぐである。
夜明けまでに、あの店に入らないと、北とインドやイスラムの奴らがうるさく付きまとう。
ジャッカルはイラつきながら、スロットルを全開まで絞った。
群青色に染まりつつある星空に、真紅のドレスが踊る。
楊楊は、ジャッカルの背中で夢を見ていた。
そう、子供の頃のニコライとミッシェルの店に来て、そしてフランスを中心に、スロバキア、
イギリス、そしてパキスタン、イラクまでのゾーンのテロリストや武器商人たちを相手にして来た。
自然と拳銃の腕も上がった。死ぬか生きるか何て、楊楊は考えていなかった。
ベトナム戦争の孤児としてニコライを父として、
そして暖かな家庭も築けないで祖国を捨てざるを得なかった。
ニコライは祖国の英雄でもあるのに、その故郷からたたき出された。
常に付きまとう孤独感。挫折をする事は誰にでも出来るし、簡単な選択枝だ。
だが、ニコライはそうではなかった。
何時もニコライは楊楊に言い聞かせていた。
「自分の思うままの正義に生きろ・・・と」
最近ようやくその事が、楊楊の胸の奥の痛みを激痛に変える時がある。
ニコライの死から。。。全ては変わった。何もかも。

突然、ジャッカルはウィンチェスター・コマンダーのショットガンを2発撃った。
楊楊は目を覚まし、右手のブローニングオートマチックのセーフティーロックを外していた。
「どうした!」楊楊が叫ぶ前にジャッカルが話し始めた。
楊楊!客人だぜ。でかいぞぉ〜。と言って口笛を、さもセクシーな女に対してふざけるように吹いた。
前から、15tonトレーラーが一台、そして後から同じトレーラーが2台。
その中に、ナイトライダーが遭難しかけた小船のように漂って居た。
俺たちを挟み潰すつもりだ。
トラックのフロントガラスは防弾ガラス仕様なので、ジャッカルのショットガンでは破壊力が無い。
トラックは前後から猛烈なスピードで迫ってくる。
ジャッカル!!・・・楊楊のブローニングでは全く歯が立たない。
ジャッカルはウィンチェスターにNTN火薬の中戦車迎撃用の弾丸を2発込めた。
・・・楊楊・・・この弾で破壊出来なけりゃ、俺たちも終わりだ。
短かったけれど、楽しかったぜ。先に挨拶しとくぜ。
ふざけんな!まだ負けちゃ居ないんだよ。ジャッカル!・・・
諦めちゃだめだ。
目を伏せろ・・・楊楊。光りを見るな。
ジャッカルは前方のトレーラーのラジエーターとタイヤの間を目掛けて、2発ぶっぱなした。
オレンジ色の鮮やかな閃光が、ジャッカルのナイトライダーから一直線で飛び出した。
トレーラーの右前輪のタイヤホイールは完全に破壊した。
しかし・・・トレーラーは操縦不能となり、その速度を緩めることなく、
ジュッカルのナイトライダーに真っ直ぐに襲い掛かってきた。
あと50m・・・・ぶつかる。
急ブレーキ。後輪を滑らして・・・それでも止まれるか?分からない!
危ない!
ジャッカルと楊楊はバイクから飛び出そうとした瞬間だった。
操縦不能になった前方のトレーラーと、後から迫りつつある2台のトレーラーの真横から同時に、
超大型のブルドーザーが突っ込んで、トレーラーもろとも道路を横断して行った。
何だか分からないうちに、前方が開けた。
とっさに、ジャッカルはナイトライダーの操縦を立て直して、
再度、フルスロットルにアクセルを絞り上げ、闇の中へと滑り出した。
楊楊は後方の闇にブローニングの標準を合わせた。
闇の静寂。
ナイトライダーから流れるマフラーからの排気音だけが響き渡っている。
道路には何も無かったような虚しいような静けさだけが残った。
いや、大きなトレーラーの残骸が3台と、ブルドーザーが2台。
道路の端に、ただの鉄の塊としてうずくまっていた。
ジャッカルの背後から一台のハーレー・スターダストが、
巨大な爆音を響かせて迫ってきた。
其処には華奢な女が運転していることを、ジャッカルはバックミラーから確認していた。
・・・やっぱり、あいつか・・・。あの女だ。
ジャッカルはスロットルを緩めた。
「久しぶりだねぇ〜、ジャッカル」・・・。
この通りを通るのにあたしには挨拶無いのかい!・・・。
その女は真っ白の皮のライダースーツを身にまとい、
そして、長い髪をなびかせて1500CCのスターダストを運転している。
「だれ??」楊楊は、見方なのか、敵なのか?分からなかった。
でも、敵ならば、私を直ぐに殺すはず。
誰だろう?楊楊は右手のブローニングの引き金に人差し指を当てていた。
「やっぱりあんたか・・・・リーア、有難うよ」久しぶりだな。
シャッカルはウィンチェスターをバイクのホルスターに収めた。
まだ銃身が熱くて、ホルスターの皮の焼ける匂いがした。

このブルターニュは私の縄張りだよ。
勝手に通ってもらっては困るね。・・・・まぁ、あいつに頼まれていたからいいさ。
ジャッカルの後が楊楊だね。
あんたが、チャウセシスクを殺っんだってね。
大したもんだ。
その細いからだで。
あの悪党を、ありがとうよ。
神に変わって礼を言うよ。
背中に背負っているロケット・ランチャーが、
リーアの華奢な肢体には不釣合いな光景だった。
楊楊はブローニングの引き金を納めて、セーフティーロックを掛けた。
でも・・あの女は一体味方?敵?
あの人に頼まれた・・・って言っていたけれど。
あの人が、ジャッカルにも、そしてリーアにも協力依頼をしていたの?
楊楊はこれから、一体何が始まっていくのか?分からなくなってきた。
単に、日本の警視総監である国重を闇のルートで裁く事だけではない様に思えてきた。
ジャッカルは確か、フランス大統領が日本へ依頼した核燃料の再処理されたウラニゥムから
作り出されるされる副産物であるプルトニウムの一部を、
中国経由でインドを経て、最終的には北の国へ横流しをしていると言っていた。
そのために、彼らフランスのレジスタン組織もフランス国内の危機を救うのだと。
それと国重警視総監とどんな関係があるのか?
あるいは、まだ他に日本に悪い奴らは居るのか?
リーアは、更に続けてジャッカルと話をしている。
あんたら、ミッシェルの店に行くはずだね?
そうだが・・・ジャッカルは答えた。
が、リーアの質問に答ええる前にフルスロットルで走り始めた。
背後からまた2台の黒塗りのベンツが2台のバイクに迫って来た。
カラシニコフ自動小銃の弾が楊楊達を狙ってくる。
楊楊は後ろ向きになり、ベンツに狙いを絞った。
フロントガラスに命中はしているが、全く破壊しない。
ジャッカルは楊楊に言った。
「止めとけ・・・弾の無駄だ」あのベンツは防弾ガラス装備車だ。
ライトの反射が全く無い。
あの車は俺達の銃じゃ、破壊できない。
2つのバイクは全速力で逃げ切ろうともがいていた。
リーアはハンドルから両手を離した。
と思った瞬間、後方のベンツに向かって手榴弾を投げつけた。
更にもう一つ投げた。
フルスロットルで逃げ切れるか?
道路に炸裂する手榴弾。
ベンツは2台ともハンドルを切りそこない、ガードーレールにぶつかり、
そこで爆発をした。
燃え上がるベンツの中の銃の弾に着火して、激しい炸裂現象が発生した。
まるで夜中の花火。自動小銃の弾が無軌道に飛び散ってくる。
流れ弾に当たってしまう。
ジャッカルのナイトライダーと、リーアのスターダストは、その場所から風のように逃げ去った。

穏やかな朝焼け。
また新しい一日が始まる。
幸せな家庭が、楽しそうな家族が希望の朝を迎える瞬間。
楊楊は両切りのゲルベゾルテのタバコに、ニコライのライターで火を点けた。
埃の無い風が楊楊の頬を撫でた。
もう一人味方が増えたのかな・・・。
楊楊は、これか始まる長い一日の入り口に居るような気がした。
さぁ・・・俺の女のミッシェルの店に行くぞ。
ジャッカルの声に従い、リーアも付いてきた。
何か面白そうだねぇ〜。ここまでの約束だったけれど、もう少し手伝うよジャッカル。
リーア・・・あんたが来てくれれば、最高さ。
二台のバイクは、まだ寝ぼけているブルターニュの郊外から
朝日に向かって走り出した。
もう少しでりとるに逢える。
楊楊は少なからずも、胸がときめいているのが分かった。
何故?
きっと、仲間だからだね。
一人じゃないんだ。いまは、もう・・・・楊楊は、そう思い始めた。

その頃「あいつ」は那覇基地から百里基地に向かう夜間飛行中のP3−Cオライオンの中に居た。


・・・つづく・・・

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません

P3−C 対潜哨戒機 オライオン 我が日本国家が購入した最高の偵察用航空機である。
沖縄那覇空港。午前5時30分。
無灯火のP3−Cが一機ギャダウン態勢に入ろうとしていた。
那覇航空自衛隊管制塔は非常事態宣言、スクランブル発進したF−4ファントム迎撃戦闘機2機は、
アフターバーナーを点火して一気に漆黒の暗闇の空に駆け上った。
那覇航空自衛隊は、緊急連絡のホットラインをアメリカ嘉手納航空基地に発信。
嘉手納からもF−16局地迎撃戦闘機フォックス・コンバットを2個中隊の4機、
すでに彼らのレーダーが受けた謎の物体の影に対して緊急発進し、成層圏で待機させていた。
「あいつ」はP3−Cオライオンから、那覇航空自衛隊、並びに嘉手納航空基地に対して、
一本の無線連絡を発信した。
GOOD MORNING GENTLEMAN ・・・・ CORD NAME WHITE NIGHT OVER ・・・・。
那覇航空自衛隊基地から滑走路に対して、一本のサーチライトが「あいつ」の乗る
P3−Cオライオンに発射された。
オライオンは無灯火のまま滑り込むように眠っている那覇国際空港に着陸した。
嘉手納航空基地より成層圏に待機させいてるF−16に帰還命令が発信された。
2機のフォックス・コンバットは、闇夜を貫くように真っ赤なエンジンの灯りを
登り始めた太陽の中に消えながら朝を迎え始めていた。

ここは、那覇航空自衛隊の司令官室。
お帰りなさい。。。大佐。
千田二佐沖縄航空自衛隊司令官は「あいつ」にダビドフのNo.13の葉巻を渡した。
ダークスーツ姿のあいつはゆっくりと、チェコ製のオイルライターで葉巻に火を点けた。
データは揃っています。まずはこのファイルをご覧下さい。
千田二佐は黒表紙のSECLETと赤いスタンプの押されたファイルを差し出した。
大体の事は理解して頂いていると思います。「あいつ」は煙を美味しそうに吐き出しながら話した。
東シナ海上で、総理より連絡を頂きました。
国重警視総監は、北の工作員とつながっています。
先に亡くなった泉名大臣のルートを独り占めしたと言う問題では無く、既に彼自身のルートとして、
インド、イラン経由フランスのルートを介しての北との取引き。
インドもイランも核を保有している。
その本当の理由は定かでない、何かからの脅威、侵略防衛のため。
でも本当は、国際的な立場の有利性。
貧民国家が最後に取る手段は何か?
核の脅威を持つ事により、自国をいや、自分だけが富む最後の状況を作るために、
国際的な立場を利用する事。
金が全てか?独裁者としては当然な考えかも知れない。
我々の日常生活ニ於いても、独裁者は居るが、彼らは一体何を考えて、そして、何をしたいのだろうか?
永遠に終わりの無い、支配欲と権力。そして金。
沢山の人を踏み台にして、そして最後は自分も踏み台にされると言う事実。

あいつは、ダビドフから流れる濃厚な煙を一気に吐き出して話を続けた。
私も、プラハで北の工作員に狙われました。
その場所を知っているのは、かなり限られています。
フランスの私のなじみの地下組織と連絡を取って、現在のヨーロッパで発生しているテロと、
中東のテロの関係を調べてもらいました。
そこで一本の線が浮かび上がりました。
テロで使われている地雷・手榴弾・そしてTNT火薬は、全て中国製です。
そしてそのルートにフランスがかんでいると言う事です。
また、日本の核燃料再処理施設にフランスから使用済みの原子力燃料が送られてきます。
これを再処理するのですが、そこで発生した一部のプルトニュムは、日本からロシアを経由して、
さらにインドに入り、ここからイラン経由でフランスに戻ります。
そこから、更に中国経由で北に流れています。
全ての武器も同様に、中国産のものは、一旦インドに流れ、そこからフランスを経由して
再度中国を経由して北に運び込まれます。
単なるくず鉄としてね。
以上の操作をしているのが国重警視総監であり、フランス国家とつながっていると言う事実です。
そうフランス大統領とね。
彼の狙いは総理大臣の椅子と国連の常任理事国入りを同時に果たし、そして核を保有すること。
国際的な脅威としての常任理事国となれば、中国・北朝鮮、
そして韓国にもその影響力は果てしなくなります。
ロシアに対する北方4島問題、漁業権交渉、
また北との拉致問題、
当然中国との石油・ガス田掘削権問題。
これらの事が一気に片付いて来るのです。
果たして、採算に見合う石油や天然ガスが採掘出来るかはまだ未知数ですが、
しかし、自国の産業の活性化と石油が自前で少しでも採れる事によって、
円為替レートの上昇ともつながると考えられるのです。
ちなみに、彼は中国とインドの銀行に、かなりの自分の資産を運用させているようです。

国重警視総監を闇で裁くのはたやすいのですが、これらの組織とルートの全面壊滅が
私に与えられた命令なのです。
自衛隊の制服組の方には、川角総合統幕議長から今回のミッションに付いてお話済みと聞いています。
千田二佐は、うるまのタバコに火を点けた。

・・・まだ沖縄では、タバコに関しては「うるま」と、
「バイオレット」と言う地域特定価格のタバコが流通している。
日本返還前からあったタバコではあるが、いまだにこのタバコが沖縄に流通していると言う事が、
日本とは違う国として差別化している事は事実であろう。・・・

確かに我々は全面的に貴方にご協力する。
日本国家を一部の権力者には渡せませんからね。
私にも家族も親もいます。
彼らが幸せに、平和に暮らせるようにする事が我々の使命ですからね。
千田二佐は自室に、星川一尉を呼んだ。
これからの連絡・手配・同行護衛は全てこの星川に命令下さい。
星川一尉、沖縄方面空挺師団航空隊第二隊長。
星川一尉は「あいつ」の前に来て、直立不動の態勢で敬礼した。

星川君・・・、今夜、私を東京に連れて行ってくれ。
オライオンで百里基地に入り、そこから私と永田町に車で行こう。
護衛を頼む。あと2人を人選しておいてくれ。
全警察官は我々の行先の邪魔をする。
なにせ、警視総監の命令だからね。
これは、警察官と自衛官との戦いでもあるんだ。
「あいつ」はダビドフの葉巻を灰皿に押し付けた。
星川一尉は心の中であの日の事を思い出していた。
そう、自分の大切なもの・・・この沖縄で米国兵に家族を殺されたことを。
そして、町長は泣き寝入りしろと、その被害を警察に届けなかった事を。
また届けたところで、何にもならない。
日米地域協定・・・なんとふざけたことか。
いまだに、日本国内で犯罪を犯し、そして基地内に逃げ込めば、
それで米国自体が犯罪者を守ってくれる。
何でもやりたい放題の米国兵士。
一年で帰国だから、滞在の時は犯罪が多い。
米国人の家の周りには絶えず警備兵がいた。
夜に襲おうと思い、棒を担いで仲間とその家の前に佇んだ時、
黒人の子供が銃を持って、自分の標準を合わせた時。
これが本当の恐怖かと思った瞬間だった。
その時から、自分は自衛官として国家の防衛を志願した。
自分の国、家族、そして愛は自分が守る。
日本の防衛が本当は如何に大変で底辺の仕事で、しかも日の目に見ない報われない影の使命なのか。
我々の手で正義を果たして、そして国家の安全、
いや、いや・・・そんな大げさな事ではなく、
自分の親・兄弟・そして家族や友達を守るために。
司令官室の外は、朝日の上昇と共に大変な賑わいとなって来た。
滑走路は沢山の旅行客を乗せた国内線の航空機が離発着を繰り返す、
ラッシュアワーの時間帯である。
航空管制官は、口から泡を飛ばして旅客機の発着指令を出している。
我々の一つ一つの楽しい夢や小さな幸せを、
一部の自分の事しか考えていない権力者に渡すわけには行かない。
星川はそう心に書き留めた。
星川君。
「あいつ」は星川を呼んだ。
星川一尉はあいつに敬礼の姿勢を取り退室した。

・・・つづく・・・

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