|
この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません
午前4時のバステューユ広場の裏通り。
昨日と今日の希望の変局点。
りとるとさきは人気の無い、しかし何か緊張の糸が張り詰めた中を歩いていた。
そして、店の前の吐瀉物の中に相変わらす横になっている男に声をかけた。
ヤニック・・・久しぶりね。お元気?
その男は目を開けた。
りとるはシャツの第二ボタンまでを外し、喉仏から胸の上辺りまでをヤニックに見せた。
そこには、ハートの真ん中に矢が突き刺さった・・・ニコライの持っていたマッチと同じマークが
刺青されていた。
ヤニックは、目を見開いた。・・・りとる。久しぶりだな。待っていたよ。
男は、右手に握ったトカレフ38口径オートマチックを、更にしっかりと握り、
そして、反対側のビルの屋上にいる男に合図を送った。
ビルの頭上の男は、ヤニックの指示を受けて、どこかに連絡をしていた。
ヤニックは周囲に細心の注意を払い、そしてりとるに言った。
ここから100m先の公衆トイレの女の方の裏手に行け。
そこに壊れかれた扉がある。その中でjoyが待っている。
それと、思いっきり走れ。
あそこの角で北のやつらがうろついている。
付けられたな・・・りとる。
あとは、俺と、仲間があいつ等を始末する。
さぁ、行け。
りとるとさきは、思いっきり走った。
北のやつらが走ってきた。
ヤニックは素早く寝ていた場所から2回転し、建物の影に隠れ、トカレフの引き金を絞った。
頭上の仲間も、自動小銃の標準をこっちに向かってくる奴らに合わせていた。
朝焼けの銃声。りとるを追ってきた奴らは3人。
裏道を散開して走ってきた。
さずがにロシアで鍛えられたスパイである。
実戦の経験が深い。走りながらも、正確にヤニックと頭上の仲間の位置に銃弾を浴びせてきた。
ヤニックと頭上の仲間は、まだ撃たない。銃の有効射程距離に達していないからである。
あと5m・・・早く来い。ヤニックは心の中で叫んだ。
やつらの弾もあと3発で切れるはず。マガジンを取り替える時が狙うとき。
一瞬、奴らが拳銃を撃つ時間に間が出来た。
脳より先に体が反応した。
本能とはこうゆうものなのか。
理性では理解できない何か。
それは人間の本能の叫び。
自由と言う理性の檻の中では、本当に望んでいる自由は得られない。
扉を開けて、理性の外に出よう。
きっと、そのチッポケな理性と言うやつは、実は、単に建前えと見栄えの塊りだったと気づく筈だ。
ヤニックと仲間は、一気に奴らに銃弾を浴びせた。
ヤニックのトカレフは、マガジンを改造してあり13発連射ができる。
頭上の仲間のM16アーマライト、暗視標準器付きは50mの射程距離を誇る。
マガジンの弾は25発。しかも16m弾。
中戦車の鉄板も貫通させる殺傷力がある。
しかし、この自動小銃を撃つ体力は並大抵では出来ない。
3つの死体が闇の中に倒れていた。
ヤニックは、元の位置にまた寝転んだ。
別の仲間が死体を片付けだした。
道路に水を撒く老婆は一人、忙しなそうに動いている。
じつに仕事が速い。全員が自分の任務の何たるかを知り尽くしている。
今日は大変な日になりそうだぜ・・・・。ヤニックはほくそえんで、眠りについた。
トイレの裏の扉・・・りとるとさきは息を切らして、そしてその前に立った。
人の気配。しかし、その気配は隣の男トイレから。
りとるとさきは銃を握り締めた。
撃てつを外す音。。。
「まって」・・・joyの懐かしい声が響いた。
りとる・・・・?
そうよ・・・・joy?
りとる、母さんが言ってたんだけど・・・・あの物はどうしたの?
・・・・、・・・・。
りとるは静かにしゃべった。
あの物は、・・・私の胸の中に仕舞ったよ。
突然、ドアが開いた。
りとる!
中からショート・ブロンドのエメラルドグリーンの瞳の娘が抱きついてきた。
久しぶりね joy・・・。元気だった?
joyは二人を中に誘った。この地下通路から店の中につながっている。
フランスの第二次世界大戦の時、ドイツの占領支配下の中、彼等レジスタンス組織は、
地下を自由に動き回れる通路を下水道を利用して作り上げた。
いまだに、この通路は彼等のレジスタンス組織に引き継がれている。
フランス警察も、彼らの組織には距離を置かざるを得ない。
現在、彼等フランスレジスタンスの各組織は、北・中国の脅威、ロシアの侵略、ボスニアの内戦、
そしてイラン・イラク・パキスタンのイスラム圏内の宗教闘争のテロに対して、
時には金で、時には力で、時には核も動かしての対抗をしている。
仕事の依頼は、各国である。
国益と言う正義の名のもとに於いて。
本当がどうか?はどうでも良い。
彼等レジスタンスは自分たちが正しいほうに味方する。
例えそれが、反対組織としても、正しい正義に荷担する。
だから、一番恐ろしい組織である。
金では買えない。何か。
その何かを未だに持ちつづけている、勇者たち。
いま彼ら、レジスタンスの一番の悩みは、フランスの使用済み核燃料が、
日本でプルトニュウムとなったものを、中国を経由して北に流れ、
そして核弾頭となったものが、イスラム圏内に金で流れていると言うことを、
フランス政府が黙認していることである。
フランスの現在の大量の失業対策として。
将来の黒人とイスラム人のフランス国内における人口増加対策が一番の悩みの種である。
フランスも病んでいる。
それを止めることは、今のところ何も無い。
化粧をした美人の国・・・・フランス。
しかして、化粧を落とした顔には深く、そして汚れた傷が目立つ。
それを国はあらはにしない。
魅力の裏側には、必ず闇がある。
それが生きている証拠である。
しかし、その闇が光に変わったとき、国は国で無くなり、
人は人としての心を持たなくなる。
本当に大切な物は?、愛すべき物は何か?、そのために守らなければならない物は何か?
このことだけは、我々も心の中心に置いておきたい。
joy は組織の本部となっている場所に二人を誘った。
りとね・・・あのね・・・国重って言う警視総監だっけ?。
あの男、泉名大臣を殺して、自分が行ってきた、
日本で処理している使用済み核燃料のプルトニゥムを、
北に流している事実や総理大臣への裏金とその組織作りを、全て泉名大臣の責任として始末したんだよ。
それに関係した、りとるや揚揚や、そしてそこに居るさきを殺そうとしている。
でも、もう問題はそんな小さなことではないんだ。
我々、フランスの組織としても、我が祖国を守るために、一緒にやるからね。
そう「あいつ」に協力を依頼されたんだ。
でも我々は、我々の意思の元に協力することに決めたんだ。
それは、母さんの意思でもあるしね。
CIAとイギリスのMI6も動き出した。
当然、国益って言う正義のためにね。
それと、自国以外のスパイ組織の壊滅のために。
まずは母さんのところへ・・・。
りとるは、ミッシェルの遺影に手を合わせた。
joy の声が後ろから響いた。
4年前だわ・・・、バクダッドに居たの。母さんは。
シーア派への武器引渡しとしてね。
その時、スンニ派の自爆テロらしいのだけれど、本当のところは分からないの。
シーア派にもいろんな組織があって、内紛かも知れないの。
全ては大義名分を付けているけれど、単なる権力争いなのよ。
こちらが意図した事と、相手が思っている事が必ずしも一致はしないけれど、
でも利用されて、裏切られて、そして殺されて。
誰のために、何のために協力してきたのが、時に分からなくなるけれど、
正しい事を正しいって、言える時代を作るために、
私が母さんの後を継いだのよ。
・・・りとる。
りとるの左眼からは大粒の涙が零れ落ちていた。
そして右目からも。一粒の涙が。
ミッシェル・・・貴女が私に言いたかったこと、この胸の中に仕舞ってあるよ。
そして、それをjoy にきっと伝えるから。
彼女ならば分かるでしょう。
私たちの願っている事を。私たちが本当にしたかった事を。
そして未来の夢の事を。
joy はもう一言、りとるに投げかけた。
もう少しでここに、揚揚も来る。
母さんの、・・・いや、私のとうさんのジャッカルと一緒に。
揚揚・・・。どうしていたのかしら?
全てはこの場所から始まった。
そしてまたこの場所に戻ってきた。
そしてこの場所から、また始まる。
全ては正義のために。
・・・続く・・・
|