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書庫ショート小説「あいつ」

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません

「さき」はこの瞬間を待っていた。
そう、ずっと。
右手に握り締めたワルサーPPKが震えている。
本当に撃てるのか ?
自分でも分からない。分からないよ。。。
でも正義を示す。
一瞬の隙があった。
「さき」は顔を上げた。
そのとき、大爆発がした。
オレンジ色の閃光が、さきの顔目掛けて真っ直ぐに飛んできた。
まるで、スローモーションのコマ送りの映像に居る様だった。
何も考えず、本能なのだろう。
細い体を捻り、電信柱の裏側に滑り込んだ。
顔を地面に擦り付けた。
髪の毛がリチリチと焼ける匂いがした。
オレンジ色の閃光は反対側の店のドアを突き抜けて、店の中で荒れ狂った龍のように飛び上がっていた。
その後の爆風。
飛び散るガラスの中を「さき」は目だけを左の腕で保護して、
右手で握ったワルサーの標準をオレンジ色の閃光が飛び出てきたドアに向けた。
ガラスが体中に刺さっている。痛い。熱い。
でも冷静だった。
頭から出血して来た。体中が熱くなっている。
黒い影が飛び出てきた。
あいつだ。
さきはあいつの心臓を狙っていた。
一瞬の迷い。それが全てを決定付けた。
あいつはドアから飛び出して、そのまま体を回転させながら、さきに一発、
ブローニング・ハイパワーの9mmの銃弾を撃ち放った。
さきは右肩から熱いものを感じて、そのまま後に斃れた。
暖かい物が流れ出した。
暖かい・・・・血って暖かい。
私、生きている。
さきは気を失った。
泉名大臣は死んだのだろう。
私が撃たなくて・・・・良かった。

あいつは、泉名大臣が2本目のタバコに火をつけた時、出口のドアに向かって走り出していた。
泉名大臣は何事か?分からなかった。
その方が彼の死が楽になる。
あいつはそう思った。その分、あいつ自身がさきとその他にこの店の外で監視している、
北の人間に狙われることになるのだが。
あいつはさきを撃った後、黒塗りのベンツSL500 6VLのドアに滑り込んだ。
走った。狂気のように。
背後から黒塗りのクラウン3台が追い駆けてきた。
まるで手負いのライオンを追うハイエナのように。
あいつは、背後からカラシニコフAK97自動小銃でめった撃ちされ始めた。
北の奴らの銃が熱くなり始めている。
これ以上撃つのも限界まで来ている。
北の連中は狂気のように追い駆ける。
しかし、この車は20mmの防弾ガラスいり。
装甲車並みの防御がなされている。
あいつは、関内の高速から首都高目指して走り出した。
背後にオイルを撒き散らして。
あいつは撃った。
急ブレーキの音。
路面に撒いたオイルで彼らの車のタイヤはスピンをしはじめていた。
大きな金切り音がした。
走っている頭上から。
羽田から浜松町の真っ直ぐな高速道路。
ジェット・ヘリ??
あいつは、180km/hで走っているベンツの窓を開けて、天井に載り上がった。
自動小銃の弾が道路や車体に当たる音がしている。
あいつは突然近寄ってきた、ヘリの足に左手を伸ばし、そのままヘリに掴まって立ち去った。
大きなオレンジの炎が上がった。
ミッション完了。

ここは厚木基地。
あいつは、F15の中に居た。
これから、南太平洋航海中の空母まで飛びます。
GENERAL STAMBY OK ?
お願いします。あいつはゆっくりと、外を眺めながら言った。
アフター・バナー全開。
マッハ3の速度で成層圏まで急上昇したF15は、20min後には東シナ海の上に居た。
右手に台湾が見える。
あと、10minで空母「インディペンデンス」に到着します。
そこから、FT315ブラックタイガーにてロンドンまで行かれて下さい。
分かりました。

柔らかな日差しの中「さき」はまだ眠っている。
懐かしい匂いがした。
そう、あの頃の優しい匂い。
笑っている。みんな。
りとる・・・・。
りとるが笑っている。
何故?
りとるは私を殺す気じゃないの?
ミッションは失敗したのよ。
あ〜っ、起きた?
相も変わらない、りとるの優しい声が降ってきた。
さき、何故?って思っているよね。
そう、さきを殺すことは何時でも出来たの。
私がね。
でもね、さきは私と同じ匂いがするのよ。
だから、守ってあげたかったの。
きっと貴女を見ていると、自分も一緒に生きているような感じがしていたの。
ねぇ・・・歩けるかしら?
あんまり時間は無いのよ。
此処も狙われ始めているの。
あの人の協力でね。さきと私はこれから場所を移るのよ。
プラハまでね。
途中でね、貴女の声と左手を私が治すの。
ごめんね。黙っていて。
始めから完治させることが出来たのだけれど、あえて、今回のミッションのためにしなかったのよ。
何故って・・・貴女は私と同じだから。
気が強いくせに、臆病で、結局一人じゃ何にも出来ない。
何時も貧乏くじばかり引いている。
でも、逆境に立ったときは、誰よりも負けない。
私もそうよ。
頭の中のマイクロチップは取れないから、大きな電磁波をかけたわ。
それでマイクロチップは破壊したわ。
でもね、さき・・・・過去の記憶は全て消去されてしまったのよ。
私のようにね。
でもこれが自分自身が一人で、誰にも制御されずに人として生きていく道だったの。
ごめんね。さき。
使い捨てにならない、自分の意思で歩いて行くには大変な血を流さなければならない。
でもね、それが出来る間はしたいのよ。
私達は生きているのだから。
さあ、時間が無いわ。
行くわよ。私達の未来のために。
貴女の体は私が治す。
大丈夫。外に、救急車を待たせているの。
これに乗って、米国大使館まで行くのよ。
そこから、外交官の車で、厚木基地まで行き、
ビッグアイの偵察機で、ペンタコンまで行って治療をして、
プラハに行きましょう。
これから何があるのか?
分からないけれど、きっと明日はあるわ。
りとるはさきの右手を握り締め、歩き出した。

・・・完・・・

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません

謝謝の地下室。
ここは泉名建設大臣の秘密の事務所。
北朝鮮-中国-そしてタイの秘密の麻薬とルビーのルート。
あいつはタバコの煙を吐き出しながら言った。
大臣・・・ノドン級の核弾頭を1つと、その製造仕様書のCD-Rが欲しいと言う
クライアントが居るのですが。
如何でしょうか?
泉名大臣の目は既に怒りに満ちていた。
妻を殺した北朝鮮のスパイ。
自分が総理大臣になるために、そしてそれは妻・・明子を喜ばせるため。
全て水の泡と消えた。
そしていま、この目の前の若造は、核弾頭が欲しいと言っている。
だっ、誰が。。。
はっきりとはお答えできませんよ。何故、それ程今日は焦っているのですか?
まるで、今日で何かを清算するような、人生の終わりのような。。
そんか感じがしますけれど。
まぁ、良いでしょう。
大分前になりましたが、米国に戦争を仕掛けた人ですよ。
まだ、彼は健康です。
バスラの街に居ますよ。
靴屋になってね。
あっ、あいつ・・・オサマ・ビン・ラディン!!。
生きているのか?
イスラムスンニ派のイスラム原理主義者にそんなもの渡せるかッ!

何故・・・大声を出したのだろう。。
俺は、自分で世界をめちゃくちゃにして来た。
それを何故いま、正義ぶっているのだろう?
大切なものの為に今までして来た事が無と化して、俺は。
あいつがしゃべった。
そうだとも言えますが。
彼らが一番欲しいものですよ。世界を変えるためにね。
そり代わり、金は出せませんので、イラクの石油掘削権の50%を貴方のご親族の会社に差し上げたいと。
分かったよ。。。
大臣はゲルベゾルテの両切りのたばこに火をつけて、大きく息を吐き捨てた。

あいつは、泉名大臣の目に僅かに光りが灯った事を見逃さなかった。
大臣は、やはり生き延びようとしている。やはり総理大臣になりたいのか。
そして、このアジアンルートを我々に罪を背負わせて、一緒に処分しようとしている。
過去の清算のために。
リセットするのか?自己の罪を他人に擦り付けて、その人達を使い捨てにして来た。
自分の大切な人のためと良いながら、本当は何がしたいのか?
あいつは、国重警視総監から大臣がアジアンルートを破壊して、本当に自分の罪を背負うのか?
または新たな闇のルートに生きる道を探しているのか?
その調査を依頼されていた。

そのために、あいつは「さき」を使い捨てにするつもりだった。
「さき」に泉名大臣の命を狙わせるバックアップ体制を引きながら、大臣の本当の目的を探る。
さきは何も知らず、ただ、大臣を狙い、そして殺すだろう。
自分で見つけた正義のために。
過去の輝く自分をもう一度手に入れるために。
それは決して手に入らないものと知りつつ、それでもその輝きのために。
手に入れてどうするのか?
さきはそこまでは考えていない。
自分が過去に戻れないことも理解している。
ただ、自分が今此処に存在している意義を確認するために。。。。
泉名大臣を自分の手で裁きをする。
この拳銃で。

泉名大臣は続けた。
私をK國際空港の増収賄容疑で検挙して頂きたい。
保釈金を1億も払えば何とかなるだろう。
そう、君の上司に相談してもらえないだろうか?
大臣はあいつの裏に警視総監が動いていることを察知していたのか。
あいつは、またタバコに火をつけた。
一瞬の静寂。
蒼い煙がテーブルを挟んで、あいつと泉名大臣、そしてその間に居る楊楊に流れた。
楊楊はあいつがタバコを挟んでいる右手の中指に注目した。
小刻みに震えている。
いや、タバコを軽く叩いている・・・何かの信号??
モールス信号!!そう、モールス信号。。
なんて言っているの?
楊楊はその指に全神経を集中した。

「ソトニバイクマッテイル。ソレニノレ。
 アトハソイツニマカセロ。プラハノリトルノミセデマテ。
 ガスノセンスベテアケロ。」
楊楊はタバコに火をつけた。
トイレ〜っと言って出て行った。

楊楊は腰まで割れている赤のチャイナドレスのまま、外に飛び出した。
「大士」が跨ったHONDA CB 1000のバイクがエンジンを真っ赤にして待っていた。
赤いドレスが漆黒の闇に躍った。
急に背後からタイヤの鳴く音と共に、サイレンサーから発せられる銃弾の雨が横から降ってきた。
大士はフルスロットルにして、ウィリー状態になりながらも、
バイクを急発進させて、中華街から、本牧埠頭方面に飛び出して行った。
楊楊は後を向きつつ、ベレッタオートマチックの引き金を引き、背後のクラウンに銃弾を浴びせた。
タイヤの鳴く音と車がクラッシュした音が同時に鳴り響いた。
一台は始末した。あと一台。
さすが楊楊さん。大士はやっと話した。
グェン将軍からの連絡で、
ポルポト将軍のお孫さんって聞いていたから、どんな人かと思いましたよ。
でも、こりゃ、すげぇ美人だし、腕もすげぇ。。
バイクの速度は220km/hを指していた。
あと一台は俺がまきます。
一瞬のハンドル操作、一瞬の迷いが死を招く。人生は一瞬の煌めきを追う日々。
だが「大士」は、高校生でありながら、200,300,500CCクラスのバイクの世界No.3。
でも此処に「大士」が何故居るのか?楊楊は訪ねて見た。
何故貴方が此処に。
お金も人気も名誉も全て身につけているでしょ?
楊楊さん、僕に無い物?分かりますか?
どんな事でも良いんですよ。良くても、悪い事でも。
人に信頼されて、自分がやらないと、その機械は動かない。
自分のスペアは居ない。お前にしか出来ない。
使い捨ての部品じゃ無いんですよ。人間はね。
そんな事を言われたら、何が何でもやりますよ。
レース何て、ほっぽらかしにしてもね。
あの人からの指令ならば。特にね。
現なまで1000万此処にあります。
貰った報酬ですが、これ楊楊さん持っていって下さい。
餞別です。
俺は金じゃないんですよ。金じゃ。
「大士」はバイクを横須賀まで風のように無灯火で走らせ、米国海兵隊基地内に滑り込ませた。
楊楊はここで、ジェット・ヘリに乗り換えて、横須賀から海上の原子力空母
「ジョージ・ワシントン」に乗り込んだ。
太平洋上、空母は東シナ海を南下していた。
太陽が昇ろうとしている。
長い一日だった。
楊楊はタバコに火をつけた。
あの時のように。。。。。

・・・・つづく・・・・

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません

「りとる」はGPS移動探知機モニターを食い入るように見詰めていた。
なぜ、「さき」が気になるのだろう。手術を施した捜査官など両手で数えてもきりが無い。
忘れてしまうほどの人間の頭にGPSマイクロチップを埋め込んだ。
そして、任務がおわったり、または失敗した場合、直ぐにある場所に連絡して、
その任務に就いた捜査官を殺す。・・・・これが「りとる」の任務である。

使い捨て。。。そう、あるプロジェクトが始まり、そして終了する。
その中でいろんな事を学んだり、また人との繋がりとか、感情とか、熱いものをみんな感じ、
そして心に植えつけて行く。
しかし、それが終了したとき、会社内では亜流の人間。
みんなプロジェクトが早く、失敗しないかと・・・実は心の中では思っている。
何故?人が悲しむことばかりを見たいのだろうか?
自分はまだあの人よりはましだな。と思うのだろうか?
こんな社会の下らないランク付けをしないと、今の自分の置かれている環境を肯定出来ないのが人間だからである。
だから、成功して良かった何て、思ってくれる人はほんの一握りの人達だけである。
でも、もしプロジェクト自体が失敗して、良くも悪くもその人間が罰を受けるのがいまの日本社会であるが、この天の審判が下った時は、だれもその人を守ってはくれない。
いや、守れない。
使い捨てにならないように、人は自分の背後を前を、足元を確かめながら、
あと一歩の善意とか、親切とか、またちょっとした優しさを出さない。
それをして・・・何になる。自分が惨めな想いをするだけだから。
きっと貴女の心の端にも、そう感じた時があると思う。
人は結局の所、ひとりなのである。
だから、切ない、寂しい、人と一緒に居て僅かな喜びを共有したい。ではないのだろうか?

話を元に戻す。
「りとる」は「さき」の事を思い出していた。
何かかこの自分と似たところがある女。
「りとる」は過去の記憶が全くなくなっている。
じつは、この警視庁と特別捜査室の医師に任命された時、りとるの頭は開かれて、脳の一部を削除されていた。
過去の記憶。リセットされてしまったのだ。
リセット・・・人の歩いて行く道には、リセット何て出来ないことを、みんな知っている。
パソコンやテレビゲームのように簡単にリセットが出来ないのが、人の歩いて行く道。
だがしかし、最近は常識ある大人自体が、リセットしたがる。
自分の罪は罪として冷静に分析し、そして反省する方法も見つけ出す。
しかし、それを自分の過ちとして認識し、その罪を償うことはしない。
リセットで片付けてしまう。
明日があるさ。・・・間違いの償いは、明日では無く、いまこのときから始まるのである。

暗い過去。。。何か思い出すような、でも全く分からない。
夢の中で、暖かな日差しの中で、家族と笑い合っている。
家族?だれ?なに?りとるは時々そんな事を思っている。
家族って・・・何だろう?良く分からないよ。。。
GPSモニター画面は、横浜市の中華街にずっと点滅したままだった。
3時間以上も経過している。
既にさきは、死んでいるのか?

「さき」はずっと謝謝の入り口を見ていた。
既に体は冷え切ってしまった。
足は痺れ、右手に持っているワルサーPPKコマンダーを持つ手にも寒さで震えが来ている。
精神力・・・泉名大臣をこの手を殺す。
理由は数えたらきりが無い。
憎しみの過去が蘇る。
声も出ない。左手は動かない。
昔、自分が輝いていた、新聞記者には戻れない。
リセットが出来ないんだ。さきは銃を強く握り締めた。
本来は、自分のペンの力で、彼の秘密を暴き、そして社会的に謝罪をさせ、抹殺する。
それが民主主義の自由国家としての有り方だと思っていた。
そしてそのために、自分は社会の正義を守る。
しかし、今の自分の立場はどうか?
銃と言う暴力のペンで、泉名大臣をこの世の中から抹殺する。
どちらも同じではないか。ただやり方のプロセスが違うだけで。
さきは今の自分の立場からそう判断した。
この方法も正義だ。

泉名建設大臣。かれは日中友好渡り鳥の会、会長でもあるがしかし、その裏の顔は、
北朝鮮-中国-そしてタイの裏のルートを持つ男。
何のために・・・。彼の妻は北朝鮮の工作員によって殺された。
その憎しみは限り無く、泉名大臣は殺した奴らに反撃を仕掛ける計画でいる。
その一つとして、今回の自分の持つ裏のルートを警視総監につぶさせること。
泉名大臣は彼の事務所に夜中、警視総監、国重悟を呼びつけ、そして、彼の裏の顔を話した。
つぶしてくれ。俺を正当な方法で裁いてくれ。
それが、泉名大臣が最後に取った、人としての道だと考えた。
泉名大臣は目標を失った。今と考えれば、妻の幸せな顔ばかりを見たかったのかも知れない。
今でも夢に出で来る。高卒の貧しい工場勤務のサラリーマンの新婚時代、どんなに仕事が出来ても、
大学新卒の坊やの給料の半分にも満たない。
能力と経歴は一致しない。彼が現実の社会から学び取った仕組み。
そして組合活動にのめりこんで行った。
その実績がかわれ、労働組合から推薦されての初めての国政選挙時代。
代議士になった。
そして与党に鞍替えした。組合関係者からは裏切りだと、罵られた。
大学卒業の奴らに。
仕返しだ。
泉名大臣はその時、この仕返しをするために、どんなにしたたかに、
そして周囲に気を使い、自分の背後や足元を見ながら、少しずつ、一歩づづ、
自分の置かれている立場を固めていった。
工員時代は、厳しかったけれど、辛かったけれど、
妻と毎日を必死で同じ星を眺めては、励ましあっていた。
妻のあの時の顔は、いまでも泉名大臣の心の支えであった。
そのためには、どんな罪悪も正義として、彼の中では浄化して、実行して来た。
刑務所の兵の上を渡り歩いても、中には決して落ちないように。
妻を守るために。そして、そのために、俺は総理大臣になる。
しかし、それはもうする必要性が無くなってしまったのだ。
目標を失った船は、行く術を知らない。
何処に行くのか?何のために。。
国重警視庁総監は、別の事を泉名大臣の顔を見ながらこの部屋で考えてた。
彼を表に出しては、全世界がいま進めている、北朝鮮問題、中国との産業問題、
そして何より日本が常任理事国入りを目指す国連に対して、まずい結果となってしまう。
米国のCIAからも泉名大臣に付いては、いろいろと打診して来ていた。

裏のルートでお亡くなりになって頂く。
速やかに。

・・・つづく・・・

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この物語はフィクションであり、ここに登場する人名・地名・団体名、その他あらゆる名称は架空のものであります。
よって、本物語に対する、ご質問・ご要求・ご意見・訴訟に関する諸問題は一切お受けできません。

横浜は中華街の西門から入り、関帝廟通りを真っ直ぐ歩き、海産物問屋の中喧騒をすり抜けて、
関帝廟の前に来ると、その角に中華饅頭屋がひっそりと佇んでいる。
じいさんと息子が、絶えず文句を言い合いながら作っているその中華饅頭は何か哀愁の篭った味がする。
ここを左に曲がり、重慶飯店等の観光客が来るメインストリートにつながる一本の路地に入ると、
そこは広東語が飛び交う異質地帯となって来る。
面白いことに、観光客のメインストリートでのランチ価格は、メインストリートでほぼ\1,000に対して、この関帝廟通りに抜けるあらゆる路地に点在する小さな店では、関帝廟通りに近づくに従って、
その価格は下がり始め、とうとう最後はご飯食べ放題で半額程度までになって行く。
だから、観光客などはめったに来ない。なにやら胡散臭い感じさえするこの路地。
いつも路地は影であり、日が当たらないせいもあり、絶えず濡れている。

昼時となれば、地元人の昼飯、または営業マンや、
建設現場労働者が殆どの顧客であり、全ての店を占めている。
この薄暗い路地を入って、5軒目に「謝謝」と言う、
別に取柄も無い普通の広東料理店が軒を連ねている。
一階には4人掛けのテーブルが2つ。
二階に上がっても、10人の中華テーブルが1つと、
4人掛けのテーブルが2つだけの小さな店。
ただしこの店が華僑と、そして泉名建設大臣が主催する「日中渡り鳥友好の会」の
連絡事務所が地下にあることは、日本の警察でも感知していない。

「日中渡り鳥友好の会」・・・表向きは、鶴の渡り鳥の自然保護と飼育を目的とした、
NGO団体として、テレビの宣伝も特に冬の時期の渡り鳥シーズンになると盛んにPRをしている。
表向きの顔。。。人には誰でも表と裏がある。
どんなに素晴らしい人でも、表裏一体。本当の自分と嘘の自分。
どっちが本当か?分らないで、もがきながら、表裏が行ったり、来たりして、毎日を塗りつぶしている。それが普通の人間。別に特別な人達の事ではない。
貴女も同じである。

さて、この「日中渡り鳥友好の会」のその裏の顔は、泉名代議士の私的な政治団体。
そう、佐々木智子として、日刊スクープの社会部記者をしていた時代に、彼を追いつづけ、そして
この私的な政治資金団体を突き止めていた。
そのとき、赤坂の料亭「吉井」での泉名代議士の妻の殺人事件を見てしまった。
この事件は表沙汰には当然のように成っては居ない。
全て秘密裏に処理され、そしてそれを知っている者、目撃した者は抹殺されている。
「佐々木智子」も一回は死んだ。
あの目撃事件の翌日に、恋人だった星川キャスターが殺された。
そして「政治部記者、佐々木智子」も謎の変死。と新聞端にたった4行で報道されていた。
そして警視庁特別捜査官「さき」となって、今ここにいる。
この店を斜め横から酔っ払いの吐しゃ物の中で埋もれて、潜んでいた。
だれも「さき」に声を掛けるものすら居ない。
この路地は日本ではないからである。

楊楊(ようよう)・・・この店の主である。
まだ20台と若く、そして大陸系の美人である。
十台の後半は上海でモデルをしていたらしい。
さきはそこまで突き止めていた。だもその先の揚揚は全く不明である。
この美しい揚揚。ただし、それは表の顔。
裏の顔は、北朝鮮と華僑、それにタイのポルポト政権後の指導者
「グェン・バン・タイ」将軍をつなぐトンネル屋である。
ありとあらゆる物を、この店でさばき、次の買い手に売り渡す。
その資金は華僑から出ている。
そしてそのマージンで莫大な収益を得ている。
世界の本当の経済を握っているのは、現在でも米国で人種差別を一番にしている
ゲルマン民族では無く、華僑である。その世界規模のネットワークで、1時間もあれば、
全世界の華僑が共通した指令とそれに対しての行動をすることが出来る、
血の結束で固められている。

泉名代議士、・・・ヘロイン200kgは、北朝鮮経由で中国国内にすでに搬送中です。
すみませんが、至急に中国製の手榴弾を20000ユニットとカラシニコフMK97自動小銃を2000丁。
それに弾丸を1000発入りのを10000ユニット。
それに、NEC製のノートパソコン・・そう、水冷式のものを300台と、
最後に日本航空機社製のジャイロセンサーを1000セット。
至急に穀物袋に入れて、中国からのトラック便に乗せてください。
揚揚は、赤のチャイナドレスから見える長い足を惜しげも無く組み、
そして泉名代議士にその赤い唇から発した。

揚揚は、この大量の麻薬をタイのグェン・バン・タイ将軍に中国の彼らが支配している
山越えルートでそのままタイに送る計画でいる。
ポル・ポト政権下では、彼らはタイ国の中国側国境地帯を
全て支配下にしていた。現在も一部は中国政府の支配下に置かれたが、
グェン・バン・タイ将軍の勢力は衰えては居ない。世界的に報道されてはいないだけである。
またこの地域は、全世界のルビーの90%の産地である。
ルビーが世界的なテロリストであるポル・ポトに支配され、
その資金が全世界のテロリストに渡り、中国製のソ連モデルの武器を
中国から購入していることはあまり知られていない。
中国が何故北朝鮮に対して世界的に歩調を合わせないのか?これらの点をあわせて考えれば、
ある線が見えてくるだろう。
現在はポル・ポトは死んだ。しかし、その跡目のグェン・バン・タイ将軍は、ポル・ポト政権より
更に精鋭テロリスト部隊として、全世界的に知られている。いずれ、ミャンマーの軍政府と
一体となり、東アジアに軍事政権を樹立して、インドネシアの石油をすべて支配下にする。
これで東アジアは世界の脅威となりうる。
石油の出ない、中国、北朝鮮は張りぼてに過ぎない。
全ては石油を支配したものが、この世界を支配出来る。
現在の世界でも同様な事が言えるだろう。米国の石油はあと、50年で枯渇してしまう。
米国が破壊する。そんな事は世界で許されるものではない。米国は世界で一番だからである。

更に揚揚は、交換したルビーを全世界の宝石の価格を操作する、デ・ビアス社に売却する。
宝石の価格はダイアモンドを始めとして、
このデ・ビアス社により全て操作されていると言っても過言では無い。ただの化石が。
ここが、米国が支配する「金」と違う所である。
金はいわゆる米国が保証した権力の印。
しかし、宝石は麻薬・武器の保証の対価。そしてテロリストの資金源。
そう考えられないこともない。

更にこの麻薬は、グェン・バン・タイ将軍から、イスラム原理主義者テロリスト集団の
「アル・ハマド」と取引され、バイ・タイ将軍は、多大なアメリカ製の核搭載の対空ミサイルと
対戦車ロケット・ランチャーを手に入れることができる。
アジアを我が手に。バイ・タイ将軍はほくそえんだ。
アラブ開放戦線のために。モハメッドのために。
全て、アンダーテーブル組織のイスラエル政府からの流れ物の武器である。
イスラエルも金が欲しいのだ。
イスラエル系イスラム原理主義テロリスト「アル・ハマド」。
豊かな人種は一部だけであり、イスラエル全体としては、アラブ諸国よりも石油が出ない分、飢えに苦しんでいる。
アラブ諸国は、黒い液体の金である石油産出国である。
イスラエルはキリストしか無い。キリストは飢えを救ってはくれない。
更にアル・ハマドはこの麻薬をコロンビアのシンジケートに売りさばく。
この麻薬が米国内に流れ込み、米国民を薬物中毒に冒すのである。
現在でも、米国内の薬物患者は後を絶たない。
その理由は、人種差別から来る賃金格差、そしてレイオフ。
米国を支配しているのは、白人。しかもブロンドのゲルマン民族系ドイツ人である。
決して、フランス系の金髪では無い。
米国歴代大統領にゲルマン系白人が多いことでも、それは理解できると思う。
中華に華僑が有るように、米国ではこのゲルマン民族の組織が支配している。

揚揚は「あいつ」のタバコに火を点けた。
あいつは、大きく煙を吸い込み、そして、ゆっくりと、ゆっくりと吐き出した。

・・・つづく・・・

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この物語はフィクションであり、登場する人物名、団体名、土地、建物、その他あらゆる事項に関しての、ご質問、ご意見、訴訟等につきましては、ご容赦願います。

夢を見ているのか?現実なのか?
此処は何処なのか?
一つ分かることは、自分は生きていること。
さきは何処だか分からない、部屋の一室に居た。
何も無いただの箱。
ただ、普通の部屋と変わっている所。
窓が無い。テレビも無い。
そして、テーブルの上には、一台のノートパソコンと
携帯電話。そして拳銃が一丁。
弾が2000発。
そして、100万の束が3つ。
何を考えれば良いのだろう。
また覚せい剤を打たれて、気がおかしくなっているのか?
さきは自分の動く右手で頭をぶった。
痛かった。
現実。。。この世界が現実。
一枚のDVD-Rがあった。それを入れて見ろと言う事か?
さきはパソコンを立ち上げた。
文章しか出てこない。
そこには、さきの今後の生き方、歩く道が書かれていた。
ただのべたな文章だけで。

「指令」


君は本日付より、警視庁特別捜査官第303号と命名された。
コードネーム:「さき」
指令を渡す。

指令

泉名建設大臣を抹殺せよ。
理由は自分で考えること。
抹殺は一人で実施せよ。
方法は問わない。
抹殺後の死体は当局で処理する。
この部屋は狙われている。
直ぐに出ること。
4日間前から反対勢力奴らの銃口が、その部屋に向けられている。
泉名大臣を抹殺するまでの猶予時間は3日。
未達成の場合、さきは我々当局により抹殺されることになる。
自分の運命は自分の力では避けられない。
これは天命である。
成功を祈る。

警視総監  国重悟


何が何だか訳が分からない。
ただ佇んで呆然としていた。
憎いとは言え、泉名大臣を抹殺しなければならないのか?
何故自分なのか?
何故運命なのか?

人は人としてこの世に生まれた。
生は死に向かう序曲であるのかも知れない。
しかしその死は荘厳な死であり、殺し合うための死じゃない筈。
世界の何所かで、いまこの時間でも、誰かが誰かを殺している。
何のために、誰のために。
どんな薄っぺらな大義名分で。
殺すと言う行為を聖戦と称するのだろうか?
皆がこの地球と言う狭いボールの上では、幸せの量が決まっているので、
誰かが幸せになれば、誰かが不幸にならなくては・・・いけないのだろうか?
そんなルールは神が創造したのか?
いや違う筈。そう思いたい。
本当の権力とは何だろうか?
誰のために使うのだろうか?
本当の力とは何なのだろう?
人の心。。。これほど大きく、重たく、そして憎しみを持ち続け、
閉ざしてしまうものは無い。
でもそれを動かせる力。感動の幸せの世界へ導くような力。
それが本当の力ではないのだろうか?
そしてそれは誰もが持っている。
だけど、時に人は、使い方を間違えてしまう。
どうして権力を持ちたがるのか?
自分の足元にひざまずかせたいのか?
もう一度自分の胸に手を当てて考えたい。

突然、コンクリートの壁が、ブツブツと言いはじめた。
その音は始め、蚊が鳴くような音だったが、
ほんの10秒の間に、凄く部屋自体が震えだし、そして大きくなった。
壁が壊れている。
自分は撃たれている。この部屋は狙われている。
自分が。私が。。
さきは、テーブルの上にある全ての物をリックに詰め込み、そして出口のドアに転びながら走った。
数発の弾が頭をかすめた。
出口。近い、でも遠い。
何故こんなにも遠いのだろう。
たかが2歩の距離。
でも辿り着けない、永遠の距離に思えた。
テーブルを盾にして、ドアに飛び込んだ。
ノブを回し、一気に開いた。
階下につながる階段があった。
飛び降りた。
そして、転げ落ちた。

・・・続く・・・

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