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『殺しが静かにやって来る』(1968 伊=仏)
IL GRANDE SILENZIO(伊)
THE GREAT SILENCE (英) LE GRAND SILENCE (仏) セルジオ・コルブッチが監督したマカロニ西部劇の
後期の傑作中の傑作にして異色作。 コルブッチの西部劇の作風で主人公がファムファタールの出現で 運命が変わっていくのは初期の傑作『続荒野の用心棒』(1966)と かなり似通っている。 しかも舞台は雪深いスノーヒルと呼ばれるユタ州の山奥。
主人公は口が訊けず、ヒロインは白人じゃない・・・黒人女。 しかも主人公が持つ得物は定番のコルトSAAではなく ドイツの傑作大型拳銃で半自動式のモーゼルC96。 そしてこの作品が忘れられないのはクライマックス。 いくらマカロニでも大半は勧善懲悪な物語で終わるのだが・・・・ この作品のラストは主人公が悪役の銃弾に倒れて幕を閉じる。
捕えられた山賊はひとり残らず殺されヒロインも主人公と共に命を落とす。 悲壮なラストシーンで公開時に映画を観た観客はさぞ後味が悪かったと思う。 辛辣なマカロニウエスタン。だからエンニオ・モリコーネの美しい旋律が 深く脳裏に刷り込まれていく。 主人公を演じるのはイタリア俳優ではなくフランスの人気俳優の ジャン・ルイ・トランティニャン。 聾唖者の主人公なので彼の台詞はひとつもない。 トランティニャンは友人の製作者に協力する形でこの映画に 出演したそうだ。悲劇のラストの発案者はどうもトランティニャンらしい。 これはイタリアとフランスの合作映画なのだ。 雪中のロケーションはスペインとフランスの国境にまたがる ピレネー山脈で撮影された。 敵役ロコはドイツ出身の怪優、クラウス・キンスキー そしてヒロインはヨーロッパ旅行中にスカウトされて 映画出演が決まったアメリカ人のヴォネッタ・マギー。 この方はイーストウッドの『アイガー・サンクション』(1974) でも出ていた美人だけど顔の1/3が目と思うほど目がデカイ。 イタリア人俳優は連邦保安官役でいつもは悪人役が多い フランク・ウォルフが演じる。 主人公サイレンスは早撃ちだが、正当防衛を装って 相手を倒して稼いでいる賞金稼ぎ。 早撃ちの相手に先に銃を抜かせてそれを仕留めるのだから 己の早撃ちと射撃の正確さがないと務まらない稼業だ。 西部の町スノーヒルは、悪徳判事ポリカット(ルイジ・ピスティリ) に操られたロコ(クラウス・キンスキー)率いるアウトロー集団が 支配する“無法地帯”と化していた。
ロコ一味に夫を殺されたポーリーン(ヴォネッタ・マギー)は、 ある男に復讐を依頼する。
その男は幼い頃にアウトロー集団に両親を殺されたうえ 声帯を切られて声を失っていた事から、 “サイレンス”(ジャン=ルイ・トランティニャン)と呼ばれていた。
サイレンスはポリカットの策略で報奨金を工面出来なくなった ポーリーンを不憫に思い、無償でその依頼を引き受ける。
政府はあまりのにも人が殺されるので連邦保安官(フランク・ウォルフ)
をスノーヒルに派遣して殺人未遂でロコを逮捕させるが、 護送中に返り討ちに遭い保安官は湖に沈む。
サイレンスは持ち前の拳銃さばきでアウトロー
を一人また一人と倒していくが…。
DVDやBDには日本公開やTV放送で使われなかった 別エンディングが収録されている(DVD版は音声なし)
利き手を焼かれてまともに撃てなくなったサイレンスの前に 湖に沈んだと思った保安官が現れ助太刀する。
ロコ一味は全滅してサイレンス、ポーリーン、保安官に笑顔が戻る。
このヴァージョンは残酷描写の規制が厳しい国や宗教上、 勧善懲悪じゃないと上映禁止になる
国の上映はこのヴァージョンを使ったらしい。 ビデオで発売された時からそうだったが、
この作品の画質はあまり思わしくない。
DVDは英語クレジット版。(BDはイタリア版) 網目のようなフィルムのノイズはBDではデジタル処理で 目立たなくなっているみたいだが
完全なネガが見つからないのか、どうもデュープされたマスターから 起こされているようだ。
願わくばイタリアの正規バージョンを4Kスキャンニングで見たい気がする。 ブームからもう半世紀を迎えるので作品によっては
オリジナルのネガが無くなってしまっているとか、
カットされたバージョンしか現存しないとか不遇な作品もあるようだ。
これが別エンディング。ちゃんと3人とも生きている。
なぜこの作品を取り上げたというのは クエンティン・タランティーノ監督の新作西部劇
「The Hateful Eight」(2015)が全米でクリスマス公開が決定したからだ。 ティザートレーラーを見る限り、この『殺しが静かにやって来る』を インスパイアしたとしか思えない作品。
サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、
ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、
ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、
チャニング・テイタムらが出演する。
アメリカでは70mm (ウルトラ・パナビジョン/シネラマでも上映可能なフォーマット)で撮影されて
70mm上映も予定されているらしい。
日本ではデジタルで2016年の春公開になると推測される。 またエンニオ・モリコーネのマカロニ曲などわんさか 使われているに違いない。
”The Hateful Eight ”からサミュエル・L・ジャクソン
アベルフィア(伊)
レ・フィルム・コロナ(仏) 20世紀フォックス・ヨーロッパ提供 監督: セルジオ・コルブッチ
脚本: セルジオ・コルブッチ ヴィットリアーノ・ペトリリ マリオ・アメンドラ ブルーノ・コルブッチ 撮影: シルヴァーノ・イッポリティ 音楽: エンニオ・モリコーネ ジャン=ルイ・トランティニャン
クラウス・キンスキー ヴォネッタ・マギー フランク・ウォルフ ルイジ・ピコラッリ マリオ・ブレガ イーストマンカラー ヴィスタサイズ 105分 日本公開1969年9月23日 20世紀フォックス映画配給 再公開 1995年3月 ケイブルホーグ配給 IL GRANDE SILENZIO
(C)Adelphia/Les Films Corona/Beta Film
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