ここから本文です
字幕映画のススメ

書庫ヨーロッパ製西部劇

記事検索
検索

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 次のページ ]

イメージ 1
イメージ 2


殺しが静かにやって来る』(1968 伊=仏)
IL GRANDE SILENZIO(伊)
THE GREAT SILENCE (英)
LE GRAND SILENCE (仏)

セルジオ・コルブッチが監督したマカロニ西部劇の
後期の傑作中の傑作にして異色作。
コルブッチの西部劇の作風で主人公がファムファタールの出現で
運命が変わっていくのは初期の傑作『続荒野の用心棒』(1966)と
かなり似通っている。

しかも舞台は雪深いスノーヒルと呼ばれるユタ州の山奥。
主人公は口が訊けず、ヒロインは白人じゃない・・・黒人女。
しかも主人公が持つ得物は定番のコルトSAAではなく
ドイツの傑作大型拳銃で半自動式のモーゼルC96。
そしてこの作品が忘れられないのはクライマックス。
いくらマカロニでも大半は勧善懲悪な物語で終わるのだが・・・・
この作品のラストは主人公が悪役の銃弾に倒れて幕を閉じる。
捕えられた山賊はひとり残らず殺されヒロインも主人公と共に命を落とす。
悲壮なラストシーンで公開時に映画を観た観客はさぞ後味が悪かったと思う
辛辣なマカロニウエスタン。だからエンニオ・モリコーネの美しい旋律が
深く脳裏に刷り込まれていく。

主人公を演じるのはイタリア俳優ではなくフランスの人気俳優の
ジャン・ルイ・トランティニャン
聾唖者の主人公なので彼の台詞はひとつもない。
トランティニャンは友人の製作者に協力する形でこの映画に
出演したそうだ。悲劇のラストの発案者はどうもトランティニャンらしい。
これはイタリアとフランスの合作映画なのだ。
雪中のロケーションはスペインとフランスの国境にまたがる
ピレネー山脈で撮影された。
敵役ロコはドイツ出身の怪優、クラウス・キンスキー
そしてヒロインはヨーロッパ旅行中にスカウトされて
映画出演が決まったアメリカ人のヴォネッタ・マギー
この方はイーストウッドの『アイガー・サンクション』(1974)
でも出ていた美人だけど顔の1/3が目と思うほど目がデカイ。
イタリア人俳優は連邦保安官役でいつもは悪人役が多い
フランク・ウォルフが演じる。

主人公サイレンスは早撃ちだが、正当防衛を装って
相手を倒して稼いでいる賞金稼ぎ。
早撃ちの相手に先に銃を抜かせてそれを仕留めるのだから
己の早撃ちと射撃の正確さがないと務まらない稼業だ。

イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5


西部の町スノーヒルは、悪徳判事ポリカット(ルイジ・ピスティリ)
に操られたロコ(クラウス・キンスキー)率いるアウトロー集団が
支配する“無法地帯”と化していた。
ロコ一味に夫を殺されたポーリーン(ヴォネッタ・マギー)は、
ある男に復讐を依頼する。
その男は幼い頃にアウトロー集団に両親を殺されたうえ
声帯を切られて声を失っていた事から、
“サイレンス”(ジャン=ルイ・トランティニャン)と呼ばれていた。
サイレンスはポリカットの策略で報奨金を工面出来なくなった
ポーリーンを不憫に思い、無償でその依頼を引き受ける。
政府はあまりのにも人が殺されるので連邦保安官(フランク・ウォルフ)
をスノーヒルに派遣して殺人未遂でロコを逮捕させるが、
護送中に返り討ちに遭い保安官は湖に沈む。
サイレンスは持ち前の拳銃さばきでアウトロー
を一人また一人と倒していくが…。

DVDやBDには日本公開やTV放送で使われなかった
別エンディングが収録されている(DVD版は音声なし)
利き手を焼かれてまともに撃てなくなったサイレンスの前に
湖に沈んだと思った保安官が現れ助太刀する。
ロコ一味は全滅してサイレンス、ポーリーン、保安官に笑顔が戻る。
このヴァージョンは残酷描写の規制が厳しい国や宗教上、
勧善懲悪じゃないと上映禁止になる
国の上映はこのヴァージョンを使ったらしい。
ビデオで発売された時からそうだったが、
この作品の画質はあまり思わしくない。
DVDは英語クレジット版。(BDはイタリア版)
網目のようなフィルムのノイズはBDではデジタル処理で
目立たなくなっているみたいだが
完全なネガが見つからないのか、どうもデュープされたマスターから
起こされているようだ。
願わくばイタリアの正規バージョンを4Kスキャンニングで見たい気がする。
ブームからもう半世紀を迎えるので作品によっては
オリジナルのネガが無くなってしまっているとか、
カットされたバージョンしか現存しないとか不遇な作品もあるようだ。

イメージ 8
これが別エンディング。ちゃんと3人とも生きている。


なぜこの作品を取り上げたというのは
クエンティン・タランティーノ監督の新作西部劇
The Hateful Eight」(2015)が全米でクリスマス公開が決定したからだ。

ティザートレーラーを見る限り、この『殺しが静かにやって来る』を
インスパイアしたとしか思えない作品。
サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、
ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル
ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン
チャニング・テイタムらが出演する。
アメリカでは70mm
(ウルトラ・パナビジョン/シネラマでも上映可能なフォーマット)で撮影されて
70mm上映も予定されているらしい。
日本ではデジタルで2016年の春公開になると推測される。
またエンニオ・モリコーネのマカロニ曲などわんさか
使われているに違いない。
イメージ 6
”The Hateful Eight ”からサミュエル・L・ジャクソン




アベルフィア(伊)
レ・フィルム・コロナ(仏)
20世紀フォックス・ヨーロッパ提供
監督: セルジオ・コルブッチ 
脚本: セルジオ・コルブッチ 
    ヴィットリアーノ・ペトリリ 
    マリオ・アメンドラ 
    ブルーノ・コルブッチ 
撮影: シルヴァーノ・イッポリティ 
音楽: エンニオ・モリコーネ

 ジャン=ルイ・トランティニャン 
 クラウス・キンスキー 
 ヴォネッタ・マギー 
 フランク・ウォルフ 
 ルイジ・ピコラッリ 
 マリオ・ブレガ

イーストマンカラー
ヴィスタサイズ
105分
日本公開1969年9月23日
20世紀フォックス映画配給
再公開
1995年3月
ケイブルホーグ配給

IL GRANDE SILENZIO
(C)Adelphia/Les Films Corona/Beta Film

イメージ 7モーゼルC96とホルスター兼木製ストック

開くトラックバック(1)

イメージ 1

荒野のプロ・ファイター(1966)
RINGO, IL VOLTO DELLA VENDETTA
 
 
イメージ 2
 
アンソニー・ステファンというイタリア俳優がいた。
またの名をアントニオ・デ・テッフェ。
50年代後半から史劇などに顔を出し、その後、巻き起こった
イタリアでのウエスタンブームの波にも彼は乗った。
彼はマカロニ・ウエスタンでは最多の27本の主演作を残し
ジャンルも役も脚本も選ばなかったに違いないが、
決して演技が上手な役者でもなく、ガンさばきもかっこよくない。
だが、ヨーロッパでは彼の名はフランコ・ネロ、ジュリアーノ・ジェンマと
共に輝いている。80年頃まで俳優を続け、その後にブラジルで余生を送り
2004年にこの世を去った。
 
 
日本でも本格的にブームに火がついたのは、1967年。
ちょうど『夕陽のガンマン』(1965)が東京、日比谷映画で上映され
大ヒットを飛ばしていた頃、各洋画配給会社はこぞってイタリアから
西部劇を買い付けて上映した。
アンソニー・ステファン主演の映画はこの年の3月に公開された
荒野のプロファイター』(1966)
アンソニー・ステファンはこの年、日本では5本のウエスタンが封切られ、
翌年も3本が続いた。

監督はマリオ・カイアーノ。ステファン作品で大映で
日本語吹替え版で公開された『荒野の棺桶』(1966)の監督で
他にも珍作として名高い『荒野のドラゴン』(1973)を残している。
そして音楽は名匠フランチェスコ・デマージ
鮮烈なトランペットの聴き応えのあるテーマ曲。
出演はステファンのほかに、フランク・ウォルフ(『暁の用心棒』のアギラ)
エドゥアルド・ファヤルド(『続荒野の用心棒』のジャクソン)
スペイン女優アレッファンドラ・ニーロら。
 
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
 
 
食い詰めて丘の上で野宿していたリンゴ(ステファン)とティム(ファヤルド)は
メキシコ人3人に追われているフィデール(A・カルボ)を助けてやる。
そして再び酒場で襲われたフィデールを助け介抱してやるときに
背中に奇妙な入れ墨があることを知って、フィデールを問い詰めると
刑務所にいる時に助けた囚人に砂金の隠し場所を伝えられた地図で
もうひとりのサムという男の入れ墨が揃えば地図は完成すると言う。
そこへ盗み聞きしていた賭博師のトリッキー(ウォルフ)が交わり
一行はサムの居る町へと向かうが、サムはその町の保安官をしており
悪行で金を得ていた。リンゴたちが来たことを知って
彼らを襲ったが、逆襲されて町の住民を扇動してリンゴらがいる
小屋を焼き討ちして逮捕する。だがトリッキーの企みで
リンゴたちはもう一枚の地図を得てサムを倒して町から脱出する。
欲に絡んだ4人は砂金の在り処を求めて旅を続けるが、
フィデールは消えてサンタ・アゴスチン村に居つく山賊に
リンゴたちを片付けさせようとするが、逆に反撃されて山賊は
ひとり残らずリンゴたちに倒されて全滅する。
山賊たちに苦しめられていた村の住人たちはリンゴたちを歓迎するが
そこへ山賊の一味だった男の妹マヌエル(A・ニーロ)が村人たちに
追われてリンチされそうになった。リンゴは彼女を助けて
トリッキーに反対されるが一緒に旅に連れて行くことにする。
狡猾なトリッキーはティムに酒を与えて、マヌエルを襲わそうと
そそのかす。ある夜、酒に酔ったティムがマヌエルを犯そうとしている
ところをリンゴに見つかり、その隙にトリッキーが地図を奪って消える。
思い余ってリンゴはティムを殺してしまうが、ティムの手には
「本物の地図」がしっかり握られていた。
リンゴとマヌエルはティムが残した地図をもとに在り処まで
辿り着くが、その場所、洞窟の中にはフィデールが待ち伏せしていた。
リンゴはフィデールを倒して砂金を2袋を持って洞窟を出たが
そこに彼の後を尾けて来たトリッキーが唆した山賊が
マヌエルを捕えていた。リンゴは山賊たちに暴力リンチに遭わされるが
その場にいたマヌエルが機転をきかして拳銃をリンゴに渡して
山賊を全員射殺、山の上までトリッキーを追い詰める。
リンゴに撃たれたトリッキーは砂金袋を抱えて谷底へ落ちて行った。
残った砂金袋を拾い上げたリンゴはマヌエルと共に
サンタ・アゴスチン村へ再び戻って、砂金が入った袋を村人に渡して
驚く村人の姿を後にしてリンゴとマヌエルは去っていくのだった。
 
イメージ 10
ブラジルでの新聞広告。ブラジルではマカロニ・ウエスタンは
かなり人気が高かったとか。

ステファンの主演作は
『地獄から来たプロガンマン』
『無宿のプロガンマン』
『嵐を呼ぶプロファイター』
『荒野の棺桶』
『砂塵に血を吐け』
『十字架の長い列』(未)
『キラー・キッド』(未)
『皆殺しのガンファイター』(未)
など国内でもDVD化されている。

イメージ 3監督: マリオ・カイアーノ 
脚本: エドゥアルド・M・ブロチェロ 
    マリオ・カイアーノ 
撮影: ジュリオ・ドルタス 
音楽: フランチェスコ・デ・マージ
 
出演
 アンソニー・ステファン 
 エドゥアルド・ファヤルド 
 フランク・ウォルフ
 アレッファンドラ・ニーロ
 
 
 
 
 
 イーストマンカラー
ヴィスタサイズ(1.78:1)
100分
イタリア語
日本公開1967年3月11日(併映「裸の魔境」(1966)
東京第一フィルム配給
 


イメージ 1
 
イメージ 13
珍しい関西での新聞広告(昭和40年12月)
 
 
 
この9月12日でセルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』が
イタリアのフィレンツェで公開されてちょうど50年となる。
黒澤明の痛快時代劇『用心棒』(1961・東宝)をモチーフに
低予算でスペインのセットで製作された『荒野の用心棒』は確かに
盗作騒ぎで国際裁判で敗訴して多額な慰謝料と日本・韓国の配給権を
黒澤プロに譲渡した結果となったが、
この一作でイタリア映画の歴史を
塗り替えたと言っても過言じゃない。
現にこの後、この作品のイタリアでの大ヒットの後、
映画製作者たちはこぞってスペインに乗り込み、
400本とも500本とも言われるマカロニ・ウエスタンの増産に入るのだ。
それまで剣闘士や怪力ヒーローに扮したイタリア俳優は剣を捨て、
サンダルを脱いでテンガロンハットにコルト45にウエスタン・ブーツを
履いて馬に乗った。
監督代役で演出した『ポンペイ最期の日』や
ロード島の要塞』を監督した小太りの男、
セルジオ・レオーネはそれまでイタリアで製作されていた西部劇に飽き
軽蔑もしていた。
まるっきりアメリカの低予算B級ウエスタンと変わり映えがないどころか、
面白味もあったもんじゃない。
日本でも『荒野の用心棒』より半年先に劇場公開された
本邦劇場公開第一号である
赤い砂の決闘』(1964)をジョリー・フィルムの試写室で観た
セルジオ・レオーネはあまりの退屈さに辟易してしまう。
マリア・カイアーノの『弾丸に口なし』の赤字を埋めるべく
『赤い砂の決闘』と同じ主要スタッフで製作費20万ドルで
『荒野の用心棒』は企画された。
イメージ 2
イメージ 3
劇場映画では主演作が無かったが、TVの『ローハイド』の牧童ロディ役で
名前が知られていたクリント・イーストウッドをスペインに呼んで
主役のジョー(または名無しの男)の役をオファーする。
クリント・イーストウッドにとってもこれは初めての主演映画となった。
このバジェット20万ドルの低予算西部劇が無ければ
クリント・イーストウッドという俳優もしくは映像作家は
今日まで活躍していなかったかも知れない。
 
音楽のエンニオ・モリコーネも初めての西部劇ではなかったが、
レオーネの依頼で、音楽面も作品には重要なファクターとなりえる要請で
彼も力が入って、アレッサンドロ・アレッサンドローニに
協力を求め、素晴らしい劇袢が完成した。
音楽はそれまでのイタリア製西部劇の音楽を根底から覆す斬新な代物だった。
イ・カントリ・モデルニの力強いコーラスやミケーレ・ラチェレンツァ
鮮やかなトランペットはそれからのマカトラのスタンダードナンバーとなった。
 
今年のカンヌ映画祭でも『荒野の用心棒』は4Kフォーマットに
レストアされて特別上映されたらしい。
そして10月には国内でも『荒野の用心棒』のブルーレイが発売される。
原版はイタリアで2007年に2Kレストアされた高画質HDマスター。

日本でも発売されたDVDや「午前10時の映画祭」の上映プリント、
BSなどで放映されているのは全てMGMでレストアされたマスターだが、
イタリア原版はMGM版がポジからレストアされたのと違い、
ちゃんとジョリー・フィルムに保管されてあるテクニスコープで撮影された
2Pネガからレストアされている

コペンハーゲンのラボで作業が行われて、ドイツで発見された
モリコーネの音楽テープからデジタルサウンド化された。
MGMでも消せなかった傷やゴミなどは綺麗に修復されて
ハイキー気味だった画質も、ロケ地のスペイン、アンダルシア地方の
空の雲の境目まで美しく再現してある。
 
イメージ 4
MGM版の画像(BSイマジカHD放送 1440X1080)
少し左右が若干切れている。
イメージ 5
(イタリア・レストア版 私家版BD 1920X1080)
上のMGMレストア版と大きく変わるのは空の雲の模様がはっきりしている。
 
オープニング・タイトルからしてルイジ・ラルディーニの手による
赤と黒の影絵も鮮やかにモリコーネのヒット曲”Titoli ”(さすらいの口笛)
が流れる中、音楽はレオ・ニコルス(モリコーネの変名)
監督はボブ・ロバートソン(レオーネの変名)のまま作り直してある。
 
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10
セルジオ・レオーネが好んだテクニスコープによるクローズアップの
ギラギラ感が忠実に再現されている。
 
黒澤プロダクション
1964(C)UNIDIS S.A.R.I ALL RIGHT RESERVED.
 
 
プライベート版GP『荒野の用心棒』ブルーレイディスク1層25GB
1920X1080 MPEG4-AVC 日本語字幕 スコープ(2.35:1)
①イタリア語5.1ch②英語5.1ch 99分54秒。非売品。
 
何と製作中に正規国内版ブルーレイの正式発売のニュースを聞き
嬉しいやら哀しいやら(笑)

 

 
 
 

 
 
↓ブロ友さんのbigflyさんがプロ並みの素晴らしいジャケット(上)
を作っていただけました。赤を基調としたイラストを使っていて
おそらくアドビのイラストレーターで
作られたのではと思う。(下)は写真中心で構成された筆者の拙作です(笑)
 イメージ 11
 
 
 
荒野の用心棒 完全版 製作50周年Blu-ray
コレクターズ・エディション 【Blu-ray】
日本語吹替えは完全版で収録!10月22日発売。2枚組。
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン。
 
イメージ 12
イメージ 1
イメージ 2
 
 
五人の軍隊』(1969)
UN ESERCITO DI CINQUE UOMINI
THE FIVE MAN ARMY
 
こちらは丹波哲郎がイタリアに出向いて
撮ったマカロニウエスタン。
実は前回に記事にした『野獣暁に死す』と
共通項が多い。
①日本人俳優が出ている、得物は刀を使う。
②バッド・スペンサーが両方出ている。
③ダリオ・アルジェントがどちらも脚本を書いた。
④前半は仲間を集めて回るシーンが両方ある。
 
周知の事実で、丹波哲郎は中大卒で、戦後はGHQの
通訳をしていた。だが英語は喋れないが通訳を2年していたらしい。
いちばん最初の外国語映画は『太陽にかける橋』(1964・MGM)
だがこれは日本ロケで京都で撮影した。
本格的な外国語映画はルイス・ギルバート監督が演出した
第七の暁』(1964)でクアラルンプールとロンドンへ出向いた。
ロンドンで半年滞在した時に知り合ったガールフレンドと同棲して
ある程度の英語が喋れるようになったと語る。
その次の外国語映画が同じギルバート監督の『007は二度死ぬ』(1967)
でタイガー田中役で出演しているが、有名な話だが映画の中での
丹波哲郎の英語は中国人の吹き替えだ。
本当に丹波哲郎の声はTBSで放送した日本語吹替え版にて
浜美枝と一緒にアテレコしている。
そしてついに『五人の軍隊』では一言の台詞も無い役が
オファーされたが、これが実に見せ場は多いし、ある意味儲け役だと思う。
列車から落ちた彼が野山を駆け抜けて落ちた列車に走って
追いつくシーンやメキシコ娘に惚れられる唯一のキャラだった。
最後に彼が笑うのだが、あれは紛れもなく丹波哲郎の笑いだ。
フォッフォッフォッと笑う「丹波笑い」。
だがローマでは毎晩のようにパーティが開かれて
パーティが終われば女の子がひとり残って彼の【世話】をしてくれたそうな。
それがほとんど毎日だったとか・・・
笑いが止まらなかったのは私生活も同じか。
 
イメージ 8
イメージ 9

ロケ地はスペインだったが、若い女性ファンはほとんど
ニーノ・カステルヌオーヴォのところへ行ってしまうが
丹波哲郎は撮影クルーに人気があって、彼だけのために
鍋を持ってきてスパゲッティを作ってくれたりしてくれたらしい。
イタリア人スタッフはアメリカ勢の俳優や監督とは仲が良くなかったとか。
そのアメリカ勢とは監督のドン・テイラー
それにちょうど『スパイ大作戦』の放送が始まって人気が出ていた頃の
ピーター・グレイブス。それにジェームズ・ダリー
イタリア勢は前出のニーノ・カステルヌオーヴォ
イタリアでは圧倒的人気を誇るバッド・スペンサー
製作は『皆殺し無頼』のイタロ・ジンガレッリ
そして脚本は監督デビュー前のダリオ・アルジェントが書いた。
動物の鳴き声のようなユニークな音楽を書いたのは
マカロニ音楽のマエストロ、エンニオ・モリコーネ
 
イメージ 14
イタリア版(左)のポスターはバッド・スペンサーが主役扱い。
 

スペインでマドリッドなどは60年代はヨーロッパの中でも
70㍉の劇場が多い都市でアメリカの大作だけでも消化しきれなくて
こういった西部劇でも70㍉にブロウアップされて上映されていた。
マカロニウエスタンはほとんどが2パーフォレーションの
テクニスコープで撮影されていたが、それを70㍉にすると
粒子が荒れやすいので、この映画などはデルタビジョン
(普通のヴィスタサイズなんだけど)で撮影されて上下をトリミングされ
70㍉にアップされて上映されていたらしい。
皆殺し無頼』(1967)や『地獄のガンマン』(1967)がそうだ。
列車襲撃がこの作品の見せ場だが、セルジオ・レオーネが
撮った『ウエスタン』(1968)のセットの一部を流用して使っている。
イメージ 11
これが今回復活した冒頭のメキシコのシークエンス。

日本では1969年にMGMの配給により劇場公開された。
その後はTV放送を経てヘラルドポニーよりビデオによって
リリースされた「列車襲撃大作戦/五人の軍隊」と改題されたが。
ただそのバージョンも各国でリリースされたビデオやDVDも
オープニングクレジットが終わって最初に出てくるのは
食い詰めたメシトがさびれた牧場で鶏の餌蒔きをする場面から
始まるのだが、アメリカのTCM(ワーナー)が持っている版には
日本で劇場公開された時と同じくニーノ・カステルヌオーヴォが
メキシコ国境を密出国する約4分の場面が復活していた。
 
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7

あるひとりのメキシコ人がなりすましでメキシコ国境を抜け出して
アメリカに入った。彼はルイス(N・カステルヌオーヴォ)
まず食うや食わずで牧場でこき使われていた大男メシト(B・スペンサー)
に千ドルの仕事があると声を掛けてスカウトする。
次に行ったのが炭鉱で炭鉱夫との小さい賭けをポーカーの勝負で
食いつないでいるオーガスタス(J・ディリー)
見世物ショーで小金で雇われている東洋人サムライ(丹波哲郎)
にも声を掛けて三人をメキシコの村と案内するルイス。
その村では農夫がメキシコ軍に今にも銃殺されそうになっていた。
村の広場での公開処刑だ。その群衆の中に彼らの雇い主の男がいた。
その名はダッチマン(P・グレイブス)
ダッチマンは男たちと顔見知りだった。彼らは処刑されそうに
なっていたマヌエル(C・ゴラ)を助ける。
ダッチマンが彼らを呼んだのはメキシコ軍が軍資金として
運ぶ50万ドルの砂金の在り処を知っている革命家マヌエルに協力して
運搬中の列車を襲う計画を企てていた。
道中で5人はメキシコ軍に捕えられるが、司令官を殺して
メキシコ軍の基地を全滅させてしまう。
そして目的の砂金を積んだ列車が走ってきた。
奇想天外な計画で列車は見事ダッチマンたちの手に落ちたが・・・
 
 
 

イメージ 10イタリア・タイガーフィルム
監督: ドン・テイラー 
脚本: マーク・リチャーズ 
    ダリオ・アルジェント 
撮影: エンツォ・バルボーニ 
音楽: エンニオ・モリコーネ
 
 

 ピーター・グレイヴス 
 ジェームズ・ダリー 
 丹波哲郎 
 バッド・スペンサー 
 ニーノ・カステルヌオーヴォ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
メトロカラー
メトロスコープ(デルタビジョン)
ヴィスタサイズ(1.85:1)
英語・モノラル
約110分
日本公開1969年11月15日
(MGM映画配給)
© 1969 Turner Entertainment Co.
© 2012 Turner Entertainment Co. and
Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved
 
 

 
イメージ 12
 
イメージ 13
 

開くトラックバック(1)

イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4

 
野獣暁に死す』(1968・伊)
OGGI A ME, DOMANI A TE!
 
仲代達矢がイタリアに渡って出演したマカロニウエスタン。
監督したのはアントニオ・チェルヴィ
フロレスタノ・ヴァンチーニの『残酷な夜
ベルナルド・ベルトルッチの『殺し
ミケランジェロ・アントニオーニの『赤い砂漠
フランチェスコ・ロージ真実の瞬間
などイタリアを代表する秀作を製作した敏腕製作者。
だがネオリアリズモをテーマにした作品を得意とした
名プロデューサーがなぜマカロニ西部劇を監督したか?
金のため?答えはイエス!
アントニオーニの映画は賞は貰えるが
客が入らなくて儲からない。
商業映画は観客が入ってナンボの世界だから。
トニーノ・チェルヴィ名義で西部劇を監督して
資金の回収を目論んだのだ。
アントニオ・チェルヴィは『用心棒』や
椿三十郎』や『切腹』を観て仲代のファンになり
特に岡本喜八が監督した『大菩薩峠』(1966)に
惚れ込んで東宝から権利を買ってイタリアで公開したほどだ。
自分で監督するなら、タツヤ・ナカダイに出て貰わないと・・・
交渉の末、仲代達矢は単身イタリアに渡る。
主役は仲代達矢に決定していたが、彼は次作『斬る』(岡本喜八監督)が
控えていて、スケジュールの都合で主役のカイオワは無理だった。
そこで敵役のボスを演じることになった。
だが白馬にまたがり手下を従え拳銃を撃ちまくる仲代達矢。
少年時代からハリウッドの西部劇が大好きだった彼が演じたかった
役が現実に回って来たのだ。
しかも現地のイタリアやスペインの俳優が黒澤明の作品に出ていた
仲代を知らぬ者はいない。改めて異国の地でも日本映画や
俳優としての自分の評価の高さに嬉しくなったという。
それだけイタリアでもセルジオ・レオーネが『用心棒』を盗作するくらい
日本映画はイタリアの観客を魅了していた。
彼をローマの空港で出迎えたスタッフは仲代達矢の頭にチョンマゲ
無かったのを見て落胆したという
 
イメージ 7
イメージ 6
 
 
この映画の脚本はチェルヴィとダリオ・アルジェントの共同執筆。
当時のアルジェントは監督の仕事が無かったベルトルッチと『ウエスタン』
の原案を書いたり、戦争映画やギャング映画のシナリオを書いていた。
そしてこの翌年に処女作『歓びの毒牙(1969)』で監督デビューする。
 
 
主演はモンゴメリー・フォード。だがこれは変名で
ブレット・ハルゼイとして『蠅男の逆襲』などに出ている
れっきとしたアメリカの俳優だ。
それにウィリアム・バーガー
オーストリアの俳優でマカロニやイタリアの映画に数多く出演した。
それにバッド・スペンサー。彼のイタリアでの人気は凄まじく
後に出た本作のポスターやビデオ、DVDはこの映画では脇役なのに
主役のような扱いとなっている。
イタリアではマリオ・ジロッティ(テレンス・ヒル)とコンビを
組んだアクション・コメディ映画が大当たりで今も大スターだとか。

音楽はイタリアの重鎮アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ。
史劇からホラーに至るまで何でもこなす職人作曲家だ。
『野獣暁に死す』は洋画系ではく東宝映画加山雄三主演の
狙撃』と二本立てで東宝系で封切られた。
配給は東和(現・東宝東和)の傍系であった現代映画が
配給して東宝にプリントを納入。
現代映画は東和の中にありながら東和の名で配給しにくい作品
(当時から邦人系の配給会社が輸入公開してまずまずの成績を上げていた洋ピン)
を扱うためにこしらえた会社と言ってもよいのでは。
事実、昭和43年には東京第一フィルムが西ドイツから輸入した
女体の神秘』が劇場のドアが閉まらぬくらい客が殺到したようだ。

野獣暁に死す』は日本語発声版。すなわち日本語吹替え版で公開された。
日本で劇場公開されたマカロニウエスタンの中で日本語発声版は五本。
大映の『荒野の10万ドル』『荒野の棺桶』『荒野のお尋ね者
(いずれも昭和42年封切) 
それにダイニチ映配での『荒野の復讐鬼』(昭和46年)
と『野獣暁に死す』が入る。
ただSPOのDVDの吹き替えはTV放送で
使われた吹替え版が使われている。
モンゴメリー・フォード(納谷悟朗)
仲代達矢(江角英明)
バッド・スペンサー(細井重之)
ウィリアム・バーガー(納谷六朗)
ウェイド・プレストン(池田勝)

原題はOGGI A ME, DOMANI A TE! (今日は私に、明日は君に)
イタリアの諺
幸運も不幸も、良いことも悪いことも回って来る」という意味。
 
イメージ 8
 
恋人殺しの汚名をきて、刑務所に入れられていたカイオワ(M・フォード)は、
刑期終了以前に、模範囚として釈放された。かつて彼は、幼なじみの友人、
フェゴー(仲代達矢)に、恋人を眼前で強姦され、射殺された。
その上殴られて気を失っている間に、
ピストルをにぎらざれ犯人にしたてあげられてしまったのだった。
その、フェゴーは、今、西部に悪名高い残酷非道な強盗団のボスになっていた。
出獄したカイオワは忠実な下男がかくしてくれていたドルを
森の隠れ家で受取ると、報酬二万ドルで銃の使い手四人を雇いいれた。
そして五人は、フェゴーを探し求めて、旅を続け、フェゴーの行動を
探知すると、その手下を、次々と倒していった。
怒りくるったフェゴーは、一度はカイオワを捕え、半殺しの拷問を加えたが、
カイオワはすきをみて逃げた。逃げる五人。追跡するフェゴー一味。いつしか、
深い森の中にまぎれこんだカイオワは、計略をたて、一味を森深く誘いこんだ。
やがて夜。五人対数十人の血闘がはじまった。機智を生かし、隠密作戦を展開、
五人は一人、二人と血祭りにあげていった。明け方、静まりかえった森の中で、
手下を殺されてたった一人になったフェゴーの前に、
カイオワが、姿をあらわした。長い沈黙が続いた。
その静けさをついてカイオワの銃声が響いた。
撃たれてなおひるまぬフェゴーは、悪鬼のようであった。
(キネマ旬報より)
 
イメージ 5PAC
スプレンデイダ・フィルム
 
監督: トニーノ・チェルヴィ 
脚本: トニーノ・チェルヴィ 
    ダリオ・アルジェント 
撮影: セルジオ・ドフィッツィ 
音楽: アンジェロ・
フランチェスコ・ラヴァニーノ
 
 モンゴメリー・フォード
(ブレット・ハルゼイ) 
 仲代達矢 
 バッド・スペンサー 
 ウィリアム・バーガー 
 ダイアナ・マルティン 
 ウェイド・プレストン
 
イーストマンカラー
ヴィスタサイズ(1.85:1)
95分
イタリア語
日本公開1968年11月23日
(現代映画配給)
 
参考文献
「幻を追って 仲代達矢の役者半世紀」
(高橋豊・著/毎日新聞社)1998年
 
 
 

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 次のページ ]

GH字幕
GH字幕
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
友だち(22)
  • 茂
  • タカモト
  • ギドラキュラ
  • HK
  • ごや
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

最新のコメント最新のコメント

すべて表示

ブログバナー

Yahoo!からのお知らせ

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン

みんなの更新記事