1982(C) Paramount Pictures Corporation
『ベイビー・イッツ・ユー』(1983)
BABY IT'S YOU
「高校時代は最の民主主義社会だ」 − ジョン・セイルズ −
『セコーカス・セブン』を発表したジョン・セイルズの国内劇場公開第二作目。
製作後、4年を経過して日本で配給、上映された。
セイルズにとっては最初のメジャー作品(パラマウント映画)だった。
ジョン・セイルズを知らない人のために書いておくが
彼は当初はシナリオライターで、ロジャー・コーマンの門下生のひとりだった。
ジョー・ダンテの『ハウリング』やジミー・T・ムラカミの『宇宙の7人』も
セイルズの脚本。その脚本料で彼のデビュー作『セコーカス・セブン』を自ら作り
長い間、温めていた『エイトメン・アウト』も監督をした。
『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』や『メイトワン 1920』も評価が高い。
監督をしてもシナリオライターとしても活躍して
ギレルモ・デル・トロの『ミミック』やロン・ハワードの『アポロ13』にも
ノン・クレジットで参加している。
主演は当時22歳のロザンナ・アークエット。彼女はロックグループ「TOTO」の
スティーブ・ポーカロと恋仲だった時期があり、「TOTO」のヒット曲「ロザーナ」は
彼女をイメージして作られた曲という。まだ名が売れていない頃で
これが初めて主演作だったのだろう。この後『スーザンを捜して』や『アフターアワーズ』に出て
リュック・ヴェンソンの『グラン・ブルー』でブレイクした。
決して美人じゃないが60年代のティーンエイジャーを可愛く演じている。
それと当時売出し中のヴィンセント・スパーノ。
他にマシュー・モディーン、マイケル・J・フォックスの奥さんになったトレイシー・ポラン、
そして「アイアンマン」ロバート・ダウニー・Jrの実質デビュー作。
1982(C) Paramount Pictures Corporation
舞台は1966年、ニュージャージのハイスクールから始まる。
ユダヤ系のアッパー・ミドル・クラスの家庭に生まれたジル(R・アークエット)は
成績も良く、演劇部に入って活躍していた。
そんなジルの目の前にイタリア系で貧しい家庭に育ったシーク(V・スパーノ)が
ジルの通うハイスクールに転校してきて来る。
シークはパリッとしたスーツを着ているが、札付きの不良だ。
シークはジルを気に入って学食でナンパする。「俺と付き合えよ」
「冗談でしょ?初対面よ」「「初めはみんなそうさ」
境遇も家柄も違う二人の男女、おやっと思うこの設定は・・・
同じパラマウント映画の大ヒット作『ある愛の詩』(1970)と同じか。
ただ今度は男女が正反対の立場となる。
やんわり断るジル。ただジルに嬉しい知らせが・・・
演劇部の舞台で主役に選ばれたのだ。ウキウキ気分のジルに
駐車場でシークが待っていた。
「主役に選ばれたお祝いだ、俺の車に乗れよ」「じゃあ五分だけ」
ムチャクチャな運転で愛車をぶっ飛ばすシーク。
だがジルは彼に惹かれてしまう。シークはジルを下町のパブへ連れて行き
好奇心いっぱいのジル。その夜、はじめてのキス。
だが付き合う内にジルが身体を許さないのに苛立つシーク、そして喧嘩別れをしてしまう二人。
ついにジルに脚光を夜がやって来たのだ、彼女の主役の舞台が学校の講堂で発表され、
精一杯に演技を続けたジル。舞台の評判や彼女の演技は絶賛だった。
だが相手にされないシークは思い余ってジルの友人と寝てしまうのだが・・・
しかしシークもジルもお互いすれ違い悶々とした日を過ごすが、ある日、
帰宅途中に友人のベスと一緒にシークの車に押し込まれてしまう。強引なやり口な閉口してしまうジル、
だがその夜によりを戻して、学校をサボって冬の海に行くジルとシーク。
シークの夢はフランク・シナトラに憧れて高校を卒業するとマイアミへ行くことだ。
だがシークをよく思わない教師に逆らったシークは退学処分になってしまう・・・
プロムの夜は入り口でシークから褒められたジルだったが、彼なしのプロムはつまらなかった。
その夜に、シークは強盗を働いて警察から追われてニュージャージから消えて消息不明に・・・
晴れて名門サラ・ローレンス大学に入学したジルだったが、高校での晴れやかな世界は
大学では続かなかった。大学の演劇部に入った彼女はそれまでの演技力を全面否定されてしまう・・・
何か違和感を感じるジルは、手紙をもらったマイアミで歌手をしているシークを訪ねる。
シークは生き生きとして明るく、逆にジルは高校生活と違って落ち込んでいた。
そして事のなり行きでマイアミでシークとジルはようやく結ばれたが、ジルは大学に帰ってきた。
ジルは生活態度を変えていく・・・マリファナを吸い、酒もタバコも覚えた。新しい男も作った。
シークは仕事に生きがいを感じていたが・・・歌っていた酒場を解雇される。
ジルに会いたい一心でマイアミからNYに来たシークだったが・・・
何かが違っていた。何かが変わっていた。ジルは「私たちもう高校生じゃないわ!」と叫ぶ。
もうあの日には帰れないのだ。
高校時代に順風満帆だった優等生ジルの心の荒み方が当時(1968年ごろ)のアメリカ全体
の風潮とほどよくマッチしている。しっかり自分の道を歩んできたジルと
刹那的な生き方をしてきたシークはお互い愛し合っても決して幸福になれない。
ジョン・セイルスは醒めた視点でこの青春ドラマを描いたのか。
青春って残酷な時かもしれないよな。
使用曲は下記の通り。
題名にある「ベイビー・イッツ・ユー」はシュレルズの曲だが
ビートルズがカヴァーして有名でカーペンターズも歌っていた。
あとは「ダイヤモンド作戦」の主題歌でヒットしたシナトラの「夜のストレンジャー」
シュープリームスやベン・E・キング、サイモンとガーファンクルの曲が使われている。
特筆すべきはブルース・スプリングティーンの曲が使われた初めての劇場映画であること。
"Baby it's you " The Shirelles
"Wooly Bully" Sam the Sham and The Pharaohs
"It's Hard To Be A Saint In The City" Bruce Springsteen
"You Don't Have To Say You Love Me" Dusty Springfield
"Surfin' Bird" The Supremes
"Unchained Melody" The Righteous Brothers
"The E Street Shuffle" Bruce Springsteen
"A Whiter Shade of Pale" Procol Harum
"She's the One"Bruce Springsteen
"Adam Raised a Cain"Bruce Springsteen
"Shout" The Isley Brothers
"Stop in the name love" The Supremes
"Chapel of love" The Motel Play
"Ooo baby baby" The Miracles
"Stand by Me " Ben E.King
"Starnger in the night" Frank Sinatra
"A lovers concerto" The Toys
"Please love me forever" Bobby Vinton
"Stay" The Foue Seasons
"Mr.Success" Frank Sinatra
"Wives and Lovers" Jack Jones
"Venus in furs" The Velvet Underground
"A Hazy shade of winter" Simon and Garfunkel
"At the zoo" Simon and Garfunkel
パラマウント映画製作
監督: ジョン・セイルズ
製作: グリフィン・ダン
エイミー・ロビンソン
原作: エイミー・ロビンソン
脚本: ジョン・セイルズ
撮影: ミヒャエル・バルハウス
ロザンナ・アークエット
ヴィンセント・スパーノ
マシュー・モディーン
ジョアンナ・マーリン
ジャック・デヴィッドソン
ニック・フェラーリ
トレイシー・ポラン
ロバート・ダウニー・Jr
ムービーラブカラー
ヴィスタサイズ(1.85:1)
英語・モノラル・105分
日本公開1987年10月3日
(ユーロスペース配給)
日本語字幕:菊地浩司