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赤死病の仮面(1964)
THE MASQUE OF THE RED DEATH 『アッシャー家の惨劇』から始まったロジャー・コーマン監督による エドガー・アラン・ポオ原作の一連の映画化作品の中で本作が最高傑作に 位置するが日本では劇場未公開に終わり、
テレビ放送やビデオにてやっと陽の目を見た。(DVDは現在廃盤)
映画はポオの「赤死病の仮面」及び「跳び蛙」を元に構成されている。 主演はもちろんヴィンセント・プライス。 それと『姦婦の生き埋葬』(凄い邦題だ)に出ていたヘイゼル・コート そしてポール・マッカトニーの元彼女で『早春』(1970)で強烈な印象を 残したジェーン・アッシャー。子役で端役ばかりだったが、本格的に 売れ出したのはこの作品から。 撮影はニコラス・ローグ。名作『アラビアのロレンス』で第二班撮影監督を務め
傑作の『美しき冒険旅行』(1971)では演出までする才人で この作品では赤を基調とした映像美が印象的。 「赤死病の仮面」撮影スナップ 中央がロジャー・コーマン
本作はロジャー・コーマンのポオものとしては七作目にあたり それまでのセット使い回しじゃなく衣装も豪華で バジェットはとことん切り詰めるロジャー・コーマンとしては異例だ。 そのからくりはピーター・グレンヴィル監督作品で リチャード・バートン、ピーター・オトゥオール主演の 『ベケット』(1964)のセットと衣装を使わせてもらったからだ。 だからアメリカで撮影されず本作はイギリスで製作された。 そしてコーマンにはもうひとつの「秘策」があった。 イギリスで製作されることで英政府から出る補助金が目当てだった。 英政府の補助金と格安で使える豪華なセットと衣装で 元来3週間で完成させるコーマンのポオ映画は、この作品だけ 例外で5週間を費やした。 あらすじはこうだ。 中世のイタリア。悪魔を崇拝する残虐なプロスペロ公は、 自らの領地で赤死病が発生したことを知り、 村の美しい娘フランチェスカを連れ去り貴族の仲間達と城に立てこもる。 恐るべき感染力で全身から血が流れ出し苦しみ死んでいく村人達を尻目に、 プロスペロ公は集まった周辺諸侯達と共に堕落した宴を催すが、 仮面舞踏会の最中、赤いマントを羽織った謎の男が姿を現す。 闇夜の荒れ地を行く老婆の前に、全身赤い衣装を纏った男が 現れ、懐から白い薔薇を一輪取り出すが、男が手をかざすと その薔薇は真っ赤な血の色に染まるという導入部。 この作品でコーマンがかなり強く意識したのは
イングマール・ベルイマンの『第七の封印』(1957)で、 悪魔を崇拝した男、主人公プロスペロ公の前に立ちはだかる赤い衣装のよそ者、 その仮面を剥ぐとその男の顔は自分だったというオチ。 そしてプロスペロ公の城には赤死病が蔓延して全員が死に絶える。 赤死病は罹患すると身体から血を噴き出して死んでしまう。 これは今や世界的な問題となっている「エボラ出血熱」と同じだ。 もちろんエドガー・アラン・ポオが原作を書いた1842年には エボラ出血熱などという伝染病は知られてなく ヨーロッパで大流行したペスト(黒死病)をモチーフにして 描かれたが、身体から血を吹いて死ぬという症状まで的中させている。 エドガー・アラン・ポオは180年前にこの伝染病を予測していたかも知れない。 監督: ロジャー・コーマン
製作: ロジャー・コーマン 原作: エドガー・アラン・ポー 脚本: チャールズ・ボーモント R・ライト・キャンベル 撮影: ニコラス・ローグ ヴィンセント・プライス ジェーン・アッシャー ヘイゼル・コート デヴィッド・ウェストン パトリック・マギー スキップ・マーティン ナイジェル・グリーン ジョン・ウェストブルック パテカラー パナビジョン(2.35:1) 86分 英語 国内劇場未公開 テレビ放映タイトル:「恐怖!赤死病の仮面」 1964(C)Metro Goldwyn Mayer studios. All Right Reserved. |

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