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『ロリ・マドンナ戦争』(1973)
THE LOLLY-MADONNA WAR LOLLY MADONNA XXX 鮮血は青春の花びら― 〈バニシング・ポイント〉の鋭才サラフィアン監督が 超暴力で描く衝撃の名作! 1971年に発表したニューシネマの一編にして名作の『バニシング・ポイント』で 頭角を現した映画監督、リチャード・C・サラフィアン。 だが彼はそれまでTVドラマを数多く演出して、ロバート・アルトマンとは 親友で彼の作品を手伝ったりしていた。 日本でも劇場公開された『野にかける白い馬のように』(1969)で 劇場映画に進出、そして『バニシング・ポイント』で脚光を浴びる。 期待されてMGMからオファーを受けたのがスー・グラフトン女史の
ベストセラー小説の『ロリ・マドンナ戦争』だった。 テネシーの高原地帯を舞台に土地を巡っていがみ合う二つの家族の 壮絶な物語で、主演はロッド・スタイガー、ロバート・ライアン、 ジェフ・ブリッジスなどで新人のシーズン・ヒューブリーが加わる。 作品は1972年に撮影され、アメリカでは1973年の2月に公開され 日本でも1973年11月に東京ではみゆき座(当時)で単館公開されたが 興行的にもヒットしなかった。 リチャード・C・サラフィアンはその後に バート・レイノルズ、サラ・マイルズの西部劇『キャット・ダンシング』 を発表するがこれもパッとせず、再びTVドラマ畑に戻って行く。 そして1979年当時、人気絶頂のファラ・フォーセット主演の劇場映画 『サンバーン』を撮るが、これも惨めな結果に終わる。 1990年、日本のNHKが資金を出した『クライシス2005』も手掛けるが、 あまりの出来と日本側の勝手な編集に怒って監督名を アラン・スミシー名義にしてそれ以降は俳優として活躍して 2013年に没した。 町山智浩氏の名著「トラウマ映画館」(集英社)にも紹介されたこの作品、 掲載されている他作品は幾本もDVDリリースされ陽の目を見ているが、 同じMGMで製作された『去年の夏』(1970)と同様に 日本ではビデオ化DVD化はされていない。 セピア色の家族写真 「フェザー家 1969年」 「幸福な結婚35周年 1966年」「フィンチの妻 ライダジョー 1968年」 「隣人ガットシャル家 1972年」 などが映し出されテネシーの山中の景色が続く。 この土地にはレイバン・フェザー(R・スタイガー)の一家と バップ・ガットシャル(R・ライアン)の一家が隣り合わせ暮らしているが お互いは牧草地を巡って対立している。 いきさつはフェザーが税金滞納で取り上げられた先祖代々の土地を ガットシャルが競売で手に入れたからこの争いは始まった。 フェザー家は男ばかりの五人兄弟 長男スラッシュ(S・ウィルソン)次男スカイラー(T・スコット) 三男ホーク(E・ローター)四男ザック(J・ブリッジス) 末弟のフィンチ(R・クエイド)それに母親のチッキー(K・スクワイアー) ガットシャルは長男ビラム(P・コスロ)次男ルーディ(K・マーティン) 三男セブ(G・ビジー)、末妹のシスターE(J・グッドフェロウ) 母親のエルスペス(T・ヒューズ) それにスカイラーとシスターEは密かに愛し合っているが シスターEまだスカイラーに身体を許していない。 オンボロのシボレーのトラックに乗ってホークがスラッシュを 誘いに来た。それはガットシャルの郵便ポストに一枚の葉書を見つけたからだ。 ロリマドンナという娘がルーディに惚れて嫁にやって来るという内容だ。 バス停で待つから迎えに来てという文面にスラッシュたちは 先回りしてロリマドンナなる娘を誘拐しようとする。 森の中でスラッシュたちがバス停に急ぐのをビラムたちが見張っていた。 トラックが走り去るのを確認するや彼らはフェザーの土地に入って行く。 牧草地に紛れ込んで奪われた自分たちの豚を取り戻すために わざとロリマドンナなる架空の女を作って裏をかいたのだ。 フェザー家は山中に密造酒の蒸留所を作っていたが、ビラムたちは それを壊して豚を取り戻す。 しかしバス停にはナッシュビル行きのバスを待っていた 短髪のボーイッシュな美少女ルニー(S・ヒューブリー)がいた。 スラッシュとホークはルニーをロリマドンナと思い込み トラックに無理矢理押し込んで家に戻って来る。 ルニーはいくら弁解してもフェザーの家の連中は 彼女をロリマドンナと思い込んでルニーを軟禁状態にする。 壊された蒸留器を直していたホークとスラッシュだが ホークはルニーから奪った化粧品で女装してふざけている。 そこへ密かにスカイラーに会いに来たシスターEがやって来るが 2人は彼女を強姦してしまう。 愛する男の兄弟に無残にも処女を奪われた娘に 母親は慰めてやるが、ガットシャルの男たちの怒りは収まらない。 一方監視されて何処へも行けないルニーだが ザックが孤児だったルニーに優しく接してくれ 彼女も心優しいザックに魅かれて行く・・・・ そして翌朝にガットシャルは手籠めにされた娘を連れて フェザーの家に乗り込んでくる。 自分の息子に恥をかかされたフェザーは激怒するが その怒りの矛先はガットシャルに向けられる。 ガットシャルも自分の土地に立ち入り禁止の看板を立てるが 面白くないフェザーはそこにガットシャルの豚を繋いで 火を付ける。火が迫って断末魔の声を上げる豚を放そうと 一緒いたルニーが走り出した。同じくエルスペスも走って来たが スラッシュが放ったライフルの銃弾で即死。 だがホークも肩を撃ち抜かれて重傷を負う。 フェザーはスラッシュに怒り殴りつけるが、ここで 初めてスラッシュは父親に刃向う。 それは過去にザックの嫁でありながら自分の実の娘以上に溺愛して ライダジョーがスラッシュの馬に乗って落馬して死んだことで フェザーがスラッシュの馬を全部ライフルで撃ち殺した恨みに遡る。 フェザーは何度もスラッシュを蹴り上げるが思い余って 息子を殺してしまう。ガットシャルもフェザー家を全滅すべく ライフルや拳銃、カービン銃で武装してフェザーの屋敷を囲う。 その時だった、ガットシャルのセブが大事になる前にフェザーの 屋敷に来てホークを差し出せばこの争いに一応の決着がつくからと 説得に乗り込んできた。だがフェザーは長男を殺したショックで 狂っていた。一番冷静なスカイラーは事の収拾を保安官に任せようと 町へトラックを走らせるが、ガットシャルらの放った銃弾でトラックは 横転、スカイラーも息絶える。 それを見たフェザーの人間は唖然とするが、セブが頭を撃ち抜かれて 床に伏した。撃ったのはチッキーだった。 そこへガットシャルの声が・・・「ホークを差し出せ!」 出血が止まらずもう先が無いと思ったホークは自ら出て行く決心をする。 「最後くらいは恰好よく死なせろ」 自分がスーパースターと普段から妄想癖のあるホークは 死に際までその妄想に酔っていた。拍手喝采の中でホークは銃弾を浴びて倒れる。 「殺ったぜ!」と歓喜に踊るビラムとルディ ガットシャルが「行くな!」と制止する声が聞こえず飛び出して行くが ザックが放った銃弾に倒れる2人。「親父!」と悲痛な叫び声をあげるルディに 止めを刺したのはザックの拳銃だった。 みるみるうちに悲愴感で顔が強張って行くバップ・ガットシャル・・・・ 家の中では何が起こったか理解できないレイバン・フェザー・・・ 再びセピア色の写真が何枚か映し出される。
まだ平和な頃だった両家の写真が。 撮影スナップより(1972年)
原題はLOLLY MADONNA XXX だったが XXXは手紙の「キスキスキス」を意味する。
だが映画業界ではXレイテッド、すなわち成人指定の 本番ハードコア・ポルノとなる。
危険を感じた製作のMGMは原作通りに THE LOLLY-MADONNA WARと戻されたが、
北米版でリリースされたDVDはLOLLY MADONNA XXX版だった。 この作品でデビューしたシーズン・ヒューブリーは初々しくてよかったが 後は女優としてパッとしないで、TVムービーの『ザ・シンガー』で 共演したカート・ラッセルと結婚したが、早々と離婚してしまった。 他にハゲながら強烈な印象を残したエド・ローター それに悪役で活躍する前の若かりし頃のゲイリー・ビジーも出ている。 シーズン・ヒューブリーが演じたロリ・マドンナ間違われたルニーが 中心に物語は展開すると思いきや、彼女の設定は単なる添え物程度にしかなく ロッド・スタイガーとロバート・ライアンの大物俳優と 特にスコット・ウィルソンが扮したスラッシュと エド・ローターのホークに重きを置いたストーリー展開で流れは悪くないが ラストの終わり方が少々尻切れトンボのような印象を受けた。 ベトナム戦争の最中に製作された事もあって幾分反戦メッセージも兼ねた アイロニーな味付けを施されていたかも。 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー製作
製作: ロドニー・カー=スミス 原作: スー・グラフトン 脚本: ロドニー・カー=スミス スー・グラフトン 撮影: フィリップ・H・ラスロップ 音楽: フレッド・マイロー ロッド・スタイガー
ロバート・ライアン ジェフ・ブリッジス スコット・ウィルソン シーズン・ヒューブリー エド・ローター ランディ・クエイド トレサ・ヒューズ ポール・コスロ キール・マーティン ゲイリー・ビジー ジョーン・グッドフェロウ メトロカラー パナビジョン(2.35:1) 英語モノラル 106分 日本公開1973年11月3日(MGM配給) 日本語字幕:岡枝慎二 1972(C)Turner Entertainment.All Right Reserved.
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