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書庫奇人変人フリードキン!

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1977(C)Universal Studio.
 
ウィリアム・フリードキン特集③
 

恐怖の報酬』(1977・米)
SORCERER
WAGES OF FEAR
 
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によるサスペンス映画史上の傑作(1952年製作)を
鬼才ウィリアム・フリードキンが製作と監督で再映画化した1977年作品。
日本では国際版(WAGES OF FEAR:92分版)がCICの配給で劇場公開された。
ビクターから過去に発売された日本版VHSおよび、米・ユニヴァーサルから
リリースされている北米版DVDはアメリカ公開版(SORCERER:122分版)だ。
主演はロイ・シャイダーブルーノ・クレメールフランシスコ・ラヴァルという顔ぶれ。
音楽を担当したのはドイツのプログレグループのタンジェリン・ドリーム
彼等が初めて手がけた映画用音楽で高く評価され『ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー』や
ザ・キープ』、『ニア・ダーク 月夜の出来事』など傑出した音楽を発表している。
 
 
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クルーゾー監督のオリジナル版(以下クルーゾー版)とフリードキン監督のリーメイク版の
相違点は主要4人の男たちが、なぜ南米の最南端ボルベニールのジャングルの村へ流れて来たかを
冒頭でエピソードを付加して説明する点。クルーゾー版は台詞のみで構成されていた。
(舞台も南米の北部ベネズエラだ)
油田で爆発事故が起きて消火するためのニトログリセリンを二台のトラックで険しい道を
運ぶ筋はクルーゾー版と何ら変わらないが、クルーゾー版が乾いた崖の多い山道を疾走する
トラックで行くのに対して、フリードキン版は大雨や泥にまみれた高温多湿のジャングルを通って
火災現場へ向かう。(木製の架け橋や今にも落ちそうな吊り橋を渡るのが見せ場になっている)
道を塞ぐ大きな岩を運搬中のニトロで粉砕するシーンも、フリードキン版もあるが
岩から、倒れた大木に変更されていた。また油田爆発のシーンは、リアルでクルーゾー版より迫力があるが
原因はゲリラによるテロ工作という”新味”が付け加えられた
あのシーンはプロパンガスと50万ガロンの軽油で燃やされて撮影したために
誰も50フィート以内は近寄れなかったらしい。
実は主演は当初はロイ・シャイダーじゃなくスティーブ・マックィーンだったのだが、
マックィーンの出演は承諾されていたが、一緒にアリ・マッグロウを出演させろという条件だった。
さすがにフリードキンもこの条件は呑めず、ロイ・シャイダーをオファーした。
マックィーンが出たならば、マルチェロ・マストロヤンニとリノ・バンチュラもオファーする構想だったとか。
やはり物語としてはクルーゾー版の方がモノクロームでありながらも
時間的設計の巧みさや、心理描写の使いかた、イブ・モンタンの迫真の演技で軍配が上がるが
フリードキン版は例の吊橋を通過する場面やダイナマイトのニトロが漏れている恐ろしい場面も
忘れがたい。特に吊橋の場面は粒子が荒れているが(推測だがラボで増感処理をしたものと思う)
ドキュメント・タッチでクルーゾー版を凌ぐシーンだと思っても過言じゃない
ニトロを運ぶトラック二台を丹念に整備する場面もクルーゾー版には強調されていなかったが
フリードキン版にはしっかり挿入されており、これから4人に降り掛かる運命の道行を
予感させる重要なカットだ。
フリードキンにとっては、アメリカ国内で興行的に失敗して、(バジェットは2100万ドルで
国内収益は900万ドルの差額1200万ドルの大赤字だった)日本でも本来は121分のユニヴァーサル版が
配給されるはずだった本作を、フリードキン自身が権利関係でユニヴァーサルとパラマウント側を
訴訟したため、オランダ経由で92分の国際版しか回って来なかった不運な状況であった。
(フリードキンは国際版のファイナルカットまで契約しなかったためにこのような短縮版が
存在する結果になった)
また撮影のディック・ブッシュが途中で降板しために、第二班撮影のジョンM.スティーヴンズを残りの
撮影を任せたというアクシデントに見舞われた。
だがフリードキン自身はこの「恐怖の報酬」は自分自身が監督した映画で一番の作品だと語る。
それは、私が意図した通りに正確に表現出来た、ただ一つの映画だよ
そうしてフリードキンがこの映画のDVD化に際してフルフレームを要求しために
劇場ではヴィスタサイズ(1:1.66)だったが、スタンダードサイズで北米版DVDは収録されている。
 
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1977(C)Universal Studio.
 
ジャングルに囲まれた南アメリカの小さな村ポルベニール。
この地の労務者ホテルで1人の男が目をさます。名はドミンゲス(ロイ・シャイダー)。
彼はアメリカで銀行強盗をして逃げ、この地に流れついた男だ。
本名をジャッキー・スキャロンといい、近くの精油所で働いている。
この村に下宿屋兼カフェのエル・コルサリオがあった。
ここで朝食をとっている男は、セラーノ(ブルーノ・クレメール)と呼ばれており、
パリで銀行家を営んでいたが不正がバレ、この地にのがれてきたのだ。本名はビクトル・マンゾン。
泥まみれになり土管工事をしている男がいた。彼、カッセム(アミドゥー)は
パリで爆破事件をおこした爆薬のプロ。
そんな奴らの村にも飛行場があり、くたびれたDC3が着陸した。中からおりたったのは、
殺し屋ニーロ(フランシスコ・ラヴァル)。彼の落ち着き先はエリ・コルサリオだった。一方セラーノは、
国外脱出をはかろうとするが金がない。それは、ドミンゲスも同様であった。そしてその日、
ポルベニールから300キロ程はなれた油田で爆発がある−−。
反政府派ゲリラのしわざによるものらしく、犠牲者は多く、村は一種の無秩序状態におち入った。
石油会社の支配人コーレット(ラモン・ビエリ)は、油田火災を鎮火する方法を専門家と相談するが、
結論は、爆薬による爆風によって消火するしかない。
だが、石油会社の倉庫の40ダースものダイナマイトはゲリラにうばわれ、
残っているのはニトログリセリンだけだ。
この危険な液体を道なき道300キロ運ぶ以外に手はないのだ。
早速、トラックの運転手4人の志願者がつのられた。報酬を目当てに何人かが名乗りを上げ、
ドミンゲス、セラーノ、カッセム、そしてマルケス(カール・ジョン)が選ばれた。
1人1万ドルの現金と、国外へ出られる旅券が報酬だ。2台のトラックが用意された。
タイヤ、スプリング、車軸等の点検が行なわれ、オガクズを敷きつめた荷台にニトロがつみこまれる。
夜明けが訪れた。出発だ。だがマルケスが小屋で殺されていた。ニーロが殺したのだ。
やがて、彼がマルケスのあとがまで、トラックに乗る。まずドミンゲスとニーロのトラックが、
そして15分後セラーノとカッセムのトラックが出発した。雨が降る。道はでこぼこで、トラックの震動は続いた。
ニトロは爆発しないか−−。やがて彼らの行手には今にもくずれかかりそうなつり橋が迫ってきた。
道案内に立つ1人。難所を脱したもののセラーノ達のトラックが道からおちて爆発。
間もなくドミンゲスのトラックをゲリラが襲う。銃でもってゲリラを倒すドミンゲス達だが、
ニーロは傷つき、やがて死んでいった。まもなく目的地だ。だが、トラックは大破。
ドミンゲスはニトロの箱を1つ持ち、目的地にたどりついた。任務は終った。だが……。
今、ドミンゲスは1人、エル・コルサリオで酒を飲む−−。(キネマ旬報より)
(日本公開1978年3月11日 CIC配給)

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パラマウント・ピクチャーズ

監督: ウィリアム・フリードキン 
製作: ウィリアム・フリードキン 
原作: ジョルジュ・アルノー 
脚本: ウォロン・グリーン 
撮影: ジョン・M・スティーヴンス 
    ディック・ブッシュ 
プロダクションデザイン: ジョン・ボックス 
美術: ロイ・ウォーカー 
衣装デザイン: アンソニー・パウエル 
編集: バッド・スミス 
共同編集: ロバート・K・ランバート 
音楽: タンジェリン・ドリーム

 ロイ・シャイダー
 ブルーノ・クレメル 
 フランシスコ・ラバル
 アミドウ
 ラモン・ビエリ
 ピーター・カペル
 カール・ジョン
 フレデリック・フォン・レデブール
 ジョー・スピネル

テクニカラー
ヴィスタサイズ(1:1.66)
92分(日本公開版)
121分(アメリカ公開版)
英語モノラル
日本語字幕:高瀬鎮夫
 
 
 

 
 
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Copyright 1980  Lorimar Film-Und Fernsehproduktion Gmbh.
 
 
WHO'S HERE?  ここにいるのは誰?
I'M HERE 
YOU'RE HERE わたしとあなた・・・
 
 
ウィリアム・フリードキン特集②
 
クルージング』(1980)
CRUISING
 
ニューヨーク、マンハッタンのグリニッチ・ビレッジの少し南側
ウエストビレッジの西側に存在するクリストファー通りChristopher Street)はゲイのメッカであり
レザースツーツを身に纏ったSM嗜好のマッチョ型男色愛好者ハード・ゲイ)の街なのである。
女装嗜好や美少年志向のオカマと呼ばれているソフト・ゲイ(またはドラグ)と対照をなす野郎たちの溜り場だ。
1962年から1979年にかけホモ・セクシュアルの被害者の惨殺事件があった。
この事件をベースにジェラルド・ウォーカーは実録小説『クルージング』を書いた。
ウィリアム・フリードキンはこの原作を脚色して、ニューヨーク市警殺人課(ホミサイド)の事件ファイル
やニューヨーク市に残されている検死記録に基づいて構成された実録ものであった。
またフリードキンは『フレンチ・コネクション』でも協力を仰いだランディ・ヨルゲンセン警部
ソニー・グロッソに再びサポートを願い出た。
実はランディ・ヨルゲンセンこそアル・パチーノが演じた新人警察官スティーブのモデルとなり
彼はゲイだけを狙って金品強盗や殺人を犯していた「ソルト&ペッパー」という二人組を追って
ゲイがたむろする地区に身分を隠して潜入捜査して、容疑者を何人も検挙したが
追っている犯人はついに逮捕できなかった。この潜入捜査中の出来事がこの映画の物語となっている。
CRUISING」とは男が男を漁る行為。ナンパを表現している。
  
主演はアル・パチーノ、カレン・アレン、ポール・ソルヴィーノで監督もメインキャストも
ニューヨーク出身かニューヨークで生活していた。(カレン・アレンとフリードキンはイリノイ州出身)
で構成して、フリードキンがゲイを扱った『真夜中のパーティ』(1969)と同じグリニッチ・ヴィレッジや
クリストファー・ストリートでロケを開始した。だが今度はフリードキンも予想できなかった。
この映画の製作に反対するゲイたちが千人も集まり抗議デモを行ったのだ。
またニューヨーク市に対してもこの映画の製作に協力しないように彼らは抗議を始めた。
ゲイによるゲイに対する連続殺人劇など『KKK団(クークラックスクラン)の映画を
ハーレムで撮影するようなものだ
』と噛み付いたのだ。夜間撮影の間にも千人を超える
デモ隊が出現する撮影現場は異様なものだったとか。もちろん主演のアル・パチーノも
撮影までは身を潜めておかなければならない危険な状態だった。撮影中は爆破予告があったり、
一部のエキストラが離脱したりと騒がしかったが、ロケは無事終了した。

映画完成後はフリードキンはかくもこう語った。
1600人のゲイたちがエキストラとして撮影に参加したんだが、彼らは明らかに、
決して自分たちが食い物されたと思っていないよ。万一、普通の俳優にゲイを演じさせたら
反応はどうだったか?100%の男や100%の女なんてものはいないんだ。
私の映画は性的な曖昧さとセックス行為としての暴力、攻撃を公にしようとしたのだ
。」
 
またアル・パチーノは自分と自分が演じた役柄にもこう答えていた。
自分は一人の俳優だ。マスコミがこんな風に焦点をあてるのは、
俺の名を話題の中心に置きたいからだ。
責任とは相対的なものだ。俺は脚本に書かれたキャラクターに責任がある。
俺の演じる役に責任がある。俺に口にはさむ資格のない問題に責任があるわけではない。
この映画がアンチ・ゲイだと思っていないが、俺は最高の演技をすることが俺の責任だ。
俺はこのキャラクターが魅力的だから役を引き受けた
。」
アル・パチーノはアクターズ・スタジオ出身で特に演ずる役に入れ込むので有名だ。
だが彼はこうも語った。「そして俺は誰も傷つけたくない
 

この映画の重要なキーワードのひとつにハンカチがある。
ゲイ・コミュニケーションに於いて相手に自分の嗜好を知らせるための
ハンカチ・コードがある。
ジーンズの後ろポケットに入れておくのだが、右ポケットは「受け身」
左ポケットが「攻め側」だ。
またハンカチの色でも様々なプレイを表現している。
黄色」スカトロジイを表し、小便を飲んだり飲ませたりの趣味。
「赤色」アナルセックス専門
「紺色」フィストファック。ケツの穴にこぶしを・・・痛そう!
「黒色」SM趣味
「緑色」緊迫。つまり縛り趣味
「青色」ノーマルな(?)ホモ関係。
日本でもこの映画を公開した東映直営館でこの色のバンダナを
映画上映中に売店で販売していた。(その時に自分は売店で売っていたから覚えているのだ)
洒落で買っていくカップルもいたが、マジでガチな人物にも売れていたのは事実である。
実は「紫色」というのもあるそうだが・・・このハンカチ・コードは実は「チン切り」だそうだ。
ニューヨークに行ったら右のポケットには紫色のハンカチは入れないように。

ブライアン・デ・パルマがこの映画に大いに興味を示していたが、実現せずに
デ・パルマは代わりに『殺しのドレス』(1980)を監督したという。
また主人公の恋人役であるカレン・アレンにはフリードキンは正確な台本を渡さずに
撮影したと言われている。ヒロインの心境の変化をリアルに得るために
わざと彼女のには真相を伏せていたということだ。
また最初の殺人(大学教授が背中にナイフを突き立てられるシーン)では
モノクロのフラッシュバックが挿入されているが、このシーンはゲイムービーから
持ってきたモロのカットだ(おそらく日本でDVDに出来ないのはこの数カットにも問題がありそう
 
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Copyright 1980  Lorimar Film-Und Fernsehproduktion Gmbh.

ニューヨーク、ハドソン河口付近で一隻のボートが浮いている人間の右腕を発見する。
腕は市警の検死室へ送られたが、誰のものとも判明せずCUPPI(処分保留)と判断された。
マンハッタンのクリストファー通り。レザースーツやミリタリールックを身に付けた連中が闊歩する街・・・
またはホテルの一室ではホモ行為も終わった「カップル」がいた。
ベッドに全裸で寝そべっている男に今までの相手が急に革紐で縛りかかったのだ。
ここにいるのは誰?あなたとわ・た・し・・・
「怖いからよしてくれよ」と男は震える。「お前が悪いんだ!」
といきなりその背中に鋭利なナイフでメッタ突きだ。縛られた男は血の海の中で絶命する。
再び検死室。その検視台の上にうつむせに置かれた死体の背中には無数の刺し傷が。
「凶器は8センチ程度のナイフ。容疑者は右利きである、被害者の身体に肛門性交の跡がある」
実はこのクリストファー通りではこのところ連続殺人が発生してすべて被害者は同性愛者の男性だった。
第一はバラバラ死体で発見、第二は舞台俳優、第三はコロンビア大学の教授だった。
市警殺人課のエーデルソン警部(P・ソルヴィーノ)は若い警官のスティーブ(A・パチーノ)を
自分のオフィスに呼ぶ。スティーブは一連の被害者と共通点があった。20代後半で、中肉中背で
黒い瞳に黒い髪だ。エーデルソンはスティーブに危険な潜入捜査を命じる。親族・恋人さえ機密の特務だ。
容疑者を検挙すれば二階級特進という人参も彼にぶらさげた。
スティーブはジョンという商業美術家と名乗り、ゲイの住人の多いアパートの一室を借りる。
その夜からスティーブは捜査(クルージング)を始める。この街の住人に馴染むように
革のジャケットに黒のタンクトップという服装を身に纏い夜の街に出て行く。
その頃にセントラルパークでまたしてもゲイがナイフで刺殺される第四の犯行が起こる。
エーデルソン警部やスティーブは焦っていた。どうしても有力な手掛かりに辿り着かないからだ。
そんな中でまたしても第五の犯行が・・・ポルノショップのブースで男が殺された。
だが今度は犯人の遺留品が残っていた。指紋が付着した硬貨が一枚遺されていたのだった。
男娼からも有力な手掛かりが耳に入る。事件発生時にブースの中で歌声がしたという。
「ここにいるのは誰?あなたとわ・た・し・・・」
スティーブには恋人のナンシー(K・アレン)がいた。自分とは無関係だと思っていた
ゲイの世界に浸っている自分が判らなくなってきている自身の軌道を修正しようと
ふだんよりナンシーと激しいセックスにのめり込むスティーブ。
だが夜になれば、夜の街をクルージングする自分がいた。焦るあまりに誤認逮捕もしてしまった。
だが今度は確証があった。スチュアート(R・コックス)という男だ。
被害者である大学教授の講義を受けて、凶器のナイフの出所であるステーキ・ハウスにも
勤めていた過去があった。
スティーブは言葉巧みにスチュアートを誘い暗いトンネルの中に・・・
お互いにズボンを脱いだ時に、スチュアートの手に光るものが。ナイフだ!スチュアートのナイフを
かわして、スティーブは持っていた護身用のナイフをスチュアートの脇腹に刺した。
スチュアートは一命をとりとめ、ポルノショップの遺留品の硬貨も彼の指紋と一致した。
エーデルソン警部は「やったな。お手柄だぞ。刑事部でお前を待っているからな」と
労いの言葉をかけるのだが、またしてもゲイ地区で惨殺死体が発見された。
それはスティーブが潜入していたアパートで、彼と親しくしていたテッドが惨たらしい死体で発見された。
いったい誰が・・・スティーブは自分のアパートでヒゲを剃っていた。
テーブルにはレザージャケットが。鏡の中のスティーブは明らかに別人のように見えた。
(1981年1月24日公開 東映洋画部配給)
 
 
 
参考文献: 「アル・パチーノ」(アル・パチーノ+ローレンス・グローベル 著) 松浦怜(訳)
                  北米版DVD 「CRUISING」(WHV) Audio Commentary by William Friedkin

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ユナイテッド・アーチスツ

監督: ウィリアム・フリードキン 
製作: ジェリー・ワイントローブ 
    バート・ハリス 
原作: ジェラルド・ウォーカー 
脚本: ウィリアム・フリードキン 
撮影: ジェームズ・A・コントナー 
音楽: ジャック・ニッチェ

 アル・パチーノ 
 ポール・ソルヴィノ 
 カレン・アレン 
 リチャード・コックス 
 ドン・スカーディノ 
 ジョー・スピネル 
 ジェイ・アコヴォーン  
  パワーズ・ブース
 
 
テクニカラー
ヴィスタサイズ(1:1.85)
102分
英語・モノラル
日本語字幕: 岡枝慎二
 
 
 
 
アメリカ版DVD(ワーナー) 残念ながら日本版は未発売。 『ボビー・デアフィールド』と同様
パチーノ・ファンには幻の作品かな?
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1973(C) Warner Bros.                     「PIGS」(豚)と落書きがある・・・

キンダーマン警部補の捜査に関する彼の洞察
「青カビに疑問を持ったから、ペニシリンが生まれたんだ」
 
 
ウィリアム・フリードキン特集①
 
エクソシスト』(1973)
THE EXORCIST
(ディレクターズ・カット版)
The Exorcist:The Version You've Never Seen(2000)
 
映画『エクソシスト』は全米で1973年12月26日に公開された。
キリストの誕生日であるクリスマスを避けてその翌日に公開されたこの映画は
センセーションを呼び、世界中でヒットした。
真無垢な少女に悪魔が憑依して、母親に平手打ちをかまして、精神科医の睾丸を締め上げ、
神父に緑色の反吐を吐きかけ、股間に十字架を突き立て自慰をさせて、居間の床に放尿させたあげく
卑猥極まりないダーティワードを連発させるこの映画が、良識者たちの標的にならないわけがなかった。
多くの宗教団体は抗議を始め、テレビに登場する福音伝道師は一様にこの映画に対して
悪魔の烙印を押した。その反面、「恐いもの観たさ」に何百万の観客は劇場に押し寄せた。
教会や伝道師が非難をすれば、するほどマスコミは扇動し、観客動員は上がっていったと言われる。
MPAA(全米映画協会)は本作品をR指定にしたが、ワシントンやボストンでは地方検事局が
住民運動によって、R指定でも18歳未満鑑賞禁止にしてしまった。
またイギリスでは特に厳しくX指定になり、英国内でビデオも1999年まで発売されなかった。
 
原作はウィリアム・ピーター・ブラッディ。ハリウッドではコメディ映画のシナリオで知られていた。
『地上最大の脱出作戦』や『暗闇でドッキリ』はブラッディの脚本だ。
彼は1949年にニューヨーク・タイムズに掲載された「マウント・レイニアの悪魔憑き少年の事件
からヒントを得て『エクソシスト』の原作を書いた。
映画に出てくる映画女優のクリスは実はシャーリー・マクレーンがモデルになった。
親交のあったブラッディはマクレーンに第一稿の原稿を見せて意見を聞いた。
この原稿が気に入ったマクレーンは自分が主役で映画化の準備を進めたが、紆余曲折を経て
最終的にワーナーで映画化されることに落ち着く。ブラッディは製作者に名を連ねて、監督探しに奔走する。
スタンリー・キューブリック、アーサー・ペン、マイク・ニコルズ、ジョン・カサヴェテス・・・・
ワーナーは色んな監督の名を出してきたが、ブラッディはもう決めていた。ウィリアム・フリードキンだ。
フリードキンは実は過去にブラッディの脚本を目の前でこき下ろした人間だった。
ワーナーはまだオカマ映画しか撮っていないフリードキンの採用を拒んだが、彼に転機がやって来た。
20世紀フォックスで撮った監督作『フレンチ・コネクション』(1971)が公開され、そしてオスカーを獲ったのだ。
もうワーナー側はフリードキンを拒む理由は何一つ残されていなかった。監督として正式に契約がなされた。
脚本を読んだフリードキンはまたしてもブラッディの前で用意された脚本をこき下ろす。
フリードキンの指示で、バークの死による推理的なパートは大幅に削られ第二稿が書き上げられる。
皮肉にもアカデミー脚色賞を受賞したのは書き直された第二稿の方だった
 
公開当時はほとんどのアメリカ人の観客は悪魔祓い(Exorcism)および悪魔祓い師(Exorcist)という言葉も
知らなかった。よほど信仰に興味がある者か、教会関係者か、歴史学者くらいだったとか。
 
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1973(C) Warner Bros.
 
 
主演はエレン・バースティンでこの後にスコセッシ監督の『アリスの恋』(1975)で
オスカーを受賞した。現在はリー・ストラスバーグ亡き後のアクターズ・スタジオの主宰の
ひとりとして俳優の育成に努めている。リーガンを演じたリンダ・ブレアは撮影当時は13歳だったが
青春映画で売り出したが、失敗。ヌードを売り物にするB級映画にも出たりした。
ジェイソン・ミラーはブラッディの『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』や
同じくブラッディ版エクソシストと呼ばれる『エクソシスト3』にも出演。2001年に亡くなった。
また世界的な名優であるマックス・フォン・シドーは出番こそは少ないが、重要なメリン役で
大いにストーリーを盛り上げた。『第七の封印』(1960)でも悪魔とチェスをやっていましたな。
そしてブラッディの第一稿ではもっと重要な役だったキンダーマン警部補を名優リー・J・コッブが演じている。
このキンダーマンは1980年の『エクソシスト3』では主役になっていたが、
リー・J・コッブは既に亡くなっていたためにジョージ・C・スコットが演じた。

『エクソシスト』の根底にあるものは少女に憑依した悪魔との信仰の戦いだけでもなく
悪魔に対する挑戦者でもあるカラス神父の苦悩が細部に描かれている
デミアン・カラス神父は精神分析医であり神父である。
彼の取り巻く絶対的な苦しみは、実は病弱な母親を孤独死させた悔恨の念に四六時中悩まされている
彼は神父でありながら、この事で他人の人生や生き方を説くことに応じられない、
もはや自分は信仰の心も消えてしまったとイエズス会の司祭長に告白する。
母親の死を目にしてカラスは親友のダイヤーと学長から盗んだ酒を飲み交う。
ダイヤーはカラスをベッドに寝かしつけ、靴を脱がそうとする・・・
「今度は何だ、靴でも盗むのか?」とカラスは何か言いたげにダイアーの腕に手を伸ばすが
自分でその手を振り払う。「盗みは罪悪だぞ・・・」
だがカラスは本当はダイアーに抱きつきたかったのかも?信仰ではホモも罪悪なのだ
このカラスの精神的なホモ場面は見事に一昨年亡くなった今野雄二氏が看破している
またラストシーンで死の瀬にいるカラスのもとにダイアー神父が駆け寄り彼の血だらけの手を
握りながら、「あなたの罪を許します アーメン」と十字を切る場面が一層興味深い。
そして最も印象的なのは酒を飲んだカラス神父が見る夢のイメージだ。
下していく銀のメダル状のペンダント・・・・
道を駆ける一匹の黒い犬。生前の母親の顔。時計の振り子。
地下鉄の出口からゆっくり上がってくる母親。それに叫んで手を振るカラス神父。
だが母親は何かを言って困っているようだ。そこへ不気味なキャプテン・ハウディの顔。
カラスは走って駆け寄るが、母親は今上がって来た地下鉄の階段を振り向いて下りて行く・・・
地面に落ちるペンダント・・・
 
に冒頭のワシントンのジョージタウンに舞台を移すまでのイラクのシーンが印象的だ。
メリン神父が悪魔バズスの像と対峙する場面や、時計の振り子が静かに止まるカット。
また鍛冶屋の男は白濁した片目でメリンを凝視したり、凄いスピードで駆けていく馬車に
乗っている不気味な皺だらけの老女の顔・・・
イラク・シークエンスは実はビリー・ウィリアムズによって撮影されていた。
 
特異なキャラクターとしてはキンダーマン警部補だろう。
彼は映画好きでカラスに初めて会った時も
ボディ・アンド・ソウル』のジョン・ガーフィルードに似ていると言う。
彼はカラスやダイアーにも無料券があるから映画に行こうと誘うのだが。
 
 
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奇人変人フリードキン伝説。
『エクソシスト』は最初に26館から上映がスタートした。
フリードキンは全米を駆け巡り、上映館に直接出向いて、映写機の明るさや
音響装置の音量レベルなど設備に関して事細かく指示したと言う。
ただ上映館が50や100に増えるに従い、追いつけず電話でやりとりするようになる。
そうして劇場側が拒否するとフィルムを引き上げると脅迫して指示通りにするよう迫った。
悪魔が乗り移ったのはフリードキンだった。
撮影中では空砲のショットガンや45口径拳銃を突然、発砲して俳優の恐怖の表情をカメラに収めた。
ジェイソン・ミラーが一番多くこの被害に遭遇したらしい。
またエレン・バーステインは倒れる場面では「あのクソ女を思い切り引き倒せ!」と
スタッフに指示してピアノ線で彼女を引っ張り、本当の苦痛に歪む顔を撮影してご満悦だったとか。
またダイアー神父役の素人であるウィリアム・オマリー神父を殴って、恐怖で泣き出しそうな顔
すかさず撮影した。あれは演技ではなくフリードキンが恐ろしくて泣いているのだ。
 
リンダ・ブレアーの首が廻るシーンはディック・スミスが作ったダミーで
またカラス神父にぶっかける緑色のゲロはえんどう豆のスープが使われた。
憑依されてからのリーガンはアイリーン・ディーツが演じて
声はメルセデツ・マッケンブリッジが担当していたが、訴訟問題にまで発展したという。
ディレクターズ・カット版The Exorcist:The Version You've Never Seen)では
復活した仰向けで四つんばいで階段を下りるスパイダー・ウォークは初公開版では
ワイヤーが見えて使い物にはならなかったが、CGでワイヤーを消すことが可能になったため
復活」した。
ディレクターズ・カット版で追加された場面
 主人公クリス・マクニールの仮住まいとマリア像のカットがイラクの場面に先立ち挿入。
 リーガンが病院で検査を受ける場面、医者がクリスにリーガンが汚い言葉
(マンコに指を入れるな・・・を使うと告げる)
 カラス神父が図書館でリーガンが父へ送ったメッセージテープを聴く場面
 悪魔祓いの合間のカラス神父とメリン神父の会話
 ラストシーン、ダイアー神父とキンダーマン警部の会話で終わる
 ディレクターズ・カット版はモノラル音声からドルビー・デジタルEXにリーレコされた。
 
イメージ 16
↑瞳が三つ! 
イメージ 13
1973(C) Warner Bros.
 
 
映画の主要曲はマイク・オールドフィールドが作曲した「チューブラー・ベルズ」が使われているが
オールドフィールドが演奏したものではなく、実際に映画で使用された音源が入ったサントラ盤
(ワーナパイオニアから出ていた)は別アレンジで録音されたものだった。
ワーナーは版権の関係でオールドフィールド演奏のオリジナルは使わなかったとか。
 
 参考図書:「バトル・オブ・エクソシスト」 (マーク・カーモード著:上岡雅史訳 河出書房新社)
        キネマ旬報 1974年6月下旬号(0634号) オカルトの時代と映画「エクソシスト」 金坂健二
                                   深い悲しみにみちた「エクソシスト」 今野雄二
 

イメージ 7ワーナー・ブラザーズ提供
監督: ウィリアム・フリードキン 
製作: ウィリアム・ピーター・ブラッティ 
製作総指揮: ノエル・マーシャル 
原作: ウィリアム・ピーター・ブラッティ 
脚本: ウィリアム・ピーター・ブラッティ 
撮影: オーウェン・ロイズマン 
メイクアップ: ディック・スミス 
プロダクションデザイン: ビル・マレイ 
編集: ノーマン・ゲイ 
       エヴァン・ロットマン 
音楽: マイク・オールドフィールド 
       ジャック・ニッチェ 
舞台装置: ジェリー・ワンダーリッチ
 
 エレン・バースティン・・・・ クリス・マクニール
 マックス・フォン・シドー・・・ メリン神父
 リー・J・コッブ・・・ キンダーマン警部
 ジェイソン・ミラー・・・ダミアン・カラス神父
 リンダ・ブレア・・・ リーガン・マクニール
 キティ・ウィン・・・・ シャロン・スペンサー
 ジャック・マッゴーラン・・・・ バーク・デニングス監督
 ウィリアム・オマリー・・・・ ダイアー神父
 

メトロカラー
ヴィスタサイズ(1:1.85)
英語
122分(ファイナルカット:1973)
132分(ディレクターズ・カット:2000)
ドルビー・デジタル・サラウンドEX(ディレクターズ・カット版)
日本語字幕:高瀬鎮夫(1974年公開版)
ワーナー映画配給
日本公開1974年7月13日
DC版
日本公開2000年11月23日
 
 

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