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悪魔が呼んでいる
東宝(昭和45年)
1970年7月に東宝系で公開された山本廸夫監督作品。 同時上映は同じ山本廸夫監督の 『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』 同じ監督の新作が同時に公開されるのは なかなか珍しい事だとおもう。 (翌年の昭和46年も山本廸夫監督の 『呪いの館 血を吸う眼』と『雨は知っていた』 が同時公開されている) ホラーとサスペンスの取り合わせが良かったのか 2年続きで同じような番組が組まれていた・・・ まあ当時は邦画各社は不況のどん底。 そのうち大映は倒産、日活は一般映画から撤退。 助監督として東宝に入社した山本監督は テレビドラマ『遊撃戦』で一本立ちしたが やっと劇場映画で監督昇進を果たした。 その監督デビュー作『野獣の復活』(昭和44年) 「死ぬまでに一本だけ、人が悲鳴を上げるような映画を作りたい」 とこの映画の完成パーティで人前で語った。 それを聞いたプロデューサーの田中文雄がこの映画2本を企画した。 この番組のメインは『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』だった。 添え物として製作された『悪魔が呼んでいる』だが 山本監督は実際には幽霊や吸血鬼には興味がなく ヒッチコック映画ばりのショッカー映画 を撮りたかったと後年語っている。 山本廸夫監督にとってのメインは本作だったかも知れない。 山本廸夫監督の劇場映画は昭和49年の『血を吸う薔薇』を
最後にその後はテレビ畑に赴き『太陽にほえろ!』
『俺たちの勲章』や『大都会』
また「火曜サスペンス劇場」や「土曜ワイド劇場」で
数々の作品を手掛けた職人だった。2004年没。
原作は角田喜久雄のサスペンス小説
「黄昏の悪魔」(1957年発表) 導入部は原作とかなり近いが中盤から原作から離れて 映画の方はあらぬ方向へひとり歩きしていく・・・。 主演は酒井和歌子さま。東宝映画の永遠の清純派のイメージが
強い彼女ですが、劇中にもバーのママに言われる台詞通り まるで「幼稚園の先生」みたいな彼女。 テレビの「飛び出せ!青春」でも舞台になる高校の本倉先生を 演じて10代の男性の憧れの的だった。 清潔感があって気丈な面も彼女の魅力のひとつかも。 東宝を離れてからは火曜サスペンス劇場の人気女優でもあった。 69歳の現在も年齢を感じさせないまだまだ綺麗でいらっしゃる。 旅行会社の契約社員の江原ユリ(酒井和歌子)は普段通り 出社するといきなり仏頂面した上司に呼びつけられ 「今日限りで会社を辞めてくれ」と告げられる。 ただ解雇の理由を明かされないのでユリは抗議するが 上司は何も語らない。もうこれ以上無駄だと悟った ユリは差し出された給料と退職金を受けて去っていく。 この事の愚痴を聞いてもらおうと呼んだ恋人(下条アトム) からも理由がないまま「別れよう」と切り出され 戻ったアパートの大家からも「出て行ってくれ」と 不幸の連続がユリを襲う。 出版社の面接に出かけたユリだったが その会社の社員・浦辺(新克利)と知り合い 面接の結果を教えてあげると親切にされる。 試験の結果はトップだと浦辺に教えてもらい ルンルン気分でアパートに戻るが、部屋に空き巣が 入り預金通帳も全額引き出されていた。 気分転換で入った喫茶店でも財布が無い事を知り 無一文になったユリは飛び込みでバーのホステスと して雇ってもらうが、客の片桐(大滝秀治)に 財布泥棒の嫌疑をかけられる。 おまけに浦辺の会社から送られてきた採用通知は 不採用だった・・・もうどうでもなれと列車に飛び込み をしようとするユリを助けたのは藤村(藤木孝)という男で 彼女の相談に乗ってくれるが喫茶店で飲まされた クスリで朦朧としてアパートまで藤村に送ってもらうが その藤村はなんと自分とユリの婚姻届を持っていた。 藤村に押さえつけられて意識が遠くなっていくユリ。 目が覚めると「夢だったのね・・・」と思うや否や 足元には藤村の刺殺死体が転がっていた。 アパートから逃げだしたユリは路上で浦辺とバッタリ会う。 「採用通知は合格だったんだぜ」という浦辺は 今までのユリの話を聞かされ信じられない話だが 君を信じようとアパートに見てくると走っていくが 公園で待つユリに2人の男女が声を掛ける。 玲子(田村奈巳)と八十島(今井健二)だ。 拳銃のようなものをユリは八十島に突きつけられ 車で連行されのは何やら怪しい地下のライブハウスのような 場所(看板がCLUBマリファナ(笑)) 若者たちが大勢、踊っているがいきなり クラッカーが鳴らされ「ようこそ 花嫁」と キザっぽい男、後宮(西沢利明)が登場する。 そこにもまた「ユリさん 私のいう事を訊けば 何も怖い事はないんだよ」とあの片桐が再び現れる。 いきなり照明が消されて闇になりユリは玲子と八十島に 捕まって後宮が運転する車に乗せられてマンションの一室に 連れ込まれるが、そこには猟銃を持った片桐が待ち構えていた。 (この場面は酒井和歌子さまのパンチラのサービスあり) 「みんな私に逆らえないんだよ それは私が、 私の血が高貴だからなんだ」とうそぶく片桐。 「私は・・・片桐伯爵だ」 八十島はその言葉を嘲笑し激高して声を上げる片桐。 「やめて!いったいあなたたちと私が、 私が、いったい何の関係があるんですか?お願い!教えて!」 とユリが堰を切ったように叫びはじめた。 「ユリ、今はそれは言えない、だがお前もバカな事をしたもんだ」 と片桐が冷たくあしらう。「何で藤村を刺殺したんだ」 「私、殺してなんかいません!死んでいたんです!」 そこに何やら怪しいメロディーが流れてくる。 片桐は手下に八十島たちを監禁してユリを別の部屋に入れる 「お前は私の養女になるかは考えておけ 自殺したいなら窓から飛び降りても止めたりしない、 もしお前が死んでも私の目的は達成するんだからな」 とユリに告げる。 朝になって逃げだそうするユリ。片桐はソファーで 寝入っているが、手下の佐野に勘付かれ逃亡を阻止されるが 八十島たちが片桐たちを欺いて猟銃を奪う。 片桐たちはマンションから逃げ出すが、事の真相を 後宮を脅して知った八十島にユリが襲われそうになり、 ユリが逃げ込んだ浴室のバスタブには後宮の死体があった。 慌てて浴室から出てきたユリは八十島のナイフで脅される。 思い余ってベランダに出て飛び降りようとする。 「ここから飛び降りますよ!」 「まあ、待てよ、おめえが死んだら何もならねえ」 「おめえには50億という遺産が入るんだぜ」 「いい加減な事を言わないで、そんな親戚はいません!」 「段原正作ってじいさんを知ってるだろう?」 「段原?...知りません!」 「ケッ、きちがい沙汰だよ」 「そのじいさんがお前に全財産を残そうとしてるんだ」 「じゃあ みんながあたしを?」 「そうだ あの片桐とかいう化物もその段原の義理の弟だよ」 「後宮と藤村はその甥ってわけだ」 「だからあいつらがおまえの周りの連中を金で手懐けてお前を 自殺に追い込めようとしたけど自殺を思いとどまったんだろ?」 「私はその人に会ってやめさせてもらいます」 「バカな!俺はそのために殺しまでやったんだぞ!」 そこで猟銃の撃鉄を起こす音。 そこには玲子が八十島に向けて猟銃を構えている。 「私はこの子と仲良くやっていくわ ねえユリちゃん」 「殺人犯のあんたはもう用済みよ」 「この野郎!」ともみ合う玲子と八十島 その隙に玄関から逃げようとするユリの背後で銃声が・・・ 玲子が血に染まって崩れるのがユリの眼に映った。 非常用のらせん階段を降りて逃げるユリ、それを逃がすまいと 必死に追いかける八十島。その時、階上で「だれだ?てめえ?うわぁ〜!」 上から絶叫と共に八十島の身体が落ちてきて地面に叩きつけられる。 通行人たちが八十島の死体の周りに集まっている。
それを尻目に逃げようとするユリの背後に突然、 「江原君!」 ぎょっとして足を止めるユリ。 ここから話は混沌としていくのだった・・・・ 全編怯えるように眼を剥いて 口を歪ませて
慄く酒井和歌子さんの表情を 観るだけでも
一見の価値アリかも。 映画はホンマ無理矢理感が強いけど(笑)
冒頭にワンカットだけ出てくる北林谷栄さん ラストで重要な役で再登場となります。 あの悪役など無縁かと思えるの大滝秀治さんが見事なワル役で登場。
まあ今井健二は絶対悪役なんで心配ないけど、
美人女優の田村奈己さまは「幽霊屋敷〜」の方に出ても
おかしくないくらいの血の気が無い青白いメイクで登場。
西沢利明、この方どっかで見たなぁと思ったら
「宇宙刑事ギャバン」の長官役だったと記憶します。
本作は残念ながら東宝からはビデオ/ディスク化はされていない。
数年前に日本映画専門チャンネルで放送されたものを録画で残してある。
監督: 山本迪夫
製作: 田中友幸 田中文雄 原作: 角田喜久雄 脚本: 小川英 撮影: 原一民 美術: 本多好文 編集: 岩下広一 音楽: 真鍋理一郎 酒井和歌子 新克利 今井健二 藤木孝 田村奈己 北林谷栄 大滝秀治
西沢利明
35㍉・カラー(東京現像所)
シネスコ 75分 1970年7月4日封切 同時上映『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』
東宝映画
1970(C)東宝
Terror in the Streets © 1970, Toho Co., Ltd.
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