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 今回の脱線事故から考えさせられることは数多くあると思います。死者106人という悲惨な事故を繰り返さないためにも、事故が発生した背景を的確に捉えておかなければなりません。

 そもそも、なぜ事故がおきたのか。現時点では完全に解明されていませんが、やはり大きな要因としては安全よりも定時運行の確保に重点が置かれていたことにあるはずです。他の私鉄との競争関係の中で、なんとしても利用客を獲得したいというJR西日本の利益最優先の思考が今回の事故を生み出したということはニュースなどでも既に報道されています。

 「利益」が「安全」よりも優先されたといわざるを得ない今回の悲惨な事故から、私たちは何を学び取るべきなのでしょうか。私の考えとしては、今回の事故はまさに、日本がいま歩もうとしている現代社会を象徴する出来事であると感じています。とりわけ近年では新自由主義という一種のイデオロギーにより、「競争」・「合理化」を伴う市場原理の強化が図られており、規制緩和政策をはじめとして最近話題となっている郵政民営化など、社会システム全般において市場を利用した競争原理が導入されつつあります。

 「競争により上質なサービスが提供され、それは消費者にとっても有益である」という見解が今回の脱線事故で崩壊したというのは、果たして言い過ぎなのでしょうか?今回の事故で、「競争」は消費者(乗客)の利益のためというよりも、むしろ企業としての、JR西日本の利益追求が目的であることが明らかになったのではないでしょうか。

 さらに、こうした競争原理はJR職員にも大きな影響を及ぼしているはずです。遅延を短縮しなければ処分されてしまうという、運転士の精神的苦痛もまた事故の大きな要因といえます。競争社会のもとで働く人達の環境が悪化していることも見逃せません。

 今回の脱線事故はまさに、「競争」・「合理化」の時代へ向けて進んでいる日本社会を象徴する出来事だったのではないでしょうか。こうした社会システムの動向を注視せず、JR西日本の企業体質の異常さだけが議論されているようでは、こうした悲惨な出来事の再発防止は困難だと思います。


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